私たちの暮らしも経済活動も、地球から資源やエネルギーを取り出すことで営まれている。
また、暮らしや経済活動で不要になったものは、廃棄物として地球に戻される。
私たちの暮らしも経済活動からみると、地球は資源やエネルギーの「供給源」であり、廃棄物の「吸収源」でもある。
「供給源」としての地球から供給されるものは、木材、魚、淡水、太陽光や風力といった」「再生可能な資源」もあれば、
石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料や鉱物資源といった「再生不可能な資源」もある。
言うまでもなく、再生不可能な資源は使い切ったら、あとは使えなくなる。
再生可能な資源は、その資源が再生するペースを超えなければ持続可能に使い続けることが出来る。
他方、「吸収源」としての地球に吸収してもらう廃棄物も、地球が吸収し、無害化できるペースを超えずに排出していれば、問題ない。
しかし、それを超えてCO2が排出されているために温暖化が生じるように、地球の吸収力を超えて廃棄物を排出するのは持続可能ではない。
また、自然由来ではない人工物のように、そもそも地球には吸収できないものもある。
言うまでもなく、そういったものを排出し続けるのは持続可能ではない。
「これは環境問題だ」というとき、「供給減としての問題」と「吸収源としての問題」を区別することが肝要だ。
ごっちゃになったままでは議論がかみ合わないことがよくあるからだ。
プラスチックの問題で言えば、数十年前に「レジ袋をやめよう」という運動が広がったことがあった。
そのときの主な理由は「化石資源は枯渇するから」であった。
そこで、業界団体から、「レジ袋は原油を精製する過程で生じるナフサを使って製造してるのだから、レジ袋をやめても化石燃料の保存には関係ない」
という声があがり、運動の勢いは失われた。ここでの問題は「供給源としても問題」であった。
昨今の「レジ袋をやめよう」という動向は、「吸収源としての問題」への対処として出ていることに留意したい。
たとえ、資源面で問題がなくても、製造・使用・廃棄されたレジ袋が道ばたや世界中の海に散逸し、
もともと自然環境では、分解されないプラスチックごみとしてたまり続けていることが問題となっているのである。
「化石資源ではなく、再生可能な生物資源で作ったバイオマスプラスチックです」といわれても、
「そのプラスチックが海洋などの自然環境で分解し、消えていくものでない限り、現在問題とされている
プラスチックごみの解決策にはならない」と答えなくてはならない。
この区別を忘れないようにしたい。
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