ア:体心立方 - 常温での純鉄(Fe)は体心立方構造(BCC)であり、α-Feと呼ばれます。 イ:強磁性 - α-Feは強磁性を示します。 ウ:コバルト - コバルトも常温で強磁性を示す金属の一つです。 エ:収縮 - 純鉄を加熱してγ-Fe(オーステナイト)へ相変態すると収縮します。 [解答]③ 参考:
γ-Fe(オーステナイト)への相変態時にはどのように変化するか教えてください?
γ-Fe(オーステナイト)への相変態について、以下のように説明します。 α-Fe(フェライト)からγ-Fe(オーステナイト)への相変態 結晶構造の変化: α-Fe(フェライト)は体心立方構造(BCC)を持っています。 γ-Fe(オーステナイト)は面心立方構造(FCC)を持っています。 密度の変化: フェライトからオーステナイトへの相変態に伴う結晶構造の変化により、体積が変化します。 BCC構造からFCC構造への変化は、一般的に密度が増加し、体積が減少します。 収縮について フェライト(BCC)からオーステナイト(FCC)への相変態時には、結晶構造がより密な面心立方構造になるため、体積が減少し、結果として収縮が起こります。 結論 したがって、γ-Fe(オーステナイト)への相変態時には収縮が正しい表現となります。 過去問ドットコム アルミニウムの結晶構造と単位胞と配位数
体心立方、面心立法、六方最密構造に分類される金属を教えてください
金属の結晶構造は、体心立方(BCC)、面心立方(FCC)、**六方最密構造(HCP)**の3つに分類されることが多いです。それぞれの構造に分類される代表的な金属を以下にまとめます。 1. 体心立方構造(BCC: Body-Centered Cubic) 特徴: 原子は単位格子の各頂点と中心に配置される。 原子の充填率は約68%で、密度はやや低い。 多くの場合、高温や強磁性を示す金属がこの構造を持つ。 代表的な金属: 鉄(Fe): α−Fe(常温) クロム(Cr) モリブデン(Mo) タングステン(W) バナジウム(V) ナトリウム(Na)(常温) 2. 面心立方構造(FCC: Face-Centered Cubic) 特徴: 原子は単位格子の各頂点と各面の中心に配置される。 原子の充填率は約74%で、BCCよりも密に詰まっている。 延性・展性に優れる金属が多い。 代表的な金属: 鉄(Fe): γ−Fe(高温) アルミニウム(Al) 銅(Cu) 金(Au) 銀(Ag) ニッケル(Ni) 鉛(Pb) 白金(Pt) 3. 六方最密構造(HCP: Hexagonal Close-Packed) 特徴: 原子の充填率は約74%で、FCCと同じく非常に密。 強度が高く、靭性が低い傾向がある。 一部の金属はこの構造を持つ。 代表的な金属: チタン(Ti) マグネシウム(Mg) 亜鉛(Zn) コバルト(Co) ジルコニウム(Zr) カドミウム(Cd) ベリリウム(Be) 補足: 温度や圧力による構造変化 鉄(Fe): 常温ではBCC構造(α−Fe)。 約912℃以上でFCC構造(γ−Fe)。 さらに1394℃以上では再びBCC構造(δ−Fe)。 コバルト(Co): 常温ではHCP構造。 高温でFCC構造。 この分類は、金属の物理的特性や用途を理解するうえで非常に重要です。それぞれの構造は、金属の強度、延性、耐熱性などの性質に大きな影響を与えます。
体心立方構造は脆いですか?
体心立方構造(BCC)の金属は、他の結晶構造と比較すると一般的に脆い傾向がありますが、それは条件や金属の種類によります。 体心立方構造と脆さの理由 すべり面の数が少ない BCC構造は、結晶内で原子がすべる(塑性変形を起こす)ための「すべり面」の数が少ないです。 そのため、外部からの応力を受けた際に、塑性変形が起こりにくく、割れやすい(脆性が高い)ことがあります。 低温での性質 BCC構造の金属は低温で脆くなる「低温脆性」を示すことがあります。 例:鉄(Fe)やモリブデン(Mo)は低温では脆くなるが、高温では延性が向上します。 結晶構造の密度 BCC構造は、原子の充填率が約68%と低く、FCCやHCP構造よりも緩い構造です。そのため、密な構造ほどの強い結合力を持ちません。 体心立方構造の金属の特徴 一般的な性質: 高温では塑性変形しやすくなる。 強度は高いが、延性(曲げや伸び)が低い。 脆性が問題となる場合もある。 例外: 一部のBCC金属は、微細構造や合金化によって延性を高めることが可能です。 脆さの比較: BCC vs. FCC vs. HCP BCC(体心立方): すべり面が少ないため、低温では脆くなる傾向。 例:鉄(常温)、クロム、タングステン。 FCC(面心立方): すべり面が多く、延性・展性に優れる。 例:アルミニウム、銅、金。 HCP(六方最密構造): すべり面が少ないが、原子の密度が高い。一般的には硬く、延性は低い。 例:マグネシウム、チタン。 体心立方構造の脆さを克服する方法 合金化 他の元素を添加して、BCC構造を持つ金属の延性や強度を向上させます。 例:クロムやモリブデンを添加した鋼。 熱処理 焼き入れや焼き戻しなどの熱処理で、材料の微細構造を調整し、脆さを軽減します。 温度制御 使用温度を適切に設定することで、脆性を避けることが可能です。 結論: 体心立方構造の金属は、すべり面が少なく、低温で脆くなる傾向がありますが、設計や処理次第で延性を高めることが可能です。用途に応じた工夫が重要です。