https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/52/12/52_12_2000/_pdf/-char/ja
Title (English): Precision Limits of Ultraprecision Cutting
Title (Japanese): 超精密切削加工の精度限界
Journal Name & Publication Year: 精密工学会誌, 1986年
First and Last Authors: Naoya Ikawa, Shoichi Shimada
First Affiliations: Osaka University
Abstract:
超精密切削技術の精度限界について論じ、加工精度を決定する要因と現状を考察する。ナノメートルレベルの精度を達成するための機械挙動、工具性能、材料特性、周辺環境の影響を検討する。
Background:
超精密切削技術は、工作機械の高い運動精度と高性能な工具を用いて高精度の加工を行う技術である。
Methods:
加工精度を支配する要因として、機械要素の運動精度、剛性、熱変形、位置決め精度についての実験と解析を行った。
Results:
静圧空気軸受を用いた高精度な工作機械が10nm以下の加工精度を実現し、工具と被削材の特性により加工精度がさらに向上することを示した。
Discussion:
工作機械の運動精度と工具の性能が加工精度に大きな影響を与え、環境条件や周辺技術の改善が必要である。
Novelty compared to previous studies:
ナノメートルレベルの加工精度に焦点を当て、静圧軸受の高精度な運動と工具性能の関係を明らかにした。
Limitations:
微小摩耗の監視が難しく、ナノメートルレベルの温度制御が困難である。
Potential Applications:
光学部品や磁気ディスク基板などの高精度部品の加工に応用可能である。
静圧軸受けは機械のどの部分に採用されていますか?
静圧軸受は超精密工作機械の運動部に採用されています。特に、主軸の回転精度や直進運動の精度を高めるために使われています。例えば、高精度な静圧空気軸受が使用されており、これにより軸振れや回転精度の再現性が向上します。
超精密加工をする上で一番の課題となる部分はどこですか?
超精密加工において一番の課題となる部分は、機械挙動の再現性と計測技術です。以下の具体的な要因が挙げられます:
機械要素の運動精度: 運動精度が直接加工精度に影響するが、10nm以上の高い精度レベルでの評価が一般化されていない。
熱変形: 工具や工作機械の熱変形が加工精度に影響するため、温度制御が重要。
工具性能: 工具の切れ味や摩耗が加工精度に影響するため、高性能な工具の開発が必要。
これらの要因を改善することで、ナノメートルレベルの高精度な加工が実現可能となります。
弾性ヒンジを用いた直線運動の機構の作り方について教えてください
弾性ヒンジを用いた直線運動の機構の作り方
弾性ヒンジの概要:
弾性ヒンジは、機械要素の一部を弾性的に変形させることで、直線運動を実現する機構です。主に超精密加工において、非常に高い精度の運動が要求される場面で使用されます。
具体的な構成:
弾性変形を利用:
機械部品が弾性的に変形することで、極めて高い再現性を持つ位置決めが可能になります。このため、弾性ヒンジはnmレベル、あるいはそれ以上の高い分解能を実現するのに適しています。
摩擦駆動:
キャンプスタンローラによる摩擦駆動がこの応用例の一つです。荷重点での接触状態に再現性があれば、非常に高い位置決め精度が期待できます。この手法で2.5nmの分解能が実現されたとの報告もあります。
ピエゾ素子:
微動機構としてピエゾ素子が用いられることがあり、印加電圧に対する変位量が数十nm/V程度で、電圧の分解能から0.1nmの制御が可能です。ヒステリシスに対する補償が必要となることがあります。
直線運動の実現:
弾性ヒンジは短い距離でほぼ完全な直線運動を行うとみなされる弾性ヒンジを用いて、黄銅などの被削性の良い材料を切削します。この構成により、送りマークの底が2nm程度の精度で揃う理想的な切削状態が得られます。
このように、弾性ヒンジを用いた直線運動の機構は、微細な加工において極めて高い精度と再現性を提供するために重要です。