板書
火力発電の計算問題の解き方
比エンタルピー
比エンタルピー(Specific enthalpy)は、物質の単位質量あたりのエンタルピーのことを指します。エンタルピーは、物質の内部エネルギーと圧力・体積の影響を考慮した状態量であり、物質の状態や熱量を表す指標です。
比エンタルピーは、単位質量あたりのエンタルピーを示すため、比率や密度などの物質の特性によらず、単位質量での比較が可能です。一般的には、比エンタルピーはエネルギーの輸送や熱交換プロセスの解析や設計に使用されます。
比エンタルピーは通常、J/kg(ジュール毎キログラム)または kcal/kg(カロリー毎キログラム)の単位で表されます。温度、圧力、組成などの物質の状態によって変化します。比エンタルピーは、物質の蒸発、凝縮、加熱、冷却などの熱的な変化を評価するために広く利用されています。
例えば、水の比エンタルピーは、水の温度と圧力に応じて異なる値を持ちます。水の比エンタルピーは、水の温度変化や相変化(蒸発や凝固)の際の熱量計算などに使用されます。
比エンタルピーは熱力学的な概念であり、物質のエネルギー状態を数値化するための便利な指標です。
エントロピー
エントロピー(Entropy)は、熱力学の概念で、物理系の乱雑さや秩序の度合いを表す物理量です。
エントロピーは、熱力学第二法則に関連しています。熱力学第二法則は、自発的なプロセスではエントロピーが増加するという原理です。エントロピーの増加は、エネルギーの不可逆的な変換や自然現象の進行方向を示しています。
エントロピーは一般に、J/K(ジュール毎ケルビン)または kcal/K(カロリー毎ケルビン)の単位で表されます。温度の単位でエントロピーを割ることで、単位温度あたりのエントロピー変化を示すことができます。
エントロピーは、物質の相転移、熱エンジンや冷凍サイクルの効率、情報理論など、さまざまな分野で重要な概念です。エネルギー変換や物理系の振る舞いを解析するために、エントロピーの理解は不可欠です。
発電端効率
発電端効率(Generator efficiency)は、発電プラントや発電機における電力変換の効率を示す指標です。具体的には、燃料やエネルギー源から入力されたエネルギーのうち、発電機によって実際に発電される電力の割合を表します。
発電端効率は、発電機自体の効率や損失を考慮し、発電プロセスのエネルギー変換の効率を評価します。この効率は、発電機の設計や運転条件、燃料の品質などによって異なります。
発電プラントでは、燃料(例:石炭、天然ガス、石油)を燃焼して熱エネルギーを得ます。この熱エネルギーは、ボイラーや熱交換器を介して水を加熱し、蒸気を生成します。蒸気はタービンに供給され、タービンの回転運動を通じて発電機が駆動されます。最終的に、発電機によって電力が生成されます。
発電端効率は、発電機の出力電力を入力エネルギーで割ることによって計算されます。一般的には、発電端効率はパーセント(%)で表されます。例えば、発電端効率が40%であれば、入力されたエネルギーの40%が実際に電力として生成されていることを示します。
送電端効率
送電端効率は、発電所で発電された電力の出力と、最終的に消費地点で利用可能な電力の割合を示します。一般的には、送電端効率はパーセント(%)で表されます。例えば、送電端効率が95%であれば、発電所で生成された電力の95%が最終的な消費地点で利用可能であることを示します。
送電端効率(η送電)と発電端効率(η発電)の関係は以下のように表されます:
η送電 = η発電 × η送電損失
ここで、η送電は送電端効率、η発電は発電端効率、η送電損失は送電過程での損失の割合を示します。
この関係式は、発電プラントで発電された電力に対して、送電過程での損失を考慮して最終的な消費地点までの効率を求めるためのものです。
700 MWと700MJ/sと700MWhの違い
700 MW、700 MJ/s、および700 MWhは、異なるエネルギーの表現方法です。
700 MW(メガワット):
メガワットは、電力の単位です。
1 MWは1メガワットであり、1秒間に100万ワットの電力を表します。
700 MWは、1秒間に700メガワット(700,000,000ワット)の電力を示します。
この値は、電力の瞬間的な供給能力を表しています。
700 MJ/s(メガジュール毎秒):
メガジュール毎秒は、エネルギーの流量を表す単位です。
1 MJ/sは、1メガジュール毎秒であり、1秒間に100万ジュールのエネルギーが流れることを示します。
700 MJ/sは、1秒間に700メガジュール(700,000,000ジュール)のエネルギーが流れることを示します。
この値は、エネルギーの瞬間的な供給率を表しています。
700 MWh(メガワット時):
メガワット時は、電力の時間的な積算を表す単位です。
1 MWhは、1メガワット時であり、1時間に1メガワットの電力を1時間間供給した量を表します。
700 MWhは、700メガワット時の電力を示します。
この値は、時間の経過とともに供給される電力の総量を表しています。
要約すると、700 MWは瞬間的な電力供給能力を示し、700 MJ/sは瞬間的なエネルギーの供給率を示し、700 MWhは時間の経過によって供給される総エネルギー量を示します。
WとJの関係を教えてください
W(ワット)とJ(ジュール)は、エネルギーの異なる側面を表す物理量です。
ワット(W)は、エネルギーの変換率または消費率を表す単位であり、1ワットは1秒間に1ジュールのエネルギーを変換または消費することを示します。
ジュール(J)は、エネルギーの単位であり、1ジュールは1ワット秒(1 Ws)に相当します。つまり、1ワットの電力を1秒間供給することによって得られるエネルギー量を表します。
したがって、WとJの関係は次のようになります:
1ワット(W)= 1ジュール/秒(J/s)
これは、ワットが1秒間に変換または消費されるジュールの単位であることを示しています。
例えば、10ワットの電力を10秒間供給する場合、 エネルギー量(ジュール) = 10ワット(1秒あたりのエネルギー量) × 10秒 = 100ジュール
つまり、10ワットの電力を10秒間供給すると、合計で100ジュールのエネルギーが得られます。
700 MWhは700MW×3600s
700 MWhは700 MW×3600 sです。
MWhはメガワット時という単位で、1 MWhは1メガワットの電力を1時間供給することを表します。1時間は3600秒です。
したがって、700 MWhは700 MW×3600 sと計算されます。
具体的な計算は次のようになります: 700 MWh = 700 MW × 3600 s = 2,520,000 MWs = 2,520,000,000,000 J (ジュール)
ですので、700 MWhは2,520,000,000,000ジュールに相当します。
<おすすめ記事>