そもそも小売店の店頭自体の位置づけも変わっています。
その場ですぐに商品が必要でない利用者にとって、店頭はショールームみたいなものです。
これを実践した店舗が日本に登場しました。

ビッグカメラが大阪府八尾市に2019年7月に開いた新店「ビックカメラアリオ八尾店」です。
看板をネットショップの「ビッグカメラ・ドット・コム」とし、通販サイトにつながるQRコードを配置。

店で実物を確認し、QRコードを読み込んでスマホから注文して手ぶらで帰宅するといった利用を想定したものです。
値札も電子値札を使っているので、競合に対抗して絶えず最新の価格に変更できます。

ショースペースとして不動産は必要ですが、収入は現場での商品購入に限りません。
ネットへの注文に誘導して全体の収益に貢献すればよいという考え方です。

消費者にとっての利便性に配置する際に、オムニチャンネル(複数の購入経路)という考え方が当たり前になってきています。
さらに一歩すすめたサービスが米国では出てきました。
2015年にシリコンバレーなどで開業した新しいテクノロジー商品を扱う「b8ta(ベータ)」は、小売店を完全にショースペースにしています。

画像認識によってどの程度の人数の顧客が商品の前に立ったか、商品を手に取ったかを計測し、メーカーが店舗に報酬を支払うのです。
いわば成果報酬型のショースペースにしたのです。

オンライン広告のリアル店舗版と考えればわかりやすいのではないでしょうか。
スマホのサイトで目にする広告は、表示するだけでもお金がかかります。
利用者がそれをクリックするとさらに課金されます。

これを現実の店舗に持ち込んだのです。
一度破綻したトイザラスも2019年秋のホリデーシーズン商戦にこのモデルを活用しました。
日本には2020年8月に進出しています。

D2Cが変える店舗の役割

アップルやテスラは米国でも好調です。

これらに共通するビジネスモデルは商品をコンシューマー(消費者)に直接販売する「D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)です。
わかりやすいのが靴販売の米オーバルのビジネスモデルでしょう。
2020年に東京にも日本最初のショップを開きました。

同社は小売店を通さず、オンラインか直営店でしか販売していません。

これまで消費者向けに商品を販売する場合、小売店を通すのが当たり前でした。
1社で津々浦々まで商品を届けるため、全国んび直営店を開設するのは事実上不可能だったからです。
商品を販売するには小売店に商品を置いてもらうことが当たり前だったのです。

それが変わったのはインターネットとECの普及がきっかけです。
米アマゾン・ドット・コムなどでECに慣れた利用者を、何らかの形で自社サイト誘導できさえすれば、直接商品を販売できるわけです。

 

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