キューピーのジャガイモの不良品を、ディープラーニングによる画像解析ではじくシステム

マヨネーズやドレッシングなどの調味料で最大手のキューピーは、グループ内で製造するベビーフードの原料検査に「識別系×代行型」のAIを活用している。
サイコロ上にカットされたジャガイモの不良品を、ディープラーニングによる画像解析ではじくシステムを開発し、2018年に導入した。

19年2月からはほかの原料にも対象を広げている。

AI導入前の原料検査は、検査員の目による確認に完全に頼っていた。
というのも、カメラとセンサーを使って判別する、AIを搭載していない従来型検査装置には課題があったからだ。
工業製品と異なり食品原料は個体差が大きいため、不良品のパターンが非常に多い。

従来型検査装置はそのパターンを事前にすべて登録しておかないと機能しないうえ、未知のパターンの不良品には対応できず新たに登録し直す必要がある。
実際に運用するとエンジニアが付きっきりになり、検出の精度も低かった。
その課題を克服したのが、パターンを自ら学習して精度を高めていけるAIだった。

開発に当たっては、もう一つポイントがあった。
不良品ではなく良品を学習させ、良品に該当しないものはすべて不良品としてはじく仕組みにしたのだ。
これにより制度が飛躍的に向上。

ジャガイモでの不良品検出率は100%になり、検査員の負担が大きく減った。

 

配送伝票に手書きされた荷物のサイズや重量の数字を読み取ってデータ化するAIのシステムを開発。

物流大手、佐川急便のAIも「識別系×代行型」だ。手書きの配送伝票を人の代わりにAIが読み取りデータ化するシステムを19年7月に本格稼働させた。

年間13億個を超える荷物を取り扱う佐川急便。
システム稼働以前は、情報入力を担当する作業員が、セールスドライバーなどが書いた伝票を読み取ってシステムに打ち込んでいた。
とくに繁忙期は1日に約100万枚もの配達伝票を処理しなければならず、多くの人手と時間、コストがかかっていた。

そこで佐川急便とグループ会社のSGシステムは18年12月から、ITコンサルティング会社のフューチャーアーキテクトとともに、配送伝票に手書きされた荷物のサイズや重量の数字を読み取ってデータ化するAIのシステムを開発。
月換算で8400時間相当の作業を削減することに成功した。

 

開発の際に何より重視したのが認識精度だ。
荷物のサイズと重量は、佐川急便が顧客に請求する配送料の算定に用いるため、読み取りの際にミスがあってはならない。

そこでディープラーニングを使って、AIに約350万枚分の手書きデータを学習させた。
さらに配送伝票の読み取りには輪転機のような光学式文字読み取り装置(OCR)を活用。

傷や汚れのある配送伝票だけでなく、丸で囲まれた数字や取り消し線で修正された数字も読み取れる。

 

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