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飛行機を空中に飛翔させる力である「揚力」がなぜ生まれるのかを見ていこう。

翼の下面よりも上面で、空気が速く流れる

飛行機にかかる力は四つに分けられる。
真下に向かってはたらく「重力」飛行方向に対して垂直な向きにはたらく「揚力」、機体を前進させる「推力」、それに対抗し前進を妨げる「抗力」の四つだ。

これらの力のつり合いを保つことで、飛行は制御されている。

飛行機の翼の断面は、前方が丸く、後方がとがった形をしている。この形は「流線形」とよばれ、空気の流れから受ける抗力が小さくなるという特徴がある。
またこのような形をした飛行機の翼は、翼の前方から来る風邪を受ける事で、効率良く翼の上向きの力、つまり揚力を生み出すことができる。

揚力が生まれる理由は、空気の流れを考えるとわかる。それは、翼の形状や迎え角などの影響により、翼の下面よりも上面で、空気がより速く流れるためである。
空気の流れが速いところでは、空気の流れが緩やかなところと比べて気圧が低くなることが知られている。

これを、ベルヌーイの定理とよぶ。

すると、翼の下面にくらべて翼の上面では気圧が低くなるため、下から上に向かって押し上げる力が生まれるのだ。

翼の端にできる「渦」の影響を減らす努力

このように、翼の上面の空気の流れが速く、下面の空気の流れが遅いことで、揚力は生まれる。
しかし翼には揚力の発生を妨げる現象もおきるそれが「翼端渦」である。

翼端渦とは、翼端で、下面の圧力の高い空気が上面へと回り込もうとするためにできる渦の事だ。

この渦は、翼にはたらく揚力を減少させるだけでなく、飛行機が前に進むのを妨げる力を生み出し、結果的に飛行機の経済性を悪化させてしまう。
この力を「誘導抗力」とよぶ。

翼端渦の影響を減らす方法は、大きく分けて二つある。

一つ目は翼端渦の回り込みを防ぐ物を翼端に取り付ける方法だ。
代表的なものに「ウィングレット」や「ウイングチップ・フェンス」がある。
この装置をつけるだけで、燃費が約5%も向上する。

二つ目は、翼の形をくふうすることである。
翼端渦は翼の端で発生するため、単純にいえば、翼を細長くそして翼の端を小さくすればよい。
A380などの旅客機が、細長く、さらに先端にいくにしたがってとがった翼をもつのは、翼端渦の影響をおさえようとする設計のためなのだ。

墜落を引き起こす「失速」とはどのような状態か

揚力の大きさは、さまざまな方法で変えることができる。
一つ目は速度である。
速度の2乗に比例して、揚力は大きくなる。

二つ目は、翼の大きさだ。
揚力の大きさは、翼の面積に比例して大きくなっていく。

そして、三つ目は翼の傾きである。翼が、空気の流れに対してどれだけの角度で傾いているのかをあらわす値を「迎え角」という。
迎え買うが大きくなるにしたがって翼の上面と下面の圧力差が大きくなり、揚力は大きくなるのだ。

 

離陸時には、旅客機はフラップを降ろす。
フラップはよく面積をおおきくしたりする働きをもつため、大きな揚力を必要とする離陸時には必須である。

その後、旅客機はスピードを上げる。これにより翼には揚力が発生するが、巨大な機体を持ち上げるほどの大きさの揚力には達成していない。
そこで、旅客機の速度が「機首引きおこし速度」に達すると、パイロットは水平尾翼の「エレベータ」を上げる。

この操作により、水平尾翼は下向きの揚力を生み出し、機体後部は下に押し付けられる。これによって機首は上を向き、主翼の迎え角は大きくなる。
迎え角が大きくなることで揚力も大きくなり、旅客機は無事離陸を果たすのだ。離陸時の上昇角度は約15度である。

迎え角を制御することは非常に重要だ。
というのも、迎え角がある一定の角度を超えると、急に揚力が失われるためだ。この現象を「失速」という。
これは、迎え角が大きくなりすぎると、翼の上側を滑らかに流れていた空気の流れが翼からはがれてしまうためにおきる現象である。

失速は墜落につながる非常に危険な現象である。
飛行機は離着陸時、大きな迎え角をとるために失速が発生しやすい上、高度も低いため失速が発生すると対処が間に合わず墜落に至る可能性が高い。
離陸後の3分間と着陸前の8分間はとくに航空事故が多く「魔の11分間」とよばれる。

大型飛行機の設計では軽量化が必須

最後に、揚力と機体重量の話をしよう。飛行機を単純に大きくした場合、不思議なことに、その飛行機は飛ぶことが出来なくなる。
例えば、ある航空機を倍の大きさにしたとよう。すると体積は2×2×2の8倍となり、それに合わせて機体重量も8倍となる。

一方で翼面積は、2×2の4倍にしかならない。先ほど説明したように、揚力は翼面積に比例して大きくなるため、揚力も4倍しかならない。
つまり、単純に大型化した場合、機体重量を持ち上げるだけの揚力を生み出せないのだ。これは「2乗3乗の法則」とよばれる。

そのため巨大な旅客機を飛ばすためには、翼面積を増やすと同時に、軽量化が必須となる。

 

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