https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/708591_7024481_misc.pdf
タイトル (Title):
ビジョンシステムの実用化に関する研究開発(第1報)
Study on Utilization of a Vision System I
雑誌名 & 出版年 (Journal Name & Publication Year):
広島県立東部工業技術センター研究報告第17号 (2004)
第一および最後の著者 (First and Last Authors):
OKADA Yoshio, KOIKE Akira
最初の所属 (First Affiliation):
広島県立東部工業技術センター
概要 (Abstract):
この研究では、金属切削工具および切り屑の監視に用いられるモニタリングシステムを開発しました。このシステムにはCCDカメラとLEDストロボスコープが組み込まれており、プロペラの回転角度とツールの回転角度に同期させることで、汚れや切削液からカメラを保護し、クリアな観察を可能にしています。
背景 (Background):
自動加工や精密加工において、工具の摩耗や欠損の管理は重要な課題です。従来は振動やトルクの異常を検知して目視検査が行われていましたが、機械加工のシステム化に伴い、目視による観察が困難になっています。特に湿式切削では、切削油や切り屑の飛散が障害となり、工具の正確なモニタリングが難しい状況でした。
方法 (Methods):
防塵装置に収納したCCDカメラとLEDストロボを使用し、加工中の工具の静止画像および動画像を観測しました。発光タイミングを工具の回転角度に同期させることで、工具の挙動を詳細に観察しました。また、プロペラを使用して、切削油の飛散を防ぎつつ、カメラの視界を確保する工夫が施されました。
結果 (Results):
プロペラを3300rpmで回転させることにより、流速1.4m/sの水流を遮断することに成功しました。また、エンドミルを使用した端面切削加工の動画像を取り込み、工具の刃先の形状を鮮明に観察できることが確認されました。
考察 (Discussion):
このシステムは、湿式切削におけるクリアな画像取得を可能にし、工具の摩耗や欠損の早期検出に役立つと考えられます。また、プロペラによる防塵効果が実証され、加工環境下でのカメラ保護が実現しました。
従来の研究と比べた新規性 (Novelty compared to previous studies):
湿式切削用のモニタリングシステムにおいて、プロペラを用いた防塵装置の導入により、従来のシステムでは困難であった切削油や切り屑の影響を排除したクリアな視界を確保する点が新規性です。
限界 (Limitations):
プロペラの形状や回転速度が工具や切削環境に依存するため、他の条件下での検証が必要です。また、高速な破片の遮断には限界があることが示されています。
応用の可能性 (Potential Applications):
このシステムは、湿式切削の監視において、工具寿命の延長や品質管理の向上に貢献する可能性があります。また、他の精密加工分野でも応用が期待されます。
このシステムではどのようなデータが得られますか?
このシステムでは、以下のようなデータが得られます。
工具の静止画像および動画像
回転中の工具の刃先や表面の状態を観察するための静止画像と動画像が得られます。LEDストロボとプロペラの同期により、工具の動きを仮想的に停止させた状態で撮影が可能です。
切削加工の状態
切削加工中の工具と被削材の接触状態、切り屑の生成過程、切削液の影響など、加工プロセス全体の動画像が取得できます。これにより、加工中の工具の挙動や、切り屑の発生および排除の様子を詳細に観察できます。
防塵効果のデータ
プロペラによる防塵効果として、切削液や切り屑の飛散がどの程度カメラに影響を与えているかのデータが得られます。例えば、プロペラの回転速度や水流速度に対する遮断効果の検証データがあります。
これらのデータを基に、工具の摩耗状態や加工精度の評価、さらには切削条件の最適化に活用することが可能です。
CCDカメラで静止画像と動画を撮影していますか?
はい、このシステムではCCDカメラを使用して静止画像と動画の両方を撮影しています。
静止画像は、LEDストロボの発光と工具の回転角度を同期させることで、仮想的に工具を停止させた状態で撮影されます。この技術により、回転中の工具の刃先や表面の詳細な状態を観察することができます。
動画は、加工中の工具と切削状態の動きをリアルタイムで観察するために撮影されます。この動画により、切り屑の生成過程や切削液の影響、工具の動作などを詳細に記録することが可能です。
これにより、加工プロセスの全体像を把握し、工具の摩耗状態や加工品質を評価することができます。
動画に関して記述がある箇所を教えてください
このシステムで動画に関する記述は、以下の箇所にあります。
加工状態の動画像観測
「立型フライス盤を使用して鋼材S50Cの端面切削加工を行い、加工状態の動画像観測を行った。」と記載されており、切削加工中の工具の刃先部分の形状を動画として記録することが示されています。
仮想停止した工具と切削状態の動画像
「工具の刃先が最もよく見えるタイミングでLEDストロボを発光させて仮想停止した工具と切削の状態を動画像で記録した。」という記述があり、加工中の状態を詳細に観察するための動画が撮影されていることが確認できます。
動画像の取り込み
「LEDストロボの発光は毎秒20回となり、NTSC信号における画像の枚数(30枚)より少なく、撮像できないコマが出現してちらつきが感じられた。」とあり、動画撮影の際に発生する技術的な問題にも触れられています。