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タイトル(英語と日本語)
Development of Anomaly Detection System for NC Milling Machine
NCフライス加工機の異常検知システムの開発

ジャーナル名と発行年
KISTEC Research Report 2021
KISTEC研究報告 2021

最初と最後の著者
Tatsuaki Nagao, Tomohiro Yokota

最初の所属
System Technology Group, Information and Production Technology Division

アブストラクト
本研究では、NCフライス加工機の切削作業における異常を検知するための低コストなシステムを開発することを目的とした。このシステムは、主軸回転速度、主軸負荷率、送り速度などの加工データと、電流クランプで取得した電流値を利用し、切削工具の劣化や破損を検出するものである。

背景
NCフライス加工機での切削作業中、切削工具の摩耗や不適切な加工条件が原因で、工具の折損や加工機の故障が発生することがある。市販されている異常検知システムは高価であり、主に切削動力計や主軸モータの電流値の変動で異常を検出する方式が主流である。

方法
システムの開発には、既存のNCフライス加工機から得られるデータと電流クランプで取得した電流値を使用した。システム構成には、PLCを用い、主軸回転速度や電流値などを監視するWebサーバユニットを導入した。

結果
フライス加工中に主軸モータの電流値の急激な変動が確認され、その際に工具の破損が発生していることが明らかになった。また、径方向切込の違いによっても電流値に差が生じた。

ディスカッション
PLCのWebサーバユニットを用いた異常検知システムは、データ取得システムを自作でカスタマイズする場合に有効であり、低コストでの異常検知が可能となる。

従来研究との新規性
既存の高価な異常検知システムとは異なり、本研究で開発されたシステムは安価であり、企業への導入が容易である点が新規性である。

限界
本研究では、温度変化からは工具の破損を検出することができなかった。

潜在的応用
本システムは、切削加工の効率化を目指す企業にとって、低コストで導入可能な異常検知手段として利用されることが期待される。

Webサーバユニットの構成を教えてください

Webサーバユニットの構成

このシステムでは、三菱電機のMELSEC-Qシリーズを使用しています。以下が、Webサーバユニットを含む構成の詳細です。

Webサーバユニット: QJ71WS96

所内ネットワークに接続し、Webブラウザを介してPLCのデータをモニタリングするために使用。
内部メモリの複数個をタグデータとして扱い、それをHTMLファイルによりWebサーバユニットへ書き込み、所内ネットワークに接続しているPCのWebブラウザでデータを確認可能。
0.1秒間隔でデータをCSVファイルに保存し、そのファイルをFTPサーバへ自動転送する機能を持つ。
CPUユニット: Q00UJCPU

CC-Linkネットワークユニット: QJ61BT11N

マスタ局の機能を持ち、NCコントローラからデータを受け取る。
入出力ユニット: QX48Y57

CT入力ユニット: Q68CT

主軸モータの電流値を測定。
アナログユニット: Q62AD-DGH

放射温度計からのデータを取り込む。
この構成により、加工データのリアルタイム監視や異常検知を行っています。