note 株式会社の企業分析と投資評価

企業概要

  • 設立と沿革 – noteは2011年12月にピースオブケイクとして設立され、2014年4月に文章・イラスト・音声・動画など誰でも投稿できるメディアプラットフォーム「note」を開始した。2020年に社名をnote株式会社へ変更したnote.jp。現在は東京・北青山に本社を置き、CEOの加藤貞顕氏、CTO紺悠一氏、CFO鹿島幸裕氏らが経営陣を務めているnote.jp

  • 事業内容 – noteのミッションは「だれもが創作を始め、続けられるようにする」note.jp。プラットフォーム上でユーザーがテキスト、写真、音声、動画を発信し有料記事やメンバーシップなどで収益化できるほか、グッズ販売機能やクリエイター支援のためのファンコミュニティ「サークル」、法人向けSaaS「note pro」などを提供している。傘下にはコンテンツIP創出を担うTales&Co.があり、オリジナル作品を制作・販売する。

  • Googleとの資本業務提携 – 2025年1月、Googleが約50億円を出資し約6%の株式を取得する資本業務提携を締結したnote.com。AIモデル「Gemini」と連携し、クリエイター向けAI支援機能の開発やレコメンド高度化、コンテンツの安全性向上を図るnote.com。Googleのネットワークを活用した海外展開の可能性も期待されるnote.com

ビジネスモデル

noteの収益は主に以下の3本柱から構成されるnote.comnote.com

  1. プラットフォーム(UGCプラットフォーム)収益 – ユーザーが有料記事やメンバーシップ、サークル、ストアでコンテンツを販売する際の手数料や決済手数料が主な収入で、売上高の約80%を占めるnote.com。登録会員数は2025年8月末で1,052万人、公開コンテンツ数は6,407万件まで増加しており、ユニーククリエイター数は1.61百万人で前年同期比約20%増となったnote.comnote.com。プラットフォームのGMV(流通総額)は2025年3Q累計で55.3億円(前年同期比27.4%増)に達したnote.com

  2. note pro(法人向けSaaS) – 企業・自治体が自社ブログや広報メディアとしてnoteを利用できるサービスで、月額利用料を得る。2025年8月末時点の有料契約数は1,000件を超え、解約率は1.3%と低いnote.com。年間経常収益(ARR)は5.87億円に伸び、売上全体の約15%を占めるnote.comnote.com

  3. コンテンツ/IP(Tales & Co.) – 小説や漫画などオリジナルコンテンツを制作し、電子書籍やグッズ、広告収入を得る。売上構成比は約4%だが、ヒット作による収益が今後の成長ドライバーとなるnote.com

このほか、2025年にはクリエイターの資金調達を支援する「note Money」、ライトノベル特化サイト「Tales」、AI翻訳/対話支援機能など新サービスを投入し収益源の多角化を図っているnote.comnote.comは、ネットワーク効果によるユーザー増加とAIによる運営効率化により、高い参入障壁を構築していると指摘している。

業績と財務状況

直近業績(2024年12月~2025年8月:2025年11月期第3四半期累計)

四半期別の状況

会計期間 売上高 (前年同期比) 営業利益 (前年同期比) 特徴 出典
2025年11月期1Q (24年12月–25年2月) 9億5,700万円(+19.0%) 500万円(黒字化)note.com note事業・note pro事業が好調。Googleとの提携、AI新機能が貢献。会員登録者数は9.38百万人、投稿コンテンツは54.62百万件、ユニーククリエイター1.61百万人note.com note社発表
2025年11月期2Q (24年12月–25年5月) 10億1,300万円(+24.9%) 1,800万円(5四半期連続黒字)note.com GMVは52.05億円と前年同期比22.5%増、会員登録者数1,000万人超note.com note社発表
2025年11月期3Q累計 (24年12月–25年8月) 30億4,600万円(+23.8%) 1億2,700万円(+271.3%)finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp 生成AIや新サービスの導入が利用拡大を後押し。純利益は2億1,200万円で前年同期比344.2%増finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp 2025年3Q決算短信

通期業績予想(2025年11月期)

noteは2025年10月、通期予想を大幅に上方修正し、売上高41億2,500万円(期初予想比+2.9%)、営業利益2億円(同+233.3%)、経常利益2億1,000万円、当期純利益3億3,000万円と発表したdiamond.co.jpdiamond.co.jp。前年2024年11月期実績(売上高33.1億円・営業利益0.5億円)と比較すると、増収増益が見込まれているdiamond.co.jp

財務健全性

3Q時点の総資産60億18百万円のうち、自己資本は27億98百万円で自己資本比率45.6%と改善しているfinance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp。キャッシュは十分で、有利子負債は少なく財務レバレッジは低い。新株予約権の潜在株式は170万株(既存株式の約11.63%)とされ、将来の株式希薄化リスクがあるjpx.co.jp

市場環境と競合

  • 市場規模と成長率 – 日本のUGCプラットフォーム市場は2022–28年に年平均28%で成長するとの予測がありnote.com、利用者は個人・法人とも増加している。noteは国内最大級のユーザー基盤を持つが、競合にははてなブログやBrain、Zennなどが存在するnote.com。海外ではMediumやSubstackが知られるが日本での存在感は小さい。

  • 競合優位性 – noteは「有料記事+メンバーシップ+サークル+ストア」という多様な収益手段を同一プラットフォーム上で提供し、クリエイターと読者のネットワーク効果を構築している。note Proを通じた法人採用も進み、教育機関や自治体など公共機関で利用が広がっているnote.com。Googleとの提携によりAIによる編集支援やレコメンド精度向上が期待されるnote.com

  • 競合リスク – プラットフォーム型事業はネットワーク効果により先行者優位がある一方、資金力のある大手IT企業が参入した場合はユーザー流出や価格競争が起こりうる。IPO時の有価証券報告書でも「高い資本力を有する企業等が参入すれば競争優位性が薄れる可能性がある」と指摘しているjpx.co.jp。他社サービスへの解約が急増すれば収益に影響するため、UI/UX改善や顧客サポート強化で継続率を高めているjpx.co.jp

株式評価

株価・指標(2025年10月18日)

指標 数値 備考
株価 (終値) 1,409円kabutan.jp 2025年10月17日終値。最低投資金額は約14万円(100株単位)。
52週高値/安値 2,909円 / 457円jp.investing.com ボラティリティが非常に高い。
時価総額 約235億円kabutan.jp 発行済株式数約1,664万株kabutan.jp
予想PER 約71倍kabutan.jp Kabutanによる会社予想。なお実績EPSに基づくPERは約89倍(1,409円 ÷ 15.84円)jp.investing.com
PBR 8.54倍kabutan.jp 純資産が増えているものの資本効率は低い。
予想配当利回り 0.0%(無配)diamond.co.jp 株主還元は現状行っていない。

株価は2024年末の457円からGoogle提携や業績改善を受けて2025年9月に2,900円台まで急騰したが、その後は1,300円台まで調整するなど値動きが激しいnote.com。Kabutanやダイヤモンド記事では予想PERが70倍超、PBRが8倍超と、国内通信業平均を大きく上回り高水準であると指摘されているnote.com

主なリスク要因

IPO時の有価証券報告書および直近開示資料に記載されたリスクをまとめる。

  1. 市場環境の変化 – インターネット利用規制やスマートフォン普及の停滞など環境変化により、オンラインメディア市場の成長が鈍化すると業績に影響するjpx.co.jp。COVID‑19などパンデミックが長期化する場合も広告・消費の低迷がリスクとなるjpx.co.jp

  2. 競争と解約 – 資本力や知名度を持つ企業が参入すると競争が激化し、ユーザー流出や価格競争により収益が減少する可能性があるjpx.co.jp。プラットフォーム手数料やnote proの月額課金は利用継続に依存しており、急激な解約増が起きれば売上に直結するjpx.co.jp

  3. コンテンツ健全性とレピュテーションリスク – ユーザーが投稿する誹謗中傷・著作権侵害・賭博等の不適切なコンテンツに十分対処できなかった場合、炎上や訴訟のリスクがあるjpx.co.jpjpx.co.jp。不適切なカテゴリー収益への依存も指摘されており、公営競技や投資系コンテンツ比重が高いことが収益リスクになるjpx.co.jp

  4. 先行投資の回収リスク – プロダクト開発や人員採用等の先行投資が想定通り回収できなければ利益が出ないjpx.co.jp。生成AIや新サービス導入による効果が限定的な場合にも収益が伸び悩む可能性がある。

  5. 経営体制・人材依存 – 創業者である加藤CEOへの依存が大きく、同氏が不在になった場合の影響が懸念されるjpx.co.jp。優秀なエンジニア・クリエイターの確保と定着も課題jpx.co.jp

  6. 情報漏えい・システム障害 – 大量の個人情報や企業情報を扱うため情報漏えいや不正アクセスのリスクが常に存在するjpx.co.jp。地震や停電などによるシステム障害も事業停止を招くjpx.co.jp

  7. 法的規制 – インターネット関連の法規制が新設・改正された場合、コンテンツ提供や広告事業が制約を受ける可能性があるjpx.co.jp。また第三者の知的財産権を侵害した場合の賠償リスクjpx.co.jpや請負契約違反、訴訟などのリスクjpx.co.jpjpx.co.jpがある。

  8. 資本政策 – 新株予約権やベンチャーキャピタル保有株の行使・売却により既存株主の持分が希薄化するリスクが大きいjpx.co.jpjpx.co.jp。M&Aや新規事業に伴う資金調達が株価のボラティリティを高める可能性もあるjpx.co.jp

投資評価

強み

  • 急成長と高い収益ポテンシャル – 会員数・コンテンツ数とも右肩上がりで、プラットフォームのGMVは3年で2倍以上に拡大している。2024年に黒字転換し、2025年は営業利益が前年比約3倍になる予想diamond.co.jp

  • ネットワーク効果と多角的収益モデル – ユーザーとクリエイターが増加することで有料コンテンツ販売やメンバーシップ収入が増え、法人向けSaaSやIPビジネスへの横展開が可能。独自のファンコミュニティやストア機能により他社より多様なマネタイズ手段を提供している。

  • Googleとの提携・AI活用 – 大手テック企業と提携し、高度な生成AI「Gemini」を活用したコンテンツ生成支援・翻訳・レコメンド最適化を進めることで、クリエイターの生産性向上とユーザー体験の改善が期待されるnote.com

  • 財務基盤の健全化 – 2025年3Q時点の自己資本比率は45.6%で現金を潤沢に保有しているfinance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp。新規投資やM&Aに耐える余力がある。

弱み・注意点

  • 高いバリュエーション – 株価はPER約70〜90倍、PBR約8倍と国内平均を大きく上回り、成長期待が織り込まれているnote.comkabutan.jp。業績が予想を下回った場合の下落リスクが大きい。

  • 利益水準の小ささ – 売上は拡大しているが利益額はまだ2億円前後にすぎず、極端な投資先行で赤字に戻る可能性がある。さらに配当は無配で株主還元は期待できないdiamond.co.jp

  • 競争・規制リスク – ユーザー生成コンテンツは規制・著作権・誹謗中傷など法的リスクが大きく、ユーザー基盤が広がるほど監視コストも増える。市場には強力な競合が参入する可能性があるjpx.co.jp

  • 株式流動性と希薄化 – 大株主であるベンチャーキャピタルの持ち分(約41%)が上場後に放出されると株価の需給が悪化する恐れがあるjpx.co.jp。またストックオプションの潜在株式数は発行済み株数の約11.6%に相当し、行使時に希薄化を招くjpx.co.jp

総合評価

noteは国内UGCプラットフォーム市場で先行しており、会員数やコンテンツ数の増加、note pro事業の伸長、生成AIとの連携などによって高い成長余地を有する。一方、利益規模はまだ小さく、株価は高い成長期待を織り込んでいるため、投資妙味はあるもののボラティリティが高くリスク許容度の高い投資家向けである。

  • 長期目線では、クリエイターエコノミーの拡大とGoogle提携によるAI競争力が奏功すれば、売上と利益の大幅な成長が期待できる。実質的にキャッシュリッチで財務基盤は安定しており、note proやIPビジネスの拡大余地も大きい。

  • 短期的には、PERが70~90倍と高いため業績の伸び悩みや市場全体のリスクオフ局面では大きな株価下落も想定される。また新規事業・M&Aによる資金調達やVCの売却に伴う株式希薄化が株価の重しとなる可能性がある。無配である点もインカムゲインを狙う投資家には魅力が低い。

結論として、noteは高成長が見込まれる一方でリスクも大きいベンチャー企業であるため、投資判断には自身のリスク許容度と投資期間を踏まえた慎重な検討が必要である。本回答は特定の投資行動を推奨するものではなく、最終的な判断は専門家への相談の上で行うことを推奨する。

今後の予想ネットキャッシュ比率はどのようになっていきますか ネットキャッシュとは「流動資産+投資有価証券×70%-負債」であり、ネットキャッシュ比率はネットキャッシュを時価総額で割った数値です

良好な活動ですね。では、note株式会社(証券コード5243)の「ネットキャッシュ比率(=(流動資産+投資有価証券×70%)-負債)/時価総額」という観点で、入手可能な最新データから概算し、今後の推移(シナリオ)を整理してみましょう。

入手可能な最新データ

以下、直近で取得できた数値を整理します。
項目 数値 出典
時価総額 235 億円(=23.5 billion JPY) (IR BANK)
有利子負債 0.8 億円(80 百万円) (マネックス証券)
純資産(株主資本) 17.22 億円(1,722 百万円) (マネックス証券)
ただし、「流動資産+投資有価証券×70%」という分子構成をそのまま流用できる明確な数値 (流動資産・投資有価証券) を公表資料からピンポイントで取得できていません。よって「ネットキャッシュ=資産-負債」と簡易にみなす形で概算します。 例えば、純資産(株主資本)=資産-負債という関係が成立するため、資産=純資産+負債 という形から「資産-負債=純資産×2 ÷(1+負債/純資産)」という近似も可能ですが、ここでは便宜的に「資産-負債 ≒ 純資産」という仮定を置きます(実際には少し過大評価になる可能性あり)。 その上で、 ネットキャッシュ ≒ 純資産 ≒ 17.22 億円 ネットキャッシュ比率 ≒ 17.22 億円 ÷ 235 億円 ≒ 7.3% よって現状では、ネットキャッシュ比率は「おおよそ7%前後」という水準であると推定できます。

今後の予想推移とシナリオ

今後のネットキャッシュ比率がどのように変化しうるか、以下3つのシナリオに分けて考えます。

シナリオA:売上・利益好調+余剰キャッシュ創出

  • 2025年11月期において、好調な売上拡大と利益改善が報じられており、キャッシュフローの改善期待あり。 (Yahoo!ファイナンス)
  • 仮に営業キャッシュフローが改善し、余剰資金が増え、借入を拡大せず、資産構成に投資有価証券等が加わっていけば、資産-負債(ネットキャッシュ)が増加する可能性あり。
  • また、時価総額が成長期待の高まりから拡大すれば、分母(時価総額)が増えるため比率は維持またはやや低下することも起こり得ます。
予想値(3年先):
  • ネットキャッシュ=約 25~30 億円
  • 時価総額=約 300~350 億円 → ネットキャッシュ比率 ≒ 25/300 ≒ 8.3% ~ 30/350 ≒ 8.6% → おおよそ8%前後に上昇する余地あり。

シナリオB:成長鈍化または設備・投資拡大によるキャッシュ流出

  • 成長が想定より鈍かったり、新サービス投資(例えば「Tales」「noteマネー」)が先行コストを伴ったりした場合、キャッシュが流出して純資産が毀損する可能性あり。
  • 一方で、市場期待が低下して時価総額が縮小すれば、比率はむしろ上がる可能性もありますが、資本コストが高いためリスクも増す。
予想値(3年先):
  • ネットキャッシュ=約 15~20 億円
  • 時価総額=約 200~250 億円 → 比率 ≒ 15/250 ≒ 6.0% ~ 20/200 ≒ 10.0% → 幅は**6〜10%**まで振れる可能性あり。

シナリオC:積極投資・M&A等でキャッシュ枯渇+高期待で時価総額膨張

  • 大型M&A、グローバル展開、巨大なAI関連投資などで短期的にキャッシュが減少する可能性あり。
  • しかし市場がそれらに期待を込めて評価を上げれば時価総額が大きく膨らむこともある。
予想値(3年先):
  • ネットキャッシュ=10~15 億円
  • 時価総額=400~500 億円 → 比率 ≒ 10/500 ≒ 2.0% ~ 15/400 ≒ 3.8% → **2〜4%**程度に一時的に低下する可能性も。

注意点・前提・限界

  • 前述の「資産-負債=純資産近似」には誤差があります。実際には流動資産・投資有価証券・短期負債など構成が異なるため、「流動資産+投資有価証券×70%」という定義からはズレる可能性があります。
  • 時価総額は株価変動に大きく影響され、成長期待・マクロ環境・投資家心理によって短期的に大きく変わります。分母が変わるため比率も上下します。
  • 成長企業であるため、キャッシュを必ずしも貯めるよりも再投資に回る可能性が高く、ネットキャッシュ比率が低くても必ずしもネガティブとは限りません。
  • 将来予想はあくまで仮想シナリオです。実際の財務戦略、外部環境、競合動向などにより大きく変化します。

結論

現状では、note株式会社のネットキャッシュ比率は 約7%前後 と推定されます。 今後3年程度で、成長が順調に進めば 8〜9%程度まで上昇するポテンシャルがあります。一方で、成長鈍化や投資拡大でキャッシュが出ていくと、6%程度に低下する可能性もあり、さらに積極投資+評価拡大の場合には 2〜4% まで低下する可能性もあります。 このように、「ネットキャッシュ比率」はそれほど大きな余裕がある水準ではなく、投資対象としては キャッシュのクッションが薄めである一方、成長期待が株価に織り込まれている という構図と考えられます。 もし良ければ、より詳細に「流動資産」「投資有価証券」「短期負債」などを個別に洗い出して、3〜5年後のシミュレーション(キャッシュフロー・内部留保・借入動向を含む)を数値モデル化しましょうか?

noteがブログやyoutube、VOICYにかわるプラットフォームになると思いますか?

良い問いですね。私の見立てとして、note株式会社(プラットフォーム「note」)が、既存のブログ(文章中心)や動画プラットフォーム(たとえば YouTube)、音声配信プラットフォーム(たとえば Voicy)に「完全に取って代わる」存在になるかどうか、私なりに整理して 「可能性」「課題」「条件」 の3つの観点から考察し、結論もお伝えします。

✅ 可能性がある要素

まず、note が有力な候補となりうる点を整理します。
  1. クリエイター収益化モデル+多形式対応
    • note上では「文章・写真・音声・動画」など様々な形式で投稿でき、さらに有料記事・マガジン・サポート機能などで収益化できる仕組みがあります。 (株式会社プラスカラー | 女性活躍を目的とした広報支援会社)
    • 市場として、クリエイターエコノミー(個人がコンテンツを発信し収益化する動き)は拡大しており、noteもその流れにのって成長中です。 (note(ノート))
    • 例えば、2024年度で「売上トップ1000クリエイターの年間平均売上」が1,332万円というデータも出ています。 (note(ノート)) → これらは、ブログ+動画+音声といった従来メディアの“発信+収益”機能を1つのプラットフォームで補完・連携できるというポテンシャルを示しています。
  2. ニッチ/専門性領域での受容性
    • note の投稿には「実用的なハウツー」「専門知識」「経験を語る」など、有料に耐えうるコンテンツが厚みを増しており、単なる日記ブログとは異なる“専門性・深さ”を求める層に支持されています。 (note(ノート))
    • つまり、YouTube のようなマス向け動画+広告モデル、Voicy のような音声モデルだけではカバーしづらい、「文章+深掘り+有料読者コミュニティ」領域に note は強みがあります。
  3. 成長トレンド/ユーザー拡大
    • ユーザー数・投稿数ともに増加傾向があります。たとえば、会員登録者数が938万人、投稿数が5,598万件(2024〜25年期間)というデータがあります。 (note(ノート))
    • 「ブログ+動画+音声」など形式が多様化している中で、発信側・受信側双方の“選択肢”として、note のような柔軟なプラットフォームが選ばれつつある可能性があります。
  4. ブログ・ネットメディアとの差別化ポジション
    • 株探の記事では、note は「個人クリエイターが任意の価格を設定してコンテンツを販売できる『CtoC×課金』のビジネスモデル」であり、ブログやネットメディア、電子新聞・電子書籍等と比べ “ユニークなポジショニング” を持っていると述べられています。 (株探) → つまり単なるブログではなく、“売るための発信”という色を強めており、これが差別化要因となります。

⚠️ ただし、完全に「代替」になるための課題・ハードル

しかしながら、「ブログ・YouTube・Voicy を完全に置き換える」までには、いくつかの大きなハードルがあります。
  1. 形式の強み/既存プラットフォームの優位性
    • YouTube は動画領域で世界的な圧倒的シェアを持っており、発信+視聴+マネタイズ(広告・スーパーチャット・メンバーシップ)という成熟したエコシステムを備えています。
    • Voicy や他の音声プラットフォームも、音声リスナー・配信者の間に “音声特化” の文化・習慣がある点で固定ファンを持っています。 → note がこれらの形式(特に動画・音声)を完全にカバーし、既存の“主戦場”を奪うには、技術・UX・サービス規模・市場認知・利用者習慣の切り替えという大きな壁があります。
  2. 視聴習慣/プラットフォーム習慣の違い
    • ブログや音声・動画それぞれには「それを使うための習慣」「発信者・受信者の役割」が根付いています。人々が“読む”“観る”“聴く”という行為を選択するとき、プラットフォーム切り替えには心理的・操作的な抵抗があります。
    • たとえば「長尺動画をYouTubeで見る」という習慣、「通勤・作業中にVoicyで音を聴く」という習慣など。note がそれらを掘り起こして置き換えるには、既存ユーザーの習慣を動かす必要があります。
  3. スケールとネットワーク効果
    • 動画・音声プラットフォームには「視聴者数×発信量×リコメンデーション」「広告・アルゴリズムによるマッチング」という大きなネットワーク効果があります。note は収益化・発信寄りのモデルで成長していますが、それが “大量視聴・大量配信” の領域で YouTube 型に匹敵するスケールに到達できるかは未知数です。
    • また、動画・音声では「視聴時間」「視聴完了率」「リピート視聴」「バイラル化」といった定量指標が重要で、それらを押し上げるためにプラットフォーム側の技術(例:おすすめアルゴリズム、配信インフラ、編集ツール、収益モデル)も非常に重要です。note がその強化をどの程度進めるかが鍵です。
  4. 収益モデル・手数料・フリーミアムの構造
    • ブログ・YouTube・Voicy それぞれ、収益化モデル(広告・メンバーシップ・スーパーチャット・投げ銭など)が多数あり、発信者が複数チャネルを併用しています。
    • note のモデルは「有料記事」「サポート」「マガジン」等が中心で、広告モデル比率が低めという特徴があります。つまり、視聴・閲覧数を獲得してマスリーチを作る、というモデルとは少し異なります。これがスケーラビリティの点で制約となる可能性があります。
    • さらに、手数料率が記事販売時に約15〜20%程度という指摘もあり、ブログ・動画系と比べて収益還元性・流通性で課題視される面もあります。 (note(ノート))
  5. 発信者・受信者の分化とプラットフォーム役割
    • ブログ/動画/音声という形式にはそれぞれ異なる “力(=フォーマット適性)” があり、全てを1つのプラットフォームで統合して最適化するのは難しい側面があります。例えば「長尺動画でバイラルを取る」が強みのYouTubeに対して、note の強みは “深掘り文章+収益化可能性” という領域です。したがって、完全な替わりになるよりも “補完”または“代替可能な選択肢” という位置づけの方が現実的です。

🔍 私の結論:どうなるか?

まとめると、私の見解は以下の通りです。
  • “ブログ+記事中心”領域 → note はかなり有力な選択肢になっており、特に専門性・収益化を重視するクリエイターにとっては、ブログを超えるプラットフォームになり得る可能性が高いです。
  • “音声/動画”の主要な主戦場 → note が YouTube や Voicy を「完全に置換」するというのは、短〜中期的にはかなり難しいと考えます。既存プラットフォームのスケール・ユーザ習慣・ネットワーク効果が強いためです。
  • 結果として、note は “ブログ+収益化+専門クリエイター”のニッチ/成長領域を押さえるプラットフォームとして有望であり、YouTube や Voicy 等と競合する・補完する関係になるというのが現実的だと思います。
したがって、「ブログやYouTube、Voicyの代わりになるか?」という問いに対しては、
「完全に代わる」可能性は低めだが、「代替・補完可能な有力なプラットフォーム」には十分な可能性あり。特定用途・特定クリエイターにとっては“主戦場”になりうる。
というのが私の答えです。
もしよければ、具体的に「動画+音声」フォーマットでnoteがどこまで強化しているか(投稿数・視聴数・機能)のデータを探して、『YouTube/Voicyと比べたポジショニングマップ』を描くこともできます。どうされますか?