https://www.tec-lab.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/R5_04.pdf

Title (English & Japanese):
Implementation of anomaly detection system for product processing
製品加工に対する異常検知システムの実装

Journal Name & Publication Year:
群馬県立産業技術センター研究報告 (2023)

First and Last Authors:
TAKAHASHI Yoshiyuki, ARAI Hiroaki

First Affiliations:
先端ものづくり係 (Advanced Manufacturing Section)

Abstract:
本研究では、製品加工における不良率低減および生産性向上を目指して、異常検知システムを構築しました。プロトタイプのデジタル機器を使用し、企業の量産設備に実装しました。

Background:
製造業では、設備の適切な運用が生産性と品質の向上に直結しますが、不適切な状態では不良が発生し損失に繋がります。本研究は、デジタル技術を用いて製造過程の可視化と異常検知を行うことを目的としています。

Methods:
温度、切削油、ドリルの負荷率を測定するためのセンサを選定し、データを収集しました。MATLABを用いてデータを可視化し、異常を検知するシステムを構築しました。また、異常時にはタブレットに通知されるように設定しました。

Results:
異常検知システムを企業の量産設備に実装し、温度、湿度、気圧、切削油の状態をモニターで常時確認できる環境を整備しました。不良発生率は0.5%/月に抑制され、経済効果は78万円/月に達しました。

Discussion:
本システムは低コストでありながら、量産設備において実用的であることが確認されました。異常通知機能により、工場全体で迅速かつ的確な対応が可能となりました。

Novelty compared to previous studies:
従来の異常検知システムに比べ、低コストかつ迅速に量産設備に実装できる点が新規性です。

Limitations:
研究では、特定の製品加工に焦点を当てていますが、他の製品や加工条件に対する適用可能性は今後の課題です。

Potential Applications:
中小企業を対象とした異常検知システムの普及を目指し、地域SIerと連携してさらなる展開が期待されます。

システムの構成を教えてください

システムの構成は、以下のように説明されています。

データ収集用のセンサとデジタル機器の選定・設置:

温度センサ: BOSCH社のBME280を使用し、生産設備と材料置き場に設置。測定データはWiFi機能を搭載したESP-WROOM-32を介して、IoTプラットフォームThingspeakに送信。
切削油センサ: キーエンス社のFU-80MTZを使用し、切削油タンク内の不純物や汚れを測定。データはNQ-MP8Lモジュールを介してPCに収集。
ドリル負荷センサ: サラ社の3702-150N/191を使用し、ドリルの負荷率を測定。データはArduino MEGAを介してPCに収集。
データの可視化:

MATLAB App Designer: 集めたデータをもとに、ダッシュボードで温度、湿度、気圧、切削油の透過度、電流などを可視化。
異常検知: K近傍法(KNN)を用いて、正常データとの比較で異常を数値化し、閾値を超えた場合に異常と判断。
異常通知システム:

Thingspeakを使用して異常データを蓄積し、slack_apiを介して異常通知を作業者のタブレットに送信。設定した閾値を超えた場合に通知が発信される仕組みです。
モニタリング:

現場事務所: 4つのデータ(温度、湿度、気圧、切削油)を常時モニタリングできるよう、現場事務所に設置したモニターに表示。
電流値: ドリルの摩耗や欠損を可視化し、正常/異常を緑/赤のライトで識別。
これらのシステム構成により、製造現場でのリアルタイムな異常検知と迅速な対応が可能になっています。