核融合は人類のエネルギー需要にとって、究極の解決策である。
クリーンであり、核燃料と共通する要素を用いながら、壊滅的なメルトダウンを起こす危険性をはらんでいないのだから。

2個の原子がひとつになることを核融合という。以上だ。

核融合エネルギーの文脈では、2個の水素原子がひとつになることについて語っている場合が多い。
水素は周期表内で最も軽い元素であり、その原子核は「陽子(プロトン)」というたったひとつの荷電粒子からなる。

ただし、すべての元素と同様に、水素の形はひとつだけではない。
多くの種類があり、それらを「アイソトープ(同位体)」という。

それぞれのアイソトープは何が違うのか?

それは、原子核にある荷電していない粒子の数である。
中性子(ニュートロン)とよばれるものだ。水素のおよそ99.98パーセントが、中性子をまったくもたない形をしている。
専門的には、これを「水素1」と呼ぶ。

水素のおよそ0.02パーセントには、陽子のほかに中性子が1個加えられている。
これは通常「デューテリウム(重水素)」と呼ばれるが、ギリシャ語で「二番目のもの」と意味する単語の「デューテロス」からきている。

これに中性子がもう1個加わると「トリチウム(三重水素)」になるが、これはさらに存在が少なくなる。
中性子が加わると不安定になるからだ。

さらに水素4、水素5などと続いていくが、それらはどれもきわめて不安定であり、珍しく存在する機会が訪れたとしても、1秒の何分の1というほんのわずかな間だけである。

 

なぜこういった同位体の話を持ち出すかというと、水素同位体が大きくなるほど融合しやすくなるからだ。

水素同位体が融合すると、別の元素になる。

ヘリウムだ。

水素は陽子が1個ある元素で、ヘリウムは陽子が2個ある。
私たちに興味深いのは、これらの同位体が水素からヘリウムに変わる際に、ものすごい量のエネルギーが放出されることである。

その理由を占めそう。

私たちが「ヘリウム」として理解している原子構造ができるのに必要なエネルギーは、「水素」として理解している原子2個分のよりも少ない。
融合が起こると、そのエネルギーはどこかへ行かざるをえなくなり、捉えることができるわけだ。

一般には、放出されたエネルギーは、結合後に高速ではじき出された、余分な中性子という形でもたらされる。
疾走する熱い中性子が一度生じると、通常の蒸気タービンのしくみと同じ方法で、そのエネルギーを捉えることができる。
つまり、中性子を水に叩き入れ、立ち上る蒸気を作り出し、タービンを回すのだ。

核融合エネルギーは燃料をごくわずかにしか使わず、しかもその燃料がかなり豊富にある点で特別なのだ。

ガリー・マクラッケンとピーター・ストットの著書によると、ノートパソコンのバッテリーにあるリチウムと風呂桶半分の水に含まれる重水素で石炭40トン分に相当する20万メガワット時の核融合エネルギーを生み出せるという。

 

ちなみに核融合を成し遂げた最初のアメリカ人アマチュア科学者のサイト「Fusor.net」では卓上核融合装置の作り方や動かし方を学ぶことができる。

 

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