キムリアとは
キムリアは、患者の免疫細胞(T細胞)を取り出し、
がん細胞に対して攻撃力を高めるように改変した製剤で、
これを患者に投与してがん細胞を死滅させます。
キムリアを投与すると、体中にCAR-T細胞が拡散します。
CAR-T細胞は、他の血球の協力がなくてもCARを使って白血病のがん細胞を見つけて結合し、
がん細胞を攻撃し、死滅させます。
また、CAR-T細胞は体の中で増えることができるため、
1度だけの投与で継続的に標的のがん細胞を攻撃します。
キムリアによる治療は、CAR-T療法と呼ばれ、
再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病治療に使われます。
詳しい内容:http://product.novartis.co.jp/kym/tool/KYM_pALL_Ver.1.pdf
副作用
サイトカイン放出症候群(CRS)
キムリアの治療によって、CAR-T細胞や他の免疫細胞の働きが活発になると、サイトカインと呼ばれる物質が放出されます。
サイトカインの放出をきっかけに、腫瘍細胞への攻撃が強まりますが、大量に放出されると正常細胞まで攻撃されてしまいます。
その結果、全身のさまざまな部位で起きる炎症反応がサイトカイン放出症候群です。キムリアの投与後、数時間後~数日以内にあらわれることが多い副作用です。
保険適用について
投与は1回で済み、価格は3349万円。1回当たりの薬価としては過去最高となり、保険財政への影響を懸念する声も出ている。
国の医療保険では、患者の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」がある。このため、年収約370万~約770万円の患者の自己負担は約41万円で済む。大部分は保険で支払われる。
引用:https://mainichi.jp/articles/20190522/k00/00m/040/195000c
考えられる問題
◆国内初となる白血病のCAR-T細胞療法薬「キムリア」。15日の中央社会保険医療協議会総会で3349万円の価格がついた。薬価基準収載品では最高額となる
◆保険適用により「高額療養費制度」を利用できるため、医療保険財政への影響を心配する声が上がっているが、対象患者を若年層や難治性などに限定し、200人程度に絞っており大きな影響はないとみられる。仮に一次治療の承認申請に向けた臨床試験で有効性が確認され、使用が認められれば財政影響を考慮せざるを得ない事態になる
◆ただ、複数の抗癌剤を試した後にキムリアを使う場合と1回目の投与で治癒するのとでは患者のQOLは大きく異なるし、将来的には医療費削減につながる可能性も出てくる。実際C型肝炎の完治が期待できる「ソバルディ」など4品目は中医協で費用対効果の良さが認められ、薬価が引き下げられなかったhttps://www.yakuji.co.jp/entry71997.html