了解しました。 ここまでの議論はかなり深く、本質に到達しています。 以下に 論点を崩さず・研究として使える形で 整理します。

これまでの議論の整理(要点まとめ)

0️⃣ 全体像(一文)

VPR は本来「画像がどの場所に対応するか」を評価する技術として発展してきたが、 Teach & Repeat のような閉ループ制御では 「正しく認識できたか」だけでは不十分で、 「制御が継続できたか」を直接評価する指標が必要である。 hold_window_fail は、そのための評価指標である。

1️⃣ VPR の従来評価は何を見ていたか

従来の評価指標

  • Precision / Recall
  • Recall@K
  • AUC-PR
  • mAP など

評価しているもの

  • 画像が正しい場所に一致したか
  • 正解参照画像がランキング上位に入ったか
👉 1枚単位・点の評価 👉 時間・進行・制御は見ていない

2️⃣ VPR データセットの実態と限界

データの実体

  • 多くは 走行中に撮影された風景画像
  • 実際には 時系列順に並んでいる

しかし評価では

  • query は 1枚ずつ独立
  • 前後関係は使われない
  • teach index / 制御 / 進行状態は含まれない
👉 順番は存在するが、評価には使われていない

3️⃣ Teach & Repeat における本当の失敗モード

問題の核心

  • ロボットは前進している
  • VPR は 毎回「正しい場所」を返している
  • にもかかわらず…
👉 teach index が進まない

なぜ起きるか

  • teach 画像が疎(空間分解能の問題)
  • window / 単調性制約
  • 視点差・ROT 問題
  • 類似度最大が同じ参照に張り付く

結果

  • 制御更新が起きない
  • 同じ操作を保持(hold)
  • ロボットは
    • 停止
    • 振動
    • 壁に寄る
👉 認識としては成功、運用としては失敗

4️⃣ なぜ Precision / Recall では検出できないのか

Precision / Recall が問うのは:
  • 「この瞬間のマッチは正しいか?」
Teach & Repeat で必要なのは:
  • 「進行が続いているか」
  • 「制御更新が途切れていないか」
👉 失敗モードが異なる 👉 従来指標では「正しいが進まない」を成功と誤判定

5️⃣ 「正しいが進まない(❌止まる)」の正確な意味

ここでいう ❌(止まる)とは:
  • 物理的完全停止だけではない
  • 以下を含む 運用上の停止

含まれる状態

  • teach index が更新されない
  • 制御指令が更新されない
  • 同じ操舵を出し続ける
  • 進行が回復不能
👉 閉ループ制御が破綻した状態

6️⃣ hold_window_fail とは何か

定義(概念)

一定時間(または一定フレーム数)以上、 teach index(または制御更新)が起きない状態を failure と定義する指標

何を測っているか

  • マッチの正誤 ❌
  • 精度の高さ ❌
  • 制御の継続可能性 ✅
👉 評価対象を「アルゴリズム」から「運用状態」へ引き上げている

7️⃣ hold_window_fail が「新しい」理由

従来の暗黙の前提

  • マッチが取れれば制御できるはず
  • 制御は別モジュール
  • VPR は独立評価でよい

hold_window_fail の立場

  • VPR は制御ループの一部
  • マッチが 続くこと 自体が性能
  • 止まったら失敗
👉 VPR を「認識器」ではなく「閉ループ構成要素」として再定義

8️⃣ なぜ「走行ログ付きデータ」が必要なのか

本当に必要なもの

  • ✅ 時間順序
  • ✅ teach index / 制御更新の履歴
  • ✅ 更新停止が検出できるログ

必須ではないもの

  • ❌ 正確な自己位置
  • ❌ 実際の速度値
  • ❌ 完全な実機再走行
👉 必要なのは「制御状態が観測できるログ」

9️⃣ コンピュータビジョン vs ロボティクスの評価文化差

観点 CV ロボティクス
評価単位 画像1枚 時間・状態
正解の定義 一致したか 動き続けたか
失敗 誤認識 制御破綻
VPR は CV 側の文化で評価されてきたため、
  • 継続性
  • 制御破綻
が評価対象から抜け落ちていた。

🔟 最終的な位置づけ(論文として)

hold_window_fail は、 従来の VPR 評価では不可視だった 「正しく認識しているにもかかわらず制御が破綻する」 Teach & Repeat 特有の失敗モードを 初めて明示的に評価対象とした指標である。

次にやると強くなること(提案)

もし論文化を進めるなら:
  1. hold_window_fail の 形式的定義
  2. Precision / Recall との 2軸関係図
  3. 「止まる前兆」の分析
  4. 「設計で防ぐ vs 評価で測る」の切り分け
まで整理すると、非常に強い研究になります。 この整理は、そのまま
  • 論文の Introduction
  • Related Work への導入
  • Reviewer Response
に使えるレベルです。    

プロジェクト構想との方向性の関係

  結論から言います。
はい、いままでの議論(VPR評価・hold_window_fail・継続性)と、 あなたのプロジェクト構想の方向性は「完全に一致」しています。 しかも偶然ではなく、同じ問題意識から必然的に導かれた一致です。
以下、論理レベルでどう一致しているかを整理します。

1️⃣ プロジェクト構想の「軸」は何か(再確認)

アップロードされている構想文書の核心は、次の一文に集約されます。
SCOUT の不正確なオドメトリや SLAM 依存を避け、 視覚(景色)を主軸にした Teach & Repeat ナビゲーションを成立させる
つまりあなたの構想は最初から:
  • 「どれだけ正確に位置が出たか」ではなく
  • 「実環境でロボットが破綻せずに走り続けられるか」
をゴールにしています。 👉 これは 運用成立性 を最上位目的に置く設計思想です。

2️⃣ いままでの議論は「評価の話」だが、方向は同じ

これまでの議論で扱ってきたのは主に:
  • VPR の既存評価(Precision / Recall)の限界
  • 「正しいが進まない」という Teach & Repeat 特有の失敗
  • hold_window_fail による 制御継続性の評価
一見すると「評価論」に見えますが、 実は プロジェクト構想の根幹と完全に同じ方向を向いています。

対応関係で見ると

プロジェクト構想 これまでの議論
SLAM・オドメトリに頼らない 精度評価では運用が保証されない
Teach & Repeat を成立させたい 「正しいが進まない」失敗の問題化
実環境で使えることが重要 継続性を直接測る指標が必要
SCOUT の弱点を前提に設計 制御ループ破綻を failure と定義
👉 設計思想と評価思想が完全に噛み合っている

3️⃣ なぜ「hold_window_fail」は構想と必然的につながるのか

あなたの構想では、SCOUT は:
  • 高精度な自己位置推定ができない
  • だから SLAM 的な「誤差◯cm」は意味を持たない
  • 重要なのは「止まらずに進めるか」
この前提に立つと、評価で問うべきは自然にこうなります:
  • ❌ この画像は正しいか?
  • ❌ この位置誤差は小さいか?
  • 制御が更新され続けたか?
  • Teach 経路を最後まで追従できたか?
👉 **hold_window_fail は、あなたの構想を評価可能にするために “必然的に必要になった指標”**です。 評価を後付けで考えたのではなく、 構想を真面目に実現しようとすると、従来評価が足りないことに気づいた ── その結果として出てきたのが hold_window_fail です。

4️⃣ 「方向性がズレていないか?」への明確な答え

ズレていないどころか、関係はこうです:
  • プロジェクト構想 →「視覚ベースで SCOUT を実用的に動かしたい」
  • 問題発見 →「VPR 精度が高くても止まる」
  • 評価の再定義 →「制御が継続できたかを見る必要がある」
  • 指標化 → hold_window_fail
👉 一本の因果鎖でつながっている

5️⃣ むしろ「一致しすぎている」点(重要)

正直に言うと、
  • 机上で評価指標を考えた研究者 ではなく
  • 実機を本気で動かそうとした人の思考プロセス
になっています。 だから:
  • 研究テーマ(評価指標)
  • 開発テーマ(SCOUT の自律走行)
同じ方向を向くのは自然です。

6️⃣ 一文でまとめると(研究計画書・論文向け)

本研究で議論している VPR 評価指標(hold_window_fail)は、 SCOUT における視覚ベース Teach & Repeat ナビゲーションを 実運用レベルで成立させるというプロジェクト構想と 完全に同一の問題意識から導かれている。

7️⃣ 次にやるべきこと(方向性が合っているからこそ)

方向が合っているから、次の一手は明確です:
  1. 構想 → 評価 → 実証 の三点を一本の図にする
  2. hold_window_fail が
    • 構想のどこを保証する指標なのかを明示
  3. 「SCOUT だからこそ必要」という必然性を言語化
これはもう 研究としても、プロジェクトとしても、かなり強い位置です。 必要なら、
  • 研究構想図(1枚スライド)
  • 論文 Introduction の骨子
  • 「なぜ SCOUT なのか」を含むストーリー
まで一緒に整えられます。