大学卒業後、ハリーはフィラデルフィアの建設事務所に就職した。
新しい土地でのスタートーハリーは希望に満ち溢れていたが、その思いは徐々にしぼんでいく。
仕事は残業続きで、おまけに出張も多い。プライベートを楽しむ時間はなかった。

それにフィラデルフィアには友人もいない。
長く付き合っていた恋人とも、大学卒業と同時に別れた。

恋人がいたら毎日に張り合いがもてるのに。
そうはいっても、女性と出会うチャンスは皆無だった。

 

そんなある日、学生時代の友人に悩みを打ち明けると、友人がインターネットの「パートナー探しアプリ」を教えてくれた。

半信半疑ながら、ハリーは試しに登録してみた。
だが、インターネットで恋人探しをするもの、考えていたほど簡単ではない。

悲しいことにメッセージを送ってもほとんど返信が来ないのだ。
たまにデートまで進むこともあるが、結局うまくいかなかった。

自分のプロフィールが悪いのだろうか。
そんな思いが頭をよぎりつつも、ハリーはメッセージを送り続けた。
相手からはときどき短い返事が来るものの、すぐに音信普通になる。

いつもこのパターンの繰り返しだ。
完全に負のスパイラルに突入してしまった気がした。

ハリーはここで一度立ちどまり、ボトルネックを探そうと考え、デート相手を見つけるまでの過程を一つひとつ確認していった。

1.プロフィールを検索する。
2.相手にメッセージを送る。
3.メッセージを交換する。
4.実際に会ってデートする
5.うまくいったことと反省点を分析する。

毎回、ハリーはプロフィールをじっくり読み、共通の趣味をもつ女性を選んだ。
そして、時間をかけて考え抜いた自己紹介メッセージを送った。

それなのに、結果はパッとしないのだ。
ハリーが気に入ってメッセージを送った女性のうち、だいたい六人に一人がメッセージを返してくる。
返事さえもらえれば、そこから半数の女性とは電話番号を交換出来ていた。

さらに、電話番号を交換した女性のおよそ三分の二とは、ほとんど実際に会っていた。
この確率の高さには、正直ハリーも驚いた。

そして、初デートは、楽しかったのとイマイチだったのと半々といったところだった。

すべての過程を振り返り、ハリーは最初に送るメッセージがボトルネックなのだと悟った。
何十分もかけて熟考したメッセージを書いているにもかかわらず、返信率が恐ろしく低いからだ。

ハリーはこの問題を解決すべく、ルールをつくることにした。

まず、自分が書いたメッセージを読み直した。
そして、ついに女性受けのいいパターンと悪いパターンを見つけ出した。

1.女性は長ったらしい文章が嫌いである。
2.女性は数行程度の短い文章を好む。

これは予想外の発見だった。
女性は心を込めた長い文章を喜ぶものだと、ずっと思いこんでいたからだ。
二行ほどで切り上げて送ったメッセージは、どうせまた返事は来ないだろうとあきらめ半分で書いたものだった。
なのに返信率が高いとは、なんとも皮肉な話だ。

 

 

ここでハリーは仮説を立てた。プロフィールの自己紹介は、長かろうが短かろうが、興味を引くものでありさえすれば、女性はクリックしてくれる。
そこで内容が気に入ればメッセージを返信するし、気に入らなければ無視だ。だが、メッセージを交換し始めた最初の頃は、男性から送るメッセージは長くしすぎないこと。

長ったらしいメッセージは暇なやつに見えてしまうから。
ここで一つめのルールができた。

 

「まずは短い文章で探りを入れる。長い文章を、ある程度親しくなってから」

 

 

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