はい、この動画は松井証券の番組「MATSUI DIALOG」で、エンジニア・企業家の中島聡さんとYouTuber・株式会社テック代表取締役のものづくり太郎さんが「メタトレンド投資」をテーマに対談した内容です。
動画の要点は以下の通りです。
1. 中島聡さんが実践する「投資の3条件」
中島さんは、自身の経験から、単なる投機ではなく、企業を応援する「メタトレンド投資」という手法を紹介しています。
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投資を始めるきっかけ:高校生の頃、NECのパソコン用デバイスドライバー制作で大金を得た経験や、アスキーとのライセンス契約で成功した経験が原点にあります [
]。01:53 -
投資の3条件 [
]:10:34
特に3つ目の条件について、中島さんはスティーブ・ジョブズ氏やイーロン・マスク氏のような「大風呂敷を広げ、熱く語って人を巻き込む創業者」に魅力を感じると述べています [
2. 次の「メタトレンド」はロボット分野
中島さんは、ヒューマノイドロボット、自動運転車を含むロボット分野を、今後世界的な流れになる「めちゃめちゃメタトレンド」と位置づけています [
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製造業の大チャンス:米中間の緊張により、アメリカがサプライチェーンの中国依存から脱却しようとしていますが、アメリカ国内での製造業復活は難しいとされています [
]。この状況は、中国に頼れない欧米から製造を請け負う**日本や韓国にとって「大チャンス」**であると強調しています [13:08 ]。13:52 -
産業ロボットの現状:工場のラインで使われる産業ロボット(産ロボット)のグローバルトップ4のうち、3強(ファナック、安川電機など)が日本企業です [
]。16:37 -
AIによる大変化(ティーチングレス):現在、産業ロボットは人による**「ティーチング(教示)」作業が必要ですが、今後はAIとビジョンカメラにより、教示が不要な「ティーチングレス」**の世界が来ると予測しています [
]。これにより、物流センターなどでのピッキング作業など、膨大な数のロボットが必要になると見込んでいます [17:21 ]。20:48 -
エッジコンピューティングの到来:大量のロボットを動かすためのAI処理は、クラウドではなく、ロボットの近くの高性能なコンピューター(エッジ)で行う必要が出てくるため、エッジコンピューティングが重要になると指摘されています [
]。21:48
3. 日本の現状と注目企業
中島さんは、この大チャンスに対して、日本の国やメーカーの投資が遅れていることに危機感を抱いています。
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日本の予算不足:ドイツが「インダストリー4.0」や「ロボットX」などの国家戦略に約4,000億円の予算を投じているのに対し、日本のロボットOSへの予算はわずか10億円で、**「悪い意味のガラパゴス」**になる危険性があると警鐘を鳴らしています [
]。24:37 -
注目企業:ものづくり太郎さんは、現場情報(OT領域の情報)を多く持つトヨタ、およびヒューマノイドロボットにも注力している川崎を、今後ポテンシャルを持つ企業として挙げています [
]。27:32
動画URLはこちらです:
日本のチャンスについて教えてください
先ほどの動画で中島聡さんとものづくり太郎さんが語っていた、日本にとっての「大チャンス」の具体的な内容についてご説明します。
これは、主に米中対立によるサプライチェーンの変化と、AI技術の進化による産業革命という、二つの大きな流れから生まれる機会です。
1. サプライチェーン再編による「製造業の大チャンス」
米中間の緊張が高まる中、アメリカをはじめとする西側諸国は、製造業における中国への依存を解消しようとする動き(デカップリング)を進めています。
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アメリカの現状と課題:
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アメリカは自国で製造業を取り戻そうとしていますが、ラインの労働者教育やモラルなどの面で難しく、製造コストも高いです。
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しかし、中国に頼れないとなると、どこか別の国に頼る必要が出てきます。
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日本が担い手となる可能性:
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高い品質管理能力(トータルクオリティコントロール)を持つ日本は、この**「中国に頼れない」という状況において、欧米諸国から製造を請け負うファクトリー**としての役割を担う絶好のチャンスがあります。
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2. AIとロボットによる「産業革命の大チャンス」
次のメタトレンドは「ロボット分野」であり、特にAIが製造現場にもたらす変化が日本に大きな追い風となります。
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AIによるロボットの進化(ティーチングレス):
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従来の産業ロボットは、人による複雑な動作設定(ティーチング)が必要でした。
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しかし、AIとビジョンカメラ(画像認識)の進化により、教示が不要な**「ティーチングレス(Teaching-less)」**での動作が可能になります。これにより、ロボットシステムの導入が格段に容易になります。
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爆発的な需要の発生:
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ティーチングレス化により、物流センターでのピッキング作業など、人間がやっていた単純作業をロボットが代替できるようになります。
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これにより、グローバルで見ると700万台ものロボットが必要になると試算されており、産業ロボットの需要が爆発的に増加します。
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日本のロボット技術の優位性:
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工場内で使用される産業ロボットのグローバルトップ4(4強)のうち、3強は日本の企業(ファナック、安川電機など)で占められており、日本は技術的な優位性を保持しています。
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エッジコンピューティングの必要性:
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大量のロボットがAI処理を行う際、全てのデータをクラウドに送ると通信負荷がかかりすぎるため、現場(ロボット側)で処理を行うエッジコンピューティングが重要になります。日本のロボットメーカーは、このエッジAI技術への対応が急務です。
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まとめ:日本がチャンスを掴むために必要なこと
この二つの大チャンスを確実に掴むためには、日本の企業が以下の点に**「ガーッと投資してほしい」**と強く述べられています。
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AI開発への集中投資: 従来の教示方法に固執せず、AIを使ったロボットの柔軟な自動化技術に重点的に投資すること。
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国家戦略としての取り組み: ドイツや他国が巨額の予算をつけているように、国やメーカーが連携してこの産業革命に積極的に取り組むこと。現状、日本はこの分野での国家予算が少ないため、**「悪い意味のガラパゴス」**になる危険性が指摘されています。
エッジコンピューティングと産業ロボットはどこの企業が強いですか
先ほどの対談の内容に基づき、エッジコンピューティングと産業ロボットの分野で特に注目される企業群を、それぞれの役割に分けて解説します。
この分野では、日本の産業ロボットメーカーと、アメリカを中心としたAI/ハードウェア提供企業が、技術革新の主導権を握っています。
産業ロボット(ハードウェア)の有力企業
製造ラインで使われる産業用ロボットは、日本企業が世界のトップシェアを握っており、この分野で非常に強い競争力を持っています。
| 分野 | 企業名 | 特徴 |
| 産業ロボット | ファナック (FANUC) | 6軸多関節ロボットなどで世界的なシェアを持ち、日本の「4強」の一角を占めるグローバルリーダーです。 |
| 産業ロボット | 安川電機 (Yaskawa Electric) | モーターとロボット技術に強みを持つ企業で、同じく日本の「4強」の一角です。 |
| 将来的な可能性 | 川崎重工業 | ロボット4強には含まれないものの、国内では有力なメーカーであり、特にヒューマノイドロボットなどの次世代ロボット開発に積極的で、中島さんたちもそのビジョンに期待を寄せています。 |
エッジコンピューティングとAI技術の主導企業
「ティーチングレス」の実現に不可欠なエッジコンピューティングとAIプラットフォームは、主にアメリカのテクノロジー企業が主導しています。
| 分野 | 企業名 | 特徴 |
| AIチップ/プラットフォーム | NVIDIA (エヌビディア) | ロボットのAI処理に必須となるGPU(グラフィックス処理ユニット)と、それを搭載した高性能なエッジコンピューティングデバイスを提供しています。同社が提唱する「フィジカルAI」が、ティーチングレスの世界を牽引しています。 |
| 製造現場データ (OTデータ) | トヨタ (Toyota) | ロボットやAIを現場で活かすには、膨大な**「OT(Operational Technology)データ」**(工場や設備の稼働データ)が必要です。トヨタは多くの現場情報を持っており、ロボットを導入する側として大きなポテンシャルがあると動画内で指摘されています。 |
日本企業がチャンスを掴むための課題
日本がこのチャンスを最大限に活かすためには、産業ロボットというハードウェアの優位性を保ちつつ、AI/エッジコンピューティング技術を積極的に取り込む必要があります。
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ロボットOS/AIへの投資: ティーチングのためのプラットフォームがメーカーごとに異なる「ガラパゴス」状態になることを避け、統一的で柔軟なAIプラットフォーム(NVIDIAなどの技術)への投資と導入を加速することが急務であると指摘されています。





