デンドライト(樹状突起)は、二次電池の充電の際、負極の金属電極から金属が正極に向けて伸びる現象です。
放電で電解液が溶け出た金属イオンが充電時に金属に戻って析出する際に樹状結晶になり、充放電を繰り返すにつれて成長して伸びていきます。

形成されたデンドライトがはがれると、それだけ負極活物質の量が減るので、容量が低下します。
しかし、デンドライトが成長を続けるのはもっと問題で、デンドライトの一部が多孔セパレータの孔を突き抜けて正極に達すると、電池がショート(短絡)します。
そして、それが発火や爆発の原因になることがあります。

デンドライトが発生する金属電極は、亜鉛、鉄、カドミウム、マンガン、アルミニウム、ナトリウム、リチウムなど非常にたくさんあります。
これらの金属を電極とする電池を作るには、デンドライトの問題を解決しない限り、充電できない一次電池にするほかありません。

デンドライトの発生原因の詳細は長い間不明でした。
しかし2019年、ニッケル亜鉛電池で生じるデンドライトについて新しい説が提出され注目されています。

それは、これまで充電の際に電解液中の亜鉛イオンは負極板(亜鉛板)に対して直角に動くと考えられてきましたが、負極板に沿う方向にも移動し、このことが電解液中の不均一な亜鉛イオン濃度を生み、それが一様でない金属の析出につながり、ひいてはデンドライトの生成に至るというものです。

二次電池の開発において、デンドライト対策は今も昔もキーポイントの1つです。
デンドライトを抑制するために、添加剤を混ぜたり、電池の作動温度を制御したり、セパレータを工夫したりするなど、電池の種類によって、あるいはメーカーによってさまざまな対策が講じられています。

セパレータをイオン電導性フィルム製にすることによって、水酸化物イオンを通過させながら、亜鉛酸イオンをブロックできます。
こうすることで、亜鉛デンドライトがセパレータに達しても、セパレータ内には亜鉛酸イオンが存在しないため、それ以上デンドライトは伸張できなくなります。

 

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