https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2004A/0/2004A_0_171/_pdf
タイトル (Title):
エンドミル加工における切り屑挙動のモニタリング
Monitoring of chip behavior in the end milling –The difference of dry cutting and wet cutting
雑誌名 & 出版年 (Journal Name & Publication Year):
2004年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集
第一および最後の著者 (First and Last Authors):
Nobushige SAWAI, Yuichi USUI
最初の所属 (First Affiliation):
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
概要 (Abstract):
この研究では、湿式切削と乾式切削におけるエンドミル加工中の切り屑挙動をモニタリングし、それらの違いを観察しました。湿式切削では、切削液が切り屑を飛ばすことで、刃先や被削材上に切り屑が存在しないことが確認されました。また、乾式切削では、工具刃先部に切り屑が付着したまま切削が行われることが観察されました。
背景 (Background):
従来の湿式切削では、切削液の不透明さにより、工具の切刃の状態を観察することが困難でした。本研究では、高透明度の切削液を使用して、工具刃先のモニタリングを可能にし、その効果を乾式切削と比較しました。
方法 (Methods):
湿式切削用ITVカメラとLEDパルス照射装置を用いて、エンドミル加工中の刃先と切り屑の挙動を観察しました。また、キスラー動力計を使用して切削力を測定しました。湿式および乾式切削の条件下で、主軸回転数と送り速度を変えて実験を行いました。
結果 (Results):
湿式切削では、切削液によって切り屑が刃先から除去され、切り屑によるかみこみ現象が発生しないことが確認されました。一方、乾式切削では、刃先に切り屑が付着したままの状態で切削が行われることが観察され、切削力の乱れが大きいことがわかりました。
考察 (Discussion):
湿式切削と乾式切削の違いは、切り屑の挙動に大きな影響を与えることが示されました。特に湿式切削では、切削液が切り屑の除去に効果的であり、切削力の安定化に寄与しています。
従来の研究と比べた新規性 (Novelty compared to previous studies):
湿式切削における高透明度の切削液を用いた新たなモニタリング手法により、従来の研究では観察できなかった刃先の状態を鮮明に記録できた点が新規性です。
限界 (Limitations):
切削液の種類や透明度の違いが結果に影響を与える可能性があるため、他の条件下での検証が必要です。
応用の可能性 (Potential Applications):
本研究で得られた知見は、エンドミル加工における切削条件の最適化や、工具寿命の向上に応用できる可能性があります。
湿式切削用ITVカメラについて教えてください
湿式切削用ITVカメラについて説明します。
このカメラは、湿式切削中に切削工具の刃先や切り屑の挙動をモニタリングするために使用される特殊なカメラです。以下にその主要な特徴を挙げます。
レンズ焦点距離: 40mm
撮像素子: ITV 1/4インチ撮像素子
照明装置: 主軸回転数に近い周波数でパルス発光するLEDを使用しています。発光周波数は5Hzから150Hzまで可変です。
ノズル径: φ10mm
切削液供給用ポンプの流量: 90リットル/分
このカメラは、湿式切削時に透明度の高い切削液を通して、工具刃先を鮮明に観察することができます。また、照明用LEDのパルス発光により、切削中の刃先をスローモーション状態で記録することが可能で、切り屑の挙動を詳細に観察するための重要な役割を果たしています。