数値解析に関する記述の中で最も不適切なものを選びます。
複数の式が数学的に等価である場合は、どの式を用いて計算しても結果は等しくなる。
これは不適切です。数学的に等価な式であっても、数値計算の精度や誤差の影響により、計算結果が異なることがあります。特に浮動小数点演算ではこの影響が顕著です。
絶対値が近い2数の加減算では有効桁数が失われる桁落ち誤差を生じることがある。
適切です。桁落ち誤差は数値解析でよく知られている問題です。
絶対値の極端に離れる2数の加減算では情報が失われる情報落ちが生じることがある。
適切です。情報落ちも数値解析でよく知られている問題です。
連立方程式の解は、係数行列の逆行列を必ずしも計算しなくても求めることができる。
適切です。ガウス消去法やLU分解などの方法で逆行列を直接計算せずに解を求めることができます。
有限要素法において要素分割を細かくすると一般的に近似誤差は小さくなる。
適切です。細かく分割することで近似精度が向上するのが通常です。
結論
最も不適切な記述は 1. です。
[解答]①
参考:
絶対値が近い2数の加減算では有効桁数が失われる桁落ち誤差を生じることがあるのですか?
はい、絶対値が近い2つの数の加減算では、有効桁数が失われる「桁落ち誤差」が生じることがあります。
### 桁落ち誤差の説明
#### 例:
2つの数 \(a\) と \(b\) が非常に近い場合(例えば \(a = 1.000001\) と \(b = 1.000002\))、それらの差を計算するとき、実際の有効桁数が失われることがあります。
\[ a – b = 1.000001 – 1.000002 = -0.000001 \]
元の数 \(a\) と \(b\) はそれぞれ7桁の有効桁数を持っていますが、差は1桁の有効桁数しかありません。これが桁落ち誤差です。
このような誤差は、特に数値解析や科学計算などの分野で問題になることがあります。
絶対値の極端に離れる2数の加減算では情報が失われる情報落ちが生じることがある。
絶対値の極端に離れる2数の加減算において「情報落ち」が生じる理由について、以下のように解説します:
### 情報落ちの説明
**情報落ち(キャンセル)**とは、絶対値が非常に異なる2つの数の加減算において、小さい方の数の情報が失われる現象を指します。これは、浮動小数点数の有限の精度により引き起こされます。
### 例:
大きな数 \(a = 1.00000000000001\) と小さな数 \(b = 1 \times 10^{-12}\) の加算を考えます。
理論上の計算は次の通りです:
\[ a + b = 1.00000000000001 + 0.000000000001 \]
しかし、浮動小数点の精度の限界により、コンピュータはこれを \(1.00000000000001\) として処理することがあります。この場合、小さな数 \(b\) の情報が失われます。
### 浮動小数点数の精度の限界
浮動小数点数は有限のビット数で表現されるため、大きな数と小さな数の加減算を行うと、非常に小さな数の部分が丸め誤差によって無視されることがあります。これが「情報落ち」と呼ばれる現象です。
### 影響
– **計算精度の低下**: 情報落ちにより、計算結果の精度が低下します。
– **科学計算への影響**: 微小な差が重要な場合、情報落ちが大きな問題となることがあります。
情報落ちは数値解析における重要な問題の一つであり、計算の際には注意が必要です。
1000000と1だとどのようになりますか?
絶対値が極端に異なる2つの数の加減算では、情報落ちが発生します。例えば、数値 \(a = 1000000\) と \(b = 1\) を考えます。
### 例:
\[ a = 1000000 \]
\[ b = 1 \]
これらの差を計算します:
\[ a – b = 1000000 – 1 = 999999 \]
加算の場合を考えます:
\[ a + b = 1000000 + 1 = 1000001 \]
### 情報落ちの影響
1. **減算**:
– 減算では情報落ちの影響はあまり顕著ではない場合がありますが、計算の結果は正確に \(999999\) となります。
2. **加算**:
– 加算では、\(1000000\) と \(1\) の差が極端に大きいため、浮動小数点表現において、\(1\) の情報が無視される可能性があります。具体的には、浮動小数点数の精度が有限であるため、非常に小さい数の影響が丸め誤差によって無視されることがあります。結果として、計算が正確に行われない可能性があります。
実際の影響
浮動小数点演算の精度により、加算の際に情報落ちが発生し、正確な結果が得られなくなることがあります。これが「情報落ち」です。絶対値の大きな数と小さな数を操作する際には、このような誤差に注意する必要があります。
浮動小数点数の精度について教えてください
浮動小数点数(浮動小数点数)は、科学技術計算などで広く使用される数値表現形式です。これには、数値を有効桁数と指数の形式で表現し、非常に大きな数値や非常に小さな数値を扱えるという利点があります。
### 浮動小数点数の構造
浮動小数点数は通常、以下の形式で表されます:
\[ \text{数値} = (-1)^s \times \text{有効桁数} \times \text{基数}^{\text{指数}} \]
ここで、\( s \) は符号ビット、\(\text{有効桁数}\) は仮数、\(\text{基数}\) は通常2で、\(\text{指数}\) は指数部です。
### 浮動小数点数の精度
浮動小数点数の精度は、有限のビット数で表現されるため、数値計算においていくつかの制約があります。
1. **有効桁数(精度)**:
– 単精度(32ビット):約7桁の有効桁数。
– 倍精度(64ビット):約16桁の有効桁数。
2. **丸め誤差**:
– 浮動小数点演算では、計算結果が表現可能な最も近い数に丸められるため、丸め誤差が生じます。
3. **情報落ち(キャンセル)**:
– 大きな数と小さな数の加減算において、小さな数の情報が失われる現象です。
### IEEE 754 標準
浮動小数点数の表現と演算の標準規格はIEEE 754です。この標準では、単精度および倍精度の浮動小数点数の形式と丸めモードが定義されています。
#### 単精度浮動小数点数(32ビット)
– 1ビットの符号ビット
– 8ビットの指数部
– 23ビットの仮数部
#### 倍精度浮動小数点数(64ビット)
– 1ビットの符号ビット
– 11ビットの指数部
– 52ビットの仮数部
浮動小数点数の精度とその制約を理解することは、数値計算における誤差の管理において非常に重要です。
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