英エコノミスト(2017年5月6日)は「20世紀の経済成長が石油によってもたらされたのと同時に、21世紀の経済成長の源はビッグデータである」と述べた。

ビッグデータが利用可能になった背景には、(1)モバイルやGPS等のワイヤレスやセンサー技術の発達と
(2)クラウドによる分散化されたデータの集積が可能になったという二点があげられる。
こうした技術の登場によって、非構造化されたデータも含め、データが安価に、且つ大量に収集・蓄積ができるようになった。

収集されたビッグデータは、それを活用するための技術革新を促すことになる。

その技術がAI・IoTであり機械学習であるといえるだろう。今では画像・音声認識や言語翻訳などの技術が日々進歩を遂げて、
われわれ人間と同等かそれ以上に高度化している。例えばアルファ碁に代表されるように、専門家がAIに敗れる時代が到来しているのである。

こうした技術の急速な発展には、米中などの巨大なIT企業が巨額の資金を投じて、機械学習の技術水準を大きく加速化させている点が大きく寄与しているようだ。
データの量が機械学習の精度を高め、それが更なるビッグデータのニーズを生み出すという好循環がうまれている。

ビッグデータの登場によって、これまで可視化することのできなかったストックの稼働状況が「見える化」されるようになった。
例えば、民間住居や自家用車といった物質資本だけでなく、人的資本の稼働状況も可視化され、インターネットを介して第三者に伝達をすることが可能になった。

こうしたストックの稼働状況に代表される「見える化」の深化は、これまで利用可能でありながらも顕在化させることができなかった供給余力を利用可能とし、
その余力を効率的に活用するためにモバイルを通じて需要を喚起する工夫が生み出されるようになった。「プラットフォーム」とよばれるビジネスモデルの登場である。

事業者は、プラットフォーム上で、例えば供給余力を持つ民間住居の所持者と、その供給能力を活用したいと考える需要家をマッチングさせるサービスを提供することで
空きストックに対する需要を顕在化させ、ストックの有効活用を提案するようになった。
これは、ストックの所持と利用をアンバンドルするイノベーションであると言い換えることができる。

 

なおプラットフォームというビジネスモデルは、決して新しいものではない。
需要と供給をマッチングさせる場であるプラットフォームは、物理的な場としては市場やデパートがその一例となる。

Evans(2003)によれば、プラットフォームとは、異なる経済主体をつなぐ場であると共に、ネットワーク効果を有する性質を持つことが知られている。
店舗と消費者という異なる二つの経済主体が、市場やデパートという場に集まることで売買の接点を持っている。
この場は、消費者が大勢集まれば、出店する店舗も増え、また店舗数が増えれば、場を訪れる消費者も増えるという点で、二つの経済主体の間には正の相互依存関係が存在する。

これをネットワーク効果という。

 

 

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