リーダーの心構え

リーダーというものは、ひたすら組織を成功に導くために、また組織で成功するために必要な行動をとらなければならない。

リーダーの座に就いたら、自分が生まれ持った資質や性格にいつまでもこだわっていてはいけない。
リーダー役を務める覚悟を決め、それが自分の自然な一部となるまでリハーサルを繰り返し、演じ続けなければならない。

 

 

リーダー個人の利益と会社の利益が一致しないことはままある。
いいリーダーになろうとすればまずは両者のトレードオフを理解し、真の優先課題を選別することから始めなければならない。

集団の存属は、往々にして個人の犠牲の上に成り立っているからだ。

 

ナルシシズム

仕事で成功するためには、控えめすぎる自分を前へ押し出す勇気が必要である。
女性にとって、いや男性にしても同じことだが、自分らしくしていて仕事で成功できるのは、そもそも仕事で成功する資質を生まれ持っている人だけである。
そうでない人は、自分を奮い立たせ、自分を押し出し、主張すべきを主張し、光に当たるところに踏み出さなければいけない。

 

個人レベルであれ、組織レベルであれ、何かを変えようとすることは、更生プログラムとの共通点が多い。
どちらも仲間の支援や圧力が重要な役割を果たす。また、進捗状況を見守り励ます指導役としてスポンサーやメンターを付けると効果的であり、小さな進歩を認めて評価することが大きな前進につながる。

ナルシシズムがリーダーの地位獲得に役立つ理由として、ナルシスト的性格の特徴と、人々がすぐれたリーダーの典型的な属性(権威、自信、支配力、自尊心など)と考えるものに共通点や重なり合う部分が多いことをあげている。

ナルシスト型人間はリーダに選ばれやすい。そもそもこのタイプの人は、リーダーの地位を求めている。

アジア人の報酬は白人よりすくない。
こうした結果を招く原因の一つは、エグゼクティブとしての存在感や威厳を保つために必要な立ち居振る舞いが、アジア人の行動規範と衝突しがちだからだという。

アジア人自身が認めるとおり、アジアの人々は欧米人とは異なるコミュニケーション・スタイルや人間関係を身に付けている。
また、実力や技術的知識を重んじる傾向がある。

アジア系の専門職の人たちは、自分にはエグゼクティブとしての威厳や貫禄がないと考えて、昇進を求めないことが多い。

 

ナルシスト型のリーダーはマネジメント・スタイルの面で部下と軋轢を起こしがちであるものの、コミュニケーション能力、創造性、戦略的思考の点では高く評価されていることも分かった。

ナルシスト型リーダは自信過剰で自己陶酔が強いことが災いし、危機発生当初は経営を悪化させる可能性が高いという。
だがこのタイプのリーダーは行動的でリスクテークを恐れないため、危機後の回復期には企業をすばやく立ち直らせることもわかった。

 

 

信頼

人間はだいたいにおいて自己利益を追求する生き物だ。
これは普遍的な真実と言ってもさしつかえあるまい。

 

約束を破ることが自己利益に適うなら、たぶんその約束は破られる。
しかもそれで罰を受けることはめったにない。

現実世界では、裏切った相手とは今後も取引するかもしれないし、世話になるかもしれない。
となれば、軽々しく制裁を加えたりするわけにはいかない。

そこで、「この業界ではよくあることだ」と片付けられたりするのだ。

 

社内の上下関係でも注意が必要である。
リーダーが他人を思いやることに期待し、その期待に基づいて行動するのは問題である。

相手に寛容な思いやりや共感を求めるのはけっこうだが、企業のような組織では、必ずとは言わないまでも大半の場合には落胆することになる。

 

もしいま読者が、互いに助け合う職場環境と部下思いのリーダーに恵まれているなら、その貴重な瞬間を存分に謳歌してほしい。
だが、どこもそうだと思ってはいけないし、現在の状況がずっと続くと期待すべきでもない。

世界は往々にして公正ではないのであり、そうわきまえることだ。
そして、自分の身は自分で守り、自分の利益は自分で確保するほうがよい。

他人もそうするなら、なおよい。

しっかりと自分のことは自分で考え、リーダーシップ神話に頼るのをやめたら、あなたはもっとずっとうまくやれるはずだ。
同時に、信頼に値しない人間を信頼して裏切られたり、失望したり、キャリアを台無しにしたりする危険性も大幅に減るはずである。

 

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