個人がこれからどういった能力を身に着け、
どのように社会に貢献しようかと考えた時
世の中がどう動いているのかを把握する事は重要だ。
だが、劇的な変化がどこからともなく発生し
目に見えないところで緩やかに始まり、
あるとき虚を突いたように目の前に現れるのである。
今は、産業、企業、製品、技術などが一夜にして
興隆したり、衰退する時代だ。
常識だと思っていたことが、突然常識ではなくなる。
例えば、オンラインショップでの最大の売り上げ日は
アメリカのサイバー・マンデーだったのが、中国の独身者の日になったり、
化石燃料の生産量1位がロシアからアメリカに移ったり、
インドが宇宙船を火星周回軌道乗せた4番目の国になったり、
などのとても大きな変化だ。
技術の進歩とグローバリゼーションが加速し
常識の変化は速く、とても大きなものになっている。
リーマンショック以前の経済変化は右肩あがりで、
継続性と一貫性を持ってより豊かになっていたが、
以後では世界の労働人口の高齢化と人口不足によって、
労働者の格差がより大きくなるように思われる。
世界各地で専門性の低い個人は、
成人後も自分たちの親よりも貧しい生活を強いられる
リスクを負っているのである。
テクノロジーは指数関数のように劇的に変化するように、
消費、資源、労働力、貿易、資本などあらゆるものの変化が
予測困難なものになっている。
今日の経済は過去のものとは全くことなった様相をしている。
これからの経済のトレンド
こういった時代には個人でビジネスを成功させるチャンスがたくさん訪れる。
この章ではビジネスの種になりそうな事象をいくつか紹介する。
新しいサービス
消費者がモノを所有するというモデルは既に変化しつつあり、
いまの若い世代では、各種のサービスを使い借りて代用することになれてきている。
ジップカーやリフトといったカーシェアサービスや
ウーバーのような車両手配サービスが急速に人気を集めている。
またほかにも、インスタカートの
バーチャル・ストアといったサービスもある。
これらは技術の進展に後押しされ、
都市の高密度化のネットワークに助けられて
普及してきたサービスである。
新しいビジネスモデルは旧来のモデルを崩壊させる。
その一例がロンドン・タクシーだ。
ロンドンタクシーは旅行者にもイギリス国民にとっても
ロンドンの訪問経験を構成する要素であった。
タクシー運転手にとってこの職業は誇りを持って当然なものであり、
長年引き継いできた歴史遺産であり、自信が持つ高い技術の証明なのである。
平均12回もの試験が必要なロンドン・タクシーの運転手として働くには、
ロンドン市内の6万ものとおりの名前を記憶し、
目的地への最短ルートを答えられなくてはならない。
今まではこういった参入障壁がロンドン・タクシーの運転手たちの繁栄を謳歌する事を許してきたが、
ウーバーのようなGPS対応のアプリを使い、乗客と運転手を安く、効率的に結びつけ走行距離やルートも
分かるといった、テクノロジーを活用したビジネスモデルにとって代わられつつあるのだ。
テクノロジーの進化によって、
これまで、市場を支配してきた大企業を相手に、
小さい企業や個人でも十分に打ち負かす事ができるようになったのだ。