現時点で、1ポンド(450グラム)の重さのものを宇宙へ送るには、およそ1万ドルかかる。
チーズバーガー1個につき、約2500ドルの計算だ。

これが理由で、人類は月面に6回しか立ったことがない。
2017年時点での宇宙旅行の状況は、1969年のあらゆる希望を裏切っている。

それは、工学や科学の天才が不足しているせいではなく、宇宙へ行く費用が、頑ななまでに高いままだからだ。
この費用を劇的に削減できれば、より優れた宇宙科学、より優れた通信システム、惑星外資源へのアクセス、天候を操る力を得られるのだろう。

そして、何より、太陽系が開発され、移住への道が開かれるのだ。

現在でも宇宙への打つ上げにそれほどまでに費用がかかる理由を理解するには、ロケットを見た時に目に入る部分を理解する必要がある。

ロケットというのは要するに、爆発性の推進剤が入った菅と、そのてっぺんにはほんのちょびっとだけ荷物を積んだものだ。
地球低軌道(LEOといい、高度500キロメートルあたりの、ほとんどの打ち上げめざすところ)へ向かう一般的なミッションの場合、重量の80パーセントが推進剤(燃料 + 酸化剤)で、16パーセントがロケット本体、そして残り4パーセントが荷物である。

ところが費用に目を向けると、状況は逆転する。
推進剤は価格の面では無視できるほどで、数十万ドル程度だ。
つまり、費用の大半はロケット本体が占めており、しかも使用後はほぼ毎回、捨てられてしまう。

要するに、ロケットの打ち上げは非常に効果で、ロケット内の空間の大部分は推進剤が占めるということだ。
このため、安く宇宙へ行くために費用を劇的に下げるには、次の2つの方法が考えられる。

(1)打ち上げロケットの回収
(2)推進剤の使用の削減

 

(2)推進剤の使用の削減に関しては非常に厄介である。

車の場合は燃料を目的地まで行く途中のガソリンスタンド入れることができるが、ロケットの場合はそうはいかないからだ。
もし車も目的地までの燃料をすべて運ぶならば、巨大なタンクローリーをひきずる必要が出てくる。

残念ながら、ロケット用のガソリンスタンドを設けるのは難しい。

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