子どもと「勝ち負けへのこだわり」に関する研究レビュー
発達的背景 – 競争心の発達段階と認知的変化
子どもが勝ち負けを意識し始めるのは幼児期後半からと言われます。実際、5歳前後になると遊びでも「勝つこと」にこだわり始め、負けることに強い悔しさを感じるようになりますpsychologicalscience.orgpsychologicalscience.org。発達心理学者のジョン・ニコルズは、能力観の発達に伴って競争に対する捉え方が変化すると指摘しましたpmc.ncbi.nlm.nih.gov。若い子ども(およそ7~8歳以下)は「努力=能力」とみなし、努力すれば結果は向上すると信じていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。この段階では、「頑張ったほうが偉い」という発想から、負けても「自分の努力が足りなかった」と考えがちです。一方、10~12歳頃になると努力と能力は逆関連であると理解し始め、能力の限界を意識しますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。つまり「能力が高い子は努力しなくても勝てる、一生懸命やらないと成果が出せないのは能力が足りないからだ」という認識が芽生えますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。この発達的転換により、子どもは勝敗を自分の才能や価値の指標として捉えやすくなり、負けたときにより強い劣等感や羞恥心を抱くようになるとされていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
このような社会的比較の意識も中児童期以降に高まります。研究によれば、5~10歳の子どもは競争下で相対的に劣ると自尊感情の低下や意欲減退が起こりやすいことが報告されていますsciencedirect.comsciencedirect.com。また、他者との比較から生じる感情(例えば嫉妬やざまあみろという感情)は、7~13歳の間に大きく変化します。7~8歳頃までは、自分が勝つと相手の敗北に喜び(シャーデンフロイデ)を感じ、負けると相手の勝利に強い悔しさ(嫉妬)を感じる傾向が顕著ですが、年齢とともにこれら否定的感情は減少しsciencedirect.comsciencedirect.com、公平志向(不公平への嫌悪)や協調的な態度が高まっていきますsciencedirect.comsciencedirect.com。つまり発達の中で、単純な勝敗へのこだわりは情動コントロールや他者視点取得の発達とともに和らぎ、負けても感情を抑え公平に振る舞う能力が徐々に育まれると考えられます。
勝ち負けにこだわり過ぎる子どもの特徴・行動傾向
勝敗への執着心が強すぎる子どもには、いくつか共通した行動パターンや心理的特徴が見られます。
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極端な感情反応: 負けた途端にかんしゃくを起こしたり、泣き崩れたり、拗ねて遊びをやめてしまうことがあります。実際、幼い頃から常勝を経験してきた子どもは、一度負けると**「恥ずかしい」という強い感情を抱く例も報告されていますalfiekohn.org。競技会で優勝経験のある7歳児がテレビ番組で「負けるとどう感じるか」と聞かれ、「恥ずかしい」と小さな声で答えたエピソードは、勝利至上主義の子どもの心情を端的に物語っていますalfiekohn.org。このような子は勝つことでしか自分の価値を感じられない**傾向があり、敗北が自己否定的な感情(羞恥、無力感)に直結しやすいと考えられますalfiekohn.orgalfiekohn.org。
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規範からの逸脱(ずる・反則): 勝利を最優先するあまり、ルールを破ったり不正をすることもあります。心理学の実験では、幼児に「頭がいいね」と能力そのものを褒めると、そうでない子に比べゲームでの不正行為(こっそり答えを盗み見るなど)の発生率が有意に高まった**(約40%→60%に増加)**との結果が報告されましたpsychologicalscience.orgpsychologicalscience.org。能力を称賛された子どもは「賢いと思われ続けたい」というプレッシャーから、負けそうになるとカンニングしてでも勝とうとする傾向が強まるのですpsychologicalscience.orgpsychologicalscience.org。またスポーツ場面の研究でも、競争心(エゴ志向)が強く勝利至上主義の子どもほど、「ルール違反も仕方ない」といった反スポーツマンシップ的行動を肯定する傾向が確認されていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。例えば、課題志向が低くエゴ志向が高い児童ほど反則や不正行為を容認しやすいという報告がありますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
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社会的行動への影響: 勝ち負けに固執する子は、勝ったときに相手を見下したり自慢ばかりする(いわゆる「喜びすぎ/勝ち誇り」)一方、負けたときには拗ねて遊びから離脱するなど、周囲との協調が難しくなることがあります。このような態度は当然ながら友人関係にも影響し、「悪い勝者」や「悪い敗者」として敬遠される恐れもあります。アルフィー・コーンの指摘によれば、競争的な子どもほど他者の視点取得が苦手で共感性が低くalfiekohn.org、実験でも競争好きな子は非競争的な子に比べて他者に対する共感や援助行動が少なく、寛容さにも欠けることが示されていますalfiekohn.orgalfiekohn.org。つまり、勝敗への過度なこだわりは子どもの社会的スキルや対人関係にマイナスとなり、仲間から孤立したりトラブルを起こす一因となり得ます。
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認知的傾向: 勝つことに執着する子どもは、物事を二分法的(白黒思考)に捉える傾向が指摘されています。例えば「勝ち=良い/負け=悪い」「一番でなければ意味がない」といった極端な評価基準を持ちやすく、結果が少しでも劣ると自分を全否定してしまうことがあります。このような完璧主義的傾向は発達障害(ASDなど)児にも見られる特徴ですが、一般の子どもにも程度の差こそあれ存在し、失敗や劣等に対する過剰な不安となって現れる場合がありますalfiekohn.orgpsychologicalscience.org。その結果、新しい挑戦や自分が負ける可能性のある活動を避けてしまう(失敗回避行動)こともあり、健全な成長の機会を制限するリスクがあります。
以上のように、勝敗至上主義の子どもは情動面・行動面・社会面でいくつかの問題を呈しやすいと言えます。ただし、こうした傾向は適切な指導や環境調整によって十分改善可能であり、次章以降でその背景要因と対策について詳述します。
勝敗へのこだわりと情動調整・社会性の関係
負けたときの感情コントロールや社会的技能(スポーツマンシップや共感能力)は、勝敗へのこだわりと密接に関係します。競争的な場面で適切な情動調整ができないと、上述したように激しい悔しさや怒りを爆発させることになります。この情動調整力には個人差があり、生得的な気質や発達段階の影響も大きいですが、経験や指導によっても変容します。
研究によれば、競争によって誘発される感情(悔しさ・嫉妬・勝利の嬉しさなど)は、子どもの社会的行動にも影響します。先述のSteinbeisらの研究では、他者との勝敗結果に応じた子どもの感情を測定したところ、勝った子は相手が負けているとき一層嬉しく(=他者の不運に対するほくそ笑み)、負けた子は相手が勝っているとき一層悔しい(=嫉妬)と感じる傾向が明らかになりましたsciencedirect.comsciencedirect.com。興味深いことに、こうした感情反応は年齢とともに緩和され、高学年になるほど他者の立場を考えて悔しさを抑えたり、逆に自分が勝っても相手に配慮して過度に喜ばないといった情動抑制や共感的配慮が見られるようになりますsciencedirect.comsciencedirect.com。つまり、社会性の発達(他者理解や協調性の向上)は、勝敗へのこだわりによる感情起伏の激しさを和らげる方向に働くのです。
一方、競争的環境自体が子どもの情動・社会性発達に与える影響についても、多くの研究がなされています。総じて言えるのは、過度に競争を煽る環境は情動面・社会面で悪影響を及ぼしやすいということです。例えば、競争的な教室では子どもは不安感が高まり、それが集中力の低下につながるとされていますalfiekohn.org。また競争環境では仲間と協力・共有する機会が奪われるため、他者への信頼や思いやりを育むことが難しくなりますalfiekohn.orgalfiekohn.org。実際、「競争は子どもを利己的かつ他者不信にしやすい」という指摘もありalfiekohn.orgalfiekohn.org、競争的な子どもほど他者を敵視しやすく攻撃的になったり、逆に敗北時に落ち込み引っ込み思案になるケースも報告されていますalfiekohn.orgalfiekohn.org。これは競争状況下で相手を自分の成功の妨げとみなす心理が働きやすく、敵対心や嫉妬といった感情が先立つためですalfiekohn.orgalfiekohn.org。
一方で、協力的な環境は子どもの情動・社会性にとってプラスに働きます。協同的な遊びや学習の場では、子どもたちはお互いに助け合い、相手の気持ちを考える経験を積むため、共感性やコミュニケーション能力が高まりやすくなりますalfiekohn.org。競争より協力を基調とした集団では、攻撃的行動や反社会的行動が減少し、友情も育みやすいことが報告されていますalfiekohn.orgalfiekohn.org。実際、競争的な活動ばかりの子よりも、協力活動を経験した子のほうが他者への思いやりや信頼感が高まるとの知見もありますalfiekohn.orgalfiekohn.org。
以上より、勝ち負けへの過度なこだわりは子どもの情動調整能力や社会的発達に負の影響を及ぼしやすいこと、逆に協調的・マスタリー志向の環境は健全な情動発達と社会性育成に資することが示唆されます。次章では、こうした競争心の形成に関与する家庭環境と教育環境の要因について見ていきます。
家庭環境と勝敗志向の関係
家庭や親の関与は、子どもの勝ち負けへの価値観形成に大きな影響を与えます。親の姿勢・期待が子どもの競争志向を増幅も減退もさせるからです。
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親の期待水準と子の競争志向: 親が子どもの将来の成功(学業やキャリア)に対して野心的な目標を掲げ、高い成果を期待している場合、子どもも幼少期から競争を厭わず挑む傾向が強まることが研究で示されていますwiso.uni-hamburg.dewiso.uni-hamburg.de。ドイツで行われた幼児対象のフィールド研究では、「親の野心(将来の成功への期待)が高い子ほど、勝つ見込みが低くても競争に参加したがる」傾向が確認されましたwiso.uni-hamburg.dewiso.uni-hamburg.de。例えば足の遅い子どもでも、親が「負けてもいいから挑戦しなさい」と言う場合と「何としても一番になりなさい」と期待する場合とでは、後者のほうが無謀な競争にも飛び込んでいく割合が高かったのですwiso.uni-hamburg.dewiso.uni-hamburg.de。この結果は、親の競争心や価値観が子に伝達されることを示唆しています。一方で、親の期待が低すぎたり無関心な場合、子どもは競争への意欲自体が低くなる可能性もあります。重要なのは、親の期待水準が適切で現実的であることです。過剰な期待は子に**「勝たねば」という過度のプレッシャーを与え、勝負への過剰な固執や失敗への強い不安**を招きかねませんwiso.uni-hamburg.dewiso.uni-hamburg.de。
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親の養育態度と目標志向性: 親が子どもの成果(成績や勝敗)ばかりを褒めたり強調する家庭では、子どもは遂行目標(パフォーマンス目標)志向が高まりやすくなります。例えばテストで良い点を取った時だけ「偉いね」と褒め、失敗した時に叱責するような親だと、子どもは結果=自分の価値と認識しがちですalfiekohn.org。その一方で、努力過程や学習そのものを評価する親の下では、子どもは熟達目標(マスタリー目標)志向を持ちやすくなりますpsychologicalscience.org。研究者ヘイマンらは「結果ではなく過程を褒めること」が子どもの健全な挑戦意欲を支えると指摘しpsychologicalscience.org、実際に能力(頭の良さ)を褒める親より、努力や工夫を褒める親の子どものほうが失敗を恐れず挑戦を続ける傾向が示されていますpsychologicalscience.orgpsychologicalscience.org。親が内発的動機づけ(学ぶことや成長そのものの楽しさ)を大事にするか、それとも外発的動機(賞や順位)を煽るかによって、子どもの競争への態度は大きく異なってくるのです。
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家庭内の価値観と風土: 家族がスポーツやゲームで過度に競争的な場合、子どももそれを模倣します。例えば、家庭でボードゲームをする際に常に勝敗を強調し、子どもが負けると必要以上にからかったりするようなケースでは、子どもは**「勝たなければ馬鹿にされる」という観念を持ちやすくなります。一方、負けても「よく頑張ったね」と労ったり勝者を称える姿勢を家族が示すと、子どももフェアプレー精神や健全な負けの受容を学ぶでしょう。家庭内で失敗を許容する文化**があること、**勝ち負け以外の多様な価値(努力過程や楽しむこと)**を認めることが、子どもの勝敗への偏った執着を和らげる重要なポイントとされていますpsychologicalscience.orgalfiekohn.org。
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親の関与とプレッシャー: ユーススポーツの現場などでは、親の期待や介入が子どもにプレッシャーを与えすぎる問題が指摘されています。日本の地域スポーツ指導者に対する調査では、クラブや少年団ではコーチが保護者から勝敗や技術向上への強いプレッシャーを感じているとの声が挙がっていますjstage.jst.go.jpjstage.jst.go.jp。特に試合の場で親が我が子の結果に一喜一憂しすぎると、子どもは**「失敗して親を失望させたくない」という不安に駆られ、競技自体を楽しめなくなったり、ミスを恐れて消極的になることがあります。逆に、親が結果ではなくプロセスや努力を認める態度を取れば、子どもは安心して挑戦し、負けから学ぶ姿勢も育まれますpsychologicalscience.org。このように、家庭環境における親の価値観・期待・態度**は、子どもの勝敗へのこだわり方やメンタルに直接的な影響を及ぼすため、適切な関わりが求められます。
教育環境・学校文化と競争志向
学校や教育現場の文化も、子どもの競争心や勝敗への態度形成に深く関与します。競争的な学級風土か協調的な学級風土かによって、子どもの学習態度や心理状態は大きく変わります。
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競争的学習環境の影響: 順位付けや成績比較が強調される教室では、子どもたちは常に他者との比較に晒されます。その結果、学習そのものへの興味よりも成績や順位に関心が向きやすくなり、内発的動機づけが低下する傾向がありますalfiekohn.org。アルフィー・コーンによる大規模なレビューでは、競争的な教育環境で子どもの学習効果が高まるというエビデンスは乏しく、むしろ協同的環境の方が学習成績や創造性に有利であることが示されていますalfiekohn.orgalfiekohn.org。1924年~1980年の研究を分析したメタレビューでは、協力学習の方が競争学習より成績が向上したという報告が65件もある一方で、競争が勝ったのは8件のみ(差が無いもの36件)という結果でしたalfiekohn.org。また課題が複雑になるほど競争環境での成績は悪化する傾向も指摘されていますalfiekohn.org。これは、競争による不安の亢進や仲間からの学習支援が得られないこと、さらにはご褒美(テストの点数や賞)に意識が向いて肝心の学習内容への関心が薄れることなどが原因と考えられますalfiekohn.org。実際、創造性の研究でも、賞をかけて競わせた子どもの作品は、競わず自由に作らせた子の作品より創造性が低いという結果が示されましたalfiekohn.org。以上から、教育の場で過度な競争原理を導入することは、学習意欲や成果の面で逆効果になり得ると言えますalfiekohn.org。
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協同的学習とマスタリー志向: 近年の教育心理学では、達成目標理論(Achievement Goal Theory)が学習環境に応用されていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。教師がマスタリー目標(熟達目標)を重視し個人の成長や努力を評価するクラスでは、子どもたちの内発的動機づけや自己効力感が高まり、失敗にも前向きに取り組む姿勢が育まれますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。一方、パフォーマンス目標(成績・順位目標)ばかりを強調するクラスでは、子どもたちは比較や競争に神経質になり、テストの点数や評価を気にするあまり学習内容への深い理解がおろそかになる傾向がありますalfiekohn.org。教師が「クラスで一番を取ったらご褒美」のような外発的報酬を乱用すると、子どもはご褒美目当てに必要最低限の勉強しかしなくなることも報告されていますalfiekohn.org。逆に、「昨日の自分より成長した点」を褒めたり、「間違いから何を学んだか」を問いかけるようなプロセス重視の指導は、子どもの学習に対するポジティブな態度(楽しさ・探究心)を高めpsychologicalscience.org、ひいては成績向上や健全な自己肯定感につながりますpsychologicalscience.orgpsychologicalscience.org。
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学校文化と競争: 教育制度や学校文化も無視できません。例えば受験競争が激しい環境では、生徒間の過度な競争意識が育ちやすく、ストレスやメンタルヘルスの問題が生じるリスクがありますwiso.uni-hamburg.dewiso.uni-hamburg.de。一方で、「みんなで協力してプロジェクトをやり遂げよう」といった協同学習を重視する学校文化では、競争心は適度に抑制され、仲間意識や社会的スキルの向上が期待できますalfiekohn.orgalfiekohn.org。前述のとおり、競争は子ども同士を敵視させ、友情を阻害する可能性がありますがalfiekohn.orgalfiekohn.org、協力的な活動はむしろ互いの長所を認め合う経験となり得ます。教育現場では、**健全な競争(切磋琢磨)と過剰な競争(淘汰主義)**を峻別し、後者に陥らないような配慮(例えば評価方法の工夫や協力課題の導入)をすることが重要ですwiso.uni-hamburg.de。
競争的場面での子どもの行動 – スポーツ・遊びの文脈から
スポーツや遊びなど明確な勝敗が生じる競争的場面は、子どもの勝ち負けへのこだわりを観察・研究する上で格好の舞台です。ユーススポーツの心理学研究からは、競技場面における子どもの動機づけやスポーツマンシップに関して多くの知見が得られています。
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目標志向性とスポーツマンシップ: 子どもの競技における目標志向性は大きく二分されます。すなわち勝利や他者との優劣に焦点を当てるエゴ志向(競争志向・遂行目標志向)と、技術習得や自己ベストの更新に焦点を当てるタスク志向(熟達目標志向)ですpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。研究によれば、エゴ志向が強い選手ほど違反やごまかしを許容しやすく、スポーツマンシップに反する行動をとりがちであるのに対し、タスク志向が強い選手は倫理的態度が高くフェアプレーに努める傾向が示されていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。例えば、ある調査では「自分さえ良ければ」という功利的価値観を持つ競技者ほど反則行為や相手へのラフプレーを容認し、一方で道徳的価値観や協調的態度を持つ競技者ほど正々堂々とプレーすることが報告されましたpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。スポーツマンシップ教育の分野では、いかに子どもたちを勝利至上のエゴ志向から、努力・成長を喜ぶタスク志向へと導くかが重要視されており、コーチや指導者の役割が鍵を握りますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
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モチベーショナル・クライメイト(動機づけ気候): コーチや指導者がチーム内に醸成する雰囲気(モチベーショナル・クライメイト)も、子どもの勝敗への態度や競技継続に影響しますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。マスタリー気候(課題/mastery志向の環境)では、コーチは個々の努力・改善点を評価し、子どもたちに協力や挑戦を奨励します。一方、エゴ気候(競争/ego志向の環境)では、勝利者への過剰な称賛や上手な子だけを重用する選抜などが行われがちですpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。研究は、マスタリー気候をコーチが作り出した場合、子どもたちの認知的・感情的反応はよりポジティブで、適応的な達成行動が促進されることを示していますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。例えば、マスタリー気候下では子どもの内発的動機づけや社会的価値観(仲間を助ける態度等)が向上し、その結果競技を続けたいという意欲やスポーツへの愛着が高まりますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。一方、エゴ気候が強いと子どもの競技継続意欲は低下し、ドロップアウト(途中で辞めてしまう)率が上がることも報告されていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。実際、ユースサッカーの研究で**「コーチが思いやりやチームワークを重んじる雰囲気」を感じている子は、そのスポーツを続けたい意志が強く**、逆に勝敗ばかり求められると辞めたい気持ちが強まるという結果が出ていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。また、良いコーチングによって子どもが楽しさを感じられれば、勝敗に関係なく参加を続けることも明らかになっていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。以上から、スポーツ現場では勝利至上主義ではなく、楽しさや成長を重視する指導が子どもの健全な競争心を育む鍵と言えます。
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勝利至上主義の弊害: スポーツにおける過度の勝ち負けへのこだわりは、様々な弊害を生みます。例えばバーンアウト(燃え尽き)です。常に勝たねばと緊張を強いられる子どもは、やがて精神的に疲弊しスポーツ自体を嫌いになることがありますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。また勝利に固執するあまり、弱い相手を見下したり、負けたときに相手や審判のせいにするなど、望ましくない態度が形成される恐れもありますalfiekohn.orgalfiekohn.org。競技の場で「負け=自分の価値がない」と感じてしまう子は、敗北から学ぶ機会を失い、成長マインドセット(失敗を成長の糧にする考え方)を持てなくなります。一方で、「スポーツは楽しむもの」「努力すれば上達できる」という価値観が醸成されている環境では、適度な競争心は育みつつも、子どもは勝敗に過剰反応せず健全に技能向上やチームワークに励むことができますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
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遊びにおける競争: スポーツほど公式でなくとも、日常の遊び(鬼ごっこ、ボードゲーム、ビデオゲーム等)にも子どもは勝敗を見出します。遊びの中での競争は本来楽しさの一要素ですが、勝ち負けにこだわりすぎる子は楽しさより結果を気にしてしまいます。親や保育者の観察では、負けると遊び自体を壊してしまう(道具を投げる、ゲームを途中放棄する)子もいれば、必ず勝てる年下の子としか遊びたがらない子もいるとのことです。こうした場合、周囲の大人がゲームのルールを調整したり、**勝敗以外の目標(全員でパズル完成させる等)**を設定して遊ばせることで、競争心を健全な範囲に留める工夫が有効でしょう。
勝ち負けにこだわる子どもへの支援・介入策
上述のような勝敗への過度な執着は、適切なアプローチによって改善・指導することができます。以下に、研究や実践から得られた支援策・介入法を整理します。
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目標志向の転換: 子どもが遂行目標(他者に勝つこと)ばかり追求している場合、熟達目標(自己の技能向上)への意識転換を促すことが重要です。具体的には、結果ではなくプロセスを評価・称賛することです。psychologicalscience.org親や教師は、テストの点数や試合の勝敗そのものよりも、その過程で努力した点や前回より改善した点に注目してフィードバックを与えます。例えば「今回負けちゃったけど、前よりパス回しが上手になっていたね」「惜しかったね。でも前回より得点できたよ」などの声かけです。研究で示されたように、「頭がいいね(結果を褒める)」ではなく「よく頑張ったね(努力を褒める)」と育てられた子は、失敗してもチャンレンジし続け、ズルに頼る傾向も低いことがわかっていますpsychologicalscience.orgpsychologicalscience.org。このように評価基準を結果主義からプロセス主義へ変えることは、子どもの価値観を修正する有効な一手です。
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情動コーチングと対処スキルの指導: 負けたときに激しく取り乱す子には、感情を言語化し対処するスキルを教えることが有効です。例えば、「悔しいね。でも悔しい気持ちは『次は頑張ろう』というパワーにもなるんだよ」といった具合に、悔しさを成長の原動力として位置づけるリフレーミングを行います。また呼吸法やクールダウンの習慣(負けたら一旦深呼吸して水を飲む等)を教え、かんしゃくを起こしそうになったときのセルフコントロール手段を身につけさせます。親や指導者も冷静なお手本を示すことが大切です。例えば親自身がゲームで負けたとき「悔しいけど楽しかった!またやろう」と笑って見せることで、負けても肯定的でいられる態度を子どもに示すことができますfamilius.comfamilius.com。こうした情動調整の指導は、社会情動学習(SEL)の一環として学校でも取り入れられており、子どものレジリエンス(心の回復力)を高めます。
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競争状況の環境調整: 子どもがあまりに勝敗に固執する場合、環境側の工夫も効果的です。例えば、スポーツ少年団で勝利至上主義が蔓延しているなら、指導方針を見直して「勝ち負けよりも成長やチームワークを重視する」方針に転換しますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。具体策としては、成果ではなくスキルの習得や努力に報奨を与える(例えば「皆勤賞」「練習態度が良かったで賞」など勝敗と無関係な賞を設ける)、チーム内MVPを勝利時だけでなく敗北時にも努力した選手に贈る、リーグ戦でも順位より参加や改善度を評価するといった方法があります。また学校現場では、協同学習やグループ目標を導入し、生徒同士が競うより助け合う場面を増やしますalfiekohn.orgalfiekohn.org。例えばテストの平均点でクラス全員にご褒美を与えるといった協力型の目標設定は、競争型に比べて学習効果が高いだけでなくalfiekohn.org、生徒間の連帯感を育て、競争による軋轢を減らす効果があります。家庭では、兄弟間で常に競わせるのではなく、協力して家事をするゲームなどを取り入れてウィンウィンの経験をさせることも一案です。
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専門的支援(カウンセリング・療育): 勝ち負けへのこだわりがあまりに強く、日常生活に支障をきたす場合は、心理士や発達支援の専門家による介入も有効です。ケース研究では、プレイセラピー(遊戯療法)の場で競争心の強い子どもにあえて競争以外の体験をさせ、徐々に認知の修正を図った例があります。lib.kjc.kindai.ac.jplib.kjc.kindai.ac.jpある小6男児のケースでは、普段は**「勝負ごとで負けると衝動的になる」ほど勝ち負けに敏感だった子に対し、カウンセラーがキャッチボール遊びを通じて介入を行いましたlib.kjc.kindai.ac.jplib.kjc.kindai.ac.jp。最初は勝敗の出ないキャッチボールで人とやり取りする楽しさを経験させ、そこで得た達成感や信頼感を徐々に対人関係に一般化させていった結果、彼は次第に他者を尊重し、自分の衝動(怒り)を抑える方法を身につけていきましたlib.kjc.kindai.ac.jplib.kjc.kindai.ac.jp。このように、遊びや対人体験を通じて競争観を再構築する療法は一定の効果が報告されています。また、認知行動療法(CBT)の技法を使い、負けに対する認知(「負け=自分はダメ」などの極端な考え)を現実的で柔軟な思考**に置き換える練習も有用でしょう。
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親・指導者への啓発と協働: 子どもへの支援を効果的にするには、周囲の大人(親やコーチ、教師)の協力が不可欠です。地域スポーツの調査では、指導者だけでなく保護者向けの研修を行い、特に勝敗への過度なプレッシャーをかけないように意識改革を促すことの必要性が指摘されていますjstage.jst.go.jpjstage.jst.go.jp。親や指導者が長期的視点で子どもの成長を見守る姿勢を持つことで、子どもも安心して失敗を経験し学べるようになります。「勝ちたい」という気持ちは子どもの向上心の表れでもありますが、それが他者への攻撃性や自己否定に繋がらないよう、周囲の大人がガイドすることが重要なのです。
以上、子どもと勝ち負けへのこだわりについて、発達的背景から特徴・要因、そして支援策まで包括的に概観しました。まとめると、子どもの競争心それ自体は決して悪いものではなく、健全な形で育めば向上心や努力の原動力となります。しかしそれが極端になると情緒面・社会面での問題を引き起こし、子どもの成長を妨げかねません。発達段階に応じた適切な声かけや環境づくり(協力と公正さの重視)によって、子どもは勝ち負けを乗り越えたところにある学びや喜びを見出せるようになります。競争と協調のバランスを取り、**「負けても次がある」「勝っても奢らず」**といった態度を育てることが、教育・育児における大きな目標と言えるでしょう。
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psychologicalscience.org Zhao et al. (2017). 「賢い」と言われた子は自分の聡明さの評判を守ろうとして不正に走りやすい。「スマート」というラベルがプレッシャーとなり、ズルしてでも勝とうとする動機づけが働いたためpsychologicalscience.orgpsychologicalscience.org。
pmc.ncbi.nlm.nih.gov Lucidi et al. (2017). イタリアの競技的テニス選手研究。20年間のスポーツ道徳研究で明らかになったのは、一部の競技者は反則や相手への妨害行為を正当化してしまうことであり、それを予測する要因として価値観・達成目標(エゴ/タスク志向)・モラル態度が重要だとされたpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
pmc.ncbi.nlm.nih.gov Møllerløkken et al. (2017). ユースサッカーの研究。コーチがタスク(熟達)目標を中心とした気候を作ると、選手の認知的・情緒的反応はポジティブになり、適応的な達成行動(向上心やスポーツ継続意欲)が促進されるpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
alfiekohn.org Kohn, A. (No Contest). 競争の弊害について。「競争する子は他者の視点を取りにくく、共感性が低い」という研究結果や、「競争する子は非競争的な子より他者に対して思いやりが乏しく寛容でない」という結果が報告されているalfiekohn.orgalfiekohn.org。
wiso.uni-hamburg.de Khadjavi & Nicklisch (2014). ドイツでの研究序論。複数の研究で、学校の席次競争や教室内での競争が学習の質や生徒の社会性にマイナスの影響を及ぼすことが示されているwiso.uni-hamburg.de。
alfiekohn.org Kohn, A. (No Contest). 競争が学習に悪影響な理由: **「競争は子どもを不安にし集中を妨げる」「互いに教え合うことができず学習資源を共有できない」「ご褒美に気を取られて学習内容への関心が下がる」**といった点が挙げられているalfiekohn.org。
alfiekohn.org Kohn, A. (No Contest). 競争が子どもの創造性を下げる例: 賞をかけて絵を描かせた子どもたちの作品は、競わせなかった子の作品より自発性や多様性が乏しく評価も低かったalfiekohn.org。
jstage.jst.go.jp 藤後ら (2022). 地域スポーツ指導者の声として、民間クラブや少年団では勝敗結果へのこだわりや子どもの技術向上に対する指導者・保護者の期待が特に高いことが報告されたjstage.jst.go.jp。
jstage.jst.go.jp 藤後ら (2022). 地域スポーツでは保護者が練習や試合を常に見ており、指導者は指導内容や勝敗について保護者からプレッシャーを感じている。そのため指導者は保護者対応にも苦慮しており、指導者だけでなく保護者への啓発や研修の必要性が示唆されたjstage.jst.go.jp。
lib.kjc.kindai.ac.jp 宮本 (2023). ケース報告:「勝負事で負けると衝動的になる」小6男児に対するプレイセラピー。母親面接も併行し、キャッチボール遊びを中心にした療法を実施。セラピーの中で彼は達成感を味わい、徐々に自分の衝動性を抑える方法を思いつくようになったlib.kjc.kindai.ac.jplib.kjc.kindai.ac.jp。
psychologicalscience.org APS Observer (2017)(Heyman談話)。一般的能力ではなく具体的成果や過程を褒め、プロセスに焦点を当てた質問をすることで、子どもは困難な課題にも挑戦しようとする(例:「どうやってそれを考えついたの?」と聞く)psychologicalscience.org。
以上の文献は、日本語・英語双方の研究から抜粋し分類したものです。それぞれの研究が示す知見を踏まえ、子どもの「勝ち負けへのこだわり」に対する理解と支援に役立てていただければ幸いです。
競争心の強い子供へ親の関わり方を教えて下さい
競争心が強いのは「伸びしろ」でもあります。ポイントは、勝ち負けを消すのではなく、勝敗で心が折れない設計に親が寄せることです。研究的にも「結果(勝敗)を強調するほど、プレッシャー・不正・意欲低下が起きやすい」「努力や工夫に焦点を当てるほど、挑戦や回復力が育ちやすい」方向が支持されています。1) 親の基本姿勢:ゴールは「勝つ子」より「負けても戻れる子」
- 競争心が強い子は、負けを「損」「恥」「価値の低下」と結びつけやすいことがあります(公平感・社会的比較の発達と関連)。
- 親が整えるべき軸は ①挑戦する姿勢 ②負けた後の回復 ③相手への敬意 の3つ。
2) いちばん効く声かけ:結果ではなく“過程”を実況する
やることはシンプルで、勝敗コメントを減らし、過程コメントを増やします。使えるフレーズ
- 「どこがうまくいった?」(振り返り)
- 「次は何を1つ変えてみる?」(改善)
- 「今の作戦、良かったね」(工夫)
- 「悔しいね。悔しいのは本気の証拠だね」(感情の承認)
避けたいフレーズ(連発すると逆効果になりやすい)
- 「勝ててえらい」「一番すごい」ばかり → “勝たないと価値がない”学習になりやすい
- 「頭いいね(賢いね)」の連発 → 評判維持の圧が上がり、不正が増える可能性が示されています。
3) 負けた時の親の対応:順番が命(承認→境界→次)
負けて荒れる子には、次の順番が効きます。- 感情を承認:「悔しいね」「負けるの嫌だよね」
- 行動の境界:「でも、投げる・叩く・暴言はダメ」
- リカバリーの型:「深呼吸3回→水→次の1手」
4) 家庭の“勝敗設計”を変える(ゲーム・遊びの工夫)
家の中でできる調整が大きいです。- 勝敗が出るゲーム:2/3はそのまま、1/3は協力ゲームに 例:みんなで制限時間内に達成する、パズルを一緒に完成させる
- 「負けても終わりじゃない」ルール 例:負けても“リベンジ1回券”、ただし態度が良かった時だけ
- 親が負け方のモデルを見せる 「悔しい〜!でも面白い。次は工夫するわ」←これが強い
5) 競争心を“良い方向”に育てる目標設定
- 相手比較を減らして、自己比較に寄せる 「昨日の自分に勝つ」「前回より1つ上手く」
- “目標”は小さく具体的に 例:「今日は3回あいさつ」「最後まで姿勢を崩さない」 → 勝敗以外の成功体験が増え、勝ち負け依存が薄まります。
6) 親がやりがちな落とし穴
- 親の期待が高すぎる/勝ちに強い価値を置く 子どもの競争性を押し上げ得る、という関連が報告されています。
- “勝つための助け”をしすぎる(口出し・先回り・相手やルール批判) 子どもは「勝つのが当たり前」になり、負け耐性が育ちにくいです。
7) こんな時は相談もアリ(目安)
- 負けるたびに30分以上の癇癪が続く
- 暴力・破壊・自傷が出る
- 園・学校・習い事で人間関係が崩れている
- “勝ち負け”が原因で挑戦を避け始めた
もしよければ、次の3つだけ教えてください(短くでOK)。それに合わせて、家庭での「言い方」「ゲーム設計」「習い事での対応」まで具体例を作ります。
- 年齢(例:4歳/小2/小5)
- 困る場面(家庭のゲーム?スポーツ?勉強?)
- 負けた時の反応(泣く/怒る/ズル/やめる など)





