第62条 高圧又は特別高圧の架空電線路の支持物として使用する木柱、A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱には、
次の各号により支線を施設すること。
一 電線路の水平角度が5度以下の箇所に施設される柱であって、当該柱の両側の径間の差が大きい場合は、その
径間の差により生じる不平均張力による水平力に耐える支線を、電線路に平行な方向の両側に設けること。
二 電線路の水平角度が5度を超える箇所に施設される柱は、全架渉線につき各架渉線の想定最大張力により生じ
る水平横分力に耐える支線を設けること。
三 電線路の全架渉線を引き留める箇所に使用される柱は、全架渉線につき各架渉線の想定最大張力に等しい不
平均張力による水平力に耐える支線を、電線路の方向に設けること。

このテキストは、高圧または特別高圧の架空電線路の支持物に関する技術的な規定を説明しています。具体的には、木柱やA種鉄筋コンクリート柱、A種鉄柱を使用する際の支線(ガイワイヤーなどの補強用の線)の設置方法について述べています。規定は以下の三点に分けられています:

電線路の水平角度が5度以下の場所に設置される柱:ここでは、両側の間隔の差が大きい場合、その差によって生じる不平均な張力に耐えるために、電線路に平行な方向の両側に支線を設ける必要があることを説明しています。

電線路の水平角度が5度を超える箇所に設置される柱:この場合は、全ての架渉線(電線路を支える線)について、各架渉線の想定される最大張力によって生じる水平方向の力に耐える支線を設ける必要があります。

電線路の全架渉線を引き留める箇所に使用される柱:ここでは、全ての架渉線について、各架渉線の想定される最大張力に等しい不平均張力による水平力に耐えるための支線を、電線路の方向に設けることが必要であると説明しています。

これらは電線路の安全性と構造的安定性を保つための重要な技術基準です。

電線路の水平角度とはなんですか?

電線路の水平角度とは、電線路が地平線に対して成す角度を指します。具体的には、電線が直線的に張られている場合、その電線が水平面となす角度を意味します。通常、電線路は地形や建築物などの障害物を避けるため、あるいは電気的な要求により、完全に水平ではなく、様々な角度で設置されることがあります。

たとえば、電線路が完全に水平に張られている場合、その水平角度は0度となります。一方、電線路が傾斜している場合、その傾斜角が水平角度として計測されます。この水平角度は、電線の張力や支持構造の設計において重要な要素となり、特に角度が大きくなるほど、電線や支持柱にかかる力が変化し、それに適応した設計が必要になります。

径間の差によって不平均な張力が発生するのですか?

はい、径間の差によって不平均な張力が発生することがあります。ここで「径間」とは、電線やケーブルが支持される二点間の距離を指します。電線路の設計において、径間は電線が吊られるポールやタワー間の距離を意味します。

径間の長さが異なる場合(つまり、一方の径間が他方よりも長い場合)、電線にかかる張力に不均衡が生じることがあります。これは主に、長い径間にかかる重量や張力が大きくなるためです。長い径間では、電線自体の重さや、風や氷などの外的要因によって加わる負荷が増加し、その結果として電線にかかる張力も大きくなります。

この不平均な張力は、支持構造(ポールやタワー)に不均衡な力をもたらし、構造的な問題や安定性の問題を引き起こす可能性があります。そのため、異なる径間がある場合には、支線(ガイワイヤーや補強線)を適切に配置して、張力を均等に分散させ、構造の安定性を保つことが重要です。

架渉線とはなんですか?架空電線とは違いますか

「架渉線」とは、主に電力伝送に関連する設備で使用される用語で、架空電線路における電線(電力や通信を運ぶための線)そのものや、それを支えるための線(たとえば支線やガイワイヤー)を含むことがあります。架渉線は、電線路の構成要素として、電線自体やそれを支える構造物(例えばポールやタワー)に張られる補助的な線材を指すこともあります。

一方で、「架空電線」とは、地面から一定の高さに設置された空中を通る電線のことを指します。これには、通常、電力を運ぶための主要な電線が含まれます。架空電線は電力伝送のために広範囲に渡って張られており、電柱や鉄塔によって支えられています。

要するに、架渉線は架空電線路の一部としての役割を果たす線材を広く指し、架空電線はその中の主要な電力を運ぶ線材を指すという違いがあります。

架渉線は支線を含むものなのに、全架渉線につき、支線を設けること。と架渉線と支線を使い分けているのはなぜですか?

「架渉線」と「支線」の区別は、その用途と機能に基づいています。通常、「架渉線」という用語は、電線路全体を包括的に指し、電力や通信のための主要な電線(架空電線)と、それを支える補助的な線材(支線など)を両方含むことがあります。

一方で、「支線」は架渉線の中でも特定の役割を持つ線材を指します。これは主に電柱や鉄塔などの支持構造を補強し、構造の安定性を高めるために使用されるケーブルやワイヤーです。支線は架空電線の張力を均衡させたり、風や自然災害などの外力から電線路を保護するために重要な役割を果たします。

技術的な文書や規定では、これらの用語を使い分けることで、架空電線路のさまざまな構成要素に対する具体的な要求や指示を明確にします。架渉線に対して支線を設けることは、その複雑なシステムの一部を特定し、それに特定の技術的要件を適用するための方法です。