運動がもたらすメリット

  運動をするメリットは身体機能の改善だけにとどまらず、 精神的作用や脳機能が向上したり様々な効果があります。   まずは、一般的に言われている運動の効果をまとめてみました。    
  • 身体的な効果
運動の効果はからだの機能面によく表われますが、疾病に対しても効果があります。 ・健康的な体形の維持 ・体力、筋力の維持および向上 ・肥満、高血圧や糖尿病などの生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防 ・加齢に伴う生活機能低下(ロコモティブシンドローム)の予防 ・心肺機能の向上により疲れにくくなる ・腰や膝の痛みの軽減 ・血行促進により肩こり、冷え性の改善 ・抵抗力を高める(風邪予防)  
  • 精神的な効果
思いっきり走った後に、爽快感や達成感などとても良い気分になった経験がある方も多いのではないでしょうか。このように運動をすると精神面にも様々な良い影響を及ぼします。 「1日30分の運動は、抗鬱剤を1回投与するのと同じくらい、精神を安定させる効果がある。」 という研究者もいるほどなので、ストレスと戦う忙しい人ほど運動をおすすめします。   ・認知症の低減 ・不定愁訴の低減 ・気分転換やストレス解消    
  • 脳機能への効果
運動している人のほうがそうでない人に比べて、 頭の回転が良くなるという研究報告があるのです。   ・頭が良くなる ・創造性アップ ・脳が若がえる ・記憶力の向上 ・  
  • 睡眠の質が向上する
  適度な運動をし、陽の光に当たることで、 体内でセロトニンが作りだされ、それは夜になると、 睡眠の質を向上させるメラトニンに変わります。   適度な疲労感も相まって、 運動は深い眠りにあなたを誘ってくれるはずです。     箇条書きにしただけでも、こんなにもたくさんのメリットが列挙する運動の効果を 抜粋して詳しく説明していきたいと思います。      

運動は脳そのものを強化する

  運動は脳そのものを強化します。     ジョージア大学で行われた運動と脳の研究によると、 20分の軽い運動をした後の3~4時間は認知能力、集中力や考察力が高まることがわかっています。   運動によって脳の血流が改善され、意欲、学習などにかかわるドーパミンを放出。集中力を持続させるだけでなく、集中力の源である「ウィルパワー」の回復にも運動は役立ちます。     因みに私のデスクは常に運動をできる状態にするために、スタンディングにしています。 さらにステッパーを使い歩きながらパソコン業務をしています。   人は15分以上座っていると、認知能力も集中力も低下して作業効率が落ちていきます。 体を動かすことは集中力を高めることにつながるのです。    

運動はどこまで脳にいいのか

    近ごろこの問題に精度の高い論文(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29113943)が出まして、運動はかなり大事という結論がでております。       これはウェスタンシドニー大学が中心の研究で、 過去の研究から実験のデザインが良い14件を抜き出してまとめたメタ分析。   サンプル数は737人でして、具体的な運動の種類は、   ・エアロバイク ・ウォーキング ・トレッドミルランニングの3つ。   有酸素運動で脳にどんな変化が出るかを徹底的に調べました。     実験の期間は3〜24カ月の幅に広がっていて、運動の回数は週に2〜5回ほど。大半のデータでは、中高強度身体活動ぐらいのキツさの運動が採用されております。   さて、その結論をざっくり申し上げますと、   結果、有酸素運動は海馬全体のボリュームには影響を与えないが、 海馬の左エリアのサイズを有意に増やすという結論がでています。   海馬は脳の記憶とか学習に関わるエリアで、 新しく覚えたことが保存されていく大事な部位。   研究者いわく、       今回のデータは、「エクササイズが脳の健康に良い」という現時点でもっとも決定的な証拠だ。とのこと。     では、もうひとつの論文を紹介しましょう。  

運動の効果part2

  運動の効果を証明する非常に面白い論文 (https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/CIRCULATIONAHA.117.030617) があります。     いままで運動ゼロの中高年で運動の効果をチェックした   これはテキサス大学の実験で、45~64才の男女53人が対象。 みんな健康診断の数値はいいんだけど、これまでまったく何の運動もしてこなかった人だけを選んだもよう。       実験期間はなんと2年で、基本的にはアメリカ心臓協会が勧めるガイドラインに沿った運動をした模様。具体的にはこんな感じです。    
  • ビギナー向け
1日30分の早歩きか軽いジョギング トータルで週5回以上 週で合計150分の運動を目指す    
  • 中級者向け
1日25分のランニングか水泳、競技スポーツ(息がゼエゼエするレベル) トータルで週3回以上 週で合計75分の運動を目指す    
  • 上級者向け
1日40分のランニングや水泳、縄跳び(息が上がるレベル) トータルで週3〜4回以上    
  • オプション
さらに上を目指す時は、週に2回の筋トレを取り入れる     運動の内容はそれぞれで、ランニングをする人もいれば、散歩やヨガをやる人もいたりとか。とにかく2年にわたってちゃんと続けられるようなものを選んでもらったわけですね。   結果、年齢にともなう血管や心臓の老化が完全に改善したそうです。 酸素摂取量も増えて完全に体が若返ったようです。     研究者いわく、   2年のエクササイズ習慣により、運動をサボっていた中高年でも、その悪影響を阻止することができた。これは、エクササイズで血管が柔らかくなり、健康レベルが上がったのが原因だ。とのこと。   しかし、どんな運動でも効果があるわけじゃなくて、ヨガと筋トレ”だけ”を行ったグループには改善のメリットが出てなかったとのこと。最低でもウォーキングぐらいの有酸素運動をしなきゃダメなようです。        

最適な運動の量は!?

  当然ながらエクササイズもやりすぎはよくないわけです。 運動のしすぎが体にダメージを与えるからです。       ある程度までは、運動で得られる健康のメリットは上がり続けていくんだけど、 最適量を超えたあたりから逆に効果は減っていきます。   そしてストレスホルモンや酸化ダメージの影響で逆に体は老化し始めちゃいます。   そんなわけでせっかく運動をするなら、 自分にとっての最適レベルを探すのが吉というわけです。   台湾の研究を引用すると、 https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)60749-6/fulltext   1日15分の軽い運動でメリットが出始める 軽い運動が1日90分を超えたあたりからメリットは消え始める 激しい運動の場合は、1日40分を超えたあたりでメリットが消え始める     といった感じ。       ちなみに、ほかにも興味深いのが2003年の論文(http://jap.physiology.org/content/95/4/1575)。   1日25〜30分の激しい運動で心臓や血管の働きはマックスになる! これ以上を過ぎると、身体へのダメージが増えていくんだそうです。   ジョギングの効果を最大化したいなら、 1回30〜60分のスローペースなジョギングを週2〜3回までがリミット!   って結論らしいです。       で、もうひとつ運動量に関する研究を紹介します。  

運動と脳機能の改善を調べた

            これはキャンベラ大学の研究(https://bjsm.bmj.com/content/52/3/154)で、 かつて行われた「運動と脳」に関する研究から、質が高い36件を選んでまとめたもの。   いわゆるRCTのメタ分析になっていて、かなり信頼性は高め。     論文のポイントはと言いますと、     ・50才以上の人の脳が運動でどう変わるかを調べている ・いろんなタイプのエクササイズの効果をチェックしている(ランニングとか筋トレとか) ・どれぐらいハードな運動をすればいいのかを確認している ・脳力アップに必要な運動時間も調べている   結論は運動をすると、脳の機能は効果量0.29〜0.41の範囲で改善する 1回45分のちょいキツめな運動を週2回が最低ライン 1回のセッションで45〜60分ぐらいは運動をしておいたほうが脳には効く 週に2回ずつの運動でも、週に4回ずつの運動でも、特に効果の差は出ない   という感じです。 基本的には1回45分のちょいキツめな運動を週2回でOK!ってことなんで、 「ノルウェイ式HIIT」をやっておけばいいですね。    

「ノルウェイ式HIIT」とは

      そもそもHIITって何? HIITは「ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング」の略で、 ようは休憩とハードな運動を交互に行う手法であります。ざっくり言うと、       数分間だけ限界ギリギリまでエクササイズ 数秒だけ休む 再び数分間だけ限界ギリギリまでエクササイズ 数秒だけ休む 1〜4を数回くり返す     という感じ。エクササイズの種類は腕立てでもダッシュでもなんでもOKで、 時間も決まっているわけじゃありません。   非常にシンプルですが、これだけで普通の運動より格段に体力がつくんだから人間の体は不思議なものです。     HIITのメリットは大きく以下の3つです。       ・効果が大きい:数々の実験により、他のトレーニングよりHIITは心肺機能のアップ率が高く、健康への効果もデカいことが証明されております。なにせ他のトレーニングより6倍も効率だというからすごい。   ・時間が短くて済む:数分のエクササイズをくり返すだけなので、長くても30分で全メニューをこなせちゃう。忙しい人にもオススメであります。 ・よけいな道具がいらない:とにかく自分の限界まで動けばいいので、ダンベルやトレーニングチューブのような器具は不要。その場で猛ダッシュするだけでもOKなので場所もとりません。     エクササイズが終わったあとも脂肪が燃え続ける ジョギングとちがって筋肉が減らない 心肺機能がアップして疲れにくくなる     で、ノルウェイ式HIITとは   名前のとおりノルウェイで多く研究されているテクニックです。     どんな方法かと言いますと、   5分のウォームアップ 4分だけ全力で運動(最大酸素摂取量の85〜95%) 3分だけ軽い運動 4分だけ全力で運動 3分だけ軽い運動 4分だけ全力で運動 3分だけ軽い運動 4分だけ全力で運動 5分のクールダウン     って感じです。ほかのHIITにくらべて、 1回の全力運動と休憩タイムが長いのが特徴です。     最近はこのふたつのブログを読みあさって勉強しています。   参考文献(引用):https://yuchrszk.blogspot.com/ https://daigoblog.jp/