ペットボトルのリサイクルと同様、武田邦彦さんによって不要論が広められたのがレジ袋の削減です。
日本では年間300億枚のレジ袋が消費されています。毎年1人当たり200枚以上です。
国は包装容器リサイクル法を改正し、レジ袋の削減を進めようとしてきました。
これに対して、武田邦彦さんは「偽善エコロジー」でレジ袋削減は無意味と主張しています。
その理由としては以下の三点のようです。
①レジ袋をやめるとk、それまで使われていた原料がいらなくなり、それをまた「煙突で燃やさなければ」いけなくなる
②マイバッグを新しくつくらなけらばならない。そのためには、レジ袋の原料よりも貴重な石油成分を多く消費する。
③ゴミを捨てるときに、レジ袋に代わる専用ゴミ袋を作らなけらばならない。
「①」から考えてみます。
レジ袋の原料はポリエチレンです。ポリエチレンはナフサから作られます。ナフサは原油を精製する過程で抽出される成分です。
原油は過熱して精製しますが、沸点の低い順に、LPガス、ガソリンやナフサ、灯油、重油やアスファルトが得られます。
どの成分がどれだけ分離されるかは、原料となる原油の種類によって決まることですが、需要の多寡はそのこととは無関係です。
ナフサはプラスチックをはじめとする石油化学製品の原料でもあるので、日本ではガソリンに次いで需要が多く、石油製品全体の需要の21%を占めます。
これだけの需要は国内の製油所だけではまかないきれないので、消費の50~60%を輸入に頼っています。
ナフサは不足しているのです。
日本企業は不況の中、必死にコスト削減に取り組んでいます。その中で、貴重なナフサを買い、費用を投じて作ったポリエチレンを
「レジ袋が必要なくなり余ったから」と簡単に燃やしてしまうでしょうか。そのような企業があるとすれば、環境面を問われる以前に経営面で問題があります。
「②」は、当てはまる場合もあります。
マイバッグには布製や紙製もありますが、プラスチック製であれば原料は原油です。
同じ大きさの1枚のプラスチック製マイバッグと1枚のレジ袋を比較すれば、ずっと軽いレジ袋の方が資源消費量が少ないのは自明です。
武田さんは「1年間に1枚ずつ石油製品のマイバッグを消費したら、より多くの石油を消費する」と指摘しています。
マイバッグにはさまざまな製品があり、生産に費やされたエネルギーもまちまちです。
どのようなマイバッグを何回使えば、レジ袋より資源消費量が少なくなるかという問いに直接答えられるデータは残念ながらありません。
ちなみに、スーパーでアルバイトをしている大学生から聞きましたが、買ったばかりのマイバッグををわざわざレジ袋に入れて帰る人がいるとか。
贈り物であればそれもやむをえないかも知れませんが、本末転倒もいいところです。
仮に武田さんの指摘が正しいとすれば、1枚のマイバッグを1年以上使い続ければ資源の節約にもなります。
私の場合は、布製のマイバッグをを6年以上使っています。めったに洗濯もしないので、資源は節約できていると言っていいのではないでしょうか。
最後は「③」です。
レジ袋をゴミ袋として使える市町村にお住いのご家庭が、週3回、レジ袋に入れたゴミ袋を1世帯に1枚ずつだすとすると、
1年50週として必要な袋は年間150枚、3人家族なら1人あたり年間50枚になります。レジ袋の消費量は1人200枚ですが、
ゴミ袋として利用できる分だけを受け取るのであれば、資源の削減になります。
ただし、透明か半透明のふくろを使用する事が求められている市町村では、不透明なレジ袋は使えません。
またゴミ袋が指定されている市町村では、そもそもレジ袋利用できません。そのような環境ではレジ袋削減は確かに意味を持ちます。
有料化は「環境にやさしい」
このように考えると、レジ袋に関しては少なくとも昔のように「どんどん作ってどんどん捨てよ」というのは、かなり乱暴な話のようです。
しかし、マイバッグのブームも一時ほどではなくなりました。
では、どうすればいいのでしょう。
ゴミの減量と同じく、レジ袋削減の切り札もやはり有料化です。
スーパーやコンビニで無料配布するのを止め、欲しい人だけに売るようにすれば、消費者の環境意識にかかわらず消費が抑えられます。
生協ではレジ袋が有料化されていますし、大手スーパーの中にも一部の店舗から有料に切り替えたチェーンが出てきました。
沖縄県のように地域ぐるみの有料化を始めたところもあります。
レジ袋を辞退すると代金総額から2円値引きするスーパーもでてきました。
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