やる気が起きない、やる気スイッチを押したいあなたに!人の心理に基づいた科学的アプローチ

 

「やりたいことがあるのに、なぜかやる気が出ない」

「昨日まですごく盛り上がっていたのに、朝起きたら一気に通常モードに戻ってしまった」のように、やる気をコントロールできない自分に嫌気がさした経験は誰もがあるでしょう。

 

そんな気まぐれな存在である「やる気」を管理するためには、

人に心理を利用した科学的アプローチが大切です。

 

科学的アプローチはその辺の、私的意見や経験則とは違って根拠もしっかりしているものも多いのでお勧めです。

 

 

では、はじめていきます。

まずはやる気が出ない時をパターンに分けて、それぞれ考えていきましょう。

 

 

① 失敗したことにより、やる気を失う。挑戦しなくなる

これは、結構多いケースだと思います。

基本的に、人は失敗した内容以上の賞賛でもされない限り、やる気は出ません。

 

 

② 仕事や目の前のことに、やらされている感が満載

自主的に、物事に取り組めてない状態。

結果、指示待ちが多くなり、仕事にやりがいを感じなくなってくる。

 

 

③ 目標が高すぎる

今の自分の能力や、経験値から目標を設定しないと、上手くいかないことが増え

結果、やる気を失うことが多いものです。

 

 

④ 価値観を共有や認識、仲間がいない

人は、一人だと目標への努力も甘くなりがちです。

又、他人から良い刺激を受けて、やる気が出ることも多いものです。

 

やる気を失う理由はたくさんありますが

一部項目の説明と対策を解説していきます。

② 仕事や目の前のことに、やらされている感が満載、④ 価値観を共有や認識、仲間がいない

 

病院の清掃は過酷な仕事です。一般企業のクリーニングより嘔吐や排泄物に接する確率が高く、手術室の床にこぼれた血液をぬぐい去るのも日常茶飯事。間違って使い捨ての注射器に触れれば感染症の可能性もあります。

 

 

 

 

 

そのため、病院の清掃員はモチベーションの低下に悩むことが多く、すぐに退職してしまうケースも珍しくありません。

 

 

 

 

2001年、ミシガン大学の心理学者ジェーン・ダットン博士が、ミッドウエスト病院の清掃チームに、ある介入実験を行いました。

 

 

 

 

その結果、数週間で清掃員のモチベーションは回復し、院内の清掃レベルも改善。かつては夜中まで汚れていた床やトイレが夕方にはピカピカになり、患者からも感謝の声が多く出るようになったと言います。いったい、なにがそこまで清掃チームを変えたのでしょうか?

 

 

 

 

 

病院スタッグを変えたシンプルな解決法

ダットン博士の解決策は、シンプルなものでした。清掃チームのメンバーを個別に呼び出し、それぞれが担当する病棟の患者と定期的に話をさせたのです。

 

 

 

 

清掃チームには、大きな意識の変化が生まれました。実験前は自分のことを「ただのスタッフ」だと思っていた者が、「掃除の仕事は『治療』のプロセスのひとつだ」という考え方に変化。ある者は自発的に患者の部屋にティッシュや水を届けるようになり、またある者は全身麻痺の患者の病室で花を交換する活動を始めました。

 

 

 

 

ダットン博士は次のようにコメントしています。

 

 

 

現代の仕事は官僚的で、いろいろなタイプの人間をひとつの型にはめようとする。仕事が退屈でドライに感じられるのも当然だ。しかし、自分の仕事を価値観にもとづいてとらえ直せば、どんな職業でも深い意味が生まれる

 

 

これは、「ジョブクラフティング」と呼ばれる手法です。2000年代の初めから研究が進んだ分野で、イエール大学の検証試験などにより、従業員のモチベーションを高める効果が大きいことがわかってきました。

 

 

 

 

 

ジョブクラフティングとは?

ジョブクラフティングの実践には、「仕事が持つ意義」を意識して掘り下げてみるのがポイントです。自分の仕事について「何のためにやっているのか?」や「この作業で喜ぶ人は誰だろう?」といった質問を重ね、大きな価値観を探っていくのです。

 

病院の清掃チームが自分を「治療に欠かせないメンバーの一員」だととらえ直した瞬間から、尿瓶は「洗うべき物体」ではなく「患者の健康レベルを示す指標」に変わるでしょう。そこに、新たな行動と責任が生まれるからです。

 

 

仕事の価値観は、たんにマインドセットを変える以上の効果を持っています。

 

 

 

 

 

 

 

アドバイス

 

 

シカゴ大学から新しい「やる気アップ法」が出てるので紹介します。

https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797618795472

 

 

論文は4つの実験で構成されてて、

たとえばひとつめは 318人の学生を2グループに分けました。

 

 

・やる気がない下級生に学習に関するアドバイスの手紙を書く

・教師からモチベーションアップのアドバイスを手紙でもらう

 

どちらのグループとも週1で同じセッションに参加して、3週間ほど同じ作業を続けました。

 

それから、どっちのグループが勉強をやる気になったかと言いますと、

アドバイスをあげたグループのほうが38%も多く勉強していた!

そうです。

 

また、別の実験では、

 

・ダイエット

・貯金

・職探し

 

 

に関するモチベーションへの影響も見てまして、結果はいずれも似たような感じ。

つねに「他人にアドバイスをあげるグループ」のほうが成績が良かったんですよ。

 

なぜアドバイスでやる気が出るのかというと、

 

 

他人へのアドバイスを考える過程で、私たちは頭の中に具体的なアクションを思い描き、

実行意図が起動する。どちらもモチベーションアップには欠かせない要素だ。

 

とのこと。

 

ちなみに、この現象は逆もまたしかりでして、

 

 

モチベーションが低い状態のときにアドバイスを受けると、逆に有害になってしまう。

アドバイスを受ける行為は能力が劣ったかのような印象を与え、心理的な傷を残すからだ。

 

 

 

とのこと。

 

ただし、他人にアドバイスしすぎるのはウザがられるだけなので、

その場合は脳内で自分へアドバイスを想像してみるのが良いと思います。

 

 

やる気を出したいなら、二人称で自分をはげませばいい」って研究もあるので参考に!!

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ejsp.2048

 

 

③目標が高すぎる

 

目標が高すぎると、やる気を失う事が多くなります。

 

会社でも

「売上目標5000万!」

など目標を掲げてみるものの、

達成方法が分からず計画倒れとかありますよね?

 

例えば、ジムで痩せたいと思っている際は、

10キロ減とかビジョンが見えない目標を立てるよりは

 

「週3回、6時間を確保する」

など具体的に達成目標を落とし込んだほうが上手くいきます。

そして、行動とそれによる成果を確認しながら、また具体的な行動に落とし込む。

 

この繰り返しにより、まず何も具体性を考えてなかった時と比べ

明らかに行動が変わってくるはずです。

 

 

目標設定に関して面白い論文があったので紹介します。

https://link.springer.com/article/10.3758%2Fs13421-016-0589-8

 

これはコロンビア大学の実験で、26名の学生を対象にしたもの。

みんなに179種類の英単語を見せて、「すべてをスペイン語に訳してください」と指示しました。

 

そして、生徒たちのテスト結果を参考に、

単語を以下の3グループにわけました。

 

・難しすぎる

・なんとかできそう

・簡単すぎる

 

 

そのうえで全員に単語の勉強をしてもらったところ、

 

 

「なんとかできそう」レベルの勉強をしてるときに、もっとも参加者の集中力が持続しました。問題の難易度があがるにつれて集中力は下がっていき、また問題が簡単すぎても、集中力はガクンと下がりました。

 

つまりほどよい難易度のほうが集中できるわけです。

やる気が出ないと思ったら難易度を調節!

 

 

研究者いわく、

 

人間の集中力は、デリケートなバランスのうえに成り立っている。

問題そのものの難易度と、各自の知識や習熟レベルのバランスを取るのが重要だ。

 

学生たちの集中力が続かないのは、モチベーションがなかったり、

学習の能力が足りないのが原因ではない。たんに難易度の設定が間違っているだけなのだ。

 

とのこと。

 

先ほどのダイエットもの10キロ減が難しいと感じたら、

まずは、週3回、6時間ジムで運動する時間を確保する。

 

など難易度調整をすると、よいでしょう。

 

とりあえず、「やる気が出ないと思ったら難易度を調節!」と心がけておくだけでも、

ムダに時間を浪費せずにすむんじゃないでしょうか。

 

 

 

参考文献(かなりおすすめ):https://yuchrszk.blogspot.com/、https://daigoblog.jp/