ある二本鎖DNAの一方のポリヌクレオチド鎖の塩基組成を調べたところ、シトシン( C )が20%、チミン( T )が35%であった。このとき、同じ側の鎖、又は相補鎖に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 同じ側の鎖では、グアニン( G )が20%である。 同じ側の鎖では、アデニン( A )が35%である。 同じ側の鎖では、アデニン( A )とグアニン( G )の和が45%である。 相補鎖では、アデニン( A )とグアニン( G )の和が45%である。 相補鎖では、シトシン( C )とチミン( T )の和が55%である。 技術士の過去問 平成27年度(2015年) 基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問24 - 過去問ドットコム
正解は3番です。 解説 一本鎖中のヌクレオチド割合は合計で100%になるので、同じ側の鎖では
A + G = 100% - (C + T) = 100% - (20% + 35%) = 45%
となります。 ── 3.同じ側の鎖では、アデニン(A)とグアニン(G)の和が45%である。  

同じ側の鎖とはなんですか?

  “同じ側の鎖”とは、二本鎖DNAのうち、あなたが最初に塩基組成を測定したそのポリヌクレオチド鎖のことです。
  • DNAは二本のポリヌクレオチド鎖が互いに向かい合い、塩基どうしが相補的に結合して二重らせんを形成しています。
  • ですので「同じ側の鎖」と言うときは、測定した鎖自身(片方の鎖)を指し、これに対して、もう一方の鎖は「相補鎖(補完鎖)」と呼ばれます。
今回の問題では
  1. 測定した鎖(同じ側の鎖)上で C:20%、T:35% なので、残りの A+G が 45% になる(100%−(20%+35%)=45%)。
  2. 一方で相補鎖では、対になる塩基(C⇔G、T⇔A)の割合を入れ替えて考えます。
まとめると、
  • 同じ側の鎖=最初に組成を調べた鎖そのもの
  • 相補鎖=その鎖に対して塩基対を作るもう一方の鎖
という使い分けになります。

ヌクレオチド割合とはなんですか

  ヌクレオチド割合(塩基組成比)とは、ある DNA(または RNA)分子を構成する4種類のヌクレオチド(A, T(U), G, C)が、それぞれ全体の中でどれだけの割合を占めているかを示したものです。具体的には次のように求めます。
  1. ヌクレオチドのカウント DNA 鎖上のアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)がそれぞれ何個あるかを数える。
  2. 全ヌクレオチド数の算出 A+T+G+C の合計を求める。
  3. 割合(%)の計算 例えば A の割合は A の個数全ヌクレオチド数×100% \frac{\text{A の個数}}{\text{全ヌクレオチド数}} \times 100\%と計算し、同様に T, G, C も求めます。
―――――――――― 例えば、ある一本鎖 DNA で
  • C:20%
  • T:35%
と分かった場合は、カウントした C と T を合わせて全体の 55% を占めていることになり、残り 45% が A+G の合計というわけです。 ヌクレオチド割合を知ることで、
  • DNA の塩基組成の偏り(GC含量など)をとらえたり、
  • 種やゲノム領域ごとの特徴(高 GC 領域 vs. AT 領域)を比較したり、
  • 分子進化や遺伝子増幅(PCR)条件の最適化に活かしたり
といった、さまざまな応用・解析に役立ちます。

対になる塩基とはなんですか?

  DNA の「対になる塩基(塩基対)」とは、二本鎖 DNA をつなぎ止める2つの塩基の組み合わせのことです。塩基同士は水素結合を介して特異的に結合し、二重らせん構造を安定化させます。
  • アデニン(A)⇔チミン(T)
    • 2本の水素結合で結合
  • グアニン(G)⇔シトシン(C)
    • 3本の水素結合で結合
これにより、片方の鎖の塩基配列が分かると、もう一方の鎖の配列も正確に「補完」されます。たとえば、ある鎖に…–A–C–T–G–… という配列があれば、相補鎖は …–T–G–A–C–… となります。