京都に行った修学旅行でお土産に買ったつげ櫛の今

ペンネーム:みっちゃん 見るだけで、買ったときやもらったときの情景が浮かんでくるお土産には、時間を戻すような不思議な力があります。 日本で一番行きたい場所に外国人が選んでいる京都の清水寺や金閣寺などの有名な観光地を巡った中学校の修学旅行でお土産に買ったつげ櫛が、思い出に残っています。 グループで自由行動できる時間になり、誰かが事前に調べたのか、偶然だったのか、歴史がありそうなつげ櫛専門店のお土産屋さんに入りました。 修学旅行に持っていけるお小遣いが決まっていた中、高価な商品から手ごろな値段の商品まで、つげ櫛がきれいに並んでいました。 女子ばかりのグループだった私たちは、少し多めに持っていったお小遣いから、3,000円ほどの同じ半月型のつげ櫛を購入しました。   自由行動だった修学旅行の最終日、個々で好きな場所に行けました。 足に障がいがある私は、同伴していた母も一緒にお土産をいろいろ見ていました。   他校の修学旅行生でごった返していた中、そうこうしているうちに遠くに行ってしまったのか、気づくと知らない人ばかりで、知っている人を見失ってしまいました。 足が痛くなり、追いかけようとしてもスピードが出なかった私は、タクシーに乗車しました。   「この辺りでここしかない」と運転手さんが言った、たくさんの観光バスが停車している駐車場に連れて行ってもらいましたが、クラスメートのみんなに会えませんでした。 タクシーを降り途方に暮れていると、遠くから聞こえてきた私の名前を呼ぶ声をたどっていくと、私たち親子を探し回ってくれていた添乗員さんでした。 添乗員さんと私たち親子は一緒にタクシーで駅まで行き、ようやくみんなに会えました。   私にとって、楽しかった中に苦い思い出もあるつげ櫛を、大切にしまっていました。 そんなある日、当時飼っていた犬が楽しそうに、私の部屋から何かを口にはさんで持ってきました。 よく見ると、京都で買ったつげ櫛でした。 修学旅行の思い出が詰まっていたつげ櫛に犬の歯形がつき、一部欠けていましたが、まだ使えそうだったので、引き出しの奥にしまっておきました。     その後何年か経ったある日、現在も飼っている猫の毛をとかしていた父の手に、あのつげ櫛があることに気づきました。 びっくりした私が問い詰めると、私の部屋から持ってきたことを白状しました。   もう何年も使っていなかったことや、気持ちよさそうに寝ていた猫の顔を見たら、つげ櫛を取り上げられませんでした。 この一件以来、いろいろな思い出が詰まっていたつげ櫛は、猫用のブラッシングブラシになりました。   同じ時期に飼っていた犬を見て覚えたのか、猫はお手とおかわりができます。 ドタバタだった修学旅行と、亡き愛犬との思い出がたくさん詰まったつげ櫛は現在も、愛猫との日常を大切に紡ぎ続けています。   お土産を選ぶとき、私が気をつけているポイントがあります。 その土地ならではの特産品を選ぶこと、贈る相手の趣味に合わせること、相手が負担に思わない価格の商品を選ぶことを心がけています。 北海道旅行に行ったときに購入した、ご当地限定の夕張メロン味のポッキーが忘れられません。   その土地ならではの特産の食品を贈るとき、私は必ず試食しています。 試食ができなければ、自分用に買って帰り、味見してみます。 キティちゃんが好きで、グッズを集めている友だちのお土産は、必ずご当地のキティちゃんグッズに決めています。   私が住んでいる新潟県のご当地キティちゃんは、名菓笹団子やトキの着ぐるみを着ています。 もらって困ったことがある私は、趣味がわからない相手には、民芸品などの飾り物を贈らないようにしています。 相手が負担に思わないように、私は3,000円ほどのお土産を選び、贈っています。   観光地に出かけ、その土地ならではのお土産を購入することは、旅行の楽しみの1つです。 なかなか終息が見えてこないコロナ禍の現在、旅行を楽しめるのがいつになるのかわかりません。 マスクの着用や、手洗い、アルコールによる消毒、食事どきの会話など、最低限のルールを守ることに徹し、コロナ禍であっても、徐々に買い物や旅行を楽しみたいものです。 [travel]