3R

3Rとは、Reduce(減らす)、Reuse(再利用)、Recycle(リサイクル)の3つの行動原則の頭文字を取った言葉で、環境保護において重要な考え方のひとつです。この原則を実践することで、資源の有効活用や廃棄物の削減、CO2排出の抑制などが図られます。

ACサーボモータ

ACサーボモータは、交流電源を動力として使用し、高精度な回転制御を実現するモーターの一種です。位置決めや速度制御、トルク制御などに広く用いられ、自動車やロボット、産業機械など様々な分野で利用されています。また、モーター内部に搭載されたセンサーにより、位置情報や速度情報をフィードバックし、高度な制御が可能となります。

AI(artficial intelligence)

言語の理解や推論、問題解決などの人間の知的行動をデータセットとアルゴリズムに基づいて実行する技術である。AI(人工知能)はすでに機械技術分野でも自動運転自動車や掃除ロボット等、多く実用化されており適用の裾野が広がっている。その開発はデータセットの特徴を重み付けてエラーが小さくなるようにアルゴリズムを学習させることで行う。そのため、精度の高いAIを作るにはアルゴリズムだけでなくデータセットの質と量が重要となる。

ATS

ATSはAutomatic Transfer Switch(自動切替スイッチ)の略称で、主電源とバックアップ電源を切り替えるためのスイッチです。電源が途切れた場合、ATSは自動的にバックアップ電源に切り替えます。主に、病院やデータセンターなどで用いられます。

CAD

CADはComputer-Aided Design(コンピュータ支援設計)の略称で、コンピュータを使って設計を行うことを指します。CADソフトウェアを使うことで、製品の形状や寸法をデジタル上で詳細に設計することができます。工業製品や建築物の設計に広く利用されています。

CAE

CAEはComputer-Aided Engineering(コンピュータ支援工学)の略称で、コンピュータを使って製品の性能解析を行うことを指します。CAEソフトウェアを使うことで、製品の耐久性、強度、振動特性などを評価することができます。製品の開発や品質管理に広く利用されています。

CAM

CAMはComputer-Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)の略称で、コンピュータを使って工場での生産作業を支援する技術です。CAMシステムを使うことで、製品の加工プロセスを自動化し、生産性を向上させることができます。

CCDカメラ

CCDカメラはCharge-Coupled Device Camera(チャージカップルドデバイスカメラ)の略称で、デジタルカメラの一種です。CCDというイメージセンサーを使って、光を電気信号に変換して撮影します。一般的に、高画質でノイズが少なく、映像処理に適していることが特徴です。主に、監視カメラや映像機器などで利用されています。

CO2排出低減化技術

地球温暖化の原因となる温室効果ガス(CO2・メタンなど)の中で、長寿命で長期的に影響を及ぼすものがCO2である。森林保護・植林・砂漠緑化による吸収源拡大、地中の石炭層や耐水層への地中貯蔵、深海底への海洋隔離、電気自動車やハイブリッドカー開発による化石燃料使用削減、原子力・風力・太陽光発電などのクリーンエネルギー利用、革新的な製鉄プロセス開発などが研究されている。またトップランナー方式のような高効率機器の開発促進や、高効率機器の導入促進の補助金制度や税制優遇の公的支援が積極的に行われている。

 

DCサーボモータ

DCサーボモータは、直流電源を動力として使用し、高精度な回転制御を実現するモータの一種です。位置決めや速度制御、トルク制御などに広く用いられ、半導体製造装置や医療機器、印刷機器、機械加工などの分野で利用されています。また、高速化、省スペース化、省エネルギー化が進んでおり、現在ではブラシレスDCサーボモータも開発されています。

DPFのPM浄化メカニズム

DPFとはディーゼルエンジン車において、PM(粒子状物質)の排出を抑制する装置のことです。DPFは、エンジン排気ガス中のPMをろ過して捕集し、一定量以上蓄積されたら、高温状態で燃やして酸化分解することで、PMを浄化します。この際に、燃焼反応に必要な熱を発生させるため、エンジン制御により排気温度を上げる必要があります。

DRBFM

DRBFMは、Design Review Based on Failure Mode(故障モードに基づく設計レビュー)の略称で、製品設計における品質向上手法の一つです。既存製品の故障分析や改善案の提案を通じて、設計段階での品質改善を図ります。特に、顧客や社外品質保証などの要求を明確に把握し、その要求を満たすための設計改善を行うことが重要とされます。

EGRシステム

EGR(Exhaust Gas Recirculation)システムは、内燃機関の排気ガスの一部を再循環させ、NOx(窒素酸化物)の生成を抑制するための装置です。排気ガス中の一部を再循環させることで、燃焼室内の温度を下げ、NOxの発生を抑えます。また、環境負荷の削減だけでなく、燃費の向上やエンジンの出力向上にも寄与します。EGRシステムは、ディーゼルエンジン車やガソリンエンジン車に採用されており、近年では、燃費性能を重視する自動車メーカーの多くがEGRシステムを搭載したエンジンを開発しています。EGRシステムの種類としては、クールEGRやハイブリッドEGRなどがあります。クールEGRは、再循環する排気ガスを冷却して燃焼室に再導入する方式で、燃焼室内の温度を下げることでNOxの生成を抑制します。一方、ハイブリッドEGRは、排気ガスを再循環する前に、吸気側に空気を混合することで、より効率的にNOxを削減する方式です。

FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)

製品・システムの構成要素から取り上げて、製品・システム全体に与える影響を調べる解析手法である。設計段階で考えられる製品・システムに潜在する故障モードを抽出し、その故障モード(破損、断線、短絡、摩擦等)を解析して製品・システムに及ぼす影響を明らかにし、致命的な影響を与える故障を識別するシステム安全工学手法である。

FMS

FMSとは、Factory Management System(ファクトリーマネジメントシステム)の略称で、工場全体を統合的に管理するためのシステムです。FMSは、工場内の生産計画や在庫管理、品質管理、生産ラインの制御、生産能力の最適化、保全管理などを一元的に管理することができます。具体的には、自動化された生産ラインやロボットを活用して、生産プロセスを効率的に制御したり、在庫状況や生産スケジュールをリアルタイムに把握したりすることができます。FMSの導入によって、生産プロセスの効率化や品質向上、コスト削減、迅速な対応などが期待できます。

FTA(Fault Tree Analysis)

絶対に起こってはならぬ事故・トラブル等をトップ事象として取り上げ、これに影響する故障状態をこれらの関連があきらかになるように論理記号を用いて書き下し、トップ事象から原因となる事象とその事象に対する防御手段の検討について、階層的にフォールトルツリーを作成して実施する解析手法である。

FTM

FTMは、Ferroelectric Thin Film Memory(強誘電体薄膜メモリ)の略称で、非揮発性メモリの一種です。FTMは、強誘電体と呼ばれる物質を薄膜として積層した構造を持ち、強い電場をかけることで極性が反転する現象を利用して情報を記憶します。FTMは、書き込み/読み出し速度が高速で、消費電力が少なく、高耐久性があるため、特にモバイルデバイスや高速計算機など、高性能な電子機器のメモリとして期待されています。FTMは、他の非揮発性メモリと比較して高い信頼性と長寿命が要求される産業分野でも、データの長期保存や高速処理などに活用されることが期待されています。

ISO/IECガイド51

ISOとIECの両機関で共同開発された、国際的安全規格の導入方針を規定している。機械・電気・化学・医療などの、幅広い分野に適用できる統一的な考え方に基づく規格作成を可能にするための指針である。人のみならず財産や環境も保護対象としている。①規格の階層構造化、②リスク低減の方法論、③安全の概念、④リスクアセスメントの実施要求、などについて規定されている。

MEMS(Micro Electro Mechanical System)

微小な部品から構成される電気機械システムのことである。構成部品は、半導体製造技術やマイクロエレクトロニクス技術を応用した微細加工技術で加工される。マイクロマシンや光学、医療、科学などあらゆる分野で応用されている。

PWM方式

PWM(Pulse Width Modulation)方式は、制御信号をデジタル信号のパルス列に変換し、パルスの幅を変えることでアナログ信号を近似的に生成する制御方式です。PWM方式は、モーター制御やLEDの明るさ調整など、多くの電子機器の制御に用いられます。PWM方式は、単純な回路構成で実現できるため、低コストで高性能な制御が可能で、また、高効率で低損失な電力制御も可能です。

QCD

QCD(Quality, Cost, Delivery)は、品質、コスト、納期の3つの要素を総合的に考慮して、製品やサービスの品質向上、コスト削減、納期短縮などを図る経営手法の一つです。QCDを実現するためには、製品やサービスの品質について顧客ニーズを把握し、品質向上に向けた取り組みを行うことが重要です。また、コストについては、無駄の排除や原価の見直し、生産効率の改善などを行い、納期については、生産プロセスの改善や生産計画の見直しなどを行うことが求められます。

RP(ライッドプロトタイピング):

RP(Rapid Prototyping)は、設計図面などを基に、3Dプリンターやレーザーカッター、NC旋盤などを使用して、迅速に試作品を作成する技術です。RPによって作成された試作品は、設計図面やCADデータに基づいて精密に作成されるため、実際の製品と同様の機能性や形状を持ちます。RPは、製品の試作やテストに利用されるほか、デザインやアート、医療分野などにも応用されています。また、RPによって試作品を迅速に作成することで、製品の開発サイクルを短縮し、開発コストを削減することができます。

Society5.0

Society4.0が情報社会であるのに対して、Society5.0はサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムによって、経済発展と社会的課題の解決を両立していく未来社会として日本政府が提唱したものである。世界が大きく変化している中、IoT、ロボット、AI、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、社会システム全体を最適化することでその実現を目指す。

Tig溶接

Tig溶接(Tungsten Inert Gas Welding)は、非常に高い溶接品質を実現するための溶接技術です。Tig溶接では、電極としてタングステンを使用し、その周囲に保護ガスを噴射して、酸素や窒素などの不純物が入り込まないようにします。Tig溶接は、ステンレス鋼やアルミニウムなどの難溶接材料の溶接に適しており、高品質な溶接が求められる航空宇宙産業や半導体産業などで広く用いられています。

VVVFインバータ

VVVFインバータ(Variable Voltage Variable Frequency Inverter)は、モーターの回転数を制御するための電力変換装置です。VVVFインバータは、入力電圧や周波数を制御することで、モーターの回転数を正確に制御することができます。VVVFインバータは、エレベーターやエスカレーター、送風機やポンプなどの制御に広く利用されています。また、エネルギー効率の向上や騒音の低減などの効果も期待されています。

アーク溶接

アーク溶接(Arc Welding)は、電気アークを利用して、金属材料を溶接する技術です。アーク溶接では、電気アークを発生させるために、電極棒と金属材料の間に電気を流します。アークによって金属材料が溶け、冷却することで溶接が成されます。アーク溶接は、手作業による溶接が主流であり、工事現場や製造現場で広く利用されています。

アキュムレータ

アキュムレータ(Accumulator)は、液体や気体を貯蔵する装置です。アキュムレータは、シリンダーやピストン、弁などから構成され、液体や気体の流入と流出を制御することで、貯蔵や放出を行います。アキュムレータは、エネルギーを貯蔵し、一定の圧力や流量を維持することで、作業機器や制御システムの安定した動作を支援するために使用されます。一般的には油圧システムに用いられ、一定量の油圧を蓄えることで瞬間的な大流量の油圧を確保することができます。また、アキュムレータは油圧システムの振動やショックを吸収する役割も持ちます。工場の機械や建設機械など、様々な産業機械に使用されています。

アクティブサスペンション(active suspension)

コンピュータ制御によって操舵や加速、車速、または積載重量などに応じてサスペンション特性を変化させ、適切な車両姿勢、接地力等を確保するものである。あらゆる運転状況において、快適な乗り心地と確かな操縦安定性を両立する。空気圧や油圧システムを用いて制御を行う。自動車だけでなく鉄道車両やエレベーターなどにも応用されている。

アコースティックエミッション(AE:Acoustic Emission)

非破壊試験法の1つで、割れや破壊が発生・発展するときに生じる弾性波を検出することによって測定する。内部欠陥の発生瞬間を捉えることができる。一方、既存の欠陥は捉えることができない。通常圧電型加速度を対象物に取り付けて検出を行う。ガスタンクなどの保守検査や、発電タービン軸受け摩擦状態の監視などに用いられている。

イノベーション(Innovation)

新しいアイデアや技術を生み出すことを指す言葉で、製品やサービス、プロセス、ビジネスモデルなどの革新的な変革を意味します。

インターロック回路(Interlock circuit)

機械の安全性を高めるために、機械内部の部品同士や機械と周辺環境との間に相互に接続された回路のことを指します。例えば、ドアの開閉状態によって機械の作動を制御する回路などがあります。

インピーダンス制御(Impedance control)

制御対象となる機械やロボットの動きを、力学的なモデルを用いてインピーダンス(抵抗、インダクタンス、キャパシタンス)を制御することで行う制御方法です。インピーダンス制御を用いることで、機械やロボットの運動に柔軟性を持たせることができます。

インボリュート歯車(Involute gear)

円周方向に歯をつけた歯車で、歯の形状には一定の法則性があり、噛み合わせがスムーズになり、騒音や振動も少なくなるため、広く使われています。

エネルギー安全保障(Energy security)

国や地域のエネルギー資源の安定的な供給やエネルギーの安全性を確保することを指します。エネルギー安全保障は、エネルギー政策の中でも重要な課題とされています。

エンドエフェクタ(End effector)

ロボットの先端に取り付けられる装置で、ロボットが物体をつかんだり、加工したりするための手足のような機能を果たします。グリッパーやツールチェンジャーなどがあります。

オーステナイトステンレス(Austenitic stainless steel):

ステンレス鋼の一種で、ニッケルとクロムを主な合金元素として含みます。耐食性や耐熱性に優れ、食品加工や化学工業などで使用されています。

オーバーステア

オーバーステアとは、車両のハンドリング特性の一つで、後輪のグリップが前輪よりも高く、急激なハンドル操作によって後輪が滑ってしまい、スピンやドリフトなどが起きる状態のことを指します。

オットーサイクル

オットーサイクルとは、4ストロークエンジンのうち、吸気→圧縮→燃焼→排気の4つのサイクルから成る、ガソリンエンジンの基本的なサイクルのことを指します。このサイクルは、オットー・ディーゼルが開発したことからその名がついています。

カウンタバランス弁

カウンタバランス弁とは、配管などの流体制御装置に使用される弁の一種で、流れる流体の力を利用して弁を開閉させる仕組みを持ち、弁を開いたときの反動を抑えるためにバランス部品を搭載しています。

ガスタービンの性能

ガスタービンエンジンは、空気を加速させてタービンを回転させ、その力で発電機などを駆動するエンジンの一種です。ガスタービンの性能には、効率や出力などがあり、燃料消費率の低減や発電効率の向上に取り組んでいます。

ガスタービン発電システム

ガスタービン発電システムは、ガスタービンエンジンを用いて発電を行うシステムのことで、燃料の燃焼によって発生する高温高圧の排気ガスを利用して、タービンを回転させ、その力を電気に変換しています。

カルノーサイクル

カルノーサイクル(Carnot cycle)とは、熱力学サイクルの一つで、理想的な熱機関の基本的な動作原理を表すために用いられるものです。フランスの物理学者ニコラ・カルノーによって発明され、熱力学第二法則の成立を証明するために重要な役割を果たしました。

カルノーサイクルは、4つのプロセス(等温膨張、断熱膨張、等温圧縮、断熱圧縮)で構成されます。熱源から熱を吸収して圧力が上昇する等温膨張、熱を吸収せずに膨張し圧力が低下する断熱膨張、冷却機に熱を放出して圧力が下がる等温圧縮、熱を放出せずに圧力が上昇する断熱圧縮の4つのプロセスを順に行い、元の状態に戻るサイクルとなります。このサイクルを理想的なものとすると、熱効率が最大となることが証明されています。

カルマン渦

カルマン渦(カルマンヴォルテックス)は、流体力学の現象の一つで、物体の後方に発生する渦を指します。具体的には、物体の後方に流れる流体の速度が加速することで、物体の左右側面から発生した渦が物体の後方で合流してカルマン渦が発生します。この現象は、建造物の周りの風の流れや、車両の後部や空力的な装置などの後方において発生することがあります。カルマン渦によって、物体に対して抗力がかかり、これが建造物や車両の揺れや空気抵抗などに影響を与えることがあります。また、カルマン渦は、エネルギーの回転や混合をもたらすことがあり、流体工学や風洞実験などにおいて重要な現象として扱われます。

キャビテーション(cavitation)

流体機械の管内流れにおいて、流体の高速流動現象により、流れ場の局所圧力が変動し流体の飽和蒸気圧よりも低下すると、流体中に気相が発生・成長・崩壊する現象のことである。キャビテーションは、振動や騒音を伴い性能低下を引き起こす。またキャビテーション損傷により、壊食を発生させることがある。一方、ウォータージェット切断や超音波洗浄などでは、逆にキャビテーションの破壊力を利用している。

エロージョン(erosion)

流体による表面の摩耗のこと。高速流体によって表面が削られたり、磨耗したりすることがある。

キュリー(Curie):

物理学者ピエール・キュリーにちなんで名づけられた単位で、1秒あたりの放射能の数を表す。現在はSI単位系においてはベクレル(Bq)が用いられている。

グラスホフ数(Grashof number):

自然対流の発生傾向を表す無次元数の一つ。温度差、流体密度、粘性、加速度などが影響する。

クリープ温度(creep temperature):

材料が長期間にわたる荷重や変形によって徐々に変形していく温度のこと。材料の特性や荷重、温度などが影響する。

クリープ変形(creap)

材料に一定温度で一定の応力を加え続けるとき、時間の経過に伴って塑性変形が徐々に進むこと。温度の影響を受け、融点のおよそ60%以上の温度で起こる現象。クリープ速度は加工硬化の影響を受けるため、材料、応力および温度によってはクリープ曲線が3段階で現れることがある。まず1次クリープとして徐々に塑性変形が進行しながら、加工硬化の影響でクリープの変形速度が低下する。加工硬化とクリープが平衡する状態である2次クリープが一定時間継続しながら塑性変形が進んだ後、3次クリープではクリープ速度が増加し破断に至る。

クリーンディーゼルエンジン:

ディーゼルエンジンの排出ガス規制を満たすために、燃料噴射システムや排気処理システムが改良されたエンジンのこと。低燃費かつ低排出ガスを実現することができる。

グレイ(Gy)

グレイ(Gy)は、放射線照射量の単位で、1キログレイは1,000グレイに相当します。グレイは、生物学や医学などで使用され、特定の物質や組織に吸収された放射線のエネルギーを示します。放射線治療や放射線照射による予防措置において、線量の評価に使用されます。

ゲイン余裕:

制御システムの安定性を評価する指標の1つで、制御対象に対するコントローラのゲインの調整余地を表す。制御対象に対してゲインが大きすぎると、システムが振動して不安定になる可能性があるため、適切なゲイン余裕が必要となる。

コージェネレーションシステム(cogeneration system)

エンジンや燃料電池等を動作させることで発電し、発電時に発生する排熱を熱交換機で回収し空調・給湯に利用するもので、電気エネルギーに加え、熱エネルギーも利用できるシステム。熱エネルギーは長距離輸送に不向きなため、熱エネルギーを必要とする工場や商用施設、住宅等の近くで比較的小規模なシステムとして設置される。発電システムの種類によって排熱の成分や温度レベル、排熱量が異なることに留意して、それぞれの特性を生かした導入計画が必要である。

コリオリの力

コリオリの力は、地球の自転によって生じる仮想力の一つで、物体が地球の自転と同じ方向に移動する場合に、その物体に垂直な方向に働く慣性力のことを指します。具体的には、北半球では物体が右に曲がり、南半球では左に曲がります。この力は大気や海洋の循環に影響を与えるなど、地球上のさまざまな自然現象に重要な役割を果たしています。また、天文学や航空機の航法にも利用されています。

コンカレントエンジニアリング

設計から製造までの業務に加えて、資材・経理・営業に至る業務を同時並行的に処理することで、開発期間の短縮やコストダウンなどを実現する手法。生産活動の下流で発生する問題(トラブル)を設計段階で把握できるため、やり直しコストの浪費や不要な検討時間の増大を抑制することができる。

コンバインドサイクル(CCPP:Combined Cycle Power Plant)

2つ以上の熱サイクルを複合させて熱効率の向上を図った発電方式。例えば火力発電所では、燃料を燃焼させてガスタービンを回して発電するとともに、その高温の排気ガスの熱を利用し、排熱回収ボイラで高温・高圧の蒸気を発生させ、蒸気タービンも回して発電することで総合効率を向上させている。効率が上がると廃棄される熱量も低減できることから温暖化防止にもつながる発電である。

コンパクト熱交換器

コンパクト熱交換器は、限られたスペースに高い熱交換効率を持つ熱交換器です。例えば、自動車や航空機、家庭用暖房機器などの小型化に貢献しています。従来の熱交換器に比べ、より小さな流路の採用や、効率的な流体分配構造の導入、高効率な熱伝達材料の使用などが特徴です。また、コンパクト熱交換器は、省エネルギーや環境保護にも貢献しており、工業分野や家庭用途など、幅広い分野で使用されています。

サイクルの熱効率

オットーサイクルやブレイトンサイクル等の熱機関において、熱エネルギーの利用率を示した値で熱機関の性能を表す指標。熱効率(Thermal efficiency)ηは次の式で導き出される。
η= L/Qh =(Qh-QL)/1-QL/Qh  (L:正味の取り出せる仕事、Qh:高温熱源からの受熱量、QL:低温熱源への放熱量)

サービスロボット

サービスロボットとは、人間の代わりに、あるいは人間の手助けとなるサービスを提供するために開発されたロボットのことです。具体的には、清掃ロボットや介護ロボット、案内ロボット、配膳ロボットなどがあります。一部のサービスロボットは人間の手を借りずに環境に適応して作業を続けることができます。

サバテサイクル

サバテサイクルとは、産業用ロボットが週末を利用して稼働することによって、製造プロセスをより効率的にする方法です。平日の生産量が需要に追いつかない場合でも、週末に稼働することで需要に応えることができます。

シーベルト

シーベルトとは、放射線の生物学的影響を測定するために用いられる単位です。一般に、放射線の被曝量を表すために使用されます。現在は、シーベルトに代わりグレイ(Gy)が放射線量の国際単位として広く使用されています。

シミー

シミーとは、自動車や航空機の車輪などが、高速走行時に振動を起こす現象のことを指します。車輪の回転によって発生する振動が、車体や航空機の挙動に影響を与え、操縦性を悪化させることがあります。

シャトル弁

シャトル弁とは、液体やガスなどをある方向から別の方向に送るための弁の一種です。主に、流体を移送するための配管システムに使用されます。シャトル弁は、2つ以上の出口があることが特徴であり、出口のいずれかが開いているとき、他の出口は閉じられています。

ショットピーニング

材料表面に直径1mm程度の鋼球を高速で打ち付ける事で、加工硬化と圧縮の残留応力を付加して材料の表面を加工する工法。疲労強度も向上する。200~300μmの深さまで残留応力の効果がある。形状が複雑なため他の表面処理が困難なものにも実施できるため、板バネやコイルなどの高強度材料に適した表面加工処理である。

 

スーパーコンピューター

スーパーコンピューターは、高度に計算を行うことができる非常に高性能なコンピューターです。通常、科学や工学、金融などの分野で大規模なデータ解析、シミュレーション、モデリング、予測などに使用されます。スーパーコンピューターは、通常、数百から数千のプロセッサー、大量のメモリー、高速なディスクストレージ、高速なネットワーキング機能を備えています。

ストライベック曲線

ストライベック曲線は、産業生産における品質とコストの関係を表すグラフです。この曲線は、製品の品質を高めると、最初はコストが増加するが、一定の点を過ぎると、品質をさらに向上させるためのコストが増加しなくなり、逆に品質の向上がコスト削減につながるということを表しています。この曲線は、品質管理の基本原則の1つであり、品質を向上させるための最適なバランスを見つけるために使用されます。

ストローハル数

ストローハル数は、流体力学において、非常に小さな微小な流れの安定性に関係する無次元数です。この数値は、流体が粘性がある場合に発生する乱流現象を説明することができます。ストローハル数が一定以下の場合、流体の運動は安定し、乱流は発生しないとされています。

スプール弁

スプール弁は、液体や気体の流れを制御するための弁の1つで、通常は配管の中に設置されています。スプール弁は、ポート(穴)とスプール(円筒状の部品)から構成されており、スプールを回転させることでポートを開閉することができます。スプール弁は、流体制御に使用され、オイルやガスの供給や排出を制御するために広く使用されています。

スリップリング

スリップリングは、回転する部分と静止した部分の間で信号、電力、またはデータを伝送するための電気接点装置です。通常は、回転する軸に固定された部品と、静止している部品との間に装備されています。例えば、車のハンドルには、スリップリングが内蔵されており、ハンドルを回転させるときに、エアバッグなどの装置に信号を伝達することができます。

セル生産システム

セル生産システムは、工場の生産ラインを細分化して、小型の生産ラインを複数組み合わせることで、より効率的な生産を目指す生産システムです。このシステムは、製品の生産に必要な資材や作業員を最小限に抑え、製品の生産効率を向上させることができます。一般的には、自動化された機械を使用して、生産ラインの自動化を図ることが多いです。

せん断応力

せん断応力は、物体を横方向に引っ張る力に対する物体の反応として発生する応力のことを指します。せん断応力は、物体の形状や寸法に応じて異なるため、物体の剛性や耐久性に影響を与えます。例えば、刃物を使用する場合、刃物にかかるせん断応力が大きいため、刃物の硬さが重要になります。また、自動車のボルトなどの部品でも、せん断応力を考慮して設計されることがあります。

ターボ形流体機械

ターボ形流体機械とは、空気や水といった流体が回転体に取り付けた翼(羽根車)の間を通過させるときに、流体のエネルギーが翼に沿って加速することで連続的にエネルギーを与え続ける機会をいう。ファン、プロペラ、タービン、ポンプ、水車、風車、ジェットエンジンなどがある。連続した流れを発生させることで、大容量の流体を取り扱うのにも適している。さらに回転速度の2乗に比例し、圧力は上昇する。ただし、以下の点に注意が必要である。①流れが時々刻々変化する非定常3次元流れである。そのためモデル実験も併用。②流れが高速になると、衝撃波やキャビテーションが発生する。③キャビテーションが発生すると、気液2相流になる。④気体の中に酸化スケールや異物が混入飛翔する場合や、気体を用いた個体の移送では個気2相流となる。⑤設計外の運転をすると異常流動の発生、流体振動を伴う。⑥管路系を含むシステムに激しいサージ(一次元振動)や旋回失速が発生することがある。いったん振動が起きると騒音が発生や、最悪の場合は翼や駆動系まで破壊する。

 

ダイナミックダンパ

ダイナミックダンパは、車両の運動エネルギーを吸収する役割を持つ、自動車のサスペンションシステムに使用されるダンパーの一種です。ダイナミックダンパは、従来のショックアブソーバーとは異なり、車両の挙動に応じてダンピング力を自動的に調整することができます。これにより、乗り心地やハンドリング性能が向上し、車両の制御性や安全性が高められます。

ダブルスワールポート

ダブルスワールポートは、エンジンの燃焼室内に2つのスワールポートを備えた形状のことを指します。スワールポートは、エンジン内部に空気の渦を作り出すことで、燃焼室内の空気と燃料の混合を促進する効果があります。ダブルスワールポートを備えたエンジンは、より効率的な燃焼を実現し、低燃費と高出力の両立を可能にします。

タンタルピー変化量

タンタルピー変化量は、物質の相転移時に放出または吸収されるエネルギーの量を表します。物質が固体から液体、または液体から気体に変化する場合、タンタルピー変化量が発生します。この変化量は、物質の特性によって異なります。例えば、水の凍結時には、凍結の瞬間に放出されるタンタルピー変化量が大きく、このエネルギーを利用することで、冷凍食品や空調装置などに利用されます。

デザインレビュー(DR:Design Review)

製品開発の節目で、設計要素事項の検討漏れやマイナス要因など、設計不十分なところ、見直すべき箇所の有無を関連する部署、全体でチェックすることで製品の品質改善、向上を目的とする問題の未然防止活動。デザインレビューにおいて、問題点に対する関連部署ごとに提案や着眼点の出し合いが行われ、部門間の調整が行われる。

 

デジタルエンジニアリング

製品開発工程で競争力をつけるために最近ITを使った製造・設計が主流となってきている。設計においては3次元CADが使われるようになり、試作などを行う前にデジタルの情報で干渉チェックや組立性を検証し、デザインレビューにも用いられる。また構造上の問題がないかをCAEなどの解析ツールを用いて事前に検証することが出来る。製造に用いる部品などの情報はPDMを通してリアルタイムに情報を送れるため、部品購買の時間短縮、また営業情報などにも利用でき、事前に販売活動を行うことも可能となる。IT技術の進歩が著しい昨今においてはデジタルエンジニアリングをどのように活用していくかが競争を優位に進めるために重要なポイントとなる。

ディーゼルLNT用空燃比制御

ディーゼルLNT用空燃比制御は、ディーゼルエンジンの排出ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を低減するための技術の一つです。LNT(レベルド・ノックス・トラップ)触媒によってNOxを除去することで、ディーゼルエンジンの排出ガス規制に適合することができます。空燃比制御は、エンジン内での燃焼反応における空気と燃料の割合を制御することで、排出ガス中のNOx濃度を調整する技術です。

ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジンは、ディーゼルサイクルを用いた内燃機関の一種で、空気を高圧化して燃料を噴射することで燃焼を起こします。燃焼が起こると、ピストンが動き出し、回転力を発生させます。ディーゼルエンジンは、高い燃費性能と高トルクを発生することが特徴で、大型車や船舶、発電機などに広く使用されています。

ディーゼル排出ガス規制

ディーゼル排出ガス規制は、ディーゼルエンジンを搭載した車両や機械の排出ガス中に含まれる有害物質の削減を目的とした規制です。主に窒素酸化物(NOx)や微粒子状物質(PM)の排出規制が行われています。これらの規制に対応するために、排ガス浄化装置や燃料噴射制御技術、排ガス後処理システムなどが開発されています。

ドップラー効果

ドップラー効果とは、音波や電磁波などの波動が、波源または観測者の相対速度によって周波数が変化する現象のことを指します。たとえば、警笛やサイレンの音が近づくと高く、遠ざかると低く聞こえるのはドップラー効果によるものです。また、天文学においても、星のスペクトルが赤方偏移や青方偏移を起こすことから、星が地球から遠ざかるか、近づいているかを知ることができます。

トライポロジー

トライポロジーとは、製品の形状や構造、機能、素材などの3つの要素をトライアングル(三角形)の形で表現し、設計や開発を行う手法のことです。トライポロジーは、製品の外観や機能、製造コスト、品質、信頼性などを考慮した総合的な設計手法として、広く用いられています。

トラップ触媒

トラップ触媒は、ディーゼルエンジンの排出ガス中に含まれる微粒子状物質(PM)を除去するための触媒です。ディーゼルエンジンの排ガス中には、窒素酸化物(NOx)とともに、PMが大量に含まれています。トラップ触媒は、PMを吸着して捕集し、一定量以上になると燃焼して、無害なガスに変換する仕組みを持っています。

トリウム原子炉

トリウム原子炉は、核分裂反応を利用して発電を行う原子炉の一種です。トリウムは、天然に存在するウランの約4倍の豊富さを持ち、核分裂生成物の放射性廃棄物を少なくすることができます。また、トリウム原子炉は、プルトニウムを生成しないため、核拡散のリスクが低いとされています。

トルク

トルクとは、回転力の大きさを表す物理量です。力が直線的な運動を起こすのに対し、トルクは回転運動を起こす力のことであり、単位はニュートンメートル(N・m)で表されます。エンジンの出力や回転数、車輪の駆動力などに関わる重要な物理量です。

なぜなぜ分析

なぜなぜ分析は、問題解決手法の一つで、問題発生の背景や原因を明らかにするために、何度も「なぜ?」という質問を繰り返して原因を追求する手法です。具体的には、問題点を明確にし、その原因を分析し、解決策を見つける

ナノ加工

ナノ加工とは、ナノテクノロジーを応用して、ナノスケール(ナノメートルのスケール)での精密な加工を行う技術のことです。ナノ加工によって、微細な構造や形状を持つ部品やデバイスを製造することが可能になります。例えば、ナノ加工を用いた半導体製造技術は、現代のコンピューターやスマートフォンなどに欠かせない技術の一つです。また、医療分野でも、ナノ加工技術を用いて、高精度な治療や医療機器の製造が進んでいます。

ナレッジマネジメント(KM:Knowledge Management)

ビジネスの目的を達成するために、知的資産を共有し、効果的に活用するための「知の管理手法」である。組織活動の中で得た知識を一元管理し、構成員相互の情報交換をしやすくする手法。言葉や文章で表現しにくいノウハウやスキル(暗黙知)も含まれる。最近では団塊の世代の退職から技術の伝承問題がクローズアップされている。経験不足による誤った判断などによるトラブルも発生しているため、伝承がスムーズに行えるように、知識の文章化などのナレッジマネジメントも行われている。

ヌセルト数

流体力学において、流れの不安定性を示す無次元数の一つです。流体の速度、密度、粘度、長さスケールによって決まります。ヌセルト数が一定の値を超えると、流れは乱れが生じ、さらに大きくなると乱流状態になります。乱流状態では、熱伝導や物質の拡散が促進されるため、実用上重要な現象です。

ねじり剛性

構造物の回転変形に対する抵抗力を表す指標です。機械的な部品や構造物に対して、回転方向に対してどの程度の剛性を持っているかを示します。ねじり剛性が高い場合、構造物の回転変形が抑制され、精度が保たれます。

ハーモニックドライブ

ハーモニックドライブとは、高精度な位置決めを行うためのモーションコントロール技術の一つです。高速回転する円形の振動子を用いて、非常に微小なステップでの位置決めが可能になります。特に、精密機器や医療機器など、高度な位置決めが必要な分野で利用されています。

バイオマス発電

バイオマス発電とは、農作物の残渣や木材くずなど、生物資源から発電する技術のことを指します。バイオマスは、二酸化炭素の排出量が少ないため、環境に優しいエネルギー源として注目されています。

ハイブリット制御法

ハイブリット制御法とは、複数の制御手法を組み合わせることで、より高度な制御を実現する制御法のことを指します。たとえば、PID制御やモデル予測制御などの制御手法を組み合わせて、制御対象の動的特性に応じた制御を行います。

 

バランスピストン形減圧弁(バランスピストンかたげんあつびん)

バランスピストン形減圧弁は、流体の圧力を一定の値に制御するために使用される弁の一種です。主に水道やガスの配管などで使用されています。

バランスピストン形減圧弁は、二つのピストンが内部に備わっているため、「バランスピストン」と呼ばれています。通常の減圧弁では、圧力に対して作用する面積が一定であるのに対し、バランスピストン形減圧弁は、圧力によって異なる面積を持ったピストンがバランスすることによって、より正確な圧力制御が可能になります。

バリアフリーデザイン

バリアフリーデザインとは、障害を持つ人や高齢者、妊婦など、あらゆる人が安心して利用できるように、建物や商品、サービスなどのデザインにおいて、あらかじめ障害を想定して設計することを指します。

バリアフリーデザインは、車椅子での移動がしやすい建物や、点字ブロックが設置された歩道、視覚障害者のための音声案内システムなど、多くの場面で実践されています。バリアフリーデザインによって、障害を持つ人たちが社会生活をより快適に送ることができるようになり、社会参加の機会を広げることができます。

バリューエンジニアリング(VE:Value Engineering)

製品やサービスが持つ「価値」について、備えなければならない「機能」と、備えるために必要な「コスト」との関係から定められた手順によって「価値」の向上を図る手法。「価値」=「機能」/「コスト」と表され、「価値」を上げるためには、「コスト」を下げる、「機能」を上げる、の両面からのアプローチが必要になる。また検討の際は、使用者優先、機能本位で考え、価値向上の方法を組織、チーム全体の知恵を集める事が重要

ヒートポンプ

冷凍機と同様に熱機関を逆に作動させて低温熱源から高温熱源へ熱を移動させる装置だが、高温熱源へ熱をくみ上げて暖める装置をヒートポンプという。この装置も熱機関の逆サイクルなので暖めるには、外部から仕事をする必要がある。ヒートポンプの性能は以下の式で表せる。

εh = Qh/L = Qh/(Qh – Ql) = 1 – 1/(1-Ql/Qh)

h:動作係数、L:外部仕事、Qh:高温熱源への放熱量、Q;低温熱源からの受熱量)

ビオ数

ビオ数(Bi)とは、物体内の熱伝導と物体表面の熱伝達の相対的な大きさを表す無次元数のことです。具体的には、以下の式で表されます。

Bi = hL/k

ここで、hは熱伝達率、Lは物体の特徴長さ、kは熱伝導率を表します。

ビオ数が小さいほど、物体内の熱伝導が支配的であり、ビオ数が大きいほど表面の熱伝達が支配的です。一般的に、ビオ数が1以下の場合は物体内の熱伝導が支配的であり、ビオ数が10以上の場合は表面の熱伝達が支配的となります。

ビオ数は、熱伝達現象を分析する際に重要なパラメータとして用いられます。例えば、熱交換器の設計や食品加工における加熱時間の評価などに利用されます。

ひずみゲージ(strain gauge)

材料の電気抵抗が長さに比例し、断面積に反比例する性質を利用した、ひずみの計測方法。容易に応力や荷重に換算できるため、それらの計測に用いられることも多い。それ自体の変形の抵抗は小さいため、測定対象物の応力状態を乱さない。温度で抵抗が変化することや、ゲージの貼り付け方向のずれ、リード線の振動が測定誤差となる。測定物や測定環境に合わせて温度影響を低減できる3線式や、4線式やゲージパターンの選定など、実験計画に盛り込むこと。ΔR/R = Kε(R:ひずみゲージの抵抗値(Ω)、ΔR:電気抵抗値の変化(Ω)、K:ゲージ率、ε:ひずみ)

 

ピッチ円直径

ピッチ円直径とは、歯車の歯と歯の間の溝(ピッチ)を円形に並べたとき、その円の直径のことを指します。ピッチ円直径は歯車のサイズを表す指標の一つであり、歯車のトルク伝達能力や回転速度などに影響を与えます。

フィードバック制御

フィードバック制御とは、制御対象の出力に対して、それを計測して得られた情報(フィードバック信号)を元に、制御入力を修正することで制御を行う方法です。制御対象の出力と目標値との誤差をフィードバック信号として取り入れることで、目標値に追従するように制御を行います。自動車の速度制御や温度制御など、様々な場面で利用されています。

フィードフォワード制御

フィードフォワード制御とは、制御対象の入力を制御する前に、制御入力を予め計算し、制御する方法です。制御対象の状態を測定することなく、入力を変化させることで目標値に追従するように制御を行います。例えば、ロケットの姿勢制御などに利用されています。

フライホール

フライホールとは、回転体によって蓄えられた運動エネルギーを利用して、機械の動作を安定させる装置のことを指します。機械の動作に一定の想定外の変動が生じた場合にも、フライホールに蓄えられたエネルギーが機械の回転を一定に保ち、機械の動作の安定化に寄与します。自動車のエンジンや発電機、工作機械などで利用されます。

ブラックボックス化

ブラックボックス化とは、あるシステムやプロセスを外部から見た場合に、内部の仕組みが分からない状態になっていることを指します。例えば、ソフトウェアやネットワークシステムにおいて、内部の処理が見えず、データの入出力のみが観測可能であるような場合にブラックボックス化されています。ブラックボックス化されたシステムやプロセスを理解するためには、内部の仕組みを分析することが必要です。

プラントル数

プラントル数とは、流体の運動を表す無次元数の一つで、流れのレイノルズ数に対して密度の比で表したものです。プラントル数が小さい場合、流れは粘性流体として振る舞います。逆に、プラントル数が大きい場合、流れは不可圧流体として振る舞います。航空機や自動車の流れ解析など、流体力学分野において重要な指標として利用されます。

プリプロセッサ

プリプロセッサとは、コンピュータの処理の前処理を行うソフトウェアのことを指します。主に、入力ファイルの解析や変換、定数の置き換えなどを行い、コンパイルや実行時に必要なデータを生成します。プリプロセッサは、プログラムの実行速度の向上やプログラムの保守性の向上などに役立ちます。C言語におけるプリプロセッサディレクティブは、プリプロセッサの代表的な例です。

フレームワーク

フレームワークとは、アプリケーション開発における共通的な機能を提供するソフトウェアのことを指します。例えば、データベース接続やユーザー認証などの機能を提供し、アプリケーション開発者がより高度な機能の開発に集中できるように支援します。代表的なフレームワークには、Ruby on Rails、Django、Spring Frameworkなどがあります。

ブレイトンサイクル(Brayton cycle)

熱機関の一つでガスタービン発電やジェットエンジンに用いられるサイクル。高温熱源から熱の受熱、低温熱源への放熱を低圧条件下で行う。作動流体は、断熱圧縮⇒定圧過熱(受熱)⇒断熱膨張⇒定圧排熱(放熱)のサイクルを繰り返す。実際のガスタービン発電システムは、圧縮機で圧縮された空気と燃料が燃焼器で燃焼し、その際に発生する燃焼ガスによってガスタービンを回転させて仕事を取り出している。熱効率は以下の式で導出でき、受熱と放熱時の圧力比γ(ガスタービン入口圧力/ガスタービン出口圧力)が高いほど、効率は高くなるが、機器の耐熱・耐圧性に依存する。

η= 1-QL/Qh = 1-1/γ(κ-1)/κ

(η:熱効率、Qh:高温熱源からの受熱量、QL:低温熱源への放熱量、γ:圧力比、κ:比熱比)

プロダクトデータマネジメント(PDM)

製品開発を行う過程で必要な情報(CADデータ、製作仕様、設計変更履歴など)を、部門を超えて統合して一元的にデータ管理をする事。コストダウンや品質向上が図れるだけでなく、製品の早期市場投入が可能となる。製品情報管理(PLM)を実現するための支援システムとなる。

ブロック配線図

ブロック配線図(Block Diagram)は、制御システムや電気回路の設計や分析に用いられる図式の1つです。略してBBDとも呼ばれます。

ブロック配線図は、システムや回路を複数のブロックに分割し、各ブロックの間の関係を線で表したものです。各ブロックは、機能や装置を表し、入力と出力を持っています。ブロック配線図は、システムや回路の動作を視覚的に表現することができるため、設計や分析の際に有用です。また、複雑なシステムや回路を分割して表現することで、設計や分析の作業を簡素化することができます。

ブロック配線図は、制御システムや電気回路だけでなく、機械設計やプログラムの設計など、広い分野で利用されています。また、システムの設計や分析において、異なる言語や分野の専門家が共通の図式でコミュニケーションを取るためにも用いられます。

フロントローディング(front loading)

製品開発の開発工程における不具合解消の手戻りをなくすため、開発初期段階に内部リソースをかけて問題点を洗い出し、対策することで設計の質を作りこむ手法。一般的に、設計が下流工程に進むにしたがって不具合発生による設計変更は時間とコストがかかり、製品の早期市場投入を阻害する要因の一つとなる。このため、なるべく早い段階で不具合に対する対策が行えるようにするため手法である。

ベクレル(Becquerel)

ベクレルとは、放射性物質が放出する放射線の強度を表す単位の1つです。国際単位系(SI)で用いられる放射線量の単位であり、1秒あたり1個の放射性崩壊が起こることによって生じる放射線のエネルギーの量を表します。記号はBqで、1Bqは1秒間に1回の放射性崩壊が起きることを示します。

ベルヌーイの法則(Bernoulli’s principle)

ベルヌーイの法則とは、流体力学において、速度の増加と圧力の低下が比例することを表す法則です。流体がある場所で速度が速くなると、その場所の圧力が低下するという現象が起こります。この法則は、飛行機や自動車などの乗り物や、風力発電機などの設計において重要な役割を果たします。

ポストプロセッサ(Postprocessor)

ポストプロセッサとは、コンピュータのシミュレーションや解析結果を可視化し、分析するためのソフトウェアのことです。例えば、有限要素解析(FEA)の結果を解釈するために使用されます。ポストプロセッサは、解析結果をグラフや表に表示したり、アニメーションに変換して可視化することで、解析結果の理解を助ける役割を果たします。また、設計者やエンジニアが解析結果に基づいて製品やシステムを改善するための情報を提供することもあります。

マイクロアクチュエータ(microactuator)

何らかのエネルギー源で微小な構造体を駆動し、その動きを利用するものである。エネルギー源は、①熱、②形状記憶合金、③圧電材料、④静電気力の4つが利用される。マイクロアクチュエータを用いたMEMSとしては、マイクログリッパー、マイクロモータ、マイクロバルブ、マイクロポンプなどがある。

マスタスレーブ方式

マスタスレーブ方式(Master-slave architecture)とは、システムや装置の制御方式の1つで、複数の装置が連携して動作する場合に用いられます。この方式では、制御を行う装置(マスター)が他の装置(スレーブ)を制御することで、システム全体を制御します。

具体的な例としては、コンピュータネットワークにおけるイーサネットなどがあります。ここでは、1つのコンピュータがネットワークの制御を行う装置として機能し(マスター)、他のコンピュータはその制御下で通信を行う(スレーブ)という形式で動作します。

また、ロボットアームなどの産業用ロボットでも、マスタスレーブ方式が用いられることがあります。ここでは、ロボットアーム自体がマスターとして機能し、工具や部品をつかむハンドなどの部品がスレーブとして機能します。

マスタスレーブ方式は、1つの装置が他の装置を制御するため、システム全体の制御を一元化することができるという利点があります。また、制御装置が故障した場合でも、他の装置は引き続き動作することができるため、信頼性が高いシステムの構築が可能となります。ただし、マスターが故障するとシステム全体が停止してしまうため、冗長化などの対策が必要となる場合があります。

マニピュレータ(manipulator)

一般にロボットの手の事をいう。大部分のマニピュレータは、多数のリンクと回転関節からなる多関節(多自由度)リンク機構とみなすことができる。一般に、立体空間にある対象物の位置と方向は6個の独立パラメータで表すことができ、その対象物にアプローチして操作するには、6自由度のマニピュレータであることが必要十分条件である。

マルチスライス検出器

マルチスライス検出器(Multi-slice detector)は、医療用のX線CT(Computed Tomography)スキャナーに使用される検出器の一種で、複数のスライスを同時に検出することができます。これにより、スキャン時間を短縮することができ、高速かつ高精度な画像診断が可能になります。マルチスライス検出器は、近年のCTスキャナーで広く用いられており、一般的なシングルスライス検出器と比較して高い性能を発揮します。

モジュール実装方式(Module Mounting)

モジュール実装方式(Module Mounting)は、電子回路などの設計において、部品を予め基板に実装したモジュールを使用する実装方式です。部品の実装作業をモジュールメーカーが行い、設計者は基板上にモジュールを取り付けるだけで済むため、回路の設計・製造の効率化が図れます。また、高密度実装などにおいては、手作業で部品を実装するのが難しいため、モジュール実装方式が採用されることが多いです。

ヤング率(Young’s modulus)

ヤング率(Young’s modulus)は、物質の弾性特性を表す物理量の1つで、物質が外力に対してどの程度変形するかを表します。ヤング率は、応力と応答(変形)の比で表され、ヤング率が大きいほど物質は硬く、変形が少なくなります。逆に、ヤング率が小さいほど物質は柔らかく、変形が大きくなります。ヤング率は、材料の種類や結晶構造によって異なります。例えば、鋼材のヤング率は約200 GPa(ギガパスカル)、アルミニウムのヤング率は約70 GPaです。

ユニバーサルデザイン(UD:Universal Design)

年齢、性別、文化、言語の違い、障害の有無に関係なく、できる限り多くの人が特別な器具や操作をすることなく使用できるように考慮されたデザイン、設計のこと。対象を障がい者に限定していない。「できる限り多くの人」を対象としているため、障がいによってはそのままでは使用できないこともある。ユニバーサルデザインを実現するための原則として「ユニバーサルデザインの7原則」がある。この原則をすべて満たす必要はなく、使いやすさの観点で総合的に考慮される。

 

ラピッドプロトタイビング

ラピッドプロトタイピング(Rapid prototyping)とは、製品開発プロセスにおいて、設計した製品の試作品を迅速に作成する技術や手法のことを指します。通常、製品の開発には数ヶ月から数年の時間がかかるため、設計や検証の段階で製品の試作品を作成することは非常に重要です。このため、従来は木材やプラスチックなどの手作業による製作が行われていましたが、最近では3DプリンターやCNCマシンなどの高度な技術を用いた製作方法が主流になってきています。

ラピッドプロトタイピングによって製作された試作品は、設計や機能性の検証、マーケティングや販売のためのプレゼンテーション、そして最終的な製品の形状や仕様の確定に役立ちます。また、試作品を作成することによって、設計の欠陥や問題点が早期に発見されるため、設計の修正や改善にも役立ちます。

ラピッドプロトタイピングは、製品開発の時間とコストを削減し、製品の開発スピードを向上させるために重要な役割を果たしています。特に、小ロット生産やカスタマイズ製品の製造など、製品の生産方式が変化してきている現代においては、ラピッドプロトタイピングはますます重要性を増しています。

リスク(risk)

「望ましいと思わない事象」の発生頻度と、発生したときの影響の組み合わせのこと。すなわち、「何時」、「どの程度」を考慮した「望ましいとは思わない事象」のことである。発現するリスクについて、許容の可否評価を行うのがリスクアセスメントである。許容できない危害を与える事象である「危険」とは異なる事に注意が必要。

 

リニア方式(Linear motor)

リニア方式は、電磁石による磁力を利用して直線的に運動する方式のことを指します。従来のモーターとは異なり、回転運動を直線運動に変換することなく、直接的に直線運動を生み出すことができるため、高速・高精度・高効率の動力源として利用されます。産業用ロボットや自動車、鉄道車両など、様々な分野で利用されています。

リリーフ弁(Relief valve)

リリーフ弁は、圧力が異常に高くなった場合に、流体を安全に放出するための弁のことを指します。例えば、油圧システムにおいて、圧力が異常に高くなるとシステムに損傷を与えるため、リリーフ弁を備えることで安全性を確保します。

レアアース(Rare earth)

レアアースとは、17種類の元素の総称であり、主に中国で産出される鉱物から抽出されます。レアアースは、高性能磁石や電子部品、光学材料、医療機器などに幅広く利用されており、現代の高度な技術や産業に欠かせない素材となっています。

レアメタル(Rare metal)

レアメタルとは、希少金属とも呼ばれ、主にプラチナ、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、オスミウムの6種類の金属を指します。レアメタルは、高い融点・密度や耐腐食性・耐摩耗性などの特性を持ち、自動車や半導体、航空宇宙産業などの分野で幅広く利用されます。レアメタルは、レアアース同様に希少性が高く、価格が高騰している素材としても知られています。

レイノルズ数(Reynolds number)

レイノルズ数は、流体の慣性力と粘性力の比であらわす無次元数。流れにおける粘性の影響を示す尺度として、次式で定義される。Re=UL/ν (L:流れの代表長さ、U:流れの代表速度、ν:流体の動粘度)
流れの状態はレイノルズ数によって大きく変化し、レイノルズ数がある値よりも低ければ、粘性の影響が小さい整然と流れる層流、高ければ、速度や圧力に不規則な変動成分を含む乱流となる。物体まわりの流れは、流体形状が相似で、レイノルズ数が等しければ、力学的に相似になる。このことをレイノルズの相似則という。

<参考>
H25年度技術士第一次試験問題[機械部門] 専門科目Ⅲ-33 (レイノルズの相似則を用いた計算https://livemyself.com/archives/20478)

 

レントゲン(単位)

レントゲンとは、X線やガンマ線などの放射線の量を表す単位です。1レントゲンは、単位時間あたりに1グラムの空気に吸収される放射線のエネルギー量として定義されます。

ローリング(Rolling)

ローリングは、車輪などの円形の物体が地面などに接して回転しながら移動することを指します。この方式は、高速での移動や長距離移動に適しており、自動車や鉄道車両、航空機などに利用されています。

ロバストデザイン(Robust design)

ロバストデザインは、製品やシステムの品質や性能に対して、外部環境や加工条件などの影響を最小限に抑えるための設計手法のことを指します。不良品や故障のリスクを低減し、信頼性を高めることができます。

圧電素子(Piezoelectric device)

圧電素子は、電圧を加えることで変形し、逆に変形することで電圧を発生させる素子のことを指します。圧電素子は、超音波発生やセンサーなどの分野で利用されます。

粗さパラメータ

粗さパラメータ(Roughness Parameter)は、表面粗さを定量化するために使用されるパラメータで、表面の微細な起伏の大きさを示す指標です。一般的に、表面粗さは、表面の高さの変化量、周波数、および形状に基づいて測定されます。粗さパラメータは、測定された高さの変化量に関する統計的な指標であり、表面の凹凸の大きさ、密度、および分布を表すことができます。代表的な粗さパラメータには、Ra(平均粗さ)、Rz(最大峰-谷深さ)、Rmax(最大峰高さ)、Ry(最大高さ)などがあります。粗さパラメータは、機械加工や表面処理、摩擦学などの分野で広く使用されています。

安全回路(Safety circuit)

安全回路は、機械などの設備において、人や物が危険な場所に入らないように制御するための回路のことを指します。センサーやスイッチなどを利用して、危険な状況を検知し、設備を停止するなどの対策を取ります。

安全設計(Safety design)

安全設計は、製品や設備を設計する際に、人や環境に対する危険性を最小限に抑えるための設計手法のことを指します。人間工学や安全工学の知識を活用して、製品や設備の安全性を向上させることができます。

 

暗黙知(Tacit knowledge)

暗黙知とは、個人的な経験や知識、技能などを含め、言語化されていない知識のことを指します。暗黙知は、個人の経験やスキルなどが蓄積されたものであり、表面化されにくく、共有されにくいものです。

医用X線CT装置(Computed tomography scanner)

医用X線CT装置は、X線を用いた断層撮影装置の一種であり、人体の内部構造を高精度に可視化することができます。患者が設置された円筒状の装置の中をX線が回転しながら照射し、検出器がX線の透過率を測定して断層画像を作成します。

一次エネルギー(Primary energy)

一次エネルギーとは、自然界に存在するエネルギーのことを指します。例えば、石炭や原油、天然ガス、太陽光、風力、水力などが一次エネルギーにあたります。一次エネルギーは、化石燃料などを含め、エネルギーの原点となるものであり、各種エネルギー源を利用する際には、一次エネルギーから変換する必要があります。

一相励磁駆動方式(Single-phase excitation drive)

一相励磁駆動方式は、交流電源から供給される一相の電力を利用して、モーターや圧縮機などの機械を駆動する方式のことを指します。一相励磁駆動方式は、簡単でコストが低いため、家庭用冷凍庫やエアコン、小型ポンプなどに広く利用されています。

渦式流量計(Vortex flowmeter)

渦式流量計は、流体の流量を測定するための計測器の一種であり、流体が流れるときに発生する渦(ヴォルテックス)の発生数を検出して流量を計測します。渦式流量計は、高い精度で流量を測定できるため、化学工業や石油化学、食品工業などの分野で利用されます。

渦放出周波数

渦放出周波数とは、渦式流量計の原理の一つであり、流れの速度に比例して発生する渦の周波数を指します。渦式流量計は、流れの速度に応じて発生する渦の周波数を検知することで、流量を計測する装置です。渦放出周波数は、渦の発生頻度を表し、流量計算に必要な情報を提供します。通常、渦放出周波数はセンサーによって検知され、電気信号として出力されます。

渦流探傷試験(eddy current testing)

原理:コイルに交流を流し導体に接近させると渦電流が生じる電磁誘導を利用。試験方法:き裂や欠陥にコイルを接近させると、渦電流が影響を受け、コイルの逆起電力が変化するため、コイルのインピーダンスを測定することで検知する。対象部位:表面でなくても測定可能。渦電流は表皮効果により材料表面に集中するため、表面付近のき裂に対して探傷可能。メリット:電気信号で測定結果がかわるため、自動化や高速化が可能となる。デメリット:材料に内部や裏面、さらに透磁率が不均一な鉄鋼材料はS/Nが低下し探傷が困難。

演算速度

演算速度とは、コンピューターや計算機の処理速度を表す指標の一つであり、単位時間あたりに処理できる演算数のことを指します。演算速度は、CPU(中央処理装置)のクロック周波数や命令実行速度などによって決まります。一般的に演算速度が高いほど処理能力が高く、複雑な計算処理や高速なデータ処理などを行うことができます。ただし、演算速度だけが高いということは、必ずしも高い性能を意味するわけではなく、アーキテクチャやメモリ容量、ストレージ速度などの要素も考慮する必要があります。

延性破壊(ductile fracture)、脆性破壊(brittle fracture)

延性破壊:著しい伸びや絞りを伴う破壊。丸棒のカップアンドコーン破壊では引張荷重方向の45°の角度で破壊が起こる。板状の剪断破壊、延性破壊や滑り破断等。
脆性破壊:伸びを伴わない破壊。引張での分断破壊が典型的。温度や歪速度に影響するため、設計時には留意すること。溶接熱によって「延性脆性遷移温度」が上昇することもある。

応力集中

切欠きやクランクのフィレット部など部材の形状が大きく変化する箇所、介在物で材料の性質が急変する箇所、または集中荷重による荷重の不連続箇所では、その周囲にかかる計算上の応力よりも大きな応力がかかる現象。応力集中はσmax = α・σ0(σ:応力拡大係数、σ0:計算上の応力)と表せる。楕円の切り欠きがあった場合、応力拡大係数は楕円孔の先端が鋭利なほど大きくなり、α = 1 + 2√a/r(a:長軸、r:長軸端の曲率半径)と表される。円孔の場合は、α=3。

 

応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Crackin)

本来耐食性をもつ材料(ステンレスなど)が腐食環境下で、環境の影響を受けていない静的強度よりも小さな荷重でき裂が進展し破壊に至る事。材料因子、環境因子、応力因子の3つが同時に作用した場合に起きる現象であり、ひとつでも欠けると発生しない。①材料因子:冷間加工や溶接を行うとCr2C3やCr23C6が析出するため、部分的にCr欠乏層が発生する鋭敏化が起こり材料の不均一が起こる。②環境因子:溶存酸素があり、ClやFがあると、鋭敏化による不均一部分を選択的に攻撃し、不働態皮膜が発生し不安定になる。③応力因子:引張荷重や引張の残留応力がかかっていると、不安定な不働態皮膜でき裂が進展する。材料の炭素を低減しCrの欠乏を防ぐ、コーティングで環境と遮断する、ショットピーニングや高周波焼入れで圧縮残留応力を与える、などの対策がある。

 

温室効果ガス(greenhouse gas)

太陽の熱によって温められた地表から宇宙空間に向けて放出される赤外線を吸収する気体である。その中で、地球温暖化に最も影響を与えると考えられているのがCO2であるが、その他にメタン、亜酸化窒素、オゾン、フロン等が挙げられる。

音振低減技術

機械や装置の動作時に発生する振動や騒音を低減する技術を指します。例えば、音響シールドや振動吸収材の使用、設計の最適化などがあります。

回収エネルギー

車両や機械のブレーキ時に発生する運動エネルギーを電力に変換して回収することを指します。この方式を採用することで、燃費向上やCO2排出削減につながります。

開発期間短縮

製品やシステムを開発する際に、より迅速に開発を進めることを目的とした取り組みを指します。例えば、プロトタイプの早期評価や検証、アジャイル開発、設計の再利用などがあります。

核廃棄物の処理

核燃料サイクルにおいて発生する高レベル放射性廃棄物の処理方法を指します。主な方法としては、地層処分、再処理、転換炉による核種の破砕や燃焼があります。

核分裂エネルギー

原子核を分裂させることで発生するエネルギーを利用する発電方式を指します。原子炉で核分裂反応を起こし、蒸気タービンを回して発電します。現在、原子力発電所で利用されています。

核融合発電

軽い原子核を高温・高密度状態にして融合させ、その過程で放出されるエネルギーを利用する発電方式を指します。将来的には、高い発電効率と安定したエネルギー供給が期待されていますが、実用化にはまだ課題が残っています。

環境配慮設計(DfE:Design for Environment)

環境負荷低減は私たちが生活を持続的に行う上で重要である。製品設計を行う場合にも、エネルギー消費が少ないこと、リサイクルが行えること及び製造段階においても廃棄物を出さないことが要求される。製品設計段階で、機能やコストだけでなく環境を配慮した製品設計を行う必要がある。ライフサイクルアセスメント(LCA)による評価手法なども適用されている。

環境負荷(environmental load)

製品やプロセスが環境に及ぼす負荷や影響のことを指します。製品のライフサイクル全体を通じて、原材料の採掘・生産、部品の製造、製品の製造・使用・廃棄などで、地球温暖化や資源枯渇、大気汚染や水質汚染などの環境問題が引き起こされます。環境負荷を低減する技術や手法が、環境保全の重要な課題となっています。

幾何公差(位置)(geometric positional tolerance)

部品や製品の位置を規定するための公差です。一つの部品の複数の面や軸との位置関係を示すことができます。例えば、二つの穴の中心軸間の距離や、部品表面と平行な軸線の位置などがあります。これらの公差は、部品や製品の機能性や性能に影響を与えます。

幾何公差(面)(geometric form tolerance)

部品や製品の形状を規定するための公差です。一つの部品や製品の面の形状を、平面度や傾斜角度、曲率半径などで示すことができます。例えば、平面部品の表面の平坦度や直角度、曲面部品の曲率半径や傾斜角度などがあります。これらの公差は、部品や製品の機能性や性能に影響を与えます。

危険速度

軸のたわみ方向の曲げの固有振動数と回転周波数が一致するときの回転速度。危険速度においては、買いtん軸の触れ回りが大きくなり、故障や異常振動など不具合の原因となりやすい。そのため、危険速度近辺での定常的な運転をさけるようにしなければならない。また、危険速度を通過しなければならない場合は、短時間で通過させる必要がある。

気候変動(climate change)

地球規模で観察される、長期的な気候の変化のことを指します。人間活動によって大気中に排出される二酸化炭素などの温室効果ガスが原因とされており、気温の上昇や極地の氷の融解、海水面の上昇などが引き起こされています。気候変動によって、生物多様性の減少や水資源の不足、食糧安全保障の悪化など、様々な社会問題が生じています。温暖化対策や環境保全が求められています。

技能継承(skill transfer)

一人の技能者から他の人に技能を引き継ぐことを指します。伝統的な職人技や芸能、スポーツなど、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。技能継承は、技能者が高齢化し、後継者不足が問題となっている職種や分野において、その存続や発展のために不可欠な要素となっています。技能継承のために、指導者となる技能者や教育機関、学習者が協力して、技能や技法を伝える方法や環境の整備が重要とされています。

境界層

流体中においた物体表面では流体の粘性により流速はゼロになる。境界層とは、流体の粘性の影響が表れる物理表面から離れるにしたがって上流に近い流速のままで急激に流速が変化し一様流れになるまでの物体表面近傍にできる領域のことである。物体表面でできた渦度が拡散、対流している領域でもある。境界層の外側は粘性の影響を無視できる一様の流れである主流(自由流)が存在する。特徴として、下流になるほど厚くなり、流れ方向の圧力が増加すると境界層内では減速され逆流が生じ、剥離が起こる(境界層剥離)。また流速が低い場合、層流流れ(層流境界層)となり、境界層によって生じる物体後方の遅い流れ(後流)で乱流に遷移する。逆に早い場合は乱流流れになる(乱流境界層)。この乱流境界層は、境界層内の流れが平均化されるため、剥離が生じにくい

<参考>

境界層と物体まわりの流れ:http://fkojima.web.fc2.com/incompressible_basic_fluid10.7_10.10.pdf

京都議定書

地球温暖化防止のための政策目標を定めた国際条約。1997年に日本の京都市で採択され、温室効果ガスの排出量削減目標を設定している。

曲げモーメント

構造物が荷重によって曲げられたとき、その曲がりの度合いを示す物理量。断面二次モーメントと座屈係数から求めることができる。

曲線通過性能

自動車などの車両が曲線を走行する際の性能。曲率半径、最高速度、横加速度などが考慮される。

極圧添加剤

潤滑油に添加され、高負荷下における摩擦・磨耗を低減するための化学物質。機械部品の寿命を延ばす効果がある。

空気バネ

空気を圧縮してばねとして使用する装置。車両のサスペンションなどに利用される。

空気過剰率

燃焼室内において、必要な空気量に対して供給される実際の空気量の比率。過剰空気率が高いと、排気ガスの汚染物質を低減することができるが、燃費が低下する。

形式知

規則や手順などの形式的な知識。手続きを正確に実行するために必要な知識。

警告状の欠陥

機械の異常を検知し、その早期修理を促すシステム。欠陥があると、正常な状態でも警告が発生し、誤動作を引き起こす場合がある。

軽水炉

核燃料として天然ウランを用いる加圧水型原子炉。世界で最も普及している原子炉であり、日本でも多くの原子炉が軽水炉である。

減衰係数

物理現象が減衰する速度を表す物理量。振動や音響、電気回路などの分野で使用される。

減速機

減速機は、回転する軸から出力軸に回転方向を変えて出力する機械部品のことで、主にモーターやエンジンなどの回転数を低速に変換するために使用されます。例えば、自動車のトランスミッションに使われるギアボックスや、工業用機械や農業機械の中でも回転数を変換する必要がある箇所に使用されます。減速機には、歯車式、ベルト式、チェーン式、ウォームギア式など、種類があります。

高周波焼入れ(induction hardening)

鉄鋼に巻いたコイルに1~500kHzの高周波電流を流すことで、誘導電流によって焼入れ処理を行うこと。表面のみを急速に過熱し硬化させることができるため、熱効率が良く、短時間で処理可能であり、硬化の深さの制御が容易で、変形が小さく、大量生産が可能である。硬化深度が浅い場合はフィッシュアイが生じ、内部破壊が起こる。また、硬化する層との境界部には引張りの残留応力が生じるため、設計時には注意が必要。

固体潤滑剤

固体潤滑剤は、摩擦を減らすために機械部品に塗布される潤滑剤の一種です。通常の液体潤滑剤とは異なり、固体潤滑剤は機械部品の表面に吸着して摩擦を減らすため、摩耗を軽減することができます。

固有振動数

固有振動数は、ある物体が自然に持つ振動の周波数のことです。物体に固有の振動数は、物体の大きさ、形状、材料の種類、密度などによって決まります。

故障曲線

故障曲線は、製品の寿命や信頼性を表す曲線で、一般的には時間とともに故障率がどのように変化するかを表しています。故障曲線は、過去の製品の故障履歴をもとに統計的に算出されることがあります。

孔縁

孔縁は、金属加工の際に穴を開けたり切削した箇所の縁のことを指します。孔縁の品質は、金属部品の強度や耐久性に影響を与えるため、高精度な加工が必要とされます。

孔食

孔食は、機械部品が長期間使用された場合に、摩擦や振動などによって表面が磨耗し、穴が開いてしまう現象を指します。

工程能力指数

工程能力指数は、製品の品質を表す指標の一つで、製造工程の精度や安定性を示します。工程能力指数が高いほど、製品の品質が高いとされます。

抗力高温クリープ強度

抗力は、物体が運動する際に、進む方向に対して垂直な方向に働く力のことを指します。例えば、水泳の場合には、泳ぐ方向に対して垂直な方向に働く抗力があるため、泳ぐのにエネルギーを消費します。

高温クリープ強度は、高温下で材料が変形するために必要な力を表す指標の一つです。高温で使用される部品には、高温クリープ強度が求められることがあります。

高温岩体発電

高温岩体発電(High-Temperature Geothermal Energy):地下深くに存在する高温の岩盤から、その熱エネルギーを利用して電力を生産する発電技術のことを指します。

高高度風力発電

高高度風力発電(High Altitude Wind Power):高度500~1000メートル以上に浮遊する風力発電機を用いて、強い風を利用した発電技術です。

高精度加工

高精度加工(High Precision Machining):非常に精度の高い加工技術で、ミクロン単位以下の精度で部品を製造することができます。

高速フーリエ変換

高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform):複雑な波形を、短時間で高速に周波数成分に分解するための数学的アルゴリズムで、信号処理、音声処理、画像処理などに広く使われています。

高速増殖炉

高速増殖炉(Fast Breeder Reactor):ウランやプルトニウムなどの核燃料を燃焼させ、同時に新しい核燃料を生成することができる原子炉です。ウラン等の自然界の原燃料が有限であるため、より効率的に原燃料を利用することができるとされています。

高張力鋼板(high tensili strength steel plate)

一般鋼材として普及しているSS400材等に比べて引張強さが高い鋼材であり、概ね500MPa程度以上の引張り強さをもつものを高張力鋼板という。そのうちでも超高張力鋼板には析出硬化型鋼板や固溶強化型鋼板、複合組織鋼板などの種類があり、近年は引張り強さが1GPa以上のものも一般機械に採用されている。特に自動車では、高張力鋼板を採用することで燃費を向上してCO排出削減にも貢献しており、その設計では一般鋼材から1GPa以上の高張力鋼板まで構造部分に応じて複合的に利用することで強度を保ちつつ衝突エネルギーの緩和を実現している。

国内エネルギー需給

ある国内で必要とされるエネルギーの量を意味します。具体的には、家庭や工場などの需要に必要な電力、石油や天然ガスなどの燃料、再生可能エネルギーなどが含まれます。

国内資源ごみ

国内資源ごみとは、廃棄物のうち、再資源化が可能であり、かつ一定の条件を満たしたものを指します。例えば、プラスチックや金属などのリサイクル可能な廃棄物や、焼却によってエネルギーを回収できる可燃性廃棄物などが国内資源ごみに該当します。一方、紙くずや食品くずなどは再資源化が困難なため、国内資源ごみには含まれません。国内資源ごみは、循環型社会の実現や資源の有効活用のために、適切な処理が求められます。

国内水資源

ある国内で利用できる水の量を意味します。国内水資源には、河川、湖沼、地下水、海水淡水化施設で作られた淡水などが含まれます。

国内石油消費量

ある国内で消費される石油の量を指します。石油は主に、自動車や航空機などの交通機関の燃料として使用されます。

国別二酸化炭素排出量

ある国が排出する二酸化炭素の量を指します。二酸化炭素は、化石燃料の燃焼によって発生する温室効果ガスの一種であり、地球温暖化の原因となっています。国別二酸化炭素排出量は、各国の気候変動対策やエネルギー政策の評価などに利用されます。

再生可能エネルギー(RE:Renewable Energy)

自然界に存在するエネルギーで、資源を枯渇させずに利用できるエネルギーのこと。太陽光・太陽熱・風力・水力・海洋温度差・雪氷熱発電等がある。また地熱エネルギー利用では、地熱・崩壊熱発電。さらに潮汐力を利用する潮汐発電がある。

再生ブレイトンサイクル(regenerative Brayton cycle)

熱効率の改善のため、ガスタービンから出た高温排ガスで圧縮機から出た空気を過熱して、燃焼器に入る空気の温度を上げる事で昇温に必要な燃料を節約する。熱効率はガスタービンの入口圧力と出口圧力の圧力比が比較的低い場合により改善され、圧力比を高めていくと燃焼器に入る前の空気温度が排ガス温度に近づき、最終的に再生不可能となってブレイトンサイクルと同じ熱効率となる。

再熱ブレイトンサイクル(reheat Brayton cycle)

ガスタービン部材の耐熱限界に起因する燃焼ガス温度の制約から、圧縮空気量に対して燃料が少ないため、燃焼排ガス中に空気が多く存在する。この空気を利用して再度過熱することで、タービンの出力を増加させる。具体的には、タービンを複数に分割して膨張途中のガスを別の燃焼器(再熱器)に導き、再度燃料を噴射して燃焼過熱(再熱)して昇温させ、次のタービンへ入れて仕事をさせる。

座屈{buckling}

比較的細長い形状の部材へその長さの軸方向に圧縮荷重をかけると、軸に対して横方向に急激に変形が生じる現象。許容応力より小さい応力で破壊に至ることとなるため、柱など圧縮荷重がかかる部材には設計時点で考慮が必要。細長比が大きいほど座屈が起こりやすいが、柱の端部の接合状態(剛接合、ピン接合等)ごとに異なる係数が設定されている。温度分布や残留応力のばらつき、材料自身の組織の不均一なども影響をうけるため注意が必要。

残留応力(residual stress)

塑性変形を伴う加工(塑性加工、溶接、鋳造、熱処理)などで、加工後も材料の内部に存在し続ける応力のこと。部材に塑性変形が起こるまで荷重をかけた後、荷重を除去すると、部材内部では、弾性変形領域は元に戻ろうとし、塑性変形領域は留まろうとするため、両領域の影響で残留応力が生じる。

実行可能性調査(Feasibility study)

新製品やサービス、新制度に関する実行可能背や実現可能性を検証する作業の事である。製品を作る前に製造可能かどうかを認識する製造モデルを作成する。また損益が大丈夫か、リスクアセスメントについて問題がないかについて検証を行う。設計に入る前段階として最も重要な作業と考えられている。

持続的技術

持続的技術(Sustainable Technology)は、地球環境や資源を破壊せずに、長期的に社会的・経済的に持続可能な技術や製品のことを指します。エネルギーの効率化、再生可能エネルギー、リサイクル技術などがその例です。

磁気ディスク

磁気ディスク(Magnetic Disk)は、コンピューターの補助記憶装置の一つで、磁性体でできた円盤に磁気ヘッドを使って情報を書き込み、読み出す方式で動作します。一般的にハードディスクドライブ(HDD)やフロッピーディスクなどが磁気ディスクを採用しています。最近では、高速なデータ転送が可能なフラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などのストレージが普及していますが、容量の大きなデータを保存する場合には、磁気ディスクが利用されることがあります。

磁粉探傷試験(magnetic testing)

原理:き裂箇所で次回が乱れることを利用し、き裂を把握する。対象部位:表面直下2~3mm。試験方法:微小な欠陥の検出が可能。用途:溶接部の欠陥検出に用いられる。デメリット:対象材料は強磁性材に限られる。磁化方向とき裂が同じ場合判定が難しい。対策:磁化する方向を90°ずらして試験を実施する。

自然エネルギー設備

自然エネルギー設備とは、太陽光や風力、水力、地熱などの自然エネルギーを利用して発電や熱供給を行うための設備のことを指します。具体的には、太陽光パネルや風力発電機、水力発電機、地熱発電装置などが含まれます。

自然エネルギー設備は、化石燃料に依存しないエネルギー源であるため、環境に優しく、また枯渇の心配がないため、長期的に持続的なエネルギー供給が可能です。近年では、自然エネルギーの普及促進やエネルギー政策の転換に伴い、各国での設置が進んでいます。

自動運転[自動走行]システム

自動運転システムは、交通事故低減や交通渋滞緩和といった社会的目的を掲げて国を挙げて技術開発が進められており、一部の運転操作を支援する自動化レベル1から人が運転に関与しない完全な自動化レベル4・5まで、段階を追って実現を目指している。自立制御で運転操作する自動運転車だけでは目的達成が難しく、通信により外部から情報補完する自動運転車と強調システムとしての構築が計画されている。

自動制御

自動制御は、シーケンス制御とフィードバック制御に大きく分類することができる。シーケンス制御はあらかじめ定められた順序または手続きに従って制御の各段階を逐次進めていく制御であり、フィードバック制御は出力と目標値と一致させるため、出力を観測して目標値とのズレを入力側に戻しながら行う制御である。近年ではこの両方が組み合わされた制御が家電製品、エレベーター、工場の産業用ロボットなど多くの装置や設備に利用されている。

自由度振動系

自由度振動系とは、質点や剛体が1つ以上の自由度で振動する物理システムのことです。例えば、ばねにつながれた質点が水平方向に振動する場合、その振動は1つの自由度を持っています。また、振動数や振動振幅、固有振動数などのパラメータを考えることができます。自由度振動系は、様々な分野で応用されており、構造物の耐久性や自動車や航空機などの振動問題の解決に役立っています。

自励振動(self-excited vibration)

振動を発生させるための直接の原因ではない非振動エネルギーが原因で、系内部の固有振動特性によって持続的な振動に変換されたものを自励振動という。自励振動の例としては、レール上の車軸やきしみ音など乾性摩擦によるもの、ファンやポンプのサージング現象、翼のフラッタ、車軸のシミ―運動などがあるが、発生メカニズムは複雑でその多くは解明されていない。また、自励振動を積極的に利用する検討も進められており、潜熱を利用したヒートパイプ等がある。

失敗予測(しっぱいよそく)

あるシステムや機械などがどのような条件下で、どのような問題が発生する可能性があるかを事前に評価し、予測すること。その予測結果をもとに、予防的なメンテナンスや改善策を打ち出すことができる。

斜板形アキシャルピストンモータ(しゃばんがたあきしゃるぴすとんもーた)

アキシャルピストンモータの一種で、回転軸と平行に配置されたシリンダと、シリンダ内を往復するピストンからなるモータ。斜めに設置された斜板によってピストンが移動することで、回転力を発生させる。

周方向最大応力(しゅうほうこうさいだいおうりょく)

ある物体に力がかかった際、その物体内で最も応力がかかる方向を周方向と呼ぶ。周方向最大応力とは、その周方向にかかる応力のうち、最も大きな値のことを指す。

循環型生産システム(じゅんかんがたせいさんシステム)

資源の循環を促進することで、環境にやさしい製品をつくる生産システムのこと。再利用やリサイクルによって、廃棄物や排出物を削減し、環境負荷を低減することを目的とする。

純軸流形ターボ原動機(じゅんじくりゅうがたたーぼげんどうき)

風やガスの流れによって回転するタービンを用いた、発電や推進力の発生に使われるエンジンの一種。タービン内を流れる空気の流れが回転力に変換される仕組みを持っている。

小水力発電(しょうすいりょくはつでん)

水力発電のうち、発電能力が数百kW以下の発電方式。河川や用水路などの自然の水の流れを利用して発電することができる。

信頼性工学

信頼性工学(しんらいせいこうがく)は、製品やシステムの信頼性を確保するための技術・方法を研究する学問分野です。具体的には、故障の発生原因を分析し、設計や製造段階での不良の発生を防止するための技術や手法を開発することが含まれます。

信頼性設計

信頼性設計(しんらいせいせっけい)は、信頼性を考慮して製品やシステムを設計することを指します。信頼性設計の目的は、製品やシステムの故障を最小限に抑え、長期間にわたって正常に動作することを保証することです。信頼性設計には、信頼性予測や信頼性評価などの手法が用いられます。

新幹線省エネルギー技術

新幹線省エネルギー技術は、新幹線の運行における省エネルギー技術の研究・開発を行うことを目的とした技術です。具体的には、車両や軌道の軽量化、走行抵抗の低減、空調・照明などのエネルギー消費量の削減、再生可能エネルギーの利用などが含まれます。新幹線省エネルギー技術の開発により、新幹線の運行コストの削減や環境負荷の低減が期待されています。

浸透探傷試験(penetrant testing)

原理:毛管現象を利用した、き裂を検出する非破壊検査。対象部位:材料表面に開口したき裂。試験方法:き裂に浸透液を侵入させる、き裂以外の浸透液を除去する、現像液を用いてき裂部分を強調する。このき裂を目視確認する。浸透液を赤色塗料とし強調する方法や、蛍光物質を用いて紫外線を当てて観察する方法がある。メリット:対象材料は金属でも非金属でも可能、特別な装置は不要。デメリット:深さが把握できない。

水撃作用(water hammer)

水撃作用とはウォーターハンマーともいわれ、水圧管内の水流を急に締め切ったときに、水圧が急上昇しこの圧力上昇が圧力波として伝わり激しい振動を生じる現象をいう。弁の閉鎖や配管の充水時、ポンプの急停止といった急激な圧力変化によって生じる。この現象は水だけに限らず気体を含めた流体全般で生じる。負圧が十分に大きくなることで液体が沸騰し、配管内が部分的に蒸気で満たされたキャビテーションによって水中分離が生じるが、負圧が緩和させることで蒸気が液体へと戻るときに液体を引き戻すことで衝撃音を発することがある。一般的な緩和方法を示す。①圧力変化の緩和:弁の緩開放・緩閉止、②圧力バイパス機能:アキュムレータ、サージ逃し弁、安全弁の設置、③ポンプ速度調整、起動停止速度の回転制御による流速調整

人と機械の共存

人と機械の共存とは、人と機械が協調して働くことで、生産性や効率を向上させ、より高度な業務や作業を行うことができるようにすることを指します。具体的には、機械が人間の手作業を補完することで、生産ラインの効率化や自動化を図ることができます。また、機械が人間の危険な作業や繰り返し作業を代替することで、人間の負担を軽減し、作業環境の改善を図ることができます。

ただし、機械の導入や自動化が進むことで、人間の業務内容が変わったり、職業が消滅するといった課題も生じます。そのため、人と機械が協調して働くことで、人間の能力や知識を最大限に活用することが重要です。また、機械の導入によって失業が拡大することを防止するために、教育や訓練などを通じて、人材の育成や再就職支援なども重要な施策となります。

生活支援ロボット(life support robot)

生活支援ロボットは、人間の生活を改善させるためのさまざまな役割を担うロボットである。高齢化社会が急速に進みつつある現在において、日常生活、社会活動等に関わるさまざまな場面での活用が期待されている。本格的な実用化には、技術面における安全性の確認や、実証実験を通したその効果・課題点等の検証を行うことが必要である。

製造物責任法

製造物責任法とは、日本の法律の一つであり、製造物を製造して販売する事業者が、その製造物によって消費者等の人や物に対して発生する損害について、その責任を負うことを定めた法律です。具体的には、製造物の欠陥により消費者が死亡、負傷、病気などの被害を受けた場合、または消費者の財産が損失した場合に、製造者が賠償することになります。この法律は、消費者保護のための法律の一つとして、1968年に制定されました。

石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle)

石炭ガス製造技術開発(EAGLE)における酸素吹1室2段旋回流ガス化炉を用いて石炭をガス化することにより燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンの3種の発電方式を組み合わせて発電を行う。石炭をガス化して得られる燃料から燃料電池とガスタービンを駆動し、さらに、その際の排熱を利用して水蒸気を発生させて蒸気タービンを駆動する。燃料電池は高温において高効率な溶融炭素塩型(MCFC)、あるいは個体電解質型(SOFC)が検討されている。排出するCO2は、既存の石炭火力発電と比較して最大30%低減することが見込まれる高効率発電技術である。

設計上の欠陥

設計上の欠陥とは、製品の設計段階での問題や誤りにより、製品が危険や欠陥を抱えている状態になってしまうことを指します。製品の安全性、機能性、品質に重要な影響を与える要素であり、設計者が製品の使用目的や環境条件に応じた十分な検討を行わなかった場合や、設計ミスや欠陥が見落とされた場合に生じることがあります。設計上の欠陥がある製品は、使用者に危害を及ぼすことがあるため、製造業者や設計者はこの問題を避けるために、適切な設計プロセスや品質管理システムを導入する必要があります。また、設計上の欠陥により被害を受けた場合には、消費者保護法などに基づき、製造業者や販売業者による補償請求が可能となる場合があります。

先進超々臨界圧火力発電(A-USC:Advanced Ultra Super Critical Steam Condition)

石炭火力発電の熱効率の向上を目指した技術で、熱効率を向上させるために蒸気タービンの入口蒸気温度を従来の石炭火力発電の600℃程度より100℃程度高い700℃に高め、蒸気圧も24MPa以上を目標としている。超高圧または高圧タービンで仕事をした後、ボイラで再加熱された蒸気によって再度タービンで仕事をする再熱システムを採用している。送電端熱効率は高位発熱量基準(HHV)で従来の42%から46~48%へ向上する見込みで二酸化炭素排出量を低減することができる。

騒音レベル

騒音の大きさをあらわす指標。人間の耳は周波数によって、音の強さが違って聞こえる。騒音の大きさを表す指標として、周波数特性を補正したA特性が一般的に用いられる。A特性の騒音レベルLAは、標準音圧p0( = 20μPa)、A特性で重み付けられた音圧pAとして、次式で示される。LA =10・log(pA2/p02)単位は、デシベル(dB)である。

 

総合精度(そうごうせいど)

総合精度とは、ある製品や機械の各部品の誤差やばらつきを考慮し、全体の精度を評価することを指します。

測定分解能(そくていぶんかいのう)

測定分解能とは、ある測定器やセンサーが物理量をどの程度の精度で測定できるかを表す指標です。通常、測定の最小単位を表します。

太陽光発電(たいようこうはつでん)

太陽光発電とは、太陽光を利用して発電する技術のことを指します。太陽電池を用いた発電が代表的で、再生可能エネルギーの一つです。

耐環境性(たいかんきょうせい)

耐環境性とは、ある材料や製品が、自然界の気象条件や環境変化などに対してどの程度耐久性を持っているかを表す指標です。

耐食性(たいしょくせい)

耐食性とは、ある材料や製品が、腐食や化学反応などに対してどの程度耐久性を持っているかを表す指標です。

台車スカート(だいしゃすかーと)

台車スカートとは、鉄道車両の台車に取り付けられる装置のことを指します。列車の進行方向に対して垂直な方向に伸びる板状の部品で、風や騒音の低減や雪や泥の飛散防止などの役割を持ちます。

炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics )

樹脂に炭素繊維を含有させると、元の樹脂材料よりも強度や合成が得られる。主な樹脂材料は、熱硬化性のエポキシ樹脂や熱可塑性樹脂ではポリアミン(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネイト(PC)など。炭素繊維は、石油や石炭(ピッチ系)、ポリアクリロニトリル(PAN系)など。<特徴>軽量(比重1.6程度、鉄の1/5、アルミニウムの1/2程度)、高強度(引張強度700~3300MPa程度)、高剛性(55~450GPa程度)、振動減衰性が良い、寸法安定性が良い、疲労特性に優れる、熱伝導率が高い(2~300W・m/℃)、錆びない、電磁波遮蔽性がある、X線の透過率が高い(アルミの8倍)、非磁性、疲労特性、摺動特性などの特徴がある。

断熱圧縮

断熱圧縮とは、熱の移動が起こらないように行われる圧縮のことを指します。外部との熱交換がなく、エネルギーの損失が少ないため、エネルギー効率が高く、省エネルギー技術に応用されます。

断熱効率

断熱効率とは、エネルギーの入力と出力を比較した場合に得られるエネルギーの割合のことを指します。断熱状態でのエネルギー損失を最小限に抑え、エネルギー効率を高めることが目的とされます。

断熱膨張

断熱膨張とは、断熱条件下での気体の膨張のことを指します。断熱条件では、外部からの熱の流入や流出がないため、気体内部のエネルギーの状態変化が気体の温度変化に反映され、温度低下によって気体の膨張が起こります。

断面係数

断面係数とは、構造物の断面形状の特性を表す係数で、断面形状が異なる構造物の応力やひずみなどの比較に用いられます。

断面二次モーメント

断面二次モーメントとは、断面形状が異なる構造物の曲げ応力を比較するために用いられる係数です。断面形状の大きさと分布に関する情報を含んでおり、構造物の強度解析に用いられます。

知的財産権

知的財産権とは、発明や著作物、商標などの知的創作物に対して、その権利を保護するために与えられる権利のことです。特許権、意匠権、著作権、商標権などがあります。

地球温暖化

地球温暖化は、人為的な二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出により地球全体の気温が上昇する現象を指します。この気温上昇によって、極地の氷が溶け、海面が上昇することや、異常気象が発生することなどが懸念されています。

地球水資源

地球水資源とは、地球上に存在する水の総量のことを指します。地球の水資源は、淡水や海水、大気中の水蒸気など、様々な形で存在します。しかし、地球上に存在する水のうち利用可能な淡水の割合は非常に少なく、適切な管理が求められています。また、気候変動によって降水量の変動や水質の悪化が引き起こされることもあり、地球水資源の管理がますます重要になっています。

蓄熱システム(thermal storage system)

電力消費の少ない夜間の時間帯にヒートポンプなどの機械を稼働し熱を蓄えるシステムである。蓄熱の方式としては、空調機などの夏場の昼の負荷を低減させる氷蓄熱方式や、建物自体に熱を加えたり、冷却したりすることにより昼間の空調負荷を低減させる躯体蓄熱方式などがある。また、エコキュートに代表されるようなヒートポンプ式給湯機で、お湯を夜間に蓄えるシステムなどにも使われている。蓄熱時には放熱によるロスも出るため、蓄熱システムの中では断熱技術も重要なアイテムとなっている。真空断熱材などの熱伝導率を低く抑える技術なども進歩している。

超音波探傷試験(ultrasonic testing)

指向性の強い周波数帯1~10MHz程度の超音波を入射すると、材料内の異物や空間境界等の不連続部で超音波が反射される性質を使用して欠陥を検査する方法。反射したエコーを探触子で受信し、送受信の時間で欠陥の位置を、エコーの強さで欠陥の大きさを算出する。深部の測定ができるが、表面や表面直下の測定は難しい。鋳物は信号が伝播しにくい。

超音波流量計

流体の速度分布を測定するために使用される計測機器で、超音波の伝播時間の差を利用して流量を計測します。

超精密加工

極めて高い精度で、微細な形状や表面を作り出す製造技術のことです。主に半導体や精密機械部品などの製造に使用されます。

超臨界水

水を臨界点(374℃、22.1MPa)以上の温度・圧力条件下で加熱することによって得られる水の状態のことで、液体と気体の中間的な性質を持ちます。超臨界水は化学反応の速度を高め、物質を分解・変化させる反応器として利用されることがあります。

低荷重接触熱抵抗

表面接触における熱輸送特性を表す指標の一つで、表面間に生じる微小な空気層が熱伝導を阻害することによって発生します。低荷重接触熱抵抗が大きい材料は断熱性能が高く、熱を逃がしにくいという特性があります。

田口メソッド

複数の設計変数を同時に最適化するための統計的手法です。異なる因子を考慮して複数の実験を行い、その結果を解析することで最適な設計条件を見つけることができます。

電源別発電量

発電所の発電量を電源別に分類したもので、火力、原子力、水力、風力、太陽光、バイオマスなどがあります。電力会社やエネルギー政策の立案などに利用されます。

伝熱の基本原理

①熱伝導:物体内部に温度差が存在すると熱は、高温の分子から隣接する低温分子へと次々に分子間を直接伝わっていく。このとき、移動する熱量はフーリエの法則により以下の式で導出できる。
Q = λΔTA/L (Q:熱移動量、λ:熱伝導率、L:物質の代表長さ、ΔT:温度差、A:熱が伝わる断面積)

②熱伝達:熱伝導に対流現象のような物質の流動による熱輸送が加わったもの。熱移動量はニュートンの冷却法則で以下の式が導出できる。

Q=hΔTA (Q:熱移動量、h:熱伝達率、ΔT:温度差、A:熱が伝わる表面積)

③熱輻射(熱放射):赤外線や可視光線を含む電磁波によって熱が移動する。熱伝導、熱伝達とは異なり、物質を介することなく、真空中でも熱を伝えることができる。伝わった熱は吸収、反射もしくは透過し、吸収された熱のみが熱エネルギーとして物質の昇温等に利用される。黒体から放射されるエネルギー量(全放射能)はステファンーボルツマンの法則で以下の式で導出できる。

Eb=σT4A (Eb:全放射能、σ:ステファンーボルツマン定数、T:熱輻射する物質温度(絶対温度)、A:熱輻射する表面積)

H.25年 一次試験問題[機械部門] 専門科目Ⅲ-23  (流体や伝熱の基礎用語:https://livemyself.com/archives/20424)

電力回生ブレーキ

電力回生ブレーキとは、車両や機械などの運動エネルギーを電力に変換し、回生するブレーキシステムのことです。通常のブレーキシステムでは、車両などの運動エネルギーを摩擦熱に変換して減速するため、そのエネルギーは無駄となります。しかし、電力回生ブレーキでは、ブレーキ操作によって回生した電力を蓄電池や電力線に送り戻すことができます。これによって、エネルギーの有効活用が可能となり、燃料消費量の削減やCO2排出量の低減につながります。主に、ハイブリッド車や電気自動車、エレベーターなどに採用されています。

等エントロピー変化

ある温度の作動流体において移動する熱量が存在するとき、以下の式で表した状態量をエントロピー変化量という。式よりエントロピーに絶対温度を乗じると移動した熱量が導出できる。熱サイクル内の断熱圧縮、断熱膨張等の断熱変化は、移動熱量が0であり、等エントロピー変化となる。
ΔS=ΔQ/T(ΔS:エントロピーの変化量、ΔQ:熱の移動量、T:絶対温度)

動作係数(COP)

冷凍機、ヒートポンプの性能(効率)を示す重要な指標で成績係数ともいう。冷凍機とヒートポンプのCOPは以下の関係が成立する。
εh r+1(εh:ヒートポンプのCOP、εr:冷凍機のCOP)
以上の式からもわかるようにヒートポンプのCOPは1以上であり、1の外部仕事をすることによって1以上の熱を汲み上げることができる。

動作流体

動作流体とは、機械や装置の内部を流れる流体のことを指します。例えば、自動車のエンジン内の燃料やエンジンオイル、航空機のエンジン内の燃料や潤滑油、発電所の蒸気タービン内の水蒸気などが動作流体にあたります。動作流体の流れや圧力、温度などの特性を正確に把握することは、機械や装置の性能評価や改善、設計最適化などに必要となる重要な情報となります。

内界センサ(internal sensor)

外界センサに対応し、ロボットの内部状態を検出するセンサをいう。例えば、ロボットのマニピュレータの関節を制御するために用いられる並進変位、角度変位、それらの速度・加速度を検出するセンサや移動ロボットの傾きや位置姿勢を計測する傾斜計、ジャイロなどを総称していう。また、ロボットの内部状態の限界検出に用いられるリミットスイッチ、ポテンショメータなども含まれる。

二酸化炭素排出権取引

二酸化炭素排出権取引とは、企業や国家などの排出量規制の対象となる温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出権を取引する制度のことです。排出枠を持つ企業は自社の排出枠を超えた分の排出量を抑えるために、排出枠を余剰に持つ企業に対して排出権を買い取ることで、排出量の削減を図ることができます。

二次エネルギー

二次エネルギーとは、原始エネルギー(自然界で存在するエネルギー源)を変換・転換して得られるエネルギーのことを指します。例えば、石炭や原油などの原始エネルギーを燃料として火力発電所で発電することで得られる電気エネルギーは、石炭や原油を二次エネルギーに変換したものと言えます。

日本の資源

日本の資源には、金属資源(鉄、銅、アルミニウムなど)、非金属資源(石灰石、石膏、石英など)、エネルギー資源(石炭、石油、天然ガス、ウランなど)、水産資源(魚介類、海藻など)、林産物資源(木材、竹材など)などがあります。しかし、日本の資源自体が豊富であるわけではなく、エネルギー資源の多くは海外からの輸入に頼っています。

熱応力

材料は温度が上昇すると膨張し、低下すると収縮する。変形が拘束された状態で温度が変化すると、本来生じるはずの収縮が抑制されることに対して応力が生じる。膨張の影響が異なる複数の材料が拘束されている場合や、単一材料でも温度分布の不均一がある場合にも熱応力が発生する。

熱機関

高温熱源から熱量を取り入れ、作動流体によって外部へ仕事を取り出し、低温熱源へ残りの熱量を放出して連続的に作動する装置のことである。実際には高温熱源を作り出すために作動流体を圧縮させ、仕事を取り出して膨張させた後、低温熱源へ放熱するサイクルを形成している。

熱交換器の高性能化

熱交換器は、熱エネルギーを移動させるための装置であり、空調システムや加熱・冷却プロセスに使用されます。熱交換器の高性能化には、以下のような手法があります。

板状熱交換器の使用: 板状熱交換器は、薄く平らな板を重ね合わせて熱交換領域を作り、熱伝達面積を増やすことで熱交換効率を高めます。

湿式熱交換器の使用: 湿式熱交換器は、水や蒸気などの湿った熱媒体を使用することで、熱伝達効率を高めます。

熱伝導率の高い材料の使用: 熱伝導率の高い金属やセラミックスなどの材料を使用することで、熱交換効率を高めます。

流路設計の最適化: 熱交換器内部の流路設計を最適化することで、流速の増大や乱流の発生を促し、熱交換効率を高めます。

フィンの使用: 熱交換器のチューブ表面にフィンを取り付けることで、熱伝達面積を増やし、熱交換効率を高めます。

これらの手法を組み合わせることで、熱交換器の高性能化が図られます。

熱処理

材料の性質を変えるために、金属に加熱や熱を除去して組織を変えること。熱をコントロールする際の重要項目は①過熱速度、②過熱温度、③保持時間、④冷却速度である。特に④冷却速度が最も大きな影響力を持つち、主に以下の4つの熱処理方法として分類される。・焼入れ:<方法>オーステナイト域から水や油を用いて急冷する。<効果>マルテンサイトを得ることで、硬度が得られる。ただし、脆化するため、一般的には焼戻しを行う。・焼戻し:<方法>急冷や空冷を行う。<効果>焼入れによって失われた材料の靭性を回復させる。・焼ならし:<方法>オーステナイト域から空冷する。<効果>熱間加工した材料の組織を均一化し、結晶粒微細化して靭性を増す。・焼きなまし:<方法>高温で一定時間保持した後、炉などを用いて徐冷する。<効果>溶接、鍛造などの加工で残留した内部応力を除去する。加工硬化を生じた材料を軟化させ、加工性を向上する。

燃料電池(FC:Fuel Cell)

燃料電池とは、燃料の持つ化学エネルギーを電気化学反応によって直接に電気エネルギーに変換する発電装置である。電池という名がついているが、エネルギーを蓄積する機能はない。特徴として、現状ではコストが高いが、発電効率が高く、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などの有害ガスをほとんど発生しない上に、低騒音という特徴をもっている。

燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)

燃料電池自動車とは、燃料電池によって得られた電気を能力にして走行する自動車のことであり、主に水素を燃料とするものが普及してきている。ガソリンやディーゼルエンジン等の内燃機関と比較し、動力を生成する際に発生するのは水だけである。二酸化炭素の排出を抑え、窒素酸化物・硫黄酸化物の排出がほぼゼロとなる。そのため、環境問題や資源保護の観点から注目されている。今後の課題は低コスト化及び水素の安定供給・貯蔵である。

波動歯車装置(Wave Gear)

直線運動を円運動に変換することで、高い減速比を実現することができる減速装置の一種です。従来の減速装置と比較して、より小型・軽量化が可能であり、エネルギー効率も高いとされています。

破壊的技術(Disruptive Technology)

従来の技術や製品を飛躍的に進化させ、既存の市場を変革したり、新たな市場を作り出したりする技術のことを指します。イノベーションや革新的技術とも呼ばれ、最近ではデジタル技術や人工知能、再生可能エネルギー技術などが破壊的技術として注目されています。

廃棄物発電システム

廃棄物を燃料として利用し、電力を発電するシステムのことを指します。焼却発電やバイオマス発電がその代表的な例であり、廃棄物処理によるコスト削減や再生可能エネルギーの利用促進などのメリットがあります。

発電構成比(Power Generation Mix)

ある地域や国の電力を生成するために使用されているエネルギー源の比率のことを指します。具体的には、火力発電、原子力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電などが含まれます。エネルギー源の多様化や再生可能エネルギーの割合増加などが進んでいる現在、発電構成比は重要な指標の一つとされています。

人協同ロボット

人協同ロボットは安全策等で人から隔離することなく動かすことができ、人と同じ空間で協力しながら働くことで生産性の向上に貢献できる。従来は所定以上の出力容量があるロボットは隔離して動作させることで安全性を確保していたが、安全技術の進化と規制緩和により導入ができるようになった。また、人材不足の補填という観点も相まって、人協同ロボットの市場規模は急拡大しており、2019年時点で1000億円規模になっている。

標準化

標準化することにより、コストを低減できたり、品質のばらつきを抑えたり、在庫の抑制、部品供給業者の負担低減などが挙げられる。設計に関する標準化には①公差など加工に関するもの、②設計手法などに関するもの、③部品の共通化、ブロック化に関するもの、④図面の作図、データ管理に関するもの、などが挙げられる。ただし最近では顧客の嗜好が多様化している中で大量生産から小ロット生産に移行しなければならない事情もあり、標準化手法も単純に同じにしてしまうだけでは対応できないケースも出てきている。

比例ゲイン

比例ゲイン(proportional gain)とは、制御工学においてフィードバック制御系において、現在の制御量と目標値との差に比例して出力を決定するゲインのことです。つまり、目標値との差が大きいほど、出力も大きくなるように調整されます。比例制御の基本的な原理であり、P制御とも呼ばれます。比例ゲインが適切に設定されていると、目標値に迅速かつ正確に収束することができますが、ゲインの値が大きすぎるとオーバーシュートや振動を引き起こす可能性があります。

疲労破壊(fatigue fracture)

本来破壊する応力よりも低い応力が繰り返しかかる状態で破壊に至る現象。繰返し加えても破壊しない最大応力で疲労強度をプロットしたものをSN曲線という。鋼材は、およそ107以上応力を繰り返しても疲労強度が低下しなくなり、これを疲労限度という。アルミニウムは明確な疲労限度が表れないため、便宜的に108回程度の繰返しの疲労強度を疲労限界として扱うことがある。

疲労限トルク

疲労限トルク(ひろうげんトルク)は、機械要素が疲労破壊を起こす限界となる応力を表す指標です。金属材料の使用に際しては、疲労限トルクが安全率を確保するために考慮されます。

微細加工

微細加工(びさいかこう)とは、非常に小さな加工精度が必要な製品を製造するための加工技術のことを指します。通常の加工技術では得られない微細な構造を作り出すことが可能です。例えば、医療分野で使用される医療器具や、電子部品の製造に用いられます。

表面ロール加工(rolling)

部材を回転するローラで圧縮させながら送り出すことで塑性変形を生じさせ、その加工硬化とひずみ時効、および残留応力により疲労強度を向上させる加工方法。車軸の圧入軸やクランクのフィレット部などに適している。未加工領域との境界部は引張残留応力が生じるため、設計時にはその箇所は応力がかからないよう注意が必要。

品質機能展開(QFD:Quality Function Deployment)

顧客要望を製品の品質特性、構成要素、プロセス要素に至るまで、それぞれを構成する要素について次元の異なる要素に対応関係を付けて置き換える操作を繰り返して、必要特性を定める操作を行うことで実現し、製品品質確保のための重要な業務や職能を明確化する手法。必要とする特性を定める操作として、品質展開、技術展開、コスト展開、信頼性展開、業務機能展開がある。

品質工学

品質工学とは、品質を向上させるための科学的な手法やプロセスを開発する工学分野です。品質工学は、顧客ニーズの理解、品質要件の定義、製品の設計と製造プロセスの改善、品質コントロールと品質保証のための統計的手法、および品質問題の解決のための問題解決手法などを含みます。

品質工学は、統計的プロセス管理(SPC)、設計実験、品質機能展開(QFD)、信頼性工学、品質管理(TQM)などのツールや技法を使用します。これらの技法は、製品の品質を最適化し、製造プロセスを改善することによって、コストの削減や顧客満足度の向上などの利点をもたらします。

複合材料(composite materials)

複合材料は、性質の異なる2種類以上の材料を組み合わせることによって創製され、単一材料にはない機械特性・機能的特性を発揮する材料である。合金などの元素レベルで組み合わせた材料とは、物質的な解面を有することで区分されている。工業的に多く生産されている複合材料は、プラスチックを繊維で強化した繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinfoeced Plastics)である。特にカーボンを強化材にしたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、計量かつ高剛性・高強度であることから、航空・宇宙分野、スポーツ製品などで主要な構造材料として長く活用されており、近年は自動車等の交通機械への適用も進んできている。

双子渦(ふたごうず)

双子渦は、二つの渦が平行に発生している現象を指します。流体が円柱などの物体を通過する際に発生する渦で、一つの渦がもう一つの渦を誘発することによって、対称的に二つの渦が発生する現象です。この現象は、多くの場合、翼周り流れや橋脚周り流れの研究で取り上げられることがあります。双子渦が発生すると、流体の抵抗や揚力などの特性に影響を与えることがあるため、航空機や自動車などの設計においても重要な現象です。

分野別二酸化炭素排出

ある国や地域で、どの産業部門や活動がどの程度二酸化炭素(CO2)を排出しているのかを分析し、それに基づいて政策立案や環境保全の取り組みを進めるための指標です。代表的な産業部門としては、製造業、交通・運輸業、住宅・建設業、商業・サービス業などが挙げられます。

閉ループ

あるシステムが出力をフィードバック(返送)し、その情報を元に入力や処理を調整して、より正確な出力を得るようになっている状態を指します。例えば、自動車の巡航制御システムが、速度や距離などの情報を取得して自動的にアクセルやブレーキを制御する仕組みは、閉ループ制御システムの一例です。閉ループ制御により、システムの精度や応答性が向上し、目標値により近い出力を得ることができます。

放射線透過試験(radiography)

傷や空隙では放射線が異なることを利用した欠陥の測定方法。対象の物質越しにX線やγ線を照射し、フィルムを感光させる。欠陥箇所ではフィルムは濃く感光するため、像の濃淡差で把握する。複数の方向から検査することで、欠陥の位置や形状を把握できる。鋳造内部や溶接個所のブローホールの把握に適している。ただし、き裂などの空隙の体積が小さい欠陥は検出が困難なことがある。

未利用エネルギー(Unexploited Energy)

工場排熱、地下鉄や地下街の冷暖房排熱、外気温との温度差がある下水、雪氷の冷熱等、広範囲にエネルギー密度が低い状態で分布する特性を持つため、これまで利用されなかったエネルギーの総称。未利用エネルギーの利用法は、まだ利用可能な温度の熱を使用する手法と環境中に排出された低温の熱を高温化して利用する方法がある。

無停電電源装置

無停電電源装置 (Uninterruptible Power Supply; UPS) は、主にコンピュータや通信機器などの電力が必要な機器に、停電時などの電源喪失に備えて電力を供給するための装置です。UPSは、蓄電池や発電機を使用して、通常の電力供給が途絶えた際に継続的に電力を供給します。UPSは、短時間の停電や電圧の低下などの小さな電力の変動から、長時間の停電まで様々な状況に対応することができます。また、UPSは、瞬時の電圧降下や瞬時の過電圧などの問題も防ぐことができ、機器の故障を防ぐことができます。

遊星減速機(planetary reduction gear)

中心にある太陽の周りに、複数の遊星歯車が自転しつつ公転する構造をもった減速機で、入力軸と出力軸を同時にしたまま、少ない段数で大きな減速比が得られる。そのためコンパクトでトルクの伝達能力に優れているが、複雑な構成であるため歯車調整に高い精度が求められる。

遊星歯車機構

遊星歯車機構(Planetary gear mechanism)とは、太陽歯車、惑星歯車、リングギアといった複数の歯車が組み合わされた機構で、一定の回転速度で軸を回転させることができます。遊星歯車機構は、高い減速比と、コンパクトな設計による大きなトルク伝達能力を持ちます。自動車のトランスミッションや航空機のエンジンなど、多くの産業分野で使用されています。

容積流量計

容積流量計(Volumetric flowmeter)とは、流体の流量を測定するための計器の一種です。容積流量計は、一定の容積を計測する装置を使用して、流れる液体または気体の容積流量を直接測定します。この計器は、流体が内部の容積を通過する速度によって動作し、流れる液体または気体の速度によって影響を受けません。

臨界レイノルス数

臨界レイノルズ数(Critical Reynolds number)とは、液体または気体の流れが乱れる境界のことを指します。レイノルズ数とは、流体の密度、速度、粘性といった特性から算出される無次元数であり、臨界レイノルズ数はこのレイノルズ数が閾値を超えた時に発生する境界のことを指します。臨界レイノルズ数は、配管、流量計、タービンなど、流体力学に関連する設計や解析に重要なパラメータとして使用されます。

冷凍機(refrigerator)

熱機関を逆に作動させて低温熱源から高温熱源へ熱を移動させる装置で、低温熱源から熱を取り去って冷ます装置を冷凍機という。この装置は、熱機関の逆サイクルなので冷やすためには、外部から仕事をする必要がある。冷凍機の性能は以下の式で表せる。εr = Ql/L = Ql/(Qh – Ql) = 1 – 1/(Qh/Q– 1)

r:動作係数、L:外部仕事、Qh:高温熱源への放熱量、Q;低温熱源からの受熱量)

 

連結式搬送ロボット

連結式搬送ロボットは、複数のロボットアームを連結し、物体を取り扱うための搬送装置です。各ロボットアームは個別に制御され、連結されているため、複数のアームが協調して作業を行うことができます。この方式を使用することで、搬送対象物が大きくて重い場合や、取り扱いが困難な形状を持つ場合でも、効率的かつ正確に搬送作業を行うことができます。連結式搬送ロボットは、自動車製造や電子部品製造などの製造現場で広く利用されています。

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webページ:https://livemyself.com/archives/21617 
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参考:技術士第二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100(第5版)