あなたが「どの仕事から手をつけるべきか?」と考えた場合は、主に前頭前野皮質や海馬の神経ネットワークのなかに「わたし」の感覚が生まれ、「悲しくてやりきれない」と思ったなら、今度は偏桃体や視床下部に自己が発生。

さらに鏡をみて「これは自分だ」と感じたときは、皮質下の脳幹構造が活動を始めています。
それぞれの機能は脳内の異なる神経ネットワークが調整し、ほぼ独立したシステムとして動作しているわけです。

脳の働きから見れば、私たちが体験する事故に特別な神経基盤はありません。
場面ごとに異なる機能が出現するのを、私たちはあたかも統一された唯一の「わたし」がいるかのように思い込んでいるだけです。

自己というと感情・思考・肉体を統べる一段上の存在のようにも思えますが、実際には手足や目鼻口などの器官と位置づけは変わりません。

もちろん自己の具体的な役割についてはまだ議論があり、他の機能を提案する専門家も少なからず存在します。
その決着は遠い先の話でしょうが、ひとつ統一された「わたし」など存在せず、自己を特定の機能の集合体として解釈する点ではおおむね一致をみています。

いわば自己とは生存のためのツールボックスのようなものであり、サバイバルに必要な道具の寄せ集めにすぎないのです。

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