数値制御旋盤のベッド形状の一つにスラントベッドがある
解答: 〇
解説: 数値制御旋盤(NC旋盤やCNC旋盤とも呼ばれる)の設計において、ベッド形状は非常に重要な要素です。スラントベッドは、その一つで、ベッドが傾斜している形状をしています。この傾斜設計にはいくつかの利点があります。
切りくずの排出効率: スラントベッドのデザインは、加工中に発生する切りくずが自然に落下しやすい傾斜を提供します。これにより、切りくずの排出がスムーズになり、加工精度の維持やクリーンな作業環境が促進されます。
アクセス性の向上: 操作者やロボットアームが工作物や工具にアクセスしやすくなるため、セットアップ時間の短縮や自動化の効率化に寄与します。
剛性と振動抑制: スラントベッドは、加工中の振動を効果的に抑制し、機械の剛性を高めることができます。これにより、加工精度が向上し、工具の寿命も延びる可能性があります。
このように、スラントベッドは数値制御旋盤の設計において重要な役割を果たし、多くのメリットを提供します。これは、高精度加工や高効率の生産ラインにおいて特に重要な特徴です。
立旋盤では、溝加工ができる
解答: 〇
解説: 立旋盤は、その構造上、大きな直径のワークや比較的短いワークの加工に適しており、その設計により多様な加工が可能です。立旋盤では、ワークが垂直方向に固定され、切削工具が水平または垂直の軸沿いに動くことで加工を行います。
溝加工は、立旋盤で実行可能な操作の一つです。この種の加工では、特定の形状の溝をワークの表面に切り込むために使用されます。立旋盤では、工具を正確に位置決めし、所定の深さと形状で溝を切削することが可能です。
立旋盤は、大きなワークや重量のあるワークの加工に適しているため、大型のギアやフランジ、リングなどの部品に溝を加工する際に特に有用です。そのため、重工業や大型機械製造において重宝される機械です。ただし、立旋盤での溝加工は、機械の操作や加工プロセスに関する適切な知識と経験が必要となります。
超硬バイトの寿命判定基準として、フランク摩耗の幅やクレータ摩耗の深さがある
解答: 〇
解説: 超硬バイトは、その高い硬度と耐摩耗性により広く利用されている切削工具です。超硬バイトの寿命判定においては、フランク摩耗の幅やクレータ摩耗の深さが重要な指標となります。
フランク摩耗: フランク摩耗は、切削工具の切れ刃の後端(フランク面)に生じる摩耗です。フランク摩耗が進行すると、切削エッジが丸くなり、切削抵抗が増大し、加工精度や表面仕上げが低下します。フランク摩耗の幅がある閾値を超えた場合、工具の交換時期と判断されます。
クレータ摩耗: クレータ摩耗は、工具の逃げ面において、切れ刃の近くに発生する摩耗の窪みです。クレータ摩耗が深くなると、工具の強度が低下し、切削条件によっては工具の破損につながることもあります。クレータ摩耗の深さが一定の基準を超えると、工具の寿命と判断されます。
これらの摩耗指標をモニタリングすることで、超硬バイトの寿命を的確に判断し、工具の最適な交換時期を決定することができます。これにより、加工品質の安定や生産効率の向上、工具コストの最適化に寄与します。
チェーザには、内径ねじ加工に使用できるものはない
解答: ×
解説: チェーザは、主に外径にねじを切るための工具ですが、内径ねじ加工に使用できるタイプのチェーザも存在します。これらは通常、パイプの内側にねじを切るために使用される特殊なチェーザで、パイプの内径ねじ加工用に設計されています。
一般的に、内径ねじ加工にはタップがよく使用されますが、特定の状況やアプリケーションでは、内径用チェーザが使用されることがあります。これは特に、大きなサイズのパイプや、特定の工業用途で見られることがあります。
したがって、全てのチェーザが外径用であるというわけではなく、内径ねじ加工に適したチェーザも存在します。ただし、これらは一般的なタップよりも特殊な状況で用いられることが多い工具です。
高硬度材を穴あけ加工するときには、一般に、ドリルの先端角を標準角(118°)よりも大きめにするとよい
解答: 〇
解説: 高硬度材料を穴あけ加工する際、ドリルの先端角を標準の118°よりも大きく設定することが推奨されます。先端角を大きくすることで、ドリルの先端がより鈍くなり、接触面積が増加します。これにより、切削抵抗が分散され、ドリル先端の局部的な過負荷が軽減され、高硬度材料に対しても効果的に切削できるようになります。
先端角を大きくする(例えば135°など)と、以下の利点があります:
耐久性の向上: ドリル先端の局部的なストレスが軽減され、摩耗や破損のリスクが低下します。
切削抵抗の低減: 切削面積が増加し、単位面積あたりの切削力が低下します。
加工精度の向上: ドリルの先端が鈍角になることでセンタリング性能が向上し、加工精度が高まります。
ただし、先端角を変更すると、切削条件(切削速度や送り速度)も見直す必要があります。また、材料の種類や加工条件によって最適な先端角は異なるため、具体的な加工状況に応じて適切な角度を選択することが重要です。
鋳鉄を切削する場合の切削用超硬質工具材料は、識別記号Pが最も適している
解答: ×
解説: 切削用超硬質工具材料の識別記号「P」は、主に鋼(steel)の加工に適した材料を示します。鋳鉄の切削には、一般的に「K」グレードの超硬材料が推奨されます。これは、鋳鉄の加工に適した特性を持っているためです。
鋳鉄は、鋼と比べて異なる切削特性を持っています。鋳鉄は摩耗性が高く、また切削時には破砕性の切りくずが発生しやすいです。そのため、これに対応するためには、耐摩耗性に優れ、かつ衝撃に強い工具材料が求められます。「K」グレードの超硬質工具材料は、これらの条件を満たすように設計されています。
「P」グレードの材料を鋳鉄加工に使用すると、摩耗や損傷が早期に発生する可能性があり、工具の寿命が短くなることがあります。したがって、鋳鉄を切削する場合には「K」グレードの超硬質工具材料を選択することが適切です。
バイトのすくい角を大きくするほど、刃先の剛性は減少する
解答: 〇
解説: バイトのすくい角(ポジティブすくい角)を大きくすると、切削時の切りくずの排出が改善され、切削抵抗が減少します。これにより、特に軟らかい材料の加工時に滑らかな表面が得られやすくなります。しかし、すくい角を大きくすると、刃先の材料が薄くなり、結果として刃先の剛性が低下します。
刃先の剛性が低下すると、切削時の振動や衝撃に対する耐性が低下し、加工精度や工具の耐久性に悪影響を与える可能性があります。特に、硬い材料の加工や重切削の場合には、刃先の剛性が重要になるため、すくい角を適切に選択する必要があります。
バイトの設計においては、すくい角だけでなく、他の角度(例えば、逃げ角や先端角)とのバランスを考慮し、加工する材料の種類や加工条件に適したものを選択することが重要です。すくい角を大きくすることで得られる利点と、刃先の剛性の低下というトレードオフを理解し、最適な切削条件を選択することが求められます。
日本工業規格(JIS)によれば、切りくず形態は、流れ形、せん断形、むしり形及びき裂形の4形態に分類される
解答: 〇
解説: 日本工業規格(JIS)では、切りくずの形態を主に流れ形、せん断形、むしり形、き裂形の4つに分類しています。これらの切りくずの形状は、加工される材料の種類、切削条件、使用される工具の形状などによって異なり、加工の効率性や品質に影響を与える重要な指標です。
流れ形切りくず: 材料が連続的に流れるようにして生成される切りくずで、一般的に安定した加工条件下で観察されます。長い細い帯状をしており、切削がスムーズに行われていることを示します。
せん断形切りくず: 材料が局部的にせん断されることで生成される切りくずで、断続的な短い片が特徴です。この形態は、しばしば中断される加工や不安定な切削条件下で生じます。
むしり形切りくず: 材料がむしり取られるようにして生成される切りくずで、粗く不規則な形状をしています。硬い材料や不適切な切削条件で発生しやすい形態です。
き裂形切りくず: 材料が割れたり裂けたりして生成される切りくずで、非常に不規則で粗い形状が特徴です。これは通常、非常に困難な加工条件下や適切でない工具を使用した場合に発生します。
これらの切りくずの形態を理解することは、加工プロセスの最適化、工具の摩耗状態の評価、加工品質の向上などに役立ちます。
外丸削りの旋削において、同一形状のバイトを使用した場合、切りくずの幅は、切込みに比例する
解答: 〇
解説: 外丸削りの旋削において、同一形状のバイトを使用した場合、切りくずの幅は切込み量に比例します。切込みが深くなるほど、切り取られる材料の量が増え、その結果として切りくずの幅も広くなります。
切込みとは、工具が材料に食い込む深さを指し、この深さが大きいほど一度に多くの材料を削り取ることができます。したがって、切込みが深いほど、生成される切りくずの量が多く、その幅も広くなるという直接的な関係があります。
ただし、切込みを深くすることは、切削抵抗の増加、加工中の振動や熱の発生など、他の要因にも影響を与えるため、適切な切込み量を選定することが重要です。加工条件や目的に応じて、適切な切込み量を選択し、効率的かつ安定した旋削加工を実現する必要があります。
切削加工によって仕上げ面の表面部に残った応力を降伏応力という
解答: ×
解説: 切削加工によって仕上げ面の表面部に残る応力を「残留応力」と呼びます。降伏応力は、材料が塑性変形を始める際の応力のことであり、切削加工によって生じる残留応力とは異なる概念です。
切削加工中、工具と材料の間の摩擦や加工熱により、材料の表面近くに応力が生じ、これが残留応力として残ることがあります。この残留応力は、部品の寸法安定性や疲労強度に影響を与えるため、特に精密な加工や高い性能が要求される部品において重要な要素となります。
残留応力は、引っ張り応力と圧縮応力のどちらもあり得ます。その影響は、加工方法、材料の種類、冷却方法など多くの要因に依存します。適切な加工条件の選定、後処理(例えば熱処理や応力除去処理)により、残留応力を管理し、部品の品質や寿命を向上させることが可能です。
切削油剤の極圧添加剤は、潤滑効果を向上させる
解答: 〇
解説: 切削油剤に含まれる極圧(EP: Extreme Pressure)添加剤は、高荷重や高温の切削環境下での潤滑効果を向上させるよう設計されています。これらの添加剤は、工具と被削材の間の極端な圧力下でも安定した潤滑膜を形成し、直接的な金属と金属の接触を減少させることで、摩擦と摩耗を著しく低減します。
極圧添加剤は、切削プロセス中に発生する高温で反応し、工具と被削材の表面に低摩擦の化学膜を形成します。この化学膜は、金属表面間の直接的な接触を防ぎ、切削抵抗を低減し、摩耗や焼き付きを防止します。この効果により、工具の寿命が延長され、加工精度が向上し、切削速度や生産性を高めることができます。
極圧添加剤は、特に難削材の加工や重切削においてその効果を発揮します。ただし、使用する切削油剤の選定には注意が必要であり、加工する材料の種類や加工条件に応じて最適な製品を選ぶことが重要です。
加工用治具において、基準穴を用いて位置決めする場合の位置決めピンは丸形と菱形を一対として用いる
解答: 〇
解説: 加工用治具において、基準穴を用いた位置決めでは、丸形のピンと菱形(ダイヤモンド形状)のピンを一対として使用することが一般的です。この組み合わせには、ワークの正確な位置決めと固定を保証するための特定の理由があります。
丸形ピンは、ワークを治具に対して一点で正確に位置決めするのに使用されます。これは、ワークが丸ピンを中心に回転することを防ぎつつ、一方向の位置決めを提供します。一方、菱形ピンは、ワークに対して2点で接触し、回転を防ぎながら他の方向における正確な位置決めを実現します。
このように、丸形ピンと菱形ピンを組み合わせることで、ワークの回転と並進の両方を制御し、治具に対してワークを正確に位置決めし、安定した加工精度を保証することができます。この方法は、特に反復性と精度が要求される加工作業で重宝されます。
穴あけ用ブッシュは、ドリルの摩耗を防ぐために黄銅を用いる
解答: ×
解説: 穴あけ用ブッシュ(ガイドブッシュ)は、ドリルのガイドとして使用され、ドリルが正確な位置に穴を開けることができるようにするためのものです。ブッシュはドリルの摩耗を防ぐというよりは、ドリルの位置精度を向上させ、穴あけ作業の正確性を高めるために用いられます。
穴あけ用ブッシュの材料としては、硬度が高く、耐摩耗性に優れた材料が選ばれます。一般的には、工具鋼や硬質合金、場合によってはセラミックスなどが使用されます。黄銅は柔らかく摩耗しやすいため、ブッシュの材料としては通常選ばれません。
黄銅は、優れた加工性と耐食性を持つため、配管や装飾用品、電気部品などの分野で広く使用されていますが、穴あけ用ブッシュの材料としては適していないと言えるでしょう。ブッシュは摩耗に強く、かつドリルを正確にガイドできる硬度と強度を備えた材料から作られる必要があります。
ブロックゲージの測定面の平面度を点検する場合、オプチカルフラットを使用する
解答: 〇
解説: ブロックゲージの測定面の平面度を点検する際には、オプチカルフラットを使用する方法が一般的です。オプチカルフラットは、非常に高い精度で研磨されたガラスまたはクォーツ製の平板で、その面の平面度が極めて高いことが保証されています。
オプチカルフラットをブロックゲージの測定面に置くことで、光学干渉の原理を利用して、ゲージの平面度を検査できます。照明と特定の角度から観察することで、オプチカルフラットとブロックゲージの間に生じる干渉縞を観察できます。干渉縞のパターンから、平面度の偏差を読み取ることができます。
この方法は非接触であり、非常に高い精度で測定面の平面度を評価することができるため、精密な測定が求められるブロックゲージの点検に適しています。オプチカルフラットを使用した検査は、測定環境が整った室内で行われることが多く、測定技術者には特定のスキルと知識が求められます。
半月キーは一般に、大きなトルクの伝達には適さない
解答: 〇
解説: 半月キーは、その断面が半円形をしていることから名付けられており、シャフトとハブを結合する際に用いられます。しかし、半月キーは主に位置決めや軽負荷でのトルク伝達に適しており、大きなトルクを伝達する用途には一般的に適していません。
大きなトルクを伝達する場合、より強度が高く、より大きな接触面積を持つキーが必要です。このような用途には、一般的に平行キーやテーパキーが使用されます。これらのキーは、シャフトとハブの間でより大きな面積で接触し、より大きな力を分散して伝達できるため、重負荷の状況において半月キーに比べて適しています。
半月キーは、その形状が半円であるために接触面積が限られており、大きなトルクがかかるとキーやシャフト、ハブのいずれかが損傷するリスクが高まります。そのため、大きなトルクを扱う機械や装置には、半月キーではなく他の種類のキーが推奨されるのです。
Vベルトは、平ベルトよりも滑りが少ないので、大きな動力を伝動することができる
解答: 〇
解説: Vベルトは、その特有のV字形状により、プーリーとの間に高い摩擦力を発生させ、滑りを大幅に減少させることができます。この特徴により、Vベルトは平ベルトに比べて滑りが少なく、より大きな動力を効率的に伝動することが可能です。
VベルトのV字形状は、プーリーと接触する際に、プーリーの溝に密着することで、接触面積を増やし、摩擦係数を向上させます。これにより、ベルトがプーリーに対してより強く押し付けられ、滑りが発生しにくくなります。
また、Vベルトは、張力がかかるとベルトの断面がプーリーの溝に深く嵌るため、自動的に摩擦力が増加し、伝動効率が向上します。これに対し、平ベルトは表面が平坦であり、同様の機構を持たないため、滑りが発生しやすく、大きな動力伝達には不向きです。
したがって、Vベルトは滑りが少なく、大きな動力を効率的に伝達することができるため、様々な産業機械や自動車のエンジンなどで広く使用されています。
Vベルトは、平ベルトよりも短い軸間距離で大きな回転比を持たせることに適している
解答: 〇
解説: Vベルトは、その独特な形状と高い摩擦係数により、平ベルトに比べて短い軸間距離で効率的に大きな回転比を持たせることに適しています。VベルトのV字形状はプーリーに対して高い接触圧を生み出し、これにより滑りが少なくなり、より小さなプーリーでも効果的に力を伝達できます。
平ベルトに比べ、Vベルトはプーリーの溝に深くはまり込むため、ベルトがプーリーに対してより大きな摩擦力を発生させることができます。この特性により、Vベルトはより短い軸間距離で使用されるときにも、平ベルトよりも滑りにくく、大きなトルクを伝達することが可能です。また、小径のプーリーを使用しても、ベルトの滑りを最小限に抑えつつ、必要な動力を伝達できるため、大きな回転比を実現するのに適しています。
したがって、コンパクトな設計が求められる場合や、短い軸間距離で大きな回転比を実現したい場合に、Vベルトは平ベルトよりも好ましい選択肢となります。
けがき作業において、工作物に穴があるときは、穴の中心を基準にする
解答: 〇
解説: けがき作業において、工作物に既存の穴がある場合、その穴の中心を基準とするのは一般的なアプローチです。この方法により、新たに加工する部分が既存の穴と正確に位置関係を保つことができ、加工精度を向上させることが可能になります。
けがき作業は、工作物に加工前の目印をつける重要な工程であり、ドリルやフライスなどの加工機械で正確な位置に穴を開けたり、切断したりするためのガイドラインを提供します。既存の穴の中心を基準にすることで、加工する部品の位置決めが容易になり、組み立て時の精度も保証されます。
穴の中心を基準にする際は、センターパンチやディバイダー、ハイトゲージなどの工具を使用して、穴の中心位置を正確に特定し、けがき線を引きます。これにより、後続の加工工程での精度が保証され、品質の高い製品を製造することが可能になります。
鉄工やすりの形状は、平、角、丸、反丸のみである
解答: ×
解説: 鉄工やすりの形状は、平、角、丸、反丸に限定されません。実際には、これらに加えて半丸、三角、平三角、刀形、四角など、さまざまな形状の鉄工やすりが存在します。これらの異なる形状は、特定の用途や特定の形状の加工に適しています。
平やすり: 一般的な形状で、表面を平らに削るのに使用されます。
角やすり: 角やエッジを仕上げるのに適しています。
丸やすり: 内側の曲面や穴の加工に使用されます。
反丸やすり: 外側の曲面や凸面の加工に適しています。
半丸やすり: 丸やすりと平やすりの特性を兼ね備え、内側の曲面や平面の加工に適しています。
三角やすり: 内側の角を削るのに使用されます。
平三角やすり: 主に鋸の歯の加工に使用されます。
刀形やすり: 狭いスペースや複雑な形状の加工に適しています。
四角やすり: 四角形の穴や溝の加工に使用されます。
これらの鉄工やすりは、それぞれ特定の加工作業に適した形状とされており、適切なやすりを選択することで、より効率的かつ正確な加工が可能になります。
鉄工やすりの目の種類には、荒目、中目、細目、油目がある
解答: 〇
解説: 鉄工やすりの目の種類には、荒目、中目、細目、油目が存在し、これらはやすりの切削能力や仕上がりの精度に影響を与えます。それぞれの目の種類は、異なる用途や加工精度の要求に応じて選択されます。
荒目:大きな粒度を持ち、材料の除去率が高いため、大まかな形状の加工や不要な部分の迅速な除去に適しています。
中目:荒目と細目の中間に位置し、一般的な加工に適しています。比較的速い材料の除去能力と適度な仕上がりを提供します。
細目:細かい粒度を持ち、より滑らかな表面仕上げが求められる加工に適しています。材料の除去率は低いですが、精密な作業に適しています。
油目:最も細かい粒度を持ち、鏡面仕上げに近い滑らかな表面を実現するために使用されます。主に最終仕上げ工程で利用されます。
適切なやすりの目を選択することで、求められる加工精度や仕上がりに適した加工が可能になります。また、加工する材料の種類によっても最適なやすりの目が異なるため、用途に応じて選定することが重要です。
長さ1mの鋼材の温度が1℃変化すると、長さは、約0.01mm程度変化する
解答: 〇
解説: 鋼材の熱膨張に関して、鋼の線膨張係数は約 \(12 \times 10^{-6}\) /℃ です。これは、鋼材の長さが1℃の温度変化によって、元の長さの \(12 \times 10^{-6}\) 倍だけ伸びることを意味します。したがって、1m(または1000mm)の鋼材が1℃温度が変化した場合の長さの変化は以下のように計算できます。
\[ 長さの変化 = 1000 \, \text{mm} \times 12 \times 10^{-6} /℃ \times 1 \, ℃ \]
この計算により、鋼材の長さは約0.012mm変化することがわかります。これはおおよそ0.01mm程度と見なすことができ、質問の主張と一致します。したがって、長さ1mの鋼材が1℃温度が変化すると、その長さは約0.01mm程度変化すると言えます。
窒化と時効硬化は表面硬化処理である。
解答: ×
解説: 窒化は表面硬化処理ですが、時効硬化(エイジング硬化)は表面硬化処理ではありません。
窒化: 窒化は、鉄や鋼などの金属表面に窒素を拡散させることで表面硬度を向上させる処理です。この方法は、特に耐摩耗性や耐疲労性を向上させたい場合に使用され、金属の表面だけを硬化させるため、表面硬化処理に分類されます。
時効硬化: 時効硬化は、一部の合金で見られる硬化現象で、特にアルミニウム合金やニッケル合金で利用されます。これは、溶体化処理後に一定の温度で保持することにより、微細な析出物を生じさせて硬度を高める処理です。時効硬化は金属全体の特性を変化させるため、一般的には「体積硬化処理」や「全体硬化処理」と呼ばれ、表面硬化処理とは区別されます。
したがって、窒化は表面硬化処理であるのに対し、時効硬化は金属全体の硬化を目的とした処理であり、表面硬化処理ではありません。
日本工業規格(JIS)において、クロムモリブデン鋼鋼材はSKHである
解答: ×
解説: 日本工業規格(JIS)における「SKH」は高速度鋼(High Speed Steel, HSS)の記号であり、クロムモリブデン鋼を指すものではありません。高速度鋼は、工具鋼の一種であり、その耐熱性と硬度が高いため、特にカッターやドリルなどの切削工具に使用されます。
一方、クロムモリブデン鋼は「SCM」という記号で表されます。例えば、SCM435やSCM440などがクロムモリブデン鋼の代表的な鋼種です。これらは、優れた機械的性質と耐熱性を有しており、自動車の部品や産業機械など幅広い用途に使用されています。
したがって、クロムモリブデン鋼材をJISで「SKH」と表記するのは正しくありません。正確には「SCM」がクロムモリブデン鋼を示す適切な記号です。
【機械加工問題集】