気候変動の脅威は、原子爆弾よりも全面的であり、徹底的だ。2018年、世界各国の42名の科学者が警告を発した。現状のままのシナリオでは、地球上の生態系はひとつの例外もなく劇的な変化を余儀なくされる。
100年や200年といった長さではおさまらない、地球の歴史上最も激しい変容の時代が幕を開ける。すでにグレード・バリア・リーフは半分が死滅した。北極圏の永久凍土は解けてメタンを放出し、もう二度と凍結することはないだろう。
平均気温が4℃上昇すれば、穀物の収穫量は半減する。これが悲劇だと感じたならば、食い止める手段を持っているのが自分たちであることを思い出してほしい。
税金を使って化石燃料を急いで廃止する。
農業のやり方を変え、牛肉や乳製品に偏った食生活から脱する。グリーンエネルギーと二酸化炭素回収への公共投資に力を入れるなど、やれることはたくさんある。
明白で実行可能な解決策があっても、問題が途方もなく大きいことに変わりはない。
これから地球温暖化が進むにつれて、災害や社会不安、人道危機はますます増えるだろう。
化石資本主義とそれを支える政治への怒りは燃えあがり、短慮で過剰な消費行動への非難も過熱していく。
もちろん不屈の戦いを続ける活動家もいて、国を訴えたり、法律制度を働きかけたり、パイプラインの新設に反対したりするだろう。
市民権を守り抜くための、非暴力の戦いだ。
そうかと思えば出口のない絶望に沈む者、環境崩壊に対応する方法はひとつしかないと息巻く者もいる。
だが、ほんとうにひとつだけだろうか。気候変動が起きる以前から、環境保護に熱心な人々は、その重要性をさまざまなたとえで表現してきた。
イギリスの作家・未来学者ジェームズ・ラブロックは地球を進化する生物的存在ととらえるガイア理論を提唱した。
アメリカの建築家バックミンスター・フラーの「宇宙船地球号」はすっかり有名になった。
詩人のアーチボルド・マクリーシュの「果てしないからっぽの夜」という言葉からは、太陽系を粛々と回る地球の姿が浮かびあがってくる。
そこでは温暖化を食い止め、逆転するための二酸化炭素回収プラントがフジツボのように粘りつき、呼吸できる空気を取り戻そうとせっせとがんばっているのだ。
無人探査機ボイジャー1号が撮影した地球、別名「青白い小さな点」はあまりに小さく、頼りない。
個人的には、気候変動で予測される暗澹とした未来図を見せられたほうがやる気をかきたてられる。
それは団結して行動せよという号令だし、そうあるべきだと思う。
この機構の万華鏡にはもうひとつ意味がある。
地球という星はすべての人のふるさとであり、そこに選択の余地はない。
しかし地球を何に例えて、そこからどんな行動を起こすかはあなたしだいなのである。
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