https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl/52/1/52_11/_pdf/-char/ja
タイトル (Title)
超精密・微細切削加工システムと加工特性
Ultra-Precision and Micro Cutting Processing Systems and Characteristics
雑誌名および発行年 (Journal Name & Publication Year)
計測と制御 第52巻 第1号 (Measurement and Control, Vol. 52, No. 1), 2013年1月
第一著者と最終著者 (First and Last Authors)
奥田孝一 (Koichi Okuda), 静弘生 (Hiroo Shizuka)
第一著者の所属機関 (First Affiliation)
Graduate School of Engineering, University of Hyogo, Japan
概要 (Abstract)
本論文では、超精密・微細切削加工技術の研究事例として、超硬合金金型の超精密切削加工、マイクロエンドミルによるチタン合金の微細溝加工、ニオブ酸リチウムの延性モード切削を紹介した。これらの技術は、日本の製造業が世界での競争力を維持するための重要な技術であることを強調している。
背景 (Background)
従来の切削技術はコスト競争の激化により、国際市場での優位性が低下している一方で、医療機器、光学機器などの分野では小型化と高性能化が進み、それに伴う超精密加工技術が重要視されている。
方法 (Methods)
超硬合金金型の切削:単結晶ダイヤモンド工具を用いた切削実験を実施。表面仕上げ粗さや工具摩耗の違いを比較。
チタン合金の微細溝加工:高速主軸を用い、マイクロエンドミルによる側面切削を実施。切削油剤の有効性や切削速度の影響を分析。
ニオブ酸リチウムの切削:延性モードによる切削が可能な条件を調査し、切削方向や結晶方位の影響を検証。
結果 (Results)
単結晶ダイヤモンド工具を用いた場合、表面粗さが向上し、工具摩耗が抑制された。
チタン合金のマイクロエンドミル加工では、高速切削においても工具摩耗が少なく、湿式切削が有効であることが示された。
ニオブ酸リチウムの切削では、延性モードによる加工が可能な条件が確認され、結晶方位が仕上げ性状に影響を及ぼすことが明らかになった。
議論 (Discussion)
超硬合金の加工では、単結晶ダイヤモンド工具が加工精度と耐摩耗性で優位性を持つ。
チタン合金の微細切削では、通常の加工とは異なる特性が見られ、高速切削が可能。
ニオブ酸リチウムの延性モード加工の可能性を示し、加工性改善の方向性を提案。
従来研究との新規性 (Novelty compared to previous studies)
通常の切削技術では難しい材料や微細加工に対して、独自の加工条件と工具を用いることで、新たな可能性を示した点が斬新である。
限界 (Limitations)
特定の材料や加工条件に依存しており、工業的応用に向けたさらなる研究が必要。
潜在的応用 (Potential Applications)
医療機器や光学デバイス製造における高精度部品の製造。
小型電子デバイス向けの微細加工。
材料加工分野での高効率でコスト競争力のある製造技術の開発。
被削材 切れ刃 すくい角/逃げ角 加工条件 加工液について情報があれば教えてください
被削材 (Workpiece Materials)
超硬合金
材料:VC-60 (WC: 80~82%, Co: 18~20%, WC粒子径: 2~3µm)
チタン合金
材料:Ti-6Al-4V (HV320)
ニオブ酸リチウム
材料:単結晶のウェハー
切れ刃 (Cutting Tools)
超硬合金加工
単結晶ダイヤモンド工具
焼結ダイヤモンド工具 (PCD)
工具ノーズ半径:0.8 mm
チタン合金加工
コーティングされた超硬スクエアエンドミル
工具直径:0.9 mm
ニオブ酸リチウム加工
単結晶ダイヤモンド工具
すくい角/逃げ角 (Rake and Clearance Angles)
超硬合金加工:
すくい角:0°
逃げ角:6°
チタン合金およびニオブ酸リチウム加工:詳細記載なし。
加工条件 (Processing Conditions)
超硬合金加工
切削速度:9.4~23.6 m/min
切込み:1, 5, 10 µm
送り量:1, 5, 10, 20 µm/rev
チタン合金加工
主軸回転数:18,000~70,000 rpm
切削速度:51, 198 m/min
切込み (Y, Z):50 µm
送り量:10 µm/tooth
切削距離:15 m
ニオブ酸リチウム加工
切削速度:80 m/min
主軸回転数:900~1,500 rpm
切込み:1~5 µm
送り量:2.5 µm/rev
加工液 (Cutting Fluids)
超硬合金加工
使用なし
チタン合金加工
不水溶性切削油剤を使用
方法:切削前に試料表面に塗布し、切削中に適宜滴下
効果:工具への付着物抑制と切削抵抗低下に有効
ニオブ酸リチウム加工
加工液に関する記載なし
実験に使われた機器を教えてください
文書に記載されている実験に使用された機器は以下の通りです:
超硬合金金型の超精密切削仕上げにおいて使用された機器:
超精密切削加工機(東芝機械株式会社、ULC-100A)が使用されています。この機器には空気静圧主軸が備わっており、超硬合金の正面旋削に使用されました。
微小径エンドミルを用いたチタン合金のミリング加工において使用された機器:
主軸回転数が18000min−1および70000min−1の2種類のエンドミル加工機が使用されました。一方の加工機は高速主軸を採用し、X-Y軸は精密位置決めテーブルで構成されており、Z軸は手動式の位置決め機構となっています。もう一方の加工機では、高速主軸を採用し、X-Y軸には空気静圧案内とリニアモータが使用されています。
ニオブ酸リチウムの延性モード切削において使用された機器:
超精密切削加工機(東芝機械、ULC-100A)が再び使用されています。この機器を用いて単結晶ダイヤモンド工具によるニオブ酸リチウムの旋削加工が行われました。
これらの機器は、超精密および微細切削加工の実験において中心的な役割を果たしています。
ULC-100Aの移動精度は分かりますか?
文書中では、ULC-100Aの具体的な移動精度についての直接的な言及はありません。しかし、文書が超精密切削加工機としてULC-100Aを使用していることから、この機器が非常に高い精度での加工が可能であることは示唆されています。超精密切削加工機は、通常、ナノメートル単位(またはそれ以下)の精度で動作するよう設計されています。
特定の機械の移動精度やその他の技術的な詳細を知りたい場合は、機器の製造元である東芝機械株式会社の提供する技術資料や公式な仕様書を参照するのが最適です。これにより、ULC-100Aの移動精度やその他の性能指標に関する正確な情報を入手できます。