ローレット加工は、一般に、塑性変形により模様を付けるものであり切削加工ではない
解答:〇
ローレット加工は、金属やその他の材料の表面に細かい溝や模様を付ける加工方法です。このプロセスは主に、手触りや見た目を改善するため、または滑り止めの効果を与えるために使用されます。ローレット加工では、ローレットツールと呼ばれる特殊な工具を使用して材料の表面を圧迫し、塑性変形を利用して模様を作り出します。
このプロセスは切削加工とは異なります。切削加工では、材料を削り取って形状を作り出すのに対し、ローレット加工では材料を削り取らずに表面を変形させることで模様を形成します。したがって、ローレット加工は塑性変形による加工方法であり、材料の一部を切り取ることなく表面に細かい模様を付けることができます。
リーマには、直刃やねじれ刃がある
解答:〇
リーマは、既に開けられた穴の仕上げ加工や寸法の精密な調整を行うために使用される工具です。リーマにはいくつかの種類があり、主に直刃リーマとねじれ刃リーマの二種類に大別されます。それぞれの特徴と用途を解説します。
直刃リーマ (Straight Flute Reamer):
直刃リーマには、その名の通り直線的な刃がついています。
このタイプのリーマは、切削力が均一で、切りくずの排出が比較的容易ですが、ねじれ刃リーマに比べて切削が安定しにくい場合があります。
主に穴の仕上げ加工や、非常に高い寸法精度が要求される加工に用いられます。
直刃リーマは、穴の中心を維持しやすいため、既に開けられた穴の直径を拡大するのに適しています。
ねじれ刃リーマ (Helical Flute Reamer):
ねじれ刃リーマは、刃がねじれているのが特徴です。このねじれが切削時の力を均等に分散させ、切削が安定します。
切りくずの排出が良好で、切削時の振動が少ないため、仕上がりの質が高くなります。
ねじれ刃は、切削中の摩擦を減らし、熱発生を抑える効果もあります。
穴あけ加工で発生するトルクを減少させるため、特に硬い材料や不規則な形状の穴加工に適しています。
各リーマの選択は、加工する材料の種類、穴の精度要求、加工環境などによって異なります。適切なリーマを選択することで、高精度で滑らかな穴の加工が可能になります。
リーマ作業では、切削後、リーマを抜く場合でも逆回転させてはならない
解答:〇
リーマ作業においては、リーマを抜く際に逆回転させることは推奨されません。これは、リーマの刃が精密に作られており、穴の仕上げ加工において高い寸法精度と表面粗さを実現するために設計されているためです。逆回転させると、次のような問題が生じる可能性があります:
刃の損傷: リーマの刃は、切削方向に対して最適化されています。逆回転させると、刃が正しく切削できず、損傷や摩耗を早める可能性があります。
加工面の品質低下: 逆回転させることで、仕上げられた穴の内壁に傷がついたり、寸法精度が損なわれたりする可能性があります。リーマの主な目的は、穴の精度と表面品質を向上させることであるため、逆回転はこの目的に反します。
切りくずの再挿入: 逆回転することで、排出されたはずの切りくずが再び穴の中に挿入される可能性があります。これは、加工面の仕上がりに悪影響を及ぼし、再加工が必要になることもあります。
リーマを抜く際は、切削と同じ方向で回転させ続けるか、または回転させずに直線的に引き抜くのが一般的です。これにより、リーマと加工面の両方を保護し、長期間にわたって高品質の加工結果を得ることができます。適切な使用とメンテナンスにより、リーマの寿命を延ばし、加工品質を維持することが重要です。
セラミック工具は、超硬工具に比較して、じん性が劣っている
解答: 〇
解説: セラミック工具と超硬工具は、それぞれ独特の特性を持ち、用途に応じて選択されます。セラミック工具は超硬工具に比べて高温での硬さを維持する能力や、耐熱性が非常に高いのが特徴です。これにより、セラミック工具は高速加工や硬い材料の加工に適しています。しかし、セラミックはその性質上、靭性(じん性)が低く、衝撃や変形に対して脆いという欠点があります。
一方、超硬工具はタングステンカーバイドなどの硬質材料で作られており、セラミック工具よりも靭性に優れています。これにより、超硬工具は断続的な切削や不安定な加工条件下でも破損しにくいという利点があります。超硬工具は硬さと靭性のバランスが良く、一般的な金属加工に広く使用されています。
したがって、セラミック工具が超硬工具に比べて靭性が劣っているというのは正しいです。しかし、用途に応じてセラミック工具の高硬度や耐熱性が特に有効な場合もあります。適切な工具材料の選択は、加工する材料、加工条件、求められる加工品質に基づいて慎重に行う必要があります。
スパイラルポイントタップ(ガンタップ)は、止まり穴のねじ加工に適している
解答: ×
解説: スパイラルポイントタップ、別名ガンタップは、主に貫通穴のねじ切りに適している工具です。このタップは、切りくずを加工中に穴の前方へ押し出す設計が特徴で、これにより切りくずが穴の底に溜まるのを防ぎます。そのため、貫通穴の加工に適しているとされています。
一方で、止まり穴(盲孔)の場合、穴の底に切りくずが溜まりやすく、これが原因でタップが詰まったり、折れたりする可能性があります。止まり穴には、切りくずを上方に排出する設計のスパイラルフルートタップが適しています。このタイプのタップは、切りくずを穴から上方に逃がすことで、穴の底での切りくずの堆積を防ぎます。
したがって、スパイラルポイントタップ(ガンタップ)は止まり穴のねじ加工には適しておらず、貫通穴の加工に適しているというのが一般的な見解です。止まり穴のねじ加工にはスパイラルフルートタップの使用が推奨されます。
切削中に被削材の一部が刃部に付着する凝着には、圧着と溶着がある
解答: 〇
解説: 切削中に発生する凝着現象には、圧着と溶着の二種類があります。これらは被削材が切削工具の刃部に付着する現象を指し、切削工具の摩耗や加工品質の低下を引き起こす原因となります。
圧着:
圧着は、切削中に被削材が刃部に高い圧力を受けて冷間で付着する現象です。
この付着は物理的な接触と圧力によって生じ、特に低い切削速度や高い切削圧の条件下で発生しやすいです。
圧着によって刃部が被削材で覆われると、切削性能が低下し、加工面の仕上がりが悪化したり、工具寿命が短くなったりする可能性があります。
溶着:
溶着は、切削中に高温が発生し、その結果、被削材が刃部に付着する現象です。
切削速度が高い場合や切削工具と被削材の間で高い摩擦熱が発生する場合に発生しやすいです。
溶着は、刃先が被削材で覆われることにより、切削性能の低下や工具の摩耗を加速させ、最終的には加工品質に悪影響を及ぼします。
これらの凝着現象を抑制するためには、適切な切削速度、冷却液の使用、適切な工具材料の選択など、さまざまな対策が必要です。切削条件を最適化することで、凝着の発生を最小限に抑え、工具の寿命を延ばし、加工品質を向上させることが可能になります。
クレータ摩耗とは、切削によって逃げ面に生じた摩耗のことである
解答: 〇
解説: クレータ摩耗は、切削工具の逃げ面、特に工具の先端近くに発生する凹んだ摩耗の形状がクレータに似ていることからこの名前がついています。この摩耗は、切削中に工具と被削材の間で発生する高温により主に生じます。
切削工具の逃げ面にクレータ摩耗が生じると、工具の耐用寿命が短くなり、切削性能が低下します。特に、高速切削や長時間の連続切削では、この現象による影響が顕著になりやすいです。クレータ摩耗は、工具材料の耐熱性や耐摩耗性に大きく依存しており、工具の材質選定や切削条件の最適化によって摩耗の進行を遅らせることが可能です。
摩耗の進行状態を定期的に監視し、適切なタイミングで工具交換を行うことは、加工品質を維持し、生産性を高める上で重要です。また、クレータ摩耗に対する理解は、適切な切削工具の選択や加工条件の設定に役立ち、効率的な切削加工を実現するために欠かせない知識となります。
旋盤作業において、切削動力は切削速度に反比例する
解答: ×
解説: 旋盤作業における切削動力(切削に必要な力やエネルギー)は、切削速度に直接反比例するわけではありません。実際には、切削動力は切削速度、切込み(切削深さ)、送り(ワークピースに対する工具の移動速度)、被削材の材質、工具の材質と形状、冷却液の使用など、多くの要因に影響を受けます。
切削速度が増加すると、一般に切削温度も上昇し、これによって材料が柔らかくなることがあります。しかし、過度に高い切削速度は、工具の摩耗を早める原因にもなり、これが切削動力の増加につながることもあります。一方で、ある程度までの速度増加は、切削抵抗を減少させることもあるため、切削動力が低下することもあります。
したがって、切削動力と切削速度の関係は単純な反比例の関係ではなく、多くの要因が絡み合う複雑な関係にあります。最適な切削条件を見つけるには、具体的な加工環境や要件に合わせて、これらの要素を総合的に考慮する必要があります。
治具用ブッシュの固定ブッシュは、ドリル用及びリーマ用として用いられる
解答: 〇
解説: 治具用ブッシュの中で固定ブッシュは、ドリル用およびリーマ用として広く使用されます。固定ブッシュは、治具に固定され、工具の位置決めや案内を正確に行うために用いられるブッシュです。これにより、加工する部品に対して工具が正確な位置に導かれ、加工精度が向上します。
ドリル用のブッシュは、ドリルビットの案内に使用され、ドリルが加工面に対して正しい位置で垂直に進むことを保証します。リーマ用のブッシュは、リーマが穴を仕上げ加工する際に正確な位置に保持されるようにするために使用されます。これにより、リーマ加工においても高い位置精度と仕上がりの品質が保証されます。
固定ブッシュは、加工する部品に対して高い繰り返し精度と位置決め精度が求められる場合に特に重要となります。正確なガイドが提供されることで、工具の摩耗が減少し、加工品質が向上し、最終的には生産効率の向上に寄与します。
つばなし固定ブッシュは、治具の同一穴の上下にも用いられる
解答: 〇
解説: つばなし固定ブッシュは、治具の穴加工において、ガイドとして機能します。その設計はつばがないため、治具の同一穴の上下に配置して使用することが可能です。これにより、ドリルやリーマなどの工具が正確な位置で直線的に進むようにガイドすることができます。つばなし固定ブッシュを上下に配置することで、工具の振れを抑え、加工精度を高めることが可能となります。これは、特に精密な加工が求められる場合に有効な方法です。
歯車の組み合わせで、一般に、減速比を大きくするのに適しているのは、平歯車と平歯車である
解答: ×
解説: 歯車の組み合わせにおいて、一般に減速比を大きくするために最も適しているのは、平歯車と平歯車の組み合わせではなく、ウォームギア(ねじ車)とウォームホイール(虫車)の組み合わせです。
平歯車と平歯車の組み合わせ:
平歯車同士の組み合わせでは、減速比は歯車の歯数比に依存します。
大きな減速比を得るためには、非常に大きな歯数の差が必要になり、これは設計上や実装上の制約によって実現が難しい場合が多いです。
ウォームギアとウォームホイールの組み合わせ:
ウォームギアとウォームホイールを組み合わせることで、非常に高い減速比をコンパクトな空間で実現できます。
ウォームギア(ねじ車)の一回転に対してウォームホイール(虫車)が1歯だけ動くような設計が可能で、これにより高い減速比が達成できます。
この組み合わせは、少ない回転で大きなトルクを出す必要がある場合や、大きな減速比が必要な場合に特に適しています。
したがって、減速比を大きくする目的で最も適しているのは、平歯車と平歯車の組み合わせではなく、ウォームギアとウォームホイールの組み合わせです。
芯出し定規は、異形で複雑な形状の工作物のけがきに使用される
解答: ×
解説: 芯出し定規は、主に円形や円筒形の工作物の中心を見つけるために使用される測定工具です。異形で複雑な形状の工作物のけがきには適していません。この定規は、工作物の中心線や軸を正確に決定する際に使用され、特に旋盤加工などで工作物を正確にセンタリングする必要がある場面で役立ちます。
異形や複雑な形状の工作物のけがきには、その形状に応じた適切な測定やマーキングツールを使用する必要があります。例えば、曲線や複雑な形状のアウトラインを描く際には、フレキシブルカーブやコンターゲージなどが使用されることがあります。これらのツールは、工作物の表面に沿って柔軟に形状を取ることができ、正確なマーキングを助けます。
したがって、芯出し定規は円形や円筒形の工作物の中心を出すためのツールであり、異形で複雑な形状の工作物のけがきには適していないというのが正しい理解です。
センタブリッジは、中空円筒形工作物の中心点のけがきに使用される
解答: 〇
解説: センタブリッジは、中空の円筒形工作物やパイプなどの中心を見つけるために使用される工具です。これは、中空の円筒形工作物の端面に跨がせることで、その中心軸に対応する点を正確にマークすることができます。
センタブリッジは、中心線を正確にけがくことで、工作物を旋盤やその他の機械に正しくセットアップする際に重要な役割を果たします。このツールを使用することで、加工時のずれや誤差を最小限に抑え、高精度の加工を実現することが可能です。
特に、中空の円筒形工作物では、外側だけでなく内側の中心を正確に見つけることが重要であり、センタブリッジはそのための効果的なツールとなります。そのため、中空円筒形工作物の中心点のけがきにセンタブリッジが使用されるというのは正しいです。
窒化は表面硬化処理の一つである
解答: 〇
解説: 窒化処理は、金属表面の硬化を目的とした熱処理の一つです。この処理では、金属の表面に窒素を拡散させることにより、表面の硬度を高め、耐摩耗性、耐疲労性、耐食性を向上させます。主に鉄や鋼の表面硬化に使用される方法であり、特にギヤや軸、ベアリングなどの部品に適用されます。
窒化処理にはいくつかの方法がありますが、一般的なものにはガス窒化、液体窒化(浸漬窒化)、プラズマ窒化があります。これらの方法は、処理する材料や求められる性質に応じて選択されます。
ガス窒化では、アンモニアを加熱分解して得られる活性窒素を金属表面に供給します。
液体窒化では、シアナミドなどの窒化剤を含む浴に金属を浸漬します。
プラズマ窒化では、真空中でプラズマを用いて窒素イオンを金属表面に衝突させます。
これらの処理によって金属表面に窒化層が形成され、部品の寿命延長や性能向上が図られます。したがって、窒化が表面硬化処理の一つであるというのは正しいです。
シャルピーは材料硬さ試験法である
解答: ×
解説: シャルピー試験は、材料の硬さを試験する方法ではなく、材料の衝撃強度、すなわち衝撃に対する耐性を測定するための試験です。この試験はシャルピー衝撃試験とも呼ばれ、試験片に急激な衝撃を与えて破断させ、その際に吸収されるエネルギー量を測定することで、材料の靱性を評価します。
シャルピー試験は、一般にV字型またはU字型の切れ込みが入った試験片を使用し、衝撃試験機(シャルピー衝撃試験機)で試験片に衝撃を与えます。試験機の振り子が試験片に衝突し、試験片を破断させる際に振り子が失うポテンシャルエネルギーの量から、材料が衝撃によって吸収したエネルギー量が計算されます。
この試験は、材料が突然の荷重や衝撃にどれだけ耐えることができるかを理解するために重要であり、構造材料の選定や設計、品質管理などに利用されます。したがって、シャルピー試験は材料の硬さを試験するものではなく、衝撃靱性を評価するための試験方法であると言えます。