https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/56/10/56_10_1841/_pdf
Title (English and Japanese)
Automated Measurement of Drill Wear and Chipping by Two ITV Cameras and Image Processing Techniques
2台のITVカメラと画像処理によるドリル損耗の自動測定
Journal Name & Publication Year
The Journal of the Japan Society for Precision Engineering, Vol. 56, No. 10, 1990
精密工学会誌 第56巻 第10号, 1990年
First and Last Authors
Hajime Yamashina, Hiromitsu Kumamoto
First Affiliations
Faculty of Engineering, Kyoto University
Abstract
本研究では、マシニングセンタにおけるドリルの摩耗と欠損を自動測定するための方法を開発した。2台のITVカメラを使用し、1台目のカメラで広域画像を取得し、ドリルの主要切れ刃を調整した後、2台目のカメラで詳細な画像を取得した。画像処理技術を用いて損耗部分を抽出し、摩耗幅や欠け幅、損耗部分の面積を測定した。実験結果から、散乱反射成分が支配的となる照明条件を決定し、損耗部分が正常部分よりも明るくなるような角度条件を導出した。
Background
機械加工における工具の損耗は、機械の損傷や不良品の発生、寸法精度や仕上げ面粗さの劣化を引き起こすため、工具損耗モニタリング技術の開発が重要である。従来の方法では摩耗部分のみを対象としていたが、本研究では摩耗だけでなく欠損も検知することを目的としている。
Methods
使用機材:2台のITVカメラ、画像処理装置、リング状のハロゲン照明装置
実験装置:工具台、オートフォーカス機構、マクロレンズ、CCDカメラ
画像処理:2台のカメラで取得した画像を解析し、損耗部分を抽出する。
Results
2台のカメラを用いて、ドリルの軸回転量を決定し、主要切れ刃の方向を調整。
損耗部分の摩耗幅、欠け幅、面積を測定。
散乱反射成分が支配的となる照明条件を決定し、損耗部分が正常部分よりも明るくなるような角度条件を導出。
Discussion
2台のカメラと画像処理技術を用いて、ドリルの摩耗と欠損を高精度に測定する方法を開発した。特に、散乱反射成分が支配的となる照明条件を設定することで、損耗部分を明確に検出できることが示された。
Novelty compared to previous studies
従来の方法では摩耗部分のみを対象としていたが、本研究では欠損も検知することができる。また、散乱反射成分を支配的にすることで、損耗部分をより明確に検出する新しい手法を提案。
Limitations
実験は特定の条件下で行われたため、他の条件下では同様の結果が得られるかは不明である。また、使用するカメラや照明装置の性能によっても結果が異なる可能性がある。
Potential Applications
本研究で開発した方法は、マシニングセンタなどの工作機械における工具損耗モニタリングに適用できる。これにより、工具の寿命管理や加工精度の向上が期待できる。
ITVカメラについて教えてください
ITVカメラ(Industrial Television Camera)は、産業用途に使用されるテレビカメラで、主に製造や加工の現場でのモニタリングや測定に用いられます。ITVカメラは高精度な画像取得と耐久性が求められる環境で活躍します。
特徴と用途
高解像度画像:精密な作業のモニタリングや計測に必要な高解像度画像を提供します。
耐久性:過酷な工業環境でも使用できるように設計されています。
自動フォーカス:自動的に焦点を合わせる機能を備えており、動いている対象物でも鮮明な画像を取得できます。
画像処理との連携:取得した画像をリアルタイムで解析するための画像処理装置と連携できます。
具体的な使用例
ドリル損耗の測定:ドリルの摩耗や欠損部分を検出し、精密な測定を行う。
加工プロセスのモニタリング:製造ラインにおける加工プロセスの監視と品質管理。
欠陥検出:製品の表面や内部の欠陥を非破壊検査で検出。
利点
非接触測定:対象物に触れることなく測定できるため、摩耗や損傷を防止できます。
高精度:精密な画像解析により、微細な欠陥や摩耗部分も検出可能です。
リアルタイム性:リアルタイムで画像を解析し、即座に結果を得ることができます。
まとめ
ITVカメラは、製造や加工現場での高精度なモニタリングと測定に不可欠なツールです。自動フォーカス機能や高解像度画像取得能力を持ち、画像処理技術と組み合わせることで、効率的かつ正確な欠陥検出や品質管理が可能となります。
ドリル損耗はどのように行われていますか?
ドリル損耗の測定方法について、以下に詳細に説明します。
使用機材と実験装置
2台のITVカメラ:
CA1:広域画像を取得するカメラ。ドリルの位置調整に使用。
CA2:詳細画像を取得するカメラ。損耗部分の検出と測定に使用。
照明装置:
リング状のハロゲン照明装置(L11):CA1での広域画像取得時に使用。
点状照明装置(L21, L22, L23, L31, L32, L33):CA2での詳細画像取得時に使用。異なる角度からドリルを照らし、損耗部分を明確にする。
オートフォーカス機構とマクロレンズ:CA2に搭載され、詳細な焦点合わせと高倍率での撮影を可能にする。
測定手順
広域画像の取得と位置調整:
CA1を使用してドリルの広域画像を取得。
画像処理によりドリルの主要切れ刃の方向を調整し、ドリルを軸回転して主要切れ刃が画像内で垂直になるようにする。
詳細画像の取得:
CA2を使用して、損耗部分の詳細画像を取得。損耗が発生しやすい位置にカメラの焦点を自動的に合わせる。
点状照明装置を使用し、異なる角度から照明を当てて画像を撮影。
画像処理:
取得した画像を解析し、正常部分と損耗部分を区別。
損耗部分の幅、長さ、面積を測定。1次元および2次元の量として計算。
散乱反射成分が支配的となるような照明条件を設定し、損耗部分を明確にする。
立体形状の測定:
複数の照明方向から取得した画像を用いて、損耗部分の3次元形状を再構成。
反射光と視線のなす角度や入射光線の方向を考慮して、損耗部分の立体形状を高精度に測定。
測定結果の分析
摩耗幅と欠け幅の測定:1次元および2次元の損耗量を計算。
損耗部分の立体形状:損耗部分の3次元形状を再構成し、詳細な損耗情報を取得。
利点
高精度:非接触で高精度にドリルの損耗を測定可能。
リアルタイム性:リアルタイムでの画像解析により、即座に結果を得ることができる。
詳細な情報取得:1次元、2次元だけでなく、3次元の損耗形状も測定可能。
この方法により、ドリルの摩耗や欠損を高精度かつ効率的に測定し、工具の寿命管理や加工精度の向上に寄与することができます。
加工中にドリルの損耗は検知できますか?
はい、加工中にドリルの損耗を検知することは可能です。以下に、その方法について詳しく説明します。
リアルタイム損耗検知の方法
ITVカメラと画像処理技術の利用:
ITVカメラを用いて、ドリルの切削中の様子をリアルタイムでモニタリングします。
カメラで取得した映像を画像処理装置に送信し、リアルタイムで画像解析を行います。
損耗の指標となるデータの取得:
ドリルの摩耗や欠損が進行するにつれて、切削抵抗、振動、音、主軸モータ電流、アコースティックエミッション(AE)などのデータが変化します。
これらのデータをセンサーでリアルタイムに計測し、損耗の指標として利用します。
画像解析による損耗検知:
画像処理ソフトウェアを使用して、ドリルの切れ刃や表面の状態を解析します。
摩耗や欠損が発生した場合、画像中の異常を検出し、損耗として認識します。
正常な状態との比較により、摩耗幅や欠け幅、損耗部分の面積などを計算します。
アラートシステム:
画像処理とセンサーによるデータ解析結果を基に、設定した閾値を超える損耗が検知された場合、自動的にアラートを発信します。
アラートはオペレーターに対して視覚的または聴覚的に通知され、必要な対策を迅速に講じることができます。
実装例
マシニングセンタ:複数の工具を装備した工作機械において、各工具の損耗をリアルタイムで監視します。切削中のデータを継続的に解析し、工具の寿命を延ばし、不良品の発生を防ぎます。
自動車製造:エンジン部品やシャーシの加工中に、ドリルの損耗をリアルタイムで検知し、工具交換のタイミングを最適化します。
航空宇宙産業:高精度が要求される航空機部品の製造において、ドリルの損耗をリアルタイムで監視し、加工精度を維持します。
利点
加工精度の向上:リアルタイムで損耗を検知することで、適切なタイミングで工具を交換し、加工精度を維持できます。
コスト削減:工具の寿命を最大限に活用し、不必要な工具交換を減らすことができます。
不良品の減少:損耗による加工不良を防ぎ、高品質な製品を継続的に生産できます。
このように、ITVカメラと画像処理技術、センサーを組み合わせたリアルタイム損耗検知システムにより、加工中にドリルの損耗を高精度かつ効率的に検知することが可能です。