レアアースは金属の種類を示す言葉で飛行機からスマホまで世界のありとあらゆる先端技術に必要不可欠な存在です。
実はこのレアアースは現在中国が世界シェアの大半を握っています。

もちろん日本もレアアースのほとんどを中国からの輸入に頼っている状態です。
しかし日本の領土にも大量のレアアースがねむっているのです

 

今回はそんなレアアースに迫ってみましょう。

レアアースとは

 

そもそもレアアースとはどういったものなのでしょうか

 

どんなものに使われているのでしょうか

レアアースは先端技術製品を作るのに欠かせない、スカンジウム

イットリウムの2元素とランタンからルテチウムまでの15元素の系17元素の総称で希土類元素とも言います。

レアアースの特徴としては鉄の融点を超える高融点で熱伝導性が高いという共通した化学的性質を持ちます。
さらに電子殻を周回する電子の軌道が特殊であるため他の金属にない独特の機能を発揮します。

少数添加しただけで製品の品質が向上することから、産業のビタミンとも呼ばれています

 

レアアースは原子量の大小により大きく分けて、軽希土類と重希土類の2種類に分類されています。

軽希土類は世界各地に分布していますが、重希土類は採掘は難しく供給が安定していません

そのため重希土類は軽希土類の約100倍の価格で取引が行われます。
ではレアアースは具体的にどのような製品に使われているのでしょうか。

たとえば電気自動車のモーター用磁石として使われているのが、
レアアースの一つネオジム、ジスプロシウム、
医療用レーザーなどに使用されるイットリウム、
次世代半導体などに活用されているユーロピウムなどなど。

 

レアアースの使用例を挙げたらキリがないほどです

 

日本はこのレアアースを使った製品を数多く生産していますが、
その需要の大部分を中国からの輸入で賄っているのが現状です。

全世界の供給量に限度があり多くの製品に使用されるレアアースの価格は上昇しています。
事実として鉄は世界で年間約12億トン生産されるのに対し、レアアースは年間約12万トンです。

鉄と比較すると1万分の1しか生産されていないのです
脱レアアースの取り組みも進んでいますが今後もその需要は拡大し続ける見通しです

 

レアアースとレアメタルの違い

 

レアアースと似た言葉にレアメタルがあります。
よくこの2つは混同されがちですが、お互い違うものです。

では、レアメタルとレアアースにはどのような違いがあるのでしょうか。
レアメタルとは金属を大まかに3つに分けたうちの一つです。

金属は鉄やアルミニウムなど生産量が多く広く普及している
ベースメタル、プラチナや金など希少性が高く耐腐食性の高い貴金属、
地球上に存在する量は非常に少ないもしくは採掘が非常に困難にもかかわらず非常に重要な金属であるレアメタルにわけられます。

レアメタルのうちスカンジウムからルテチウムまでの17元素をレアアースと呼んでいるのです。
つまりレアアースはレアメタルの一部ということになりますね

レアアースが必要な理由

ではなぜレアアースが産業ビタミンと呼ばれるほど重要性が高いのでしょうか
そもそもレアアースがこれほど重要な金属となったのは1982年以降とつい最近のことです。

それ以前はないとゴミ同然だと思われていました。
そんな中1982年に日本の佐川雅人博士が、レアアースを使ったネオジム磁石を開発したことから一気に注目が集まりました
それからレアアースは近代産業に欠かせない資源として世界中で使われるようになりました

このレアアースは現在ありとあらゆる電化製品に使用されています
私たちの身近なところでは電気自動車やスマートフォンパソコンなど世界を動かしている製品の材料としてレアアースが使われています。

 

でもレアアースはかなり希少な金属っぽいですが、そんなにいろいろの製品に使用されて足りなくならないのでしょうか
実はレアアースは料理のスパイス程度の使用で電化製品の精度を高めることができるんです。

そして今のところこのレアアースに変わる材料は見つかっておりません。
ゴミ同然だったレアアースは今や人類にとってなくてはならない存在となっているのですね

 

世界生産の70%が中国

この世界にとって重要なレアアースは世界シェアの70%以上を中国が握っています。
そして日本は国内の需要の約60%を中国からの輸入に頼っているのです。

ではなぜこれほどまでに中国はレアアースの生産量が多いのでしょうか。
これにはいくつかの要因が挙げられます。

 

一つには単純にレアアースが中国にたくさん眠っていること。
しかしレアアースがたくさんとれる国は中国だけではありません。

それなのに中国が多くのシェアを握っているのは人件費が安く
他の国よりも安い価格レアアースを提供できることが大きな理由の一つです。

さらにもうひとつ重要なポイントなのが環境規制が緩いという点です

レアアースは採掘生産する過程で化学薬品を使用し有害な物質が大量に出ます

さらに分離過程では大量の低放射性廃棄物も発生します。
本来この有害な物質を適切に排出するためには莫大な金額がかかります

 

しかし中国では長年その処理を十分に行わなかったため、
他国よりも圧倒的に安価でレアアースを生産しました。

結果として、有害物質が工業水、河川、海へと流出し水質土壌汚染と人国の問題となっています

現在では中国の環境規制が厳格化されたため、
環境保護の体制は強化されましたが問題の解決にはまだまだ時間がかかりそうです

 

しかしここにきて中国はレアアースの輸出を制限しようとしています
レアアースを中国からの輸入に頼っている日本にとって、かなりのいたででしょう。

日本に眠る超高濃度レアアース

しかし東京大学や早稲田大学などの調査チームにより、
日本の最北端にある南鳥島の排他的経済水域内に15種類のレアアースが大量に眠っていることが判明しました。

 

その埋蔵量はなんと、計1600万トンと数百年分の世界の需要を賄える規模のものです。

例えば医療用レーザーなどに使用されるイットリウムの埋蔵量は世界の生産量の780年分。
電気自動車のモーターに使われるジスプロシウムの埋蔵量は730年分。
次世代半導体などに活用されているユーロピウムは620年分など豊富に存在しているのです。

しかも中国産のレアアースよりも20倍以上も、濃度が高いというデータが報告されました
そしてこのレアアースを効率よく採掘する方法もすでに発見されています

さらに日本政府はレアアース対策に本格的な取り組みを始めました。
事実、令和元年の補正予算案にはレアアース供給源の多角化の実現に向け
出資などを実施すると明記されており、補正予算額は209億円となっていました

 

またレアアースにおける特定国からの供給への依存度2025年までに50%以下に低減し
コバルトの自給率を2025年までに10%まで引き上げるとなっていたので、

この数年で大きな動きがあるのは間違いなさそうですね。

採掘が実現されれば日本は他国にレアアースを頼る必要はなくなりそうですね

 

もしかしたら数年後には日本が資源大国と呼ばれる日が来るかもしれませんね。
日本は資源が乏しいという印象ですが、
ここにきて新たな資源が見つかるとはとても嬉しいことですね

 

この採掘がうまくいけばレアアースにおいて中国よりも優位に立てる可能性もあります
今後もこのレアアースの行方を見守っていきたいですね