モータ

DCサーボモータ

他のモータと比べて、制御性や広範囲の速度制御可能などの性能面で非常に優れているものの、ブラシ、整流子の機械的摺動部があることからモータに摩擦トルクが存在し、この摺動部に寿命があるという欠点がある。

ACサーボモータ

速度制御は、ポールセンサとして組み込まれているパルスジェネレータの信号から速度信号を実現しているため、低速領域ではタコジェネレータを組み合わせたDCモータより速度制御性能は劣ることが多い

ステッピングモータ

外部からの入力信号により、閉ループで制御することができるので、低価格。制御が比較的簡単

DDモータ

DDモータ(Direct Drive Motor)は、直接駆動方式を採用したモータの一種です。ここではDDモータの特徴や利点、用途について説明します。

特徴
ギアボックスやベルトが不要: 伝達機構(ギアやベルト)を必要とせず、モーターの回転を直接負荷に伝えることができます。

高い効率と精度: 伝達機構がないため、エネルギーロスが少なく、高い効率と精度で動作します。

低いメンテナンス要件: ギアやベルトなどの摩耗部品がないため、メンテナンスの必要性が低減されます。

高いトルク: モーターは低速で高トルクを発生することができ、スムーズな運動が可能です。

コンパクト: 伝達機構がないため、スペース効率が良く、コンパクトな設計が可能です。

利点
効率: エネルギー変換の効率が高く、省エネルギーに貢献します。
制御精度: ダイレクトドライブにより、高い位置決め精度と繊細な速度制御が可能です。
低振動・低騒音: 伝達部品がないため、振動や騒音が少ないです。
用途
産業用ロボット: 精密な動作が要求される産業用ロボットに多く使用されます。
CNC機械: 高い精度が必要な加工機械での使用が一般的です。
高精度位置決め装置: 精密な位置決めが求められる機器に適しています。
注意点
コスト: 高性能な特性のため、従来のモーターシステムに比べて初期コストが高いことがあります。
設計の複雑さ: 直接駆動方式を適切に設計するには専門的な知識が必要です。
DDモータはその高い効率と精度から、特に高性能が求められる産業用途に広く採用されています。

超音波モータ

超音波モータ(Ultrasonic Motor)は、超音波振動を利用して動作する一種の電動モータです。以下でその特徴、動作原理、利点、欠点、および用途について詳しく説明します。

特徴
動作原理: 超音波モータは、圧電素材やマグネトストリクティブ素材を振動子として使用し、これらの素材に高周波の電圧を印加することで超音波振動を発生させます。この振動が摩擦力を介してローターやスライダーに伝達され、動きを生み出します。

低速・高トルク: 超音波モータは低速で高いトルクを発生することが可能です。

コンパクト: 比較的小型であり、限られたスペースにも適用可能です。

静粛性: 動作時の騒音が非常に低いです。

利点
直接駆動: ギアやベルトなどの間接的な駆動機構を必要としません。
高精度な位置制御: 停止時のホールドトルクが大きいため、精密な位置制御が可能です。
非磁性: 電磁場を発生させないため、磁場に敏感な機器の近くで使用できます。
エネルギー効率: 待機時の消費電力が少ないです。
欠点
熱問題: 長時間の連続使用により発熱することがあります。
複雑な制御: 高周波の電圧を正確に制御する必要があります。
コスト: 製造コストが高い場合があります。
用途
精密機器: 顕微鏡や光学機器の精密な位置調整など、高い制御精度が要求される用途に適しています。
医療機器: MRIなどの磁場に影響を受けやすい環境での使用に適しています。
自動車: 自動車のパワーステアリングシステムなどにも使用されています。
超音波モータはその独特な特性から、特定の高精度や静粛性が求められる用途に特に適しています。

リニアモータ

リニアモータは、回転運動ではなく直線運動を生成する電動モータの一種です。その特徴、動作原理、利点、欠点、および用途について説明します。

特徴
動作原理: リニアモータは、通常の回転型電動モータの原理を直線状に展開したものです。電磁誘導(または同期)の原理を利用して、磁場の中でコイルまたは導体を直線的に動かします。

構造: 一般的なリニアモータは、移動する部分(スライダーまたはプランジャー)と静止する部分(ステーター)で構成されています。

直線運動: 従来のモータが生成する回転運動を歯車やベルトを介して直線運動に変換する代わりに、リニアモータは直接的に直線運動を生成します。

利点
高速運動: リニアモータは非常に高速で動作することができます。
高精度制御: 直線運動のため、非常に精密な位置制御が可能です。
低メンテナンス: 回転部品や変速機構がないため、メンテナンスが少なくて済みます。
スムーズな動作: 機械的な伝達機構が不要なので、スムーズで静かな運動が可能です。
欠点
コスト: 製造および設置のコストが高い場合があります。
熱管理: 高出力のアプリケーションでは熱管理が課題となることがあります。
制御の複雑さ: 高度な制御システムが必要になることがあります。
用途
輸送システム: リニアモータは、リニアモーターカーやマグレブ列車などの高速鉄道システムで使用されています。
自動化およびロボティクス: 工場の自動化ラインやロボットアームなど、精密な動きが必要なアプリケーションに適しています。
医療機器: MRIスキャナーなど、精密な動きが求められる医療機器に使用されます。
リニアモータは、その特有の直線運動の特性から、特定の高速度や高精度が求められる多くの先進的なアプリケーションで利用されています。

新光電子:リニアDCサーボモータ

 

ボールねじ

ボールねじは、ねじ軸、ナット、ボールなどから構成されており、モーターなどの回転運動を直線運動に変換する機械要素です。(直線運動を回転運動に変換することも可能です。)
ボールねじのボールは、ナットとねじ軸との相互間に転がり、接触により摩擦力が大幅に軽減するため、機械効率が向上し、高い位置決め精度が維持されます。

精度

ボールねじのリードとは
リードとは、 ねじ軸・ナットの一方が1回転したときに、もう一方が軸方向に進む距離のことで、ボールねじが直線運動をする際の一回転の送り量です。ナットを1回転させた場合、元の位置からリードの距離だけ移動します。

ボールねじの精度等級
ボールねじの精度等級は、0等級、1等級、3等級、5等級、7等級、10等級に区分され、数字が低いほど精度が高いボールねじです。一般的に、class のCを付けてC0~C10と表記されます。C0、C1、C3、C5の4等級を精密ボールねじ、C7、C10の2等級を一般ボールねじと規定されています。

ボールねじのリード精度
どんなに精密なボールねじでも、リードの誤差は必ず生じます。リードの正確さをリード精度といい、リードの誤差を移動量誤差といいます。許容されるリードの誤差は、ボールねじの精度等級によって決まっています。ボールねじのリード精度は、JISにより、①累積代表リード誤差、②変動(全長)③変動(300mm)、④変動(1回転)の4特性で規定されています。

参考:ボールねじのリードと精度を徹底解説

 

スティックスリップ

接触する二物体が滑るとき,連続的ななめらかな滑りにならず,滑りと固着が交互に起きる間欠運動.摩擦系に弾性ばねを含むと,接線力の増加に伴うばねの変位の増加が弾性エネルギーを増加させ,限界に達するとエネルギーの解放としてみかけの滑り速度より大きな滑りが生じる.やがてそれらの相対速度が0になると固着する.これが繰返される.材料の組合せや,静摩擦と動摩擦との差,摩擦-速度特性が負,二面間の潤滑状態,滑り速度,摩擦系の質量,ばね定数,固有振動数,減衰性などが影響因子となる.

スティックスリップ

 

位置決め機構の基礎

アッべの原理

アッベの原理(Abbe’s principle)は、測定器の設計と精度に関する重要な原則です。この原理は、ドイツの物理学者エルンスト・アッベにちなんで名付けられました。以下でアッベの原理の概要とその重要性について説明します。

アッベの原理の概要
アッベの原理は、測定精度を最大化するための基本的なガイドラインを提供します。この原理によれば、測定対象と測定スケールを同一線上(または平行)に配置することが理想的です。つまり、測定対象と測定スケールの間の角度誤差や偏心誤差を最小限に抑えるためには、両者を可能な限り近接させる必要があります。

重要性
角度誤差の最小化: 測定対象と測定スケールが同一線上になければ、少しの角度の変化が大きな測定誤差を引き起こす可能性があります。
偏心誤差の最小化: 測定対象とスケールが離れていると、測定システムの軸の偏心やねじれが測定誤差に大きく影響します。
高精度測定: 特に精密測定を必要とする機器や実験では、アッベの原理に従うことで、より正確な測定結果を得ることができます。
応用例
精密測定器: 顕微鏡、光学測定器、測定マイクロメーターなど、高精度が求められる測定器の設計において、この原理が広く適用されています。
アッベの原理は、測定精度を高めるための基本的な設計ガイドラインとして、多くの精密測定機器や装置の設計において重要な役割を果たしています。測定誤差を減少させるためには、この原理に従った設計が不可欠です。

 

やむなくあっべぼ原理に従えない機構になったときは、距離をできるだけ小さくする、案内面の精度を出す、駆動軸と案内の摺動面を一致させることが重要

 

参考:超精密位置決め技術