了解しました。過去10年間に発表された自動除草ロボットに関する論文を調査し、主要な研究動向、技術的アプローチ、代表的な研究成果をまとめます。

調査が完了しましたら、論文の概要や技術分類ごとのまとめを含めてご報告します。

自動除草ロボットの研究動向(2015〜2025年)

雑草検出技術の動向

自動除草ロボットの鍵となるのが雑草検出技術です。2015年以降、この分野では画像処理とAI(人工知能)の進歩が目覚ましく、従来の機械学習手法やルールベース画像解析に**深層学習(ディープラーニング)を組み合わせた研究が雑草検出性能を大きく向上させています。典型的には作物と雑草の画像をリアルタイムに解析して識別する方式で、近年は畳み込みニューラルネットワーク(CNN)物体検出モデル(YOLOなど)**による高精度な雑草認識が主流です。特に深層学習の導入によって、雑草検出の精度向上と開発期間短縮が実現し、従来手法では困難だった複雑な圃場条件下でも高い認識性能を示しています。

センサ技術の進展も見逃せません。雑草検出には可視光カメラによるマシンビジョンが広く使われますが、それ以外にも可視・近赤外の分光センサマルチスペクトル・ハイパースペクトルカメラLiDAR等の距離センサなど多様なセンシングが研究されています。例えば可視光+近赤外画像から植生指数を算出して雑草領域を抽出する手法や、ハイパースペクトル画像で作物と雑草の反射スペクトルの違いを学習させる手法などが報告されています。また近年では、上空からドローンで圃場全体を撮影して雑草マップを生成し、それをもとに地上ロボットが除草に向かう空陸協調の取り組みもあります。

高精度な雑草検出には大量の教師データが必要となるため、大規模な画像データセットの整備も進みました。過去5年で雑草認識用の公開データセットがいくつも作成されており、たとえばオーストラリアで公開された「DeepWeeds」データセット(8種類の雑草画像・17,509枚)などがあります。こうしたデータセットによりディープラーニングモデルの性能が向上しましたが、一方で圃場条件の多様さゆえにアノテーション負荷ドメイン適応の課題も指摘されています。このため、半教師あり学習や合成データ生成による訓練データ拡張など、教師データ作成コストを削減する研究も活発です。さらに、異なる作物間で学習したモデルを転用する転移学習により、新しい圃場環境への対応を効率化する試みも報告されています。

除草手段と技術比較

自動除草ロボットが実行する肝心の除草手段には、大きく分けて(1)機械的除草、(2)化学的除草(精密散布)、(3)レーザー除草、(4)その他(電気・熱利用など)のアプローチがあります。それぞれの特徴と研究動向を比較します。

機械的除草

機械的除草とはロボットが物理的なツールを使って雑草を取り除く方式です。具体的には爪や刃による除草(雑草の根切り、引き抜き)、土壌攪拌(土ごと雑草を埋め込む/引き倒す)、ローラー押しつぶしなどの方法があります。機械式の利点は薬剤を使わないため有機栽培に適しており、除草した雑草がその場で物理的になくなるため効果が目に見えやすい点です。例えばオーストラリアで開発されたAgBotIIでは、画像特徴量で雑草を検知し、矢じり型のホー(鍬)爪状ツール回転カッターという3種類の物理ツールを使い分けて雑草を除去しています。機械除草は作物列間(畝間)の雑草には比較的容易に適用できますが、作物周辺の雑草(列内雑草)の除去は難しく、高精度な位置制御やロボットアームが必要になる場合があります。また雑草や土壌の状況によってはツールの効果に差があり、ある研究では雑草の種類ごとに適した機械工具が異なる(例:柔らかい雑草にはひげ状の除草具、根の深い雑草にはホーが有効など)ことも報告されています。さらに機械式は土壌を撹乱するため土壌水分の蒸発表土への影響も考慮が必要ですが、近年の研究では適切な機械除草ロボットを使えば土壌への悪影響を最小限にできるとの結果も得られています。

化学的除草(精密散布)

化学的除草とは選択的な除草剤散布により雑草だけを枯死させる方式です。従来の農業では圃場全体に除草剤を散布するため薬剤過剰や環境負荷が問題でしたが、ロボットによる精密除草(スポットスプレー)技術によって飛躍的な改善が進みました。例えば米国で開発されたSee-and-SprayシステムではAI搭載カメラで走行中に作物と雑草を識別し、雑草にだけピンポイントで薬剤を噴霧します。その結果、除草剤使用量を従来比70〜90%も削減できたと報告されています。またスイスのエコロボティックス社が開発したロボット(後のAVO)も太陽電池駆動で自律走行しながら雑草へ微量の除草剤を滴下し、除草剤使用量を95%以上削減することに成功しています。精密散布の利点は除草剤耐性雑草の出現を抑えつつ環境負荷を下げられる点ですが、課題としてはロボットの視界外にある雑草(作物陰に隠れた雑草)への対応や、風など環境条件による散布精度のばらつきが挙げられます。また薬剤そのものへの依存は残るため、欧州を中心にポスト除草剤を目指す動きから次に述べるレーザーや電気式への関心も高まっています。

レーザー除草

レーザーによる除草は、近年注目を集める非化学的除草の新技術です。高出力レーザー光を雑草の茎葉部に照射し、熱ダメージで組織を破壊することで雑草を枯死させます。レーザー除草の利点は、薬剤を一切使わずに雑草だけを狙い撃ちできるため有機農業にも適用可能であり、また土壌撹乱も起こさない点です。米国ではスタートアップ企業が大型のレーザー除草ロボット(Carbon Robotics社のLaserWeederなど)を開発し、1日あたり15〜20エーカーの畑を処理できる実証結果を出しています。学術分野でもレーザー除草の研究が進み、たとえばXiongらはデュアルジンバル搭載のロボットで走行中にレーザーを照射するプロトタイプを開発し、雑草検知から照射までリアルタイムで行う連続除草に成功しました。この実験ではレーザー走査速度30mm/s、各雑草に0.64秒照射という条件で97%の照射命中率を達成しています。一方レーザー方式の課題は、単一の雑草に対して照射に時間がかかるため処理速度が遅いこと、高エネルギーレーザーの安全性確保、そして電源・エネルギー効率の問題です。特にエネルギー消費については、ディーゼルエンジンで発電してレーザー駆動する場合の環境負荷が指摘されており、電動化やエネルギー回収など改善が必要とされています。それでも、機械式や化学式と比較して的確にターゲットだけ除草できるメリットや、土壌への物理的影響がほとんどない点から、レーザー除草は今後も研究開発の重要テーマとなっています。

その他の手法(電気、熱など)

上記以外にも、多様なアプローチが試みられています。イギリスのSmall Robot Companyが開発した「Dick」というロボットは、高電圧を雑草に流して細胞を破壊する電気除草方式を採用しています。電気除草はレーザー同様に薬剤不要で、しかも一瞬の放電で作業できるため処理速度のポテンシャルが高いと考えられますが、土壌水分や雑草の大きさによって効果が変動する課題があります。熱処理による除草も研究されており、赤外線ヒーターで雑草を焼く方法や、火炎放射・マイクロ波照射によって雑草を枯死させる試みも報告されています。これら熱的方法は一度に広範囲の雑草を処理できる反面、作物への被害リスクやエネルギー効率の問題があります。また農業用無人機(ドローン)を使い、上空からピンポイントで薬剤や熱処理を行う試みもあります。このように除草手段は多岐にわたり、それぞれに一長一短がありますが、ロボット技術との組み合わせで人手除草に匹敵する効果を上げるレベルに近づいてきています。

実フィールドでの実証・評価

研究室内の実験だけでなく、実際の圃場でロボットがどれだけ効果的に除草できるかを検証する研究もこの10年で増えてきました。以下に主要な実証・評価研究の例を挙げます。

  • ロボット除草 vs. 人手除草の比較: イスラエルの研究では、市販の機械除草機「Robovator」を用い人手除草と効果を比較しました。その結果、ロボットによる機械除草は人力に比べ除草作業の労力削減に貢献し、手取り除草への依存を大幅に低減できることが示されました。これはロボットの精密な機械除草が人手の代替になり得ることを示す好例です。
  • 除草ロボット群と従来除草法の比較: ドイツでは7種類の最新ロボット除草システム(レーザー式・機械式・精密散布式など)を用い、砂糖大根や油菜の圃場で2021〜2022年に大規模な比較試験が行われました。その結果、ロボットによる除草後の雑草密度は、従来の一斉除草剤散布と同等以上に低減し、ロボットによっては除草効果93%(除草剤は平均83%)という高い制御率も記録されました。さらにロボット方式では大幅な除草剤節減効果も確認され、一部の区画では従来比75〜83%の除草剤削減が報告されています。この研究はロボット除草が化学除草と遜色ない効果を発揮し得ること、そして環境負荷低減に資することを実証しました。
  • 水田でのロボット除草効果: 日本では水稲有機栽培の現場で小型除草ロボット(愛称「アイガモロボット」)を用いた実証が行われています。岐阜県の研究では、ラジコン操作や自動走行が可能な小型ロボットを水田に投入し、移植後約5〜6週間にわたり週2回圃場を走行させました。その結果、無処理区と比べて雑草発生本数を3〜12%程度にまで抑制でき、乾物重でも9〜52%程度に低減しました。さらに除草ロボットによる管理田では、収量が慣行の除草剤区と同等レベルまで確保できることも報告されています。これはロボット除草のみで化学除草並みの収量を達成できた例として注目されます。
  • その他のフィールド評価: 果樹園における雑草管理では、市販の自動芝刈りロボットを導入し、人手による刈払いとコストや効果を比較した研究があります。この例では、小規模圃場でロボット草刈りが経済的に有利となり、除草効果も良好であったと報告されています。また環境面の評価として、ディーゼル駆動ロボットと電動ロボットで機械除草を行った際のエネルギー消費や土壌への影響を比較した研究では、ロボット除草は従来法よりエネルギー効率が高く、土壌への物理的影響(踏圧)も小さいことが示されています。このように各国で実際の作物圃場を用いた実証が進み、ロボット除草の実用性や有効性が次第に明らかになってきました。

プロトタイプとプラットフォーム(商用化志向)

研究段階を経て商用化を視野に入れたロボット・プラットフォームの開発も盛んです。大学や研究機関のプロトタイプがベースとなり、スタートアップ企業や大手農機メーカーが製品化に乗り出した例も多数あります。主要なロボット除草システムを以下の表にまとめます。

システム名(国・年) 採用技術 特徴・成果(概要)
BoniRob(ドイツ・2015年) 機械式(物理破壊) Bosch社の試作機。RGB・NIRカメラで雑草を識別し、ラム棒で雑草を物理的に打撃して除草する。畑の自動走行試験で、人手の重労働を削減する先駆けとなった。
Ladybird(豪州・2015年) 精密散布(化学) シドニー大学が開発した多機能ロボット。ハイパースペクトル・熱カメラで作物と雑草を検知し、6軸ロボットアームの先端ノズルから微量の除草剤をピンポイント散布。太陽光下でも安定稼働し、野菜畑での試験で高精度除草を実証。
AgBotII(豪州・2015年) 機械式(複合ツール) クイーンズランド工科大学(QUT)が開発した大型ロボット。画像特徴(LBPや共分散)で雑草・作物を識別し、矢じり型ホー、爪歯ツール、回転カッターの3種ツールで様々な雑草に対応。綿花畑などで試験運用され、商用化も視野に入るプラットフォーム。
EcoRobotix AVO(スイス・2020年) 精密散布(化学) スイス発のスタートアップ製ロボット。太陽電池で駆動し広大な圃場を自律走行。カメラと機械学習で雑草検出後、選択的に微量の薬剤を噴射。従来比で除草剤使用量を20分の1に削減可能と報告。1日あたり最大10ha処理。
LaserWeeder(米国・2021年) レーザー照射 米Carbon Robotics社が開発した市販モデル。マルチスペクトルカメラで雑草を検出し、高出力レーザーを照射して雑草を瞬時に焼却する。1台で1日15〜20エーカー処理可能で、複数の農場でベータテスト済み。薬剤不要で大規模農場の除草自動化を実現する先駆け。
Tertill(米国・2017年) 機械式(芝刈り) 米Franklin Robotics社が開発した家庭菜園向け小型ロボット。太陽電池で駆動し、防水ボディで庭や農地を自律走行。高さセンサーで低い植物(雑草)だけを認識し、小型の刈り取り刃で切除する。手軽な雑草管理ツールとして市販化。
Adigo(ノルウェー・2019年) 精密散布(化学) ノルウェー農大と企業Adigo社が開発した自動走行プラットフォーム。カメラで雑草検出後、必要最小限の除草剤液滴を滴下するドロップレット散布方式を採用。圃場実験では除草剤使用量を10分の1以下に削減しながら全雑草を制御することに成功。
水田除草ロボット(日本・2018年) 機械式(泥水攪拌) 九州沖縄農業研究センター等が試作した水田用ロボット(愛称:アイガモロボット)。水田の条間を自律走行しつつ、プロペラやチェーンで水と泥を攪拌して雑草を埋没・抑制する方式。日欧での水田実証で雑草抑制効果を確認。国内では有機稲作への普及が期待される。
Tom/Dick(英国・2020年頃) 電気式(高電圧除草) 英Small Robot Company社が開発したロボット群。Tomは圃場を走行しAIで雑草位置をマッピング、Dickがその位置に移動して電気パルスを雑草に与え除草する(Harryは播種ロボット)。化学剤不使用で環境調和型。英国で試験運用中。
See-&-Spray(米国・2020年) 精密散布(化学) 米Blue River社(John Deere傘下)の自走式スプレーヤ。カメラとディープラーニングで走行中に雑草検出し、細径ノズルで各雑草に除草剤をスポット噴射。実証では除草剤70〜90%削減を達成し、大規模畑作での実用が進む。

上記の他にも、多くのプロトタイプが近年登場しました。例えばBosch社と欧州研究機関が開発したDeepField Robotics(深場ロボティクス)のシステムは、マルチロボットで圃場をカバーすることを目指し、UAVとUGVの協調による雑草探索・除草も検討されています。またEUのWeLASERプロジェクトではレーザー除草ロボットの実用化に向けて国際共同研究が行われ、環境影響評価や最適レーザー照射技術の開発が進められました。このように研究室段階から実フィールド段階へと技術が移行する中で、商用化を見据えたプラットフォーム構築が各国で活発に行われています。

主な研究拠点・研究グループ

自動除草ロボットに関する研究は世界各地の大学・研究所で進められており、過去10年間でいくつかの拠点が特に大きな役割を果たしました。

  • 日本: 農研機構(NARO)をはじめとする国立研究機関や大学が中心です。例えば岐阜県農業技術センター(情報技術研究所)は水田用小型除草ロボットの開発を主導し、圃場での抑草効果を詳細に検証しました。福井大学や会津大学なども水田ロボットや傾斜地対応ロボットの研究を行っています。近年は熊本県立大などで水田内を球体ロボットが転がって除草するユニークな試みも報告されています。日本では特に水稲や**畦畔(あぜ)**の除草ロボットに強みがあり、実用化へ向けた地域コンソーシアム(深谷市の露地野菜ロボット開発など)も組成されています。
  • 欧州: 農業ロボット研究の先進地域で、ドイツではボン大学やフラウンホーファー研究所がBoschと協力してBonirobを開発しました。またホーエンハイム大学の雑草科学グループはロボット除草の圃場試験(前述の7機比較試験など)を精力的に行っています。デンマークのオーフス大学は雑草画像データセット(Plant Seedlings Dataset等)の公開や機械学習による雑草分類研究で知られます。フランスではINRIAやCNRSがロボット農機研究を推進し、スタートアップのNaïo社(OzやDinoというロボット除草機を市販)が台頭しました。スイスではスイス連邦工科大ローザンヌ校(EPFL)発のエコロボティックス社が精密散布ロボットを商用化しています。欧州全体で、機械除草からレーザー除草まで幅広い技術領域の研究拠点が存在します。
  • 北米: オーストラリアはシドニー大学のACFR(オーストラリアセンター・フィールロボティクス)がLadybirdやRIPPAなど先駆的なロボットを多数開発し、精密農業ロボット研究をリードしました。米国ではスタンフォード大学出身者が起業したBlue River社の成果が大きく、See-&-Spray技術で商用化に成功しました。学術面では、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)の研究から生まれたEarthSense社が小型ロボット(TerraSentiaシリーズ)を展開し、雑草検出・圃場モニタリングに活用しています。またカーネギーメロン大学やカリフォルニア大学デービス校なども精密除草機械の研究実績がありますが、北米では大学よりも企業主導で製品化まで進める例が顕著です。
  • 中国・その他: 中国でも近年この分野の研究が活発で、上海大学の知能装備与ロボット研究室は雑草検出やマルチロボット協調除草に関する包括的なレビューを発表するなど、国内研究を牽引しています。また中国農業大学や浙江大学でも圃場ロボットの研究があります。その他、インドやブラジルでも雑草管理ロボットの研究が立ち上がり始めています。国際会議やジャーナルを通じて各国の知見が共有され、近年は国際プロジェクトとして複数国の研究者が協力する動きも見られます。

以上、2015年から2025年にかけての自動除草ロボットに関する研究動向を、雑草検出技術、除草手段、実証事例、プラットフォーム開発、研究拠点の観点から概観しました。近年の深層学習やロボット工学の進歩により、ロボットが畑や水田で自律的に雑草を見分けて除去するというビジョンは着実に現実味を帯びています。しかし一方で、環境条件の変動への適応、エネルギー効率、経済性など克服すべき課題も残されています。今後はこれら課題に対する研究がさらに進み、労働力不足や環境負荷の問題解決に寄与するスマート除草ロボットの実用化が加速すると期待されます。

参考文献: 自動除草ロボットに関する学術論文・報告書(2015〜2025年)ほか.

 

自動除草ロボットに関して私ができることはなんですか?

 

自動除草ロボットに取り組むにあたって、技術者/研究者としてご自身でできるアクションをいくつかご提案します。ご関心やご経験に合わせて取り組んでみてください。


1. 研究・論文発表

  • 既存手法の再検証と改良
    • DeepWeeds 等の公開データセットを使い、最新の物体検出モデル(YOLOv8, Detectron2 など)で雑草検出の再現実験を行い、精度・推論速度を定量評価。
    • 転移学習や半教師あり学習で少データ環境下の汎化性能を改善する手法を提案し、国際会議(ICRA, IROS, RA-Lなど)に投稿。
  • 新規センシング/アルゴリズム
    • マルチスペクトル+LiDAR センサ融合による「影に隠れた雑草検出」や、時系列情報を活かした動画ベース認識アルゴリズムを研究。
    • エネルギー消費を最小化するパスプランニング(例:TSP 問を応用した畝間最適走行経路)や、強化学習によるリアルタイム制御の検討。

2. プロトタイピング・ソフトウェア開発

  • 低コストプロトタイプ制作
    • Raspberry Pi+カメラモジュール+小型モーターで試作機を組み、ROS 2/OpenCV ベースで雑草検出→駆動→除去ツール(小型ホーやブレード)を動かす初歩的デモを作成。
    • 3D プリンタで除草爪やマウント部品を自作し、CAD(Fusion 360)→3Dプリント→組み立てまでのワークフローを確立。
  • シミュレーション環境の構築
    • Gazebo や Webots 上に「畑環境モデル」を作り、仮想ロボットの雑草検出・除去戦略をテスト。センサノイズや地形凹凸も再現して堅牢性を検証。

3. フィールド実証・データ収集

  • 小規模圃場での試験運用
    • 自宅や近隣の農園/コミュニティガーデンに協力を依頼し、実際の土壌・雑草種でロボットを走行させてデータ取得。
    • 雑草と作物のラベル付き画像データベースを独自に構築し、オープンデータとして公開すると学術貢献につながります。
  • 環境条件の定量評価
    • 乾燥/湿潤、日射変化、凹凸地形といった複数条件下でのセンシング・除草性能を測定し、ロバスト化手法を検討。

4. コラボレーション・コミュニティ参画

  • 学術・産業の連携
    • 地元の農業試験場や農業法人、大学研究室とコンソーシアムを組み、共同開発プロジェクトを立ち上げ。実証圃場の提供や実装支援を得るのが効率的です。
  • オープンソースコミュニティ
    • AgOpenGPS や FarmBot、Small Robot Company の GitHub リポジトリにコントリビュートし、実装ノウハウを吸収・発信。
    • Kaggle や DrivenData の農業関連コンペに参加して雑草検出モデルを競い、技術力をアピール。

5. ビジネス/社会実装に向けた活動

  • 市場・ユーザーニーズ調査
    • 有機農家や高齢農業従事者へのインタビューを行い、現場で本当に求められている機能(自律度、メンテナンス性、コストなど)を明確化。
  • 実証実験・助成金活用
    • 地方自治体や国の「スマート農業」助成金・研究助成金を活用し、パイロット実証を支援金でまかなう。
  • スタートアップ視点
    • MVP(Minimum Viable Product)として小型家庭菜園向けの簡易ロボットを作り、クラウドファンディングや展示会で市場反応を探る。

まとめ
技術力を活かしてまずは小規模プロトタイプを作り、データ収集→アルゴリズム改善→フィールドテスト→論文化/オープンソース公開、といったサイクルを回すのがおすすめです。並行して産学官連携やコミュニティ参画を進めれば、開発スピードと実用化可能性が格段に高まります。ぜひ、あなたの得意分野から一歩ずつ取り組んでみてください!