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顕示的消費

経済学では、「値段が下がれば需要は増えて供給が減る、値段が上がれば需要が減って供給が増える」というのが基本的な前提である。

しかし、ヴェブレンが喝破したように、「顕示的消費」においてはこの前提は成り立たない。
簡単に言ってしまえば、高級時計や高級スポーツカーなど、いわゆる奢侈財は「自分が上流階級であることを示す」ための商品であり、それゆえ、「高いからこそ意味がある」という側面があるわけである。

商売人にとって、これほどありがたいものはない。
普通、客は「少しでも安く」と求めてくるのに対し、奢侈財になると「高いからこそ買う」というスタンスで商品を選びにきてくれるのだ。

 

つまり、顕示的消費の局面においては、価格低下圧力という重力がかからない場所で商売を展開できるわけである。

因果の逆転~高いからいいものだ

「高級品」を売ることには別のメリットもある。
人間には「認知的不協和の解消」という特性がある。

つまり、矛盾する情報を同時に自分の中に抱えたとき、それを不快にかんじるため、事実を捻じ曲げて自分の都合のいいように解釈しようとする、という特性である。

例えば、カルト宗教で「世界は1999年に破滅する」と予言されていて、世界が破滅しなかった場合に、「身心のおかげで破滅しなかったのだ」と捉えて予言の不的中を正当化するような心理的機能が「認知的不協和の解消」である。

また、品質がわからないものの場合、「高いもののほうがいいものだ」と類推する心理的機能も働く。

例えば、60分100円の占い師と、60分1万円の占い師がいたとして、どちらが信頼できるだろうか?

60分100円の占い師は何となく怪しい、素人なのではないか、怪しい水晶玉を売りつけられるのではないか、など、何となく不安感を生み出してしまう。
「いいものはある程度値段がするはず」という消費者心理を逆手にとり、逆に「ちょっと高い値段」を打ち出すことで、信頼感を醸成できるのである。

そして、「1万円の占い」がイマイチ的中していないように思われる結果だったとしても、「あれだけの値段がしたのだから、意味のあることを言っていたに違いない」と、自分の中でその占いの当たっている部分を頑張って探し、逆に占い師に対するロイヤリティを高まるような心理的な動きが発生するのだ。

 

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