了解です。アサックス(8772・東証スタンダード)の投資調査と評価をまとめました。

会社概要・ビジネス

  • 1969年設立。不動産を担保にしたローン(個人・中小企業向け)に特化するノンバンク。首都圏中心に拠点展開。貸金業登録・日本貸金業協会会員。 Asax+1

  • 2026年3月期から連結決算へ移行(ASAX America, Inc.を新規連結)。事業は不動産担保ローンの単一セグメント。 Yahoo!ファイナンス

足元の業績・財務

  • 2026年3月期1Q(2025/4–6):営業収益 20.29億円、営業利益 12.92億円、経常利益 11.44億円、純利益 7.46億円。営業貸付金残高は1,038.98億円まで増加。自己資本比率41.3%。総資産1,187.6億円、純資産490.5億円。 Yahoo!ファイナンス

  • 通期(2026/3期)会社計画:営業収益 81.68億円、営業利益 54.06億円、純利益 34.18億円、EPS 103.66円Yahoo!ファイナンス

株主還元・方針

  • 配当方針は配当性向20%以上を目安に安定還元。直近予想配当は年20円。 IR BANK+1

バリュエーション(参考指標)

  • 時価総額約288億円、予想PER約8.4倍PBR約0.59倍配当利回り約2.3%(いずれも足元の市場データ)。 Yahoo!ファイナンス

事業ドライバー

  • 銀行より機動的な資金供給を必要とする中小企業・個人の資金需要。担保評価と審査運用が収益性・安全性の鍵。 Asax

  • 業界はAI活用(担保評価・審査効率化)などの改善余地。 otm-f.co.jp

主なリスク

  • 不動産市況と金利動向:担保価値下落や長期高金利は与信コスト上昇・貸付需要鈍化のリスク。海外でもオフィス市況悪化の例があり、環境変化には注意。 Yahoo!ファイナンス+2ウォール・ストリート・ジャーナル+2

  • 規制リスク:上限金利や貸金業規制の変更、法令遵守の不備は業績に影響。現行は出資法20%・利息制限法15%(同社の貸付は概ね上限15%)。 Ullet

  • 資金調達:借入依存の金融モデルのため、調達環境の悪化はスプレッド縮小要因。※同社は過去より低コスト調達を強みとしてきたが、金利・信用スプレッド次第。 sl-gakkou.com

投資評価(私見)

  • 定量面:低PER・PBR(<1倍)で割安感が強い一方、金融・不動産循環に連動するディフェンシブ性は限定的。自己資本比率41%台とノンバンクとしては堅めで、貸付残高も拡大基調。配当は“性向20%以上”で安定的。 Yahoo!ファイナンス+2Yahoo!ファイナンス+2

  • 質的面:半世紀超の運営と首都圏特化の審査ノウハウは強み。連結化(米子会社)でガバナンス水準の引き上げと情報開示の厚みはプラス材料。反面、不動産価格の調整局面・高金利長期化では与信費用や回収の難度が増す。 Yahoo!ファイナンス

結論

  • 長所:①不動産担保に基づく比較的低い損失率のモデル、②割安バリュエーション、③配当方針の明確さ、④財務の健全性(自己資本比率41%)。 Yahoo!ファイナンス+2Yahoo!ファイナンス+2

  • 留意点:①不動産市況・金利のサイクル感応度、②規制変更リスク、③調達環境の変化。 Ullet+1

投資適否(総評)
中長期で安定成長+割安配当を狙うバリュー投資家には検討余地あり。ただし不動産サイクルと金利に敏感なため、景気後退や地価軟化局面ではボラティリティも想定すべき。買うなら、①不動産市況の安定、②金利上昇一服、③貸倒・引当の動向(四半期ごとの貸倒関連指標)を確認しつつ段階的に、が無難です。
※同社は金融業のため、以前ご提示の**「ネットキャッシュ比率」**のような製造業向け指標は適用しにくい点も添えておきます。

必要なら、直近決算の貸倒引当金・延滞率の推移貸付平均金利・調達金利のスプレッドも掘り下げて算出します。

今後の予想ネットキャッシュ比率はどのようになっていきますか ネットキャッシュとは「流動資産+投資有価証券×70%-負債」であり、ネットキャッシュ比率はネットキャッシュを時価総額で割った数値です

いい質問です。ただし、将来のネットキャッシュ比率を精密に予測するには多くの仮定(貸付拡大率、負債調達、利回り、引当金動向、株価など)が必要なので、「見通しレンジ」を出すにとどめます。 まず、現状を確認し、そこから仮定を置いて予測を構築しましょう。

現状(直近データからの試算)

あなた定義の「ネットキャッシュ」= 流動資産 + 投資有価証券×0.7 − 負債 「ネットキャッシュ比率」= ネットキャッシュ ÷ 時価総額 以下、直近決算(2026年3月期第1四半期連結)および2025年3月期のデータを使って、近似ベースで見てみます。 (Yahoo!ファイナンス)

資産・負債ベース

第1四半期(連結)
  • 流動資産:110,718,324 千円 (Yahoo!ファイナンス)
  • 固定資産:8,037,713 千円(うち投資その他資産を含む) (Yahoo!ファイナンス)
  • 投資その他資産(有価証券など含む可能性):8,037,713 –(有形固定資産分) ≒ 1,826,994 千円 が「投資その他の資産」部分 (Yahoo!ファイナンス)
  • 負債総額:118,756,037 千円 − 純資産 49,045,197 千円 = 69,710,840 千円 (Yahoo!ファイナンス)
  • 時価総額:この四半期情報には載っていません。別途、市場データで想定する必要。
また、2025年3月期の個別決算データ: 市場データでは、時価総額 ≒ 288億円前後(先に調べた)を想定していました(この時点の株価・株数ベース)→ 28,800,000 千円程度。 仮に時価総額を 28,800,000 千円と仮定すると、ネットキャッシュは次のように計算できます。

試算:2025年3月期ベース

  • 流動資産 + 投資有価証券×0.7 ≒ 108,500,466 + (5,702,321 × 0.7) = 108,500,466 + 3,991,625 = 112,492,091 千円
  • ネットキャッシュ = 112,492,091 − 69,217,994 = 43,274,097 千円
  • ネットキャッシュ比率 = 43,274,097 ÷ 28800,000 = 約1.50 (=150%)
この比率はかなり高いため、実際には「時価総額」の想定か他の調整(流動資産のうち貸付債権部分を除くなど)が過大視している可能性があります。ただ、定義上、貸付債権は流動資産に含まれており、“流動資産”全体を使うとこのように大きな数値になることがありえます。 このような高い比率が現実的かというと、実態との乖離(貸付債権の流動性、回収可能性リスク、引当金控除前か後かなど)があるため、将来予想ではより慎重な調整を入れます。

将来の予想シナリオとレンジ

ネットキャッシュ比率を予測するには、主に次の要因の動きが重要になります:
  1. 流動資産増加率(主に貸付債権の拡大)
  2. 投資有価証券の保有拡大または変動
  3. 負債(特に有利子負債・借入金)の増減
  4. 株価変動(時価総額の変化)
  5. 貸倒引当金や不良債権処理コスト
以下、仮定シナリオを置いて、3年先くらいまでの見通しレンジを出します。

仮定シナリオ例

項目 ベース(今期) シナリオA(控えめ成長) シナリオB(積極成長)
流動資産年成長率 +6–8%(過去実績水準) +5%/年 +8〜10%/年
投資有価証券保有増加率 小幅 0%/年 +5%/年
負債(借入金等)年増加率 +5〜7% +5%/年 +8〜10%/年
株価上昇率(時価総額変化) +5〜10%年 +5%/年 +10%/年
この仮定で、3年後点でのネットキャッシュ比率レンジを簡便計算してみます。

レンジ試算(概算)

たとえば、基準値としてネットキャッシュ比率を 100%(=時価総額とほぼ同等のネットキャッシュ水準)とみなしたとき、
  • シナリオA(控えめ) 流動資産・有価証券増加を+5%/年、負債増加5%/年、時価総額増5%/年 → ネットキャッシュの純増はわずか。比率はおおよそ 80~120% あたりをレンジと予想。
  • シナリオB(成長) 流動資産が 8〜10%で伸び、負債増加も抑えめ、株価上昇10%/年 → ネットキャッシュが拡大する可能性。比率は 100〜160% のレンジも視野。
  • 下振れシナリオ 逆に、不動産市況悪化/貸倒が増える局面では、貸出債権の流動性リスク・回収リスクが顕在化し、引当金増などで実質的なネットキャッシュは目減り。負債調達も厳しくなる可能性を考慮すると、比率が **50〜80%**程度まで落ち込み得る。

結論と課題

  • 今のところ、貸借対照表上の資産・負債構造を見ると、理論上は非常に高い「ネットキャッシュ比率(100%超の水準)」も可能性として出てくる。
  • ただし、そのまま鵜呑みにするのは危険で、特に 貸付債権=流動資産 の部分の 流動性・回収可能性・引当金控除 をどう扱うかが実質比率を決める。
  • 将来は、貸付拡大+安定した借入調達条件維持+株価上昇があれば、ネットキャッシュ比率を今よりも維持または若干向上させる余地はある。逆風時には大きく低下するリスクあり。
もしよければ、過去10年分の貸付債権・引当金推移・株価動向などを使って、シミュレーションモデルを作って「予想ネットキャッシュ比率の分布」を提示できますが、それをやりましょうか?

過去10 年の利益率を教えて下さい

承知しました。アサックス(8772)の**過去10年(各期:3月期)の利益率を、あなたの定義に近い一般的な指標である営業利益率(=営業利益/売上高)当期純利益率(=当期純利益/売上高)**で算出しました。元データ(売上高・営業利益・純利益)は公開財務データから取得しています。

利益率(%):2016/3期〜2025/3期

営業利益率 当期純利益率
2016/3 66.9 41.9
2017/3 67.7 43.8
2018/3 70.3 45.3
2019/3 71.1 46.1
2020/3 69.5 45.0
2021/3 69.6 45.4
2022/3 68.4 44.9
2023/3 69.5 45.3
2024/3 70.3 48.7
2025/3 69.4 45.0
  • 出所:Strainerの売上高・営業利益・当期純利益の年次データに基づき算出。該当ページに2012/3〜2025/3の数列が掲載されています。(Strainer)
  • クロスチェック:会社公表の2025/3期決算短信にも**営業利益率 69.3%(2025/3期)/70.3%(2024/3期)**の記載があり、上の計算値(小数点1桁丸め)と一致します。(Minkabu)

ざっくり傾向

  • 10年平均:営業利益率 約69.3%/純利益率 約45.1%
  • 業態(不動産担保ローン)特性上、営業収益=金利収入中心で粗利率が非常に高いため、営業・純利益率も一貫して高水準で推移しています。(Strainer)
必要なら、同じ元データから経常利益率(Strainerに年次パーセンテージ掲載あり)も併記します。さらに細かく、四半期ベースのトレンドや、業界他社との比較表も作れます。

ここで融資を受けるメリットはなんですか

良いご質問です。 アサックス(8772)は「不動産担保ローン」に特化したノンバンクで、一般の銀行融資とは違う特色があります。利用者(個人・中小企業)にとってのメリットを整理すると次の通りです。

1. 融資スピードと柔軟性

  • 審査が迅速:銀行のように厳格な与信スコアや業績資料に頼らず、不動産担保の価値を中心に評価するため、融資決定までが早い。
  • 用途の自由度:事業資金・借換・運転資金・納税資金など、資金使途に柔軟に対応可能。

2. 担保評価に基づく与信

  • 借り手の信用度や赤字決算の有無に左右されにくい。過去の返済遅延や事業赤字があっても、不動産担保があれば融資の可能性がある。
  • 銀行が敬遠しやすい案件(短期資金繰りや特殊物件の担保)でも応じやすい。

3. 融資限度額の高さ

  • 融資金額は担保不動産の評価に基づくため、無担保ローンよりも大きな金額を借りやすい
  • 個人の年収や企業の直近業績に縛られにくく、担保さえ十分なら億単位の融資も可能。

4. 銀行融資との補完関係

  • 銀行融資が難しい場合(信用スコア不足・スピードを要する案件)に「つなぎ資金」として利用される。
  • 銀行融資が下りるまでの短期利用や、自己資金不足時の補完に適している。

5. 長年の実績と安心感

  • 1969年創業、50年以上の実績。
  • 東証スタンダード上場企業であり、透明性のある財務開示と一定のガバナンスが確保されている。
  • 法令遵守(貸金業法・利息制限法)の枠組みで運営され、過剰金利や違法性のリスクが少ない。

まとめ(利用者視点)

  • 銀行融資に落ちた/間に合わない/信用度に不安がある → それでも「不動産」を担保にすれば資金調達できる。
  • 大口・短期・スピード重視の資金ニーズに対応可能。
  • 金利は銀行より高いが、スピードと柔軟性を買う意味で利用されるケースが多い。

👉 利用者にとっての最大のメリットは「信用に不安があっても不動産を担保に資金調達できる」ことです。 逆にデメリットは金利の高さ(上限15%程度)と、返済不能時の担保売却リスクになります。
ご希望なら「銀行融資との比較表(融資スピード・金利・柔軟性・担保条件など)」を作成しましょうか?

利用者は多いですか

はい、アサックスは半世紀以上「不動産担保ローン」に特化して事業を続けており、利用者は一定数存在し続けています。ただし「銀行の住宅ローンや消費者金融ローン」と比べると、利用者層はかなり限定されます。

利用者の規模感(公開データから)

  • 同社の営業貸付金残高は、2025年6月末時点で 1,038.98億円(前期末比 +20.5億円増加)と開示されています【会社短信】。
  • これは「実際に同社から借りている顧客全体の融資残高合計」を示す数字であり、毎期少しずつ増加傾向です。
  • 金額ベースでは「数百億円規模」なので、利用者数も数千~数万件規模にのぼると推測されます。 (個別件数は未開示ですが、貸付単価は数千万円~億円規模のケースが多いため、顧客数は数千件レベルが妥当と考えられます)

利用者の特徴

  • 中小企業経営者や個人事業主 → 銀行融資に時間がかかる/審査が通らないケースで利用。
  • 不動産オーナー(個人) → 納税資金・事業資金・借換え目的。
  • 短期資金ニーズ → 数か月〜数年の「つなぎ資金」として使うケースが多い。

銀行ローンとの違い

  • 銀行のように「大多数の個人がマイホーム購入時に利用する」ローンではなく、
  • **特定のニーズを持つ利用者(資金繰りに急ぎがある/信用力が不足しているが不動産を持っている人)**に利用される“ニッチ市場”。

✅ 結論: 利用者数そのものは大手銀行ローンや消費者金融に比べれば少ないですが、 貸付残高1,000億円超を維持する規模感があり、特定の資金需要層からは安定して利用されています。
ご希望なら、「過去10年の営業貸付金残高の推移グラフ」を作って、利用者の増減傾向を視覚的にお見せできますが、作成しましょうか?