ご存じのとおり、鉄分は人体に酸素を運ぶ働きをしている大事なミネラル。こいつが足りないと貧血になったり、頭が悪くなったり、疲れやすくなったり、免疫システムが壊れたりと、いろんなダメージが出ることがわかっております。
が、いっぽうで「鉄不足より摂りすぎのほうがヤバい」って話も昔からあります。たとえば、血液の鉄分が増えちゃう病気(ヘモクロマトーシス)の患者さんは、格段に癌や心疾患にかかる確率が高かったりするんですね
鉄分が多い人ほど体は老けている
こういった問題が起きるのは、過剰な鉄分が体内でタンパク質とっくついて「フェリチン」って物質になるから。フェリチンは酸化しやすい性質を持っていて、量が増えるほどに細胞へダメージをあたえていくんじゃないかと考えられてるんですな。
この事実はいくつかの観察研究で確認されてまして、
- 糖尿病または高血圧の人ほどフェリチンの量が多い。相関係数は0.73(=かなり関係性が強い)(1998年,2)
- 血中のフェリチンが多い人(300オーバー)の人は、糖尿病の発症リスクが5倍になる(1999年,3)
- 内臓脂肪と皮下脂肪の増加もフェリチンと密接な関係がある(2005年,4)
みたいな感じ。ハッキリした因果の方向はわからないものの、鉄分が多い人ほど体が老けてるよーって関係性はバッチリと出てますねー。
男が早死になのも鉄分のせい?
ほかにも特筆すべきポイントとしては、「男が女より早死になのは鉄分のせいじゃない?」って説もあったりします(5)。女性は定期的に血液を排出するので、男より体内の鉄分が少ない傾向があるんですな。
そのせいで、男は年を取るごとに体内の鉄分が溜まっていき、やがて心臓病を引き起こすんじゃないのか、と。この説を確かめるのは難しいものの、2002年の実験(6)では「患者の血を取って体内の鉄分を減らしたら心疾患のリスクが減った!」なんて結果も出てたりしますからねぇ。あながちデタラメでもなさそうではあります。
鉄過剰はすべての病気の根っこにあるかも説
このあたりをふまえたうえで、マンチェスター大学のダグラス・ケル博士は、2010年のレビュー論文で次のように言っております(7)。
さまざまな毒素や感染因子は、細胞や組織の死や機能の停止をもたらし、結果として病気、老化 、死亡の原因となる。それでは、さまざまな原因のなかで、細胞の死と破壊をもたらす根っこのメカニズムとはなんだろう?(中略)
すべての経路は複雑にからみあっているが、このレビュー論文では、多くの病気の原因が「鉄分の機能不全」に集約される事実に焦点を当てたい。
一緒に摂取したい食べ物
鉄分は体内でタンパク質と結びついてフェリチンになる
フェリチンは超酸化しやすい
フェリチンが増えると細胞がジワジワダメージを受ける
体が老けまくり!
といったところです。もちろん鉄不足はよくないものの、どっちかといえば過剰のほうがマズいかもしれないレベル。
では、「鉄分の害を防ぐにはどうすりゃいいの?」ってのが今回のお題です。
それはポリフェノールを摂取することです。
ポリフェノールが体にいいのは有名な話。実は、その原因のひとつとして「鉄分の吸収をブロックするからじゃない?」って考え方もあるんですよ。
実際、ポリフェノールが鉄と結びついて体の外に出るってデータは豊富(5)で、とくにケルセチン(タマネギに多い成分)の効果が高いと考えられております。
また、1983年の実験(6)だと、コーヒーや緑茶のポリフェノールもかなり鉄分には有効。だいたいコーヒーが40%、緑茶が64%ほど鉄分の吸収を減らす作用が確認されております。逆に言えば、貧血気味の人は緑茶を飲みすぎないほうが吉。
引用:https://yuchrszk.blogspot.com/2017/06/iron1.html