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全固体電池の乗り越えるべき課題

課題の一つは、リチウムイオン電池電解液に劣らないイオン伝導率(充放電を担うリチウムイオンの移動特性によって決まる電気伝導度)を持つ全固体電解質の開発であり、もう一つは正極、負極の電極と固体電解質との間に形成される界面の抵抗低減だ。
東京工業大学の菅野了次教授は2000年に、10-3S/cm(ジーメンス毎センチメートル)のイオン伝導率をもつ結晶系硫化物、チオシリコンを開発した。

この時点では、イオン伝導率は減税のリチウムイオン電池電解液よりも1ケタ低いレベルだった。
しかし、2011年には、リチウムイオン電池の電解液に匹敵する1.2×10-2S/cmのイオン伝導率を示す固体電解質(LGPS)を開発した。

ただし、高イオン伝導率の固体電解質は実現したものの、電極と固体電解質の界面における接触抵抗(リチウムイオンの動きを阻害する要素)の大きさから、残念ながらリチウムイオン電池に匹敵する十分な出力特性を有す全個体電池には進化しなかった。
リチウムイオン電池の場合には、電解液の存在により十分な接触面積を確保できることで出力特性も確保できることになっている。

そして、2016年3月に大きな進展が見られた。
菅野教授とトヨタグループが、従来の2倍に相当するイオン伝導率を有する超イオン伝導体を発見した。
イオン伝導率は2.5×10-2S/cmとされている。

そしてその延長上で全個体電池を試作し、リチウムイオン電池の3倍以上の出力特性を実証したと発表したのである。
このことから、全世界的に全個体電池の研究開発が活発になり、主導権争いが激化している。

一方、この一連の硫化物系固体電解質は、水蒸気を含む空気に触れると有毒の硫化水素を発生するという問題が付きまとう。
電解作成過程はもちろん、電池としての完成品でも水分が作用しない厳格な設計と構成が不可欠である。

硫化水素の発生は実際に起こりうる事象で、この制御が硫化物系につきまとう最大課題の一つであろう。

このように、硫化物系であれ酸化物系であれ、かなりのところまで進んできたのも事実であるが、研究が進めば進むほど、また新たな課題も浮上している。
全個体電解質の魅力は安全性が高まるところにあるとはいうものの、それだけでは魅力に乏しい。

なぜなら車載用で適用されている日韓の大半のリチウムイオン電池でも安全性は担保されているからだ。

 

全個体電池が最も魅力を発揮するところは、電荷液を有するリチウムイオン電池では適用できなかった電極材、例えば負極に金属リチウム、正極には高電圧系素材等をてきようすることで、エネルギー密度を大幅に向上させることである。
それによってEVの航続距離が大きく拡大すれば、本当のEVシフトが実現することになろう。

 

もっと知るには・・・
(EVに興味ある方や、EV関連に投資している方は読んだ方がよい本。管理人は読んでて面白くて、ワクワクしました。)

 

技術に興味のある方:リチウムイオン電池についてもっと知るには

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