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小水力発電は、地元の土建屋さんと相性が良い。
そのポイントは三つあります。

一つ目は、小水力発電所の建設は、半分から七割方が土木工事だという点です。
水力発電には、川から取水するための堰がまず必要です。

次に川から引き出した水を発電所まで導く水路。
小水力と言っても一キロ、二キロあるいはそれ以上の長さになることもあります。

水路の途中には、土砂を除くための沈砂池や、発電制御に必要な水槽も作らなければなりません。

そして発電所の基礎工事も重要です。バイブと水車で不等沈下が起きるとバイブが倒れ最悪の場合は破壊して大きな事故になることがあります。
基礎はしっかり打たなければなりません。ここまでの土木工事が完成して、ようやく発電機を設置することができるのです。

発電所の見学というと、発電所建屋の中しか見ないことがしばしばあります。取水堰を見る場合でも、途中は車で移動することが多いでしょう。
もし、水力発電所を見学する機会があったら、できれば発電所から取水口まで、全区間あるいてみてください。
土木工事がどれほど大切かが、わかると思います。

山中を縫うように水路を引くとき、災害を受けにくいよう工夫し、しかもコストを抑えた工事ができるのが、地元の土建屋さんなのです。

 

 

二つ目に、水力発電では、災害復旧が非常に重要だという点があげられます。

小水力発電所の経営計画立案の仕事で、災害リスクの計算をしていて気づいたのですが、
復旧工事に必要な費用よりも、工事期間中の運転停止による逸失利益(機会損失)のほうが大きくなるケースが多いのです。

つまり、災害を受けたら、一刻も早い復旧が望まれるわけで、地元の土建屋さんが当事者なら急いで復旧するでしょう。

 

 

三つ目は、小水力発電計画実現のカギとなるのは、経営感覚のあるリーダーの有無である点です。
小水力発電に長年関わってきて、つくづく感じるのは、計画を推進するリーダーが最も重要だということです。

小規模と言っても、売電事業で収益を上げるには少なくとも100kW以上の規模、できれば200kW近い規模が普通は必要です。
建設費で言うと最低でも二億円程度になります。

出資者を募り、金融機関と融資交渉をしてそれだけの資金を用意しなければなりません。
また、初期の調査から始まって事業性評価をし、多岐にわたる行政手続きや電力会社との交渉を行い、
土木コンサルタントと選んで設計を発注し、水車メーカーを決め、土木工事・電気工事を発注することになります。

これにだいたい4~5年程度かかります。

「やりきるんだ」という強い意志を持ち、経営感覚のあるリーダーが先頭に立たなければ事業化は難しいのです。

これが、2012年に固定価格買取制度(FIT制度)が始まって以来、各地で地域主導の発電事業を起こそうという動きを応援してきた結論です。
そういった意味でも、土建屋さんオーナー社長には一定の力量が期待できます。

経営者として事業感覚は鍛えられていますし、リーダーシップもあります。
地元の有力企業でもあるでしょうから、地域をまとめるにも有効です。

このように小水力発電と山村の土建屋さんとは相性が良いのです。
山村社会を維持するには、土建屋さんが必要で、その土建屋さんの苦境を山村しげんを活かした小水力発電が救う。

 

とても良い構造ではないでしょうか

もっと知るには・・・

 

水力発電に関して詳しく知るには:全国小水力利用推進協議会

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