コーヒーはどれほど体に良いのか

過去最大級のコーヒー研究で、あらためてコーヒーの凄い健康効果があきらかに

もっとも信頼性が高いコーヒー研究が出た コーヒーは体にいい!ってデータは死ぬほどあるんですけど、新しくBMJに出た論文(1)は、「とにかくいろんな病気の予防になるよ!」って内容になっておりました。

これはエジンバラ大学の研究で、過去のコーヒー研究から218件を精査したメタ分析。そのうち201件は観察研究で、残りの17件がRCTになっております。

1日3杯のコーヒーで死亡率が10%下がる!
だいたいの研究では、1日に3〜4杯のコーヒーを飲む人が、ほとんどコーヒーを飲まないとどんな違いが出るかを見ております。MAXは1日6杯ぐらい。

というわけで、データを精査した結果は以下のとおり。

総死亡率が10%下がる!(RR 0.9, 95%CI 0.85〜0.96)
心疾患で死ぬリスクが19%下がる!(RR 0.81, 95%CI 0.72〜0.9)
癌の発症リスクが18%下がる!(肺癌を除く)(RR 0.82, 95%CI 0.74〜0.89)
非アルコール性脂肪性肝炎のリスクが29%下がる!(RR 0.71, 95%CI 0.60〜0.85)
2型糖尿病のリスクが30%下がる!(RR 0.70, 95%CI 0.65〜0.75)
鬱やパーキンソン病、アルツハイマーにも効く可能性がある!

ってことで、コーヒーは肝臓系の病気にもっとも有効で、続いて肝臓癌、痛風、心疾患、白血病の予防にもなるみたい。体から脳まで、凄い幅広い効果ですなぁ。

もちろんコーヒーも万能ではない
ただし、いっぽうではコーヒーの副作用も確認されていて、

子供の白血病
LDLコレステロールの上昇
肺癌(ただしタバコを吸う人のみ肺癌リスクが上がる)
リウマチ性関節炎
妊婦さん
骨折(女性のみ。なぜか男性には変化が見られなかったそうな)

といったあたりは要注意だそうな。やっぱ、子供と妊婦さんはコーヒー を飲まないほうがいいみたい。あと、心疾患リスクが下がるのにLDLコレステロールが上昇するってのが不思議ですけど、このへんは謎。まだわからんことがありますね。

もっとも、この研究は観察研究がメインだし、全体的にRCTの質はかなり低いんで、まだ「コーヒーが体にいい!」と断定できる話でもなかったりはします。が、今回の研究により、コーヒーの安全性についてはほぼ確立された感じですので、1日に2〜3杯ぐらい飲んでみても損はないんじゃないかと。

 

引用:https://yuchrszk.blogspot.com/2017/12/blog-post_29.html

 

「コーヒーの健康効果を高める方法はこれだ!」みたいな研究の話

20〜79歳の男女50万8747人を対象にした観察研究でして、1985年から2003年をかけて以下のポイントを調べてます。

いつもどんなコーヒーをどのような飲み方で飲んでいるか?
1日のコーヒー摂取量はどれぐらいか?
運動習慣や健康レベルはどれぐらいか?

調査期間のあいだに命を落としたのは4万6341人で、そのうち1万2621人が心疾患だったとのこと。その後、すべてのデータをひっくるめたら、こんな結果になりました。

参加者の59%がフィルターで入れたコーヒーを好み、20%が無濾過のコーヒーを好み、9%がフィルター使用と無濾過コーヒー両方を飲み、12%はコーヒーを飲んでいなかった

コーヒーを飲まないグループよりも、コーヒーを飲んだグループの方が総死亡率は15%低かった

男性の場合、コーヒーを飲まないグループと比べて、フィルターでいれたコーヒーを飲む人ほど総死亡率が低かった(総死亡率:HR 0.85)

女性の場合、コーヒーを飲まないグループと比べて、フィルターでいれたコーヒーを飲む人ほど総死亡率が低かった(総死亡率:HR 0.85)

60歳以上の男性の場合、コーヒーを飲まない人に比べて、フィルターを使わずにコーヒーを飲んでいる人は心疾患による死亡率が高かった(調整済みHR:1.19)。逆に、フィルターでいれたコーヒーを飲んでいる場合は総死亡率が低かった

60歳以上の女性の場合も、フィルターで入れたコーヒーを飲む人ほど心疾患の死亡率と総死亡率が低かった

フィルターを使ったコーヒーを1日1~4杯飲む人は、もっとも死亡率が低かった

これらの結果は、もちろん参加者の運動習慣、学歴、コレステロール値などは調整されてまして、それでもなお上記の傾向が確認されたらしい。

つまり、今回の結果を簡単にまとめると、

フィルターでろ過したコーヒーを1日1〜4杯の範囲で飲むと良い!

って感じになりますね。逆に、まったくフィルターを使わないと、健康には逆効果な可能性もあるので注意が必要なのかもっすな。

では、なんでこういった違いが出たかと言いますと、コーヒーに入ってるカーウェオールとカフェストールって成分には、総コレステロールとLDLコレステロール(いわゆる悪玉)を増やす働きがあるからです。そのおかげで、コーヒーを飲み過ぎると心疾患のリスクが高まっちゃうかもしれないわけですね。

が、ここでフィルターを使うと一気に話が変わりまして、カーウェオールとカフェストールをかなりのレベルまで取り除けるんだそうな。フィルターを使ったコーヒーと無ろ過コーヒーをくらべた場合、その違いは20〜30倍にもなるそうで、なかなか大変なことになっております。フレンチプレス派には嫌な結論っすね……。

まぁ今回の実験を見る限り、無ろ過のコーヒーを飲む人が、コーヒーを飲まない人より総死亡率が高くなるわけでもないので、いまフレンチプレス派の方もビビる必要はなさそうであります。あくまで今回の結果は、「フィルターを使ったコーヒーは、さらに健康効果がアップするかもよー」って話ですんで。

引用:https://yuchrszk.blogspot.com/2020/06/blog-post_23.html

コーヒーが血管をガッツリ健康にしてくれるかも?というメタ分析のお話

コーヒーは体に良い!との話は何度も書いておりますが、新たに「心疾患にも効くんじゃない?」って結論のメタ分析(R)が出ておりました。内皮機能(血管の伸び縮み能力)を、コーヒーが改善するかもしれないというんですな。

具体的には、過去のコーヒー研究から11件を抜き出して計598人分のデータをまとめていて、

9 件は短期試験(1 回の摂取で 60~300 分後の効果を測定)
2 件は長期試験(2~8 週間の摂取で効果を測定)

って感じで短期と長期の両面から血管に与える効果をチェックしてくれております。コーヒーの健康効果を示したデータは多いものの、これまで「コーヒーが血管まわりの健康に効くか?」をチェックしたメタ分析は少ないんで、なかなか貴重な内容になってるんじゃないかと。

また、その他のポイントをまとめておくと、

参加者はだいたい健康な成人だが、一部には軽度の心血管疾患を持つ人もふくまれていた
実験の方法はさまざまで、カフェインレスコーヒー、普通のコーヒー、エスプレッソ、カフェイン錠剤、クロロゲン酸、ポリフェノールを強化したコーヒーなどが使われた

みたいになってまして、いろんなパターンでコーヒーの効能を調べたそうな。

では、ざっくりした結論を以下にまとめると、

コーヒーの摂取は内皮機能に短期的にプラスの効果をもたらす。詳しくは、血管の広がりやすさが約1〜2.8%増加する(虚血性心疾患の患者さんの場合は-0.97%から9%の範囲)
コーヒーの血管広がり効果は、400ml以上を摂取した場合にもっちも顕著になり、その変化は120分未満で起きる
ただし、長期研究では血管の広がりについて目立った効果は認められなかった

みたいになります。こうしてみると、短期的にはコーヒーはそれなりに血管の健康に意味があるのかなーって感じですね。ちなみに、血管の広がりやすさが約1〜2.8%増加ってのはまずまずの数値で、狭心症に使わるニトログリセリンの効果が約18%と考えるとわかりやすんじゃないでしょうか。

こういった効果がある理由としては、

カフェインがアデノシン受容体をブロックすることで内皮機能に影響を与える?¥
コーヒーに入ってるクロロゲン酸が内皮機能に影響を与えてる?
エスプレッソに多量に含まれるマグネシウムが内皮機能を改善してる?

などのメカニズムが推定されてますけど、具体的なところは謎。いろんな要素が組み合わさって健康効果につながってる気もしますが。

というわけで、やはりコーヒーは血管にも良さそうな気がするわけですが、例によって例のごとくこのメタ分析にも難点はありまして、

研究のあいだのバラつきがとにかく大きい(I2 = 97.9%)。これは、いろんなタイプのコーヒーを使った研究をまとめてるので、当たり前っちゃ当たり前ですが
長期のメタ分析は2件しかあつかってないうえに、1件はバイアスの可能性がめちゃくちゃ大きい
分析に含まれた一部のデータでは、コーヒーにより動脈硬化が悪化したとの報告もある

みたいになってて、「うーん、こりゃメタ分析としては質が低いな……」って感じがしちゃうわけです。特に研究間のバラつき問題は深刻なんで、かなり疑ってかかるほうがよさげっすね。

引用:https://yuchrszk.blogspot.com/2020/07/blog-post_13.html

コーヒーは一日に何杯飲んでも大丈夫なのか

「コーヒーは1日25杯飲んでも健康には問題なし!」って説が爆誕してた件

コーヒーは健康飲料だ!ってのが近年の科学界の風潮なんですけど、なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとし。カフェインも入ってるし、やはり飲み過ぎれば体に悪そうな気もするわけです。実際、過去には「コーヒーを飲むと血管がカチカチになるぞ!って報告も出てたりして、わりと怖いんですよね。

じゃあ実際のところ「コーヒーって1日にどれぐらい飲んでいいの?」ってとこを調べた研究(R)が出ておりました。

これはロンドン大学の調査で、8,412 人の男女を3つのグループに分けてます。

コーヒーを飲む量が1日1杯未満の人
1日1〜3杯の人
1日4杯以上の人

でもって、みんなにMRIで心臓をスキャンしたり、赤外線で脈波のテストを実行。動脈がどんな感じになってるかを調べたところ、結果はこんな感じになりました。

1日1杯未満だろうが4杯以上だろうが、動脈へのダメージは確認されなかった
というか、「1日4杯以上」のグループには1日25杯も飲む極端な人もいたが、こちらもやはり問題は確認されなかった(グループのコーヒー消費量の平均は1日5杯)

だったそうです。もちろん、この結果については、喫煙習慣、飲酒量、食事、血圧などの要素は調整されております。にしても1日25杯飲んでもOKってのはちょっとビビりますな。

研究チームいわく、

世界的にコーヒーの人気が高まっているにもかかわらず、不安を誘うような報告がいろいろと出ているため、ついコーヒーを飲むことををためらう人もいるかもしれない。もちろん、この研究で因果関係を証明することはできないが、今回の分析は、コーヒーが動脈に悪いものではないことを示している。

本研究ではコーヒーを1日25杯まで飲む人を対象としたが、もっともコーヒーをよく飲むグループの平均摂取量は1日5杯でした。今後の研究では、これらの人たちをもっと詳しく調べ、安全性の限界はどこにあるのかをさらに詰めていきたい。

コーヒーについては、研究によって異なる見解がいくつもあり、信じるべきものと信じてはいけないものを選別するのが難しい。今回の研究は、コーヒーが動脈に及ぼす悪影響を否定するものであり、メディアの報道の一部を客観的に見ることもできるだろう。

ってことで、コーヒーは動脈に悪い説をガッツリ否定しておられました。まぁちょっと前のデータでも「コーヒーは1日6杯ぐらいならなんの問題もない!」って傾向は確認されてたんですが、25杯って数値には驚きっすね。まぁコーヒーの健康効果については「1日5杯までのコーヒーで寿命が延びる」ってな大規模な調査もありますんで、いかにコーヒー好きでもそれぐらいに抑えといたほうがいいのかもですが。

引用:https://yuchrszk.blogspot.com/2020/02/125.html

 

 

コーヒーの研究に関してもっと知るには・・・

⇒https://yuchrszk.blogspot.com/search?q=%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC