解きます。

条件

2次元非圧縮性流なので連続の式は ux+vy=0.\frac{\partial u}{\partial x}+\frac{\partial v}{\partial y}=0.   与えられた u=x2+xyu=x^2+xy について、 ux=2x+y,\frac{\partial u}{\partial x}=2x+y,   よって vy=(2x+y).\frac{\partial v}{\partial y}=-(2x+y).   これを yy について積分すると、 v=2xy12y2+g(x),v=-2xy-\frac{1}{2}y^2+g(x),   ただし g(x)g(x) yy に依存しない任意関数(境界条件で決まる)。 選択肢の中でこの形を満たしているのは ① v=2xy12y2v=-2xy-\frac{1}{2}y^2 g(x)=0g(x)=0 の場合)だけ。

答え

① 参考:連続の式 | 副業の宮殿【PR】 技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-30解答例 | 技術士のたまご

積分定数はどのように扱われますか?あとxの関数なのですか?

はい。ここで出てきた「積分定数」は偏微分を yy についてやったから出てくるもので、 yy に関して微分すると消える任意の関数なので、厳密には定数ではなく xx の関数になります。だから: vy=(2x+y)v(x,y)=2xy12y2+g(x)\frac{\partial v}{\partial y}=-(2x+y) \quad\Rightarrow\quad v(x,y) = -2xy - \frac{1}{2}y^2 + g(x)   のように書き、 g(x)g(x) が “積分定数” に相当する項(ただし yy には依存しないので、 /y\partial/\partial y すると消える)。

どう扱うか

その関数 g(x)g(x) を決めるには追加の条件(境界条件・対称性・物理的制約など)が必要です。例:
  • もし「 y=0y=0  で v(x,0)=0v(x,0)=0  」という条件があれば: v(x,0)=2x01202+g(x)=g(x)=0v(x,0) = -2x\cdot0 - \tfrac12\cdot0^2 + g(x) = g(x) = 0なので g(x)=0g(x)=0となり、解は v=2xy12y2v=-2xy-\tfrac12y^2
  • あるいは、全体の流れに対して「ある xx  に沿っての vv  の分布」が与えられれば、それを代入して g(x)g(x)  を求める。

補足:ストリーム関数を使うと構造が見える

非圧縮性2次元流れではストリーム関数 ψ(x,y)\psi(x,y) が存在して u=ψy,v=ψx.u = \frac{\partial \psi}{\partial y},\quad v = -\frac{\partial \psi}{\partial x}.   与えられた u=x2+xyu=x^2+xy から ψ=udy=x2y+12xy2+f(x),\psi = \int u\,dy = x^2 y + \frac{1}{2}x y^2 + f(x),   すると v=ψx=2xy12y2f(x).v = -\frac{\partial \psi}{\partial x} = -2xy - \frac{1}{2}y^2 - f'(x).   よって g(x)=f(x)g(x) = -f'(x) という形で前と一致し、任意関数成分の起源が分かります。

まとめ

  • 偏微分を yy  で積分したときの「積分定数」は yy  に依存しない任意関数 g(x)g(x)  。
  • それを決めるには境界条件などの追加情報が必要。
  • ストリーム関数を使うとその任意性が微分の結果として自然に現れる( g(x)=f(x)g(x)=-f'(x)  )。
必要なら具体的な境界条件付きの例を一緒に解きますが、どれがよいですか?

連続の式は速度の微分なので、加速度の和が0ということですか?

  とても良い着眼点です。 結論から言うと:
❌ いいえ。連続の式(∂u/∂x + ∂v/∂y + ∂w/∂z = 0)は、加速度の和が0という意味ではありません。 ✅ これは「質量保存(非圧縮性なら体積保存)」を表す式で、速度の発散がゼロという意味です。

🔹 1. 連続の式とは

流体の質量保存を表す基本式です。 一般形は [ \frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{v}) = 0 ] であり、非圧縮性(密度一定)の場合は: [ \nabla \cdot \mathbf{v} = 0 ] すなわち [ \frac{\partial u}{\partial x} + \frac{\partial v}{\partial y} + \frac{\partial w}{\partial z} = 0 ] これは「ある微小体積の中に入る流量と出る流量が等しい(質量が増減しない)」ことを意味します。

🔹 2. 「速度の微分」ではあるが「加速度」ではない

  • (\frac{\partial u}{\partial x}), (\frac{\partial v}{\partial y}) は「位置に対する変化率」であり、 空間的な変化(発散=流れの膨張や収縮)を示しています。
  • 一方、加速度は「時間に対する変化率(運動の変化)」です: [ \mathbf{a} = \frac{D\mathbf{v}}{Dt} = \frac{\partial \mathbf{v}}{\partial t} + (\mathbf{v}\cdot\nabla)\mathbf{v} ]
したがって、「速度の空間微分=発散(流量の変化)」と 「速度の時間微分=加速度(運動の変化)」はまったく別の概念です。

🔹 3. 直感的な理解

  • 連続の式(発散=0) → 空間的に流体が「わき出たり消えたり」していない。 → 微小体積の質量が一定。
  • 運動方程式(加速度=力/質量) → 流体粒子が時間的にどのように加速するか(ニュートンの第2法則)。
つまり、連続の式は流れのつながり(質量保存)を表し、 運動方程式(ナビエ–ストークス式)は流れの変化の原因(力学)を表します。 どちらも速度が関係しますが、導関数の方向(空間 or 時間)が違います。

🔹 4. まとめ

内容 物理的意味
連続の式:(\nabla\cdot\mathbf{v}=0) 速度の空間微分 質量(体積)保存、膨張ゼロ
運動方程式:(\rho \frac{D\mathbf{v}}{Dt} = \text{力}) 速度の時間微分 加速度=力による変化

ご希望があれば、「連続の式と運動方程式の違いを図で示す教材風イラスト(流線と体積の関係)」を作成することもできます。作ってみましょうか?