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1950年代に、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が三種の神器としてもてはやされた。
当時のようにモノに対する需要が旺盛だった時代には、工夫せずとも規格品を薄利で大量に売りさばく「量に頼る」マーケティングで、
企業は十分な利益を得ることができた。まだ市場が拡大する中では、将来の顧客の獲得に注目して、モノは売り切ってしまうことで企業は経営的にも成り立つことができた。

 

しかし人口減で需要が頭打ちする中では、「量に頼る」経営では立ちいかなくなる。
モノを売り切りにせず、モノの販売を通じて顧客との接点を維持し続けることで、次の取引へと繋げていくような企業戦略が求められる。
このような販売方式は、決して目新しいものではない。

 

例えば、コピー機の販売において、コピー機本体を安価にして、トナーの販売で稼ぐビジネスモデルは既に広くみられていたところである。
コピー機と違い、ビジネスモデルとして新しい点は、ビッグデータの登場と機械学習の急速な進展によって、需要家のニーズをより細やかに、
且つリアルタイムで把握できるようになった点だ。

 

例えば、航空機エンジンを開発するGeneral Electric(GE)社は、エンジンの稼働状況をリアルタイムで把握していることが知られている。
ビッグデータ解析の中で事前にエンジンの故障確率を予測して、エンジンに不具合が生じる前にメンテナンスを行うような取組をすることで、
保守修繕をエンジンの販売とパッケージにした商品を提供しているのだ。

 

 

製造業の強い我が国においても、売り切りモデルから、データを通じた「製造業のサービス化」を意識する事が求められている。
こうしたビジネスモデルの転機をきっかけにして、「付加価値に応じた価格」へとマーケティング手法を適正化していくことが求められるだろう。

ビッグデータと機械学習を廻って、プラットフォームを中核とするビジネスモデルが登場する中で、プラットフォーム運営者と参加者との間の収益格差が拡大する傾向が見られる。
この収益格差は、複数のプラットフォームが競争する環境が整備されていれば、一定程度の幅で抑制されるものと思われる。

 

なぜならば、利潤格差が拡大し、プラットフォーム参加者が運営者によって過度に「搾取」されるような事態になれば、プラットフォーム参加企業は別のプラットフォームに乗り換えるだろうからである。他方で、デジタル・プラットフォームではネットワーク効果が強く働くことから、勝者が一人勝ちする傾向があり、複数のプラットフォーム間の競争環境は自主的には成り立ちにくいことも事実である。

 

またプラットフォーム運営者も、様々な契約条件を通じて、プラットフォーム参加企業を囲い込もうとする誘因があるだろう。

もっと知るには・・・

 

参考:ビッグデータを廻るトレンドと経済学からの含意 21世紀の経済成長の源はビッグデータである

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