ディープラーニングは現在我々の生活を変えつつあるAI技術である。ディープラーニングは2011年頃から急速な進展を見せ始め、瞬く間に実用的なテクノロジーへと進歩した。ディープラーニングの発展のスピードは凄まじいものがある。
だが歴史を振り返ると、ディープラーニングは前世紀の中頃から研究されている。ディープラーニングの、初期の成果の一つは、人の話し言葉を文字に変換する音声認識技術の革新的の進歩である。その後、言語をコンピュータで処理する技術は、ディープラーニングの代表的な応用先となった。グーグル翻訳など翻訳システムはディープラーニングを使うようになってから精度が格段にあがったと言われている。
ディープラーニングが人間の能力を超えた分野もたくさんでてきている。
ディープラーニングの応用先として最初に成果をあげたのは、画像処理である。
2015年には、人側の能力を凌駕した。一方で意外な弱点も浮かび上がってきた。平均的な正答率はとても高く優れた識別能力を持つのだが、画像に細工を施すと途端に意図せぬ振る舞いを見せる事がわかってきたのである。
その細工は人の目には分からないレベルの変化でも、意図せぬ振る舞い起こすのである。なぜディープラーニングが誤った判断を下すのか、そのメカニズムは不明のままである。
ただ、確定的なことは言えないものの、いわゆる次元の呪いが関係しているのは、多くの研究者の共通認識だ。次元の呪いは高次元で我々の幾何学的な直感が破綻するという現象を指す言葉である。
こうして見ると、ディープラーニングとニンゲンの認識プロセスが大きく異なることを浮かび上がらせた。もともと神経細胞や脳の視覚野の構造をヒントにして作られたニューラルネットが独自の進歩を遂げて人間の識別能力に匹敵するようになったのだが、背後にあるシステムは全く異なる。
もしかするとディープラーニングの行き着く先は人間を超える人工知能ではなく、人間とは異なる方式で推論する知性なのかもしれない。
その思考プロセスを辿ることができるようになればこれまで人間が閃かなかったことがわかるようになるかもしれない。
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