私達がそれぞれの両親から強い影響を受けているのと同じように、私たちも知らず知らずのうちに子供たちに影響を与え、彼らの生き方を形成しているのだという事を深く実感できたのである。両親から与えられた脚本が自分の人生に如何に大きな力を持っているかを理解できたからこそ、次の世代の子供たちに正しい原則を教え、模範を示すことが大切なのである。

私達はさまざまな脚本に従って生きている。7つの習慣では、自らが主体的な人間になって書き直すべき脚本を取り上げた。しかし自分が持っている脚本を見つめてみると、書き換える必要のない素晴らしい脚本もあることに気づくだろう。前の世代から引き継ぎ、特に意識する事もなく当たり前のように受け止めてきた脚本の中には、私たちに良い影響を与えているものも少なくない。真の自覚とは、そのような脚本に感謝することである。原則中心の生き方を教え、今ある自分を育ててくれた先人たち、自分の将来の可能性を気づかせてくれた先人たちに感謝することなのだ。

世代を超えて強い絆で結ばれた家族には、卓越した力がある。子供たち、両親、祖父母、叔父叔母、いとこなどが良い関係にあり、相互依存のしっかりとした結びつきを維持している家族には、自分が何者であるのか、自分という人間を形作っているものはなにか、自分にとって大切なものは何かをはっきりと気づかせてくれる大きな力がある。

こどもにとって、自分は何らかの「一族」の一員であるという意識を持てるのは幸せな事だ。たとえはるか遠くに住んでいても、大勢に親類が自分を知っていて、大切に思ってくれていると感じられる子どもは幸せであるし、親にとってもありがたい事である。あなたの子供が何かを悩みを抱えていて、親とは話したがらない時期で何の相談もしてこないなら、あなたの兄弟が親代わりになって相談に乗り、進むべき道を示して上げる事もできる。

孫に温かい愛情を注ぐおじいちゃんやおばあちゃんは、子供にとっては、この地球上でかけがえのない存在である。祖父母は、孫たちの良いところや可能性をきちんと映し出せる歪のない鏡なのだ。私の母もそうである。80代後半になった今でも、子供や孫たち一人一人を深く気にかけていて、愛情あふれる手紙を書いてくれる。先日も、母からもらった手紙を飛行機の中で読んでいて涙が止まらなかった。母に今晩電話したらどんな言葉をかけてくれるかおおよそ見当が付く。

「スティーブン、母さんがどれほどあなたの事を愛しているか、あなたをどれだけ素晴らしいと思っているのか知って欲しいのよ」母はいつも私の価値を認めてくれる存在なのである。

世代を超えて強く結びついている家族は、もっとも実り多い報いがあり、満ち足りた相互依存関係を築ける。そのような家族関係の大切さは、誰しも感じているものである。

私達一人一人にはルーツがある。
自分のルーツを知ろうとする最大の動機は自分のためではない。自分の後に続く子孫たち、全人類の次の世代のためなのである。

私達は前の世代から引き継いだ、良い脚本を引き継ぎ、悪い脚本を書き直す、「流れを変える人」になることができる。

 

その過程で人間関係を育てていくのだ

 

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